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「iVDR」がダビング10やSSD対応へ
-大容量規格「iVDR Xtreme」も。iVDRセミナー開催


5月27日開催


 リムーバブルHDDの規格団体「iVDRハードディスクドライブ・コンソーシアム」は27日、「iVDRセミナー 2008」を開催。iVDRの「シリコン化」やダビング10対応のための著作権保護機構の追加など、新たな規格が明らかにされた。


■ 大容量/放送向けの「iVDR Xtreme」を策定

三洋電機 泰間氏

 iVDRコンソーシアムの泰間健司氏(三洋電機)は、iVDRの最近の規格化動向について解説。大容量かつ高耐久性の上位規格「iVDR Xtreme」や、同コネクタでUSBをサポートする「iVDR iO」を策定したことを発表した。

 泰間氏は、「家庭内でもモバイル環境でも車の中でも、デジタルコンテンツを楽しめる。それがわれわれの目指す世界」とiVDRの将来像を紹介。日立のWoooシリーズや、マクセルの「アイヴィ」などの製品例を紹介しながら、iVDRが実用化のフェーズに移行したことを強調。その中で、ミリタリーユースに適合するiVDRや、シリコン化など、さまざまな条件にあわせてiVDRを広く展開していく方針を示した。

 新たに策定されたiVDR Xtremeは、2.5インチHDD用のiVDRをベースとし、コネクタ形状や幅を維持したまま、厚みを18mmまで拡大。3枚プラッタの2.5インチHDDを内蔵可能とした。奥行きも従来の110mmから127mmに拡大している。さらに、ミリタリー規格に準拠する耐衝撃性を確保。また、地デジチューナやワイヤレスユニットなどを追加可能とするなど拡張性を高めている。


iVDRの特徴 iVDR XtremeやIOなど新規格を策定。国際標準化も iVDR Xtremeの狙い

日立マクセルが出展したiVDR Xtreamのカートリッジとクレードル

 既存のiVDRのインターフェイスはシリアルATAだが、同コネクタにUSBの信号を通す「iVDR iO」も策定。1.8インチHDD用のiVDR miniや、iVDR、iVDR Xtremeの各iVDRでiVDR iOが規格化された。

 さらにHDDだけでなく、NANDフラッシュメモリを記録媒体として利用したiVDRの規格化にも着手した。シリコンiVDRは、耐衝撃性などのフラッシュメモリの特性を活かした、車載用などを想定。「ローパワーかつロバストネス(堅牢性)が求められる分野で活用できる」と規格化の理由を説明した。また、iVDR規格全体の、ISO/IECにおける国際標準化作業を開始。標準化とともに、iVDRの世界展開を推進していくという。


iVDR Xtremeの特徴 iVDR iOの位置づけ。各サイズでiOを定義 各iVDRのサイズ比較
各iVDRの仕様 iVDRの規格概要 シリコンiVDRも規格化へ


■ SAFIAのアップデートでダビング10にも対応可能に

日立製作所助田氏

 iVDRの著作権保護機能「SAFIA」のライセンスや規格化を行なう「SAFIA License Group」を代表し、日立製作所の助田裕史氏が、SAFIA技術規格のアップデート状況を報告した。

 iVDRには、パソコンなどから通常のストレージとして利用できる「iVDR」と、SAFIAで著作権保護を施して、デジタル放送録画などが可能な「iVDR-S」が用意されており、日立のWoooシリーズなどでデジタル放送録画を実現している。

 2月にSAFIAの仕様がアップデートされ、Protocol and Data Structure Vol.1(PDS-1)のVer.1.20と、Interface for iVDR(IF)のVer.1.2、Storage Device with AT Attachment Interface(SD)のVer.1.20、テレビ用アプリケーションフォーマットのRPD-TV Versionの1.20などが規定されたという。

