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“耳に合った音”で聴けるハイレゾスマホ「HTC 10」。カメラは4K撮影/192kHz録音
2016年6月1日 18:41
auから6月中旬以降に発売される、HTCのフラッグシップスマートフォン「HTC 10」。国内初とするハイレゾ対応イヤフォンの同梱や、バイアンプ内蔵の2ウェイスピーカー、インカメラ/アウトカメラ両方の光学式手ブレ補正搭載など、AV機能も充実したモデルとなっている。HTC NIPPONは1日に発表会を行ない、カメラやオーディオを含めた先進機能と、操作性改善に向けたGoogleとの取り組みなどを、玉野浩社長が説明した。
新開発ハイレゾイヤフォン付属。USB DAC出力でDSD再生も
HTCのスマートフォンには、これまで上位機種などにbeatsやJBLといったメーカーのイヤフォンが採用されてきたが、今回はHTCがユニットなどの部品メーカーらと協力して独自開発したイヤフォンが付属。ドライバはダイナミック型で13mm径。振動板には“航空宇宙グレード”とするポリマーを使用し、再生周波数帯域は10Hz~40kHzをカバー。ハウジングの容積を大きくとったことで、厚みのあるサウンドを実現したという。日本オーディオ協会のハイレゾ(Hi-Res AUDIO)ロゴも取得している。
スピーカーも強化し、正面の上部にツイータ、底面にウーファを各1基備えた2ウェイ構成。“スマートフォンで最高”とするアナログアンプ2基でツイータ/ウーファそれぞれを駆動するバイアンプ仕様となっている。なお、スピーカーはハイレゾ対応ではない。
DACやDSPは24bit対応。Android標準の「Google Playミュージック」アプリで、ストレージ内のハイレゾ音源を再生できる。ハイレゾの対応フォーマットは192kHz/24bitまで。
同アプリはDSD再生には非対応だが、別売のUSB Type-C OTG(On The Go)ケーブルを介してUSB DACなどに接続可能。オンキヨーの「HF Player」などのハイレゾ対応アプリを使って、DSD再生も行なえる(HF Playerのハイレゾ再生には別途アンロックアプリ購入が必要)。
個人の耳に合わせた音質設定を体験した
イヤフォン向け技術でユニークなのが「パーソナルオーディオプロファイル機能」。耳からの音の聴こえ方は個人によって異なることから、ユーザーにとってどの音が聴こえやすい/聴こえにくいかを測定。それに合わせてイヤフォン出力からの音質を調整する。
テストは簡易設定と詳細設定の2種類を用意。簡易設定は、ユーザーの年代や、よく聴く音楽ジャンルなどの簡単な質問に答えるだけで完了する。詳細設定の場合は、低域から高域まで5段階の周波数でテスト音声を出し、どの音量だとその音が聴こえるかを設定。低域が聴こえにくい人には低域を強めに出すといった方法で、左右それぞれの耳に合った音にパーソナライズする。
この設定は本体のアンプに適用されるため、アプリを問わずどの音声でも適用された音声で聴ける。付属イヤフォンだけでなく、手持ちのイヤフォンでも利用でき、それぞれの結果を異なるプロファイルとして名前を付けて保存できる。
会場で実際に「パーソナルオーディオプロファイル機能」を試した。付属イヤフォンを使って、詳細設定で自分の耳の特性を測定。低域から高域までのテスト音声が流れ、どの音量だと“かすかに聴こえる”レベルになるかを選択。1分前後で完了し、プロファイルもすぐに出るため、待たされる印象はない。
効果のON/OFFを比較できるテスト音声もあり、聴き比べてみると、ONにした時は中域から低域が持ち上がって、全体的に音の迫力が増す。HTCが推奨するオリジナルのイコライザとグラフで見比べると、特に中域が強く出る結果となっていた。
今回試した場所は、周囲で人の話し声などが大きく、中低域のテスト音声が少し聴きとりにくい環境だったため、このような結果になったと予想される。手持ちのカスタムイヤフォン(Westone ES60)を使った場合の設定では、少し中域の強調が抑えられ、HTCのオリジナルEQにも近い結果となった。使うイヤフォンの遮音性や、使用環境によって、同じ人でも測定結果は変わると思うが、例えば電車移動が多い人なら、その環境で聴きやすいバランスに音を調整できるのは便利。“原音の忠実さ”とは違う方向の機能だと思うが、手軽な操作でスマホの音楽や動画などを気持ちよく楽しむのに適した機能と言える。
ヘッドフォン/イヤフォン向け機能としては、このほかにも音の広がり感などを向上するという、ドルビーのスマートフォン向け音声技術「BoomSound」機能に対応。「パーソナルオーディオプロファイル機能」との併用もできる。
4K動画撮影可能、動画音声も192kHzハイレゾ記録
「HTC史上最高のカメラ」としたのも大きな特徴。世界初となるメインカメラとサブカメラの両方に光学式手ブレ補正を採用し、自分撮りでもブレを防げる。手ブレ補正の方式はレンズシフト。
メインカメラは1,200万画素の「Ultra Pixel」、サブカメラは500万画素の「Ultra Selfie」を採用。画素数の追求よりも、画素ピッチを大きくすることで光を多く取り込むことを優先。レンズの明るさはメイン/サブともにF1.2で、暗い場所でもノイズを抑えて撮影可能としている。サブカメラの画角は86度で、自分撮りしやすくしている。カメラの起動は約0.6秒。
動画撮影はメインカメラが4K(3,840×2,160ドット/最大6分間)、サブカメラは1,920×1,080ドットで記録可能。動画撮影の音声もハイレゾ記録でき、撮影時に「ハイレゾ録音」をONにすると、192kHz/24bitのFLACで録音する。ハイレゾ録音は4K/HDどちらの画質で撮影するときも利用可能。静止画はRAW形式にも対応し、パソコンと市販ソフトで現像可能としている。
ディスプレイは5.2型/解像度2,560×1,440ドットのIPSパネルを搭載。Bluetooth 4.2やNFCを搭載。防塵機能を備える。CPUはクアッドコアのSnapdragon 820。ストレージメモリは約32GBで、RAMは4GB。OSはAndroid 6.0。
ハイスペックと操作性の両方を追求
HTC NIPPONの玉野浩社長は、「HTC 10」という製品名が“10点満点”を指すと説明し、「全てにおいて万点がとれる端末を開発したいという想いが結実した。10は最高の価値を意味する」とした。
鏡面とマット仕上げを組み合わせたメタル筐体についても「HTCのトレードマークはメタルではと考え、最新の加工技術で作った。シャープなエッジが際立つ仕上げにした」と自信を見せた。
オーディオもカメラもスペックの高さが目を引く一方で、Googleとの協議により“Androidのわかりにくさ”の解消に取り組んでいることも説明。電話やメール、音楽といったアプリを、Googleとメーカー、キャリアがそれぞれ用意していることで起きていた重複を回避している。また、長く使うたびに増えていくキャッシュなどを自動でクリアする純正アプリ「Boost+」も用意。機種の買い替えによって使い勝手が異なるAndroid端末の操作感を改善する姿勢を強調した。