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こんなにあった世界のスマートスピーカー。今後登場の新機種をIFA会場でチェックした

 日本ではまだ製品が少ないものの、海外では既に多くの製品が発売され、盛り上がりを見せ始めているスマートスピーカー。ドイツ・ベルリンで9月1日~9月6日(現地時間)に開催された家電の国際展示会「IFA 2017」の会場でも多くのモデルが登場し、存在感を示していた。

 スマートスピーカーは、音声認識に対応し、様々なネットワークサービスやアプリなどと連携するのが特徴。最新ニュースのチェックや、SNS/スケジュール確認といった情報取得のほか、他の家電やIoT機器と連携して声で操作するなど、音楽を聴くだけではない様々な活用が見込まれている。

 米国などを中心に、Amazonの音声アシスタント「Alexa」対応の家電製品が増えるとともに、大手メーカーがGoogleの「Googleアシスタント」対応スピーカーを投入し始めており、今後の拡大を予感させる。

 AlexaはAmazonが力を入れている音声アシスタントであり、Amazon Echoなどのスマートスピーカーと接続して照明や家電をコントロールする製品は多く登場している。IFA 2017の会場でもそれは同様だったが、そうした中で、独自ブランドでスマートスピーカーを投入するメーカーが増えていたのも新たな傾向。本稿では、IFA 2017会場で見つけた様々なスマートスピーカーを紹介したい。

ソニーがGoogleアシスタント対応モデルを披露

 ソニーが発表したのは「LF-S50G」。Googleアシスタントに対応した全高162mmの円筒形のスピーカーで、360度全方位を向いたスピーカーとマイクを備える。ジェスチャーコントロール機能と防滴性能を備え、家庭内のキッチンで水仕事をしながら使うことなどを想定している。

キッチンでの利用を想定したソニーのLF-S50G
一般的な円筒形のデザイン。大きな時計表示は便利

 ソニーらしいNFCのタッチペアリング機能、オートボリュームコントロール、時計表示機能を備えている。発売は欧州では11月、価格は230ユーロ。

本体を触らずにジェスチャー操作可能。左右に手を振ると曲送り、指を回してボリューム増減など
本体背面。スマートフォンとのペアリング用にNFCを搭載

 Googleアシスタントを利用し、音声によるGoogle検索に加え、ペアリングしたスマートフォンの楽曲再生、接続したTVや家庭内のIoT機器を操作するといったこともできる。

 IFAのソニーブースではリビングとキッチンを再現。防滴やタッチジェスチャー、声による操作、Android TV搭載BRAVIAの操作といったデモを実施していた。

Android TVとの連携機能も

“高音質”を訴求するパナソニック

 IFA開幕前にいち早く会見を行なったパナソニックは、「SC-GA10」を発表。これはGoogleアシスタント対応スマートスピーカーで世界初というHi-Fiサウンド対応という高音質をアピールしている。発売は2018年。

直方体デザインのパナソニック「SC-GA10」
本体上部
2cmのソフトドームツイータ、8cmのウーファを搭載
ウーファ(左)とツイータ(右)
ホワイトモデルも

 Googleアシスタント対応ということで、音声を使った基本的な操作はすべて搭載。Google Playミュージックなどの音楽配信対応のほか、NAS、スマートフォンからの音楽再生もサポートしている。

連携するサービスの例

 IoT機器やテレビなどの対応デバイスの音声操作にも対応する。GA10を複数台設置し、家庭内で再生する音楽を同期できるマルチルームオーディオ機能も搭載している。

複数のスピーカーで同期して再生することが可能

 スマートスピーカーの機能面だけでなく、スピーカーとしての音質にこだわりたい人に適した製品を目指している。2台のSC-GA10を組み合わせて、ステレオ再生に利用できるのも特徴だ。

レノボはタブレットとの組み合わせを提案

 タブレットと直結して利用するスマートスピーカー「Home Assistant Pack」を発表。Android搭載タブレット「Tab 4」とセットで利