 PDSとIFの新バージョンでは、新たに「コピーカウント」機能を追加。従来は「世代」カウント機能のみだったが、コピーの個数を管理できる仕組みとしてコピーカウントを導入し、これにより地上デジタル放送で導入が予定されている「ダビング10」に対応し、ダビング10における回数管理などが実現可能となる。

 接続ログの管理機能も追加。一度認証が行なわれた機器に対しては、次回からの認証作業を短縮して、高速に認証できる機能などが追加されているという。

 さらに、2007年の秋にはDTCPにより、SAFIA規格が承認された。これによりDTCPの仕組みを使ったi.LINKやネットワーク伝送などを用いながら、iVDRから外部レコーダへのムーブあるいは外部機器からiVDRへのムーブが実現できるという。また、iVDRに録画したコンテンツから、DVDやSD、Blu-ray Discなどへのムーブも行なえる。

SAFIA規格の概要 SADIAの規格アップデートの詳細 DTCPに対応し、iVDRからDTCP機器へのムーブ可能に


■ Xtremeへの期待とシリコン化の課題

日本シーゲート 渡辺氏

 日本シーゲート株式会社 渡辺 亮氏は、Seagateが中心となり策定した「iVDR Xtreme」について説明。容量あたりの単価の安さなどHDDの魅力をアピールし、「実用的なリムーバブルメディア」としてiVDRを評価。

 また、iVDRのテーマである、「国際規格化」については、「われわれはこれに貢献できる。光ディスクのBlu-rayとHD DVDとは違って、HDDメーカーは1つのものに突き進む体制ができている。混乱が生じる不安は全くなく、国際標準化を進めていける」と訴えた。

 iVDR Xtremeの想定市場については「まずは放送用の大容量市場を考えている。撮影から、編集、アーカイブ、ポストプロダクションなど、様々な現場でリムーバブルなメディアがほしいという要求がある。これらに応え、なおかつ高い耐衝撃性を持つiVDR Xtremeをこの市場で活かすことができる」と説明した。

リムーバブルHDDとしてiVDRを評価 放送機器への導入案 用途にあわせて、iVDRとHDDを展開

TDK寺崎氏

 TDK株式会社の寺崎幸夫氏は、フラッシュメモリを利用した「シリコンiVDR」について説明。「9月にコンソーシアムに加入し、緒に就いたばかり」としながらも、同社が開発したシリコンiVDRの経験を元に、SSDとHDDの違いについて説明した。

 同社では容量64GBのシリコンiVDRを1.8型の基板サイズでつくり、2.5型iVDRカートリッジに入れているが、「物理的には非常にシンプルだが、論理的には複雑」という。NANDフラッシュとHDDはセクタサイズや構成が全く異なるため、コントローラの負荷が非常に高くなるほか、NANDフラッシュのベンダごとにランダムアクセス性能の違いなどが大きく、「回転数が同じであれば、近い性能が得られるHDDとはかなり違う」という。


TDKが開発したシリコンiVDRのハードウェア構成 SSDフラッシュの論理構造 物理的にはシンプルだが、論理構造は複雑で、コントローラが重要となる

シリコンiVDRの将来的な市場

 また、「SSDは低消費電力がメリットだが、HDD並みの性能を出そうとすると、バス幅も広がり、アクティブモードの消費電力は高い。スリープしてから起動の時間が短いという特性を生かして、頻繁にパワーマネージメントすることが重要」と説明。また、Single Level Cell(SLC)からMLC(Multi Level Cell)への移行による寿命の問題など解決すべき問題も多いという。

 そのため、「SSDは今後いろいろなハードルを越えないといけない。機能としての可能性はあるが、コストでは太刀打ちできない。アプリケーションに特化したストレージになってくかもしれない」とし、「128~256GB程度の容量で、車載や産業用などマーケットの要求を満たしながら、デバイスを作っていくことで、新しいセグメントが作れるのではないか」と語った。


シリコンiVDRのコントローラ機能 NANDの仕様とホストへの要求 2010年のシリコンiVDRの仕様

シネマプラス 松尾取締役

 株式会社シネマプラス 松尾秀城 取締役は、iVDRのコンテンツビジネスの可能性について説明。

 「映像コンテンツ映像メディアとしてのiVDRの特徴」として、「大容量で160GBで10作品など、多くのコンテンツを収められる」、「(値段が)高い」、「HDDである」の3点を挙げ、この特性を生かしたコンテンツビジネス提案を行なった。

 大容量を生かしたビデオセル向けの展開などに「可能性はある」とし、「特性を生かすためにはネットとの連動、HDDらしい使い方が必要だ」と訴えた。こうした「ためて、そろえて価値がでるコンテンツ」との親和性の高さを強調する一方、「このままではうまくいかない」と言及。

 その理由として、映画/ビデオ会社の担当者にさえ認知度が低い、普及への尽力、シンボリックな動きがない、アーリーアダプタにも認識されていない、などの問題を指摘。さらに「パーソナルなメディアに脱却できていない」とし、「iPodのようなパーソナルなメディアに脱皮する必要がある」と提案。テレビ番組をどんどん録画し、ダウンロードを促すような趣味嗜好別のウェブサイトの構築や「深く、濃いコミュニティ」の集約などのアイデアを語った。

 経済産業省 産業技術環境局 情報電気標準化推進室長の和泉章氏は、国際標準化の重要性を説明。ISO/IECにおける、iVDRの国際標準化プロセスを解説したほか、世界中の製造メーカーへの訴求や、消費者の利便性向上など、世界規格となる利点について訴えた。


映像コンテンツメディアとしてのiVDRの特徴 コンテンツビジネスとiVDRの親和性 iVDRでのコンテンツビジネスの課題
iVDRでコンテンツビジネスを行なう際の課題 iVDRコンテンツビジネス発展のための施策 経済産業省 産業技術環境局の情報電気標準化推進室長の和泉氏


■ アイ・オーはiVDR-S対応ネットワークプレーヤーを今夏発売

 また、セミナー会場では各社がiVDR対応機器を参考出展。マクセルがiVDR Xtremeのカートリッジ/クレードルを展示したほか、アイ・オー・データは、今夏発売予定というiVDR-S対応ネットワークメディアプレーヤー「iV player」を出展している。

 同プレーヤーは、Ethernetを装備し、サーバー上のWMVやMPEG-4 AVC/H.264、MPEG-1/2ビデオ、MP3/WMA/AACオーディオなどの再生が可能なほか、iVDR-Sスロットを装備。WoooなどでiVDR-Sに録画したデジタル放送番組を再生できる。また、パソコンからiVDRに転送した各種メディアファイルも再生できるという。

 iV playerはSigma Desigin「EM8622L」を内蔵。光デジタル出力も備えている。外形寸法は198×162.8×26.0mm(幅×奥行き×高さ)。

 また、iVDR-S搭載の録画機から、eSATAを介してコンテンツをムーブして保存できる「RHD-AVS」も出展している。3.5インチのHDDユニットにコンテンツをバックアップ可能で、HDDユニットは交換/追加も可能。年内の発売を計画しているという。

iV player リモコンでiVDR-S内のコンテンツを再生できる テレビから「RHD-AVS」に番組をバックアップ。直接録画も可能
RHD-AVS 3.5インチiVDR用のカートリッジ iVDR-Sに対応した日立のWoooシリーズ

アドバンスト・コミュニケーションズのiVDR搭載STB アドバンスト・コミュニケーションズのiVDR型デジタルチューナ 国際精華のiVDRビデオカメラ
iVDR iOを利用した「コンテンツアグリゲーター」をルネサステクノロジが出展 三洋電機の車載用iVDRとマクセルのiVマルチプレーヤー

□iVDRコンソーシアムのホームページ
http://www.ivdr.org/
□SAFIAライセンスグループのホームページ
http://www.safia-lb.com/
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( 2008年5月27日 )

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


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