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VRシステム「HTC Vive」、99,800円で店舗販売。「ボトムズ」などコンテンツ拡充も

 HTC NIPPONは、VRシステム「HTC Vive」を日本国内で公式に発表。6月から始まっているオンライン販売に加え、東京、大阪、名古屋など36の実店舗において、99,800円で7日より販売開始する。販売するのはドスパラ、TSUKUMO、ユニットコム。さらに、国内発表に合わせて、ゲームなどの新たなコンテンツ拡充についても、パートナー各社から説明が行なわれた。

HTC Vive

 「HTC Vive」は、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)と、2つのワイヤレスコントローラから構成されるVRのシステムで、両眼で2,160×1,200ドット、90Hz駆動のディスプレイを備え、視野角は110度。

 なお、利用にはPCが必要で、Viveに最適化されたPCを認証するテストプログラムも用意。HPやALIENWAREらが推奨環境を案内している。また、「VR READY」のビデオカードとして、NVIDIAの「GeForce GTX 1080」や、AMD「Radeon RX480」などが販売されている。

99,800円で実店舗での販売を開始
日本国内での販売店舗
VR READYビデオカードのNVIDIA「GeForce GTX 1080」
AMD「Radeon RX480」

 VR体験中に、現実の世界とのつながることができる「Vive フォンサービス」も特徴。HMDを外さずに、電話やメッセージ、予定表の確認ができる。

 頭や上半身だけを動かすVRサービスとの違いとしては、頭や体を傾けて動かす動作だけでなく、手に持ったコントローラで部屋を歩き回って操作できる「ルームスケールVR」を訴求している。

HMD(右)とコントローラ(左)
ルームスケールVRを訴求する

 HTC Viveは世界最大のPCゲームプラットフォーム「Steam」を運営するValveとHTCが共同開発。現在はSteam上で250以上のVive用ゲームが公開され、国内の開発者向けにサポートプログラムを予定し、コンテンツの拡充を図る。

Viveの体験がオンライン予約可能。コンテンツも増加中

 業務提携パートナーとして、オンライン販売などで協力するデジカのほか、AMDやNVIDIA、バンダイナムコエンターテインメント、スクウェア・エニックス、コロプラネクスト、グリーなどのゲストが来場。各社が開発しているVRコンテンツやハードウェアなどを紹介した。

 デジカは、国内向けにHTC Viveの体験をオンラインで予約できるシステムを提供。専用ページにアクセスして必要事項を入力すると、近くで体験できるスペースが設置された店舗を探して予約まで行なえる。

対象店舗でVR体験ができる予約を、オンラインで受け付ける

 現時点では対象となるのは一部の都市のみだが、年末までにはすべての都市での店舗検索が可能になるという。

 バンダイナムコエンターテインメントは、東京・お台場のダイバーシティにある施設「VR ZONE Project i Can」において、7月15日より「装甲騎兵ボトムズ」のAT(アーマード・トルーパー)に搭乗して戦うような体験ができるコンテンツが登場することを発表。

 「VR-ATシミュレーター 装甲騎兵ボトムズ バトリング野郎」は、全長4mほどのATに乗って対戦するゲーム。「非常に狭いロッカーのような“鉄の棺桶”に閉じ込められたような感覚が味わえる。(主人公の)キリコは、網膜投影式のゴーグルを着けていて、ピッタリ」とVRコンテンツに適している点を紹介した。

バンダイナムコによる「VR-ATシミュレーター 装甲騎兵ボトムズ バトリング野郎」

 また、スクウェア・エニックスは、モバイルゲームの「乖離性ミリオンアーサー」をVR対応としたコンテンツについて説明。コントローラを使って実際に剣を振ったり、目の前のカードを選択するといったアクションができることなどから「スマホをタップする操作から、実際に主人公になったように遊べて、ゲームの好きな人が楽しめる仕組みを実現できた。トラッキング範囲が広い“ルームスケール”によって、対応範囲から外れて現実に引き戻されることなく、没入感が高い」とした。

スクウェア・エニックスの「乖離性ミリオンアーサー」のデモ
HTC NIPPON玉野浩社長

 HTC NIPPONの玉野浩社長は、HTC Viveの特徴として、「部屋を歩き回れるほどのセンサー感知能力によって、ミリ単位で座標を補足でき、VR酔いも少なく、リアルな没入感が体験できる。着席して楽しむコンテンツも、正確な位置補足によって、他のVRとは違った体験ができる」とアピール。

 今後の広がりについては「VRという言葉は聞かれるが、試したことが無い人は多い。体験できるスペースを設けないと、安心して買えない」として、パートナーとの協力で始めた、店舗内での体験スペースの設置と、オンラインでの予約サービスを紹介。利用機会の拡大を図る方針を説明した。

VR体験のイメージ

ライブ鑑賞やゲームなどのコンテンツを体験

 HTC Viveを装着し、「フルーツニンジャ」、「Cyberpong(サイバーポン)」、「ねこパらいぶ」のVRコンテンツを体験した。

ねこパらいぶ

 フルーツニンジャは、両手のコントローラを刀に見立てて、周りから次々に飛んでくるフルーツをひたすら連続で切るというゲーム。中に混じっている爆弾を切らずにフルーツだけを選んで切る必要はあるが、ルールは単純なため、爽快感のあるプレイが可能。床に落ちて転がったフルーツも、刀で触れるとちゃんと反応するため、手に持っているコントローラが、実際に刀の長さのように錯覚してしまうほどだった。

 ねこパらいぶは、アイドルのステージを鑑賞するコンテンツ。今回のデモでは、コントローラで具体的なアクションはできないものの、ステージに近づくなど会場内を移動できる。周りを見ると、歌に合わせてサイリウムが振られており、自分の手だけ動かないのは少し寂しい気もするが、上下左右の様々な方向へ移動して観ても、現実に近いアングルで映像が表現され、実際に間近で観ている感覚を味わえた。

 Cyberpongは、3D空間で楽しめる“ブロック崩し”。前から飛んでくるボールをコントローラで打ち返す。左右だけでなく上下方向の正しい位置にコントローラを合わせるのに最初は戸惑ったが、位置トラッキングが映像に正しく合っているため、意図した通りにボールを打ち返すことができる。体を上下左右に動かしても、検知できる範囲から外れそうなときは映像で警告してくれるため、安心して映像に入り込んで楽しめた。