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4K影絵や虫の音で「和」を体感。ソニービルでLife Space UXイベント
2016年10月26日 14:20
ソニーは、ポータブル超短焦点プロジェクタ「LSPX-P1」など、Life Space UXの製品群を使った「新しい日本の居住空間」の展示を東京・銀座のソニービルで10月26日から開始した。建築家の佐野文彦氏とコラボレーションし、Life Space UXによる“和”の空間を提案する。会場は5階「ソニーイノベーションラウンジ」で、期間は'17年1月下旬まで、時間は11時~19時。入場は無料で入退場自由。
ソニーイノベーションラウンジではこれまでにも、Life Space UXのポータブルプロジェクタやグラスサウンドスピーカーを使った住まいの空間演出の展示を季節に合わせた内容で行なっており、春はシンプルなモノトーン家具とともに洋風の住まい、夏はアウトドアの生活をイメージした展示を実施。第3弾となる今回は秋〜冬の「和」のしつらえをイメージしている。
数寄屋造りの職人の経歴を持つ佐野文彦氏とコラボレーション。茶の湯の世界とLife Space UXを融合させ、「市中の山居」をイメージした会場づくりを行なった。2重の木組みで天井を下げ、日本民家ならではの「重みと抜け」を表現。奥には畳敷きのスペースも用意した。
会場に置かれている製品は、「ポータブル超短焦点プロジェクタ」(LSPX-P1)、4K超短焦点プロジェクタ「LSPX-W1S」、「グラスサウンドスピーカー」(LSPX-S1)、LED電球Bluetoothスピーカー「LSPX-103E26」の4製品。入口と奥の壁、入って右奥の壁際にプロジェクタ、卓上や床の間にスピーカーを用意し、全体でひとつの和の空間を作り上げている。
4K超短焦点プロジェクタで投写するコンテンツはすべて4K解像度のもの。影絵の巨匠、藤城清治とコラボレーションし、日本全国の美しい風景や行事を描いた画集「藤城清治の旅する影絵 日本」の影絵作品を取り上げている。ほかにも、北海道や白川郷など、日本の原風景を想起させる風景写真や、浮世絵をベースに絵の一部がアニメーションで動く映像、若手書道家の万美氏による、漢字の成り立ちを一画一画の動きで表す「書」の映像を流している。
会場周囲は、1台の4K超短焦点プロジェクタと、3台のポータブル超短焦点プロジェクタで映像を投写。いずれも映像は会場の裏側からタイムライン同期して伝送され、全体の統一感を出す仕組みとなっている。
中央の卓上では、水に濡らすだけで色が変わる特殊な紙を用いて、ポータブル短焦点プロジェクタから映された文字をなぞる「なぞり書き」が体験できる。これは海外からの来場者を意識して用意されたもの。
音響は、サウンドデザイン集団「Master Mind Productions」が和のしつらえをテーマに音空間をデザイン。卓上のグラスサウンドスピーカーでは、打楽器やシンセサイザーを用いた和洋折衷のオリジナル音源を再生し、LED電球スピーカーからは秋の虫の音を流すなど、役割分担させている。
奥の和室はアート集団「The TEA-ROOM」が、茶の湯をイメージした空間コンセプトと茶の体験を設計。茶室「SHUHALLY」の監修も行なう裏千家茶道家の松村宗亮氏による、茶の湯の体験も行なう。
その他、デザイナーの山田研一氏が器や小物などを使って空間スタイリングを実施。ブックディレクターの山口博之氏が選んだ書籍も展示されている。
銀座で「時間の流れの違う場所」を提案。会場で製品販売も検討
ソニー TS事業準備室 室長の斉藤博氏は、Life Space UXシリーズの新しい取り組みとして、「どこまでも、あなたらしい空間にしよう。」というキーメッセージを発表。映像/音響機器を室内に置き、置かれた場所で楽しむといった従来の制約をなくし、空間そのものを生かした映像や音の体験の創出を提案している。今回の和をイメージした展示は、これまでのLife Space UXを用いた洋風の空間演出とは異なるが、「訪れた人に良いと思ってもらえる、懐かしいような空間を作りたい。和の空間の良さををよく知る佐野さんと組んだ」(斎藤氏)。
佐野氏は「これまで、働きながら暮らせる古民家リノベーションなどの活動を行なってきた。(今回は)銀座のど真ん中に『市中の山居』をイメージした、時間の流れの違う場所を作った。格子や障子など、誰が見ても“和だな”と思えるものを使い、家の外部と内部の境界線を曖昧にした日本らしい住居を体感できる作りとした。こういった空間で生活したいと思っていただければ嬉しい」と話した。
銀座ソニービルは来年3月の解体を前に、ソニーストアの機能を銀座4丁目交差点「GINZA PLACE」に移転。現在はソニーイノベーションラウンジの他、8階のイベントスペースなど一部のフロアが営業している。現在でも海外からの来客が多く、今回の展示はそうした人々への提案も意図している。