ニュース

1台で水平360度、垂直240度の撮影が可能なVRアクションカメラ「360fly」

 フロンティアファクトリーは、米360flyの360度撮影対応アクションカメラ「360fly」シリーズを12月9日に発売する。上部にレンズを搭載し、水平方向に360度の撮影が可能。価格は4K対応の「360fly 4K」が59,400円(税込)、HD対応「360fly HD」が37,800円(税込)。

4K対応の「360fly 4K」

 360flyは、カーネギーメロン大学のロボット研究所で誕生した製品で、ロボット開発用に培った技術を転用して開発された。水平方向に360度、垂直方向240度の撮影が可能なワイドレンズを備えており、2台のカメラを使わなくても、1台のカメラで周囲の映像が撮影できるのが特徴。2つのカメラの映像をステッチしないため、画質にも優れるとする。ただし、垂直方向の360度撮影はできない。

撮影範囲のイメージ

 筐体はゴルフボールを一回り大きくした程度の直径6cm。防水、IP6Xの防塵、耐衝撃、-20度までの耐低温性能を備え、スポーツなどの撮影に利用できる。防水深度は4Kモデルが10m、HDモデルが1m。重量は4Kモデルが172g、HDモデルが138g。

4Kモデル。上部にレンズを備えている
HDモデル。基本的なデザインやサイズは同じ

 センサーは、4Kモデルが加速度センサー、電子コンパス、GPS、ジャイロセンサーを搭載。HDモデルは加速度センサーを備えている。

 カメラとしてユニークな点は、microSDカードなどのカードスロットを備えておらず、内蔵メモリに録画する事。4Kモデルは64GB、HDモデルは16GBのメモリを搭載する。

 4Kモデルは最高で2,880×2,880ドットでの撮影が可能。50Mbpsのビットレートで録画できる。フレームレートは30fps。16:9での主観映像撮影や、静止画撮影も可能。内蔵バッテリを使い、最大2時間、連続45分の360度動画の撮影が可能。

 HDモデルは1,504×1,504ドットで撮影でき、レートは20Mbps。フレームレートは30fps。内蔵バッテリでの稼働時間は2時間以上で、最大90分間の360度撮影ができる。

360度撮影に対応した他社モデルとのサイズ比較。左から360fly 4K、ニコン「KeyMission 360」、Kodak「PIXPRO SP360 4K」、リコー「THETA S」

 どちらもBluetooth 4.0に対応するほか、IEEE 802.11b/g/nの無線LAN機能も搭載。

 付属品として、どちらのモデルにもUSB経由で充電するためのパワークレードルを同梱。4Kモデルはさらに、GoPro対応の各種マウントに、360fly 4Kを固定するためのアクションカメラアダプタも同梱する。

4Kモデルの底面。三脚穴を備えている
GoPro対応の各種マウントに、360fly 4Kを固定するためのアクションカメラアダプタ
パワークレードル

 別売のマウントアダプタは、「サクションマウント」(3,980円)、「ハンドルバーマウント」(2,980円)、自転車やスキー用のヘッメットに固定できる「ベンテッドヘルメットマウント」(2,980円)、GoProマウントアダプタ向けの変換パーツや、平らな面に固定するためのマウントを含んだ「マウントキット」(2,980円)、「トライポッドグリップ」(4,980円)などを、順次発売予定。

左から「ハンドルバーマウント」、「サクションマウント」
「マウントキット」
左からPOVポール(4,980円)、フローティングハンドルグリップ(2,980円)
POVポールの使用イメージ
「ベンテッドヘルメットマウント」
「トライポッドグリップ」

 さらに、撮影した動画をスマホでVRモード表示し、それを目の前で固定して楽しむための「モバイルVRビューワー」も4,980円で発売予定。4.5~6型ディスプレイを備えたスマホを搭載できる。

「モバイルVRビューワー」
プロテクティブケージ、ダイブハウジングなども用意する

スマホアプリで操作、PC向けアプリも

 Android/iOS向けに、専用アプリ「360fly」を用意しており、ワイヤレスでカメラと連携。撮影している映像のチェックや、録画・静止画撮影操作が可能。撮影した映像に、効果や音声トラックを追加する編集も可能。

専用アプリ「360fly」

 撮影した映像をVR変換して表示でき、別売の「モバイルVRビューワー」などで視聴すると、その場に出かけたようなVR体験ができるという。

 PC向けの無料アプリ「360fly Director」もWindowsとMac用に用意。より細かな編集やエフェクトなどが利用できるという。

“何が起こるかわからない”から360度で撮影

 フロンティアファクトリーの奥田哲生社長は360flyの特徴として、「2つのカメラの映像を結合しているわけではなく、1台で撮影する事で、ステッチのない、クリアな映像を撮影できる」と説明。

 さらに、単に高画質な360度カメラのハードを作るメーカーではなく、「目指しているのは、360度を活用するエコシステムを作る事だ」とし、そのエコシステムの中で、今後も様々な360度映像コンテンツが作られ、発展していくと予想。

 ハード自体も、「今後もテクノロジーを使い、まだまだ新しい製品が登場する。いろいろな計画が進んでいると聞いている。来年以降も、もっと刺激的な、エキサイティングな製品を扱えると考えている」と期待を寄せた。

フロンティアファクトリーの奥田哲生社長

 さらに、360flyが作成したデモムービーも紹介。アクションカメラの代表格であるGoProと360flyを同時に使って、水中で撮影したものだが、ダイバーが何者かに襲われてしまう。正面しか撮影できないGoProでは、何が起こったかわからないが、水平360度撮影をしている360flyであれば、視点を変えると背後に迫っているサメの姿が確認できる……というもの。もちろんサメはフェイクと思われるが、“何が起こるかわからない”から360度で撮影しておく魅力をアピールする動画となっていた。

上がGoPro、下が360flyの映像
360flyの映像の視点を後ろに変えると、背後に迫っていたサメの姿が!

 なお、11月16日から18日まで、幕張メッセで開催される「Inter BEE 2016」にも出展するという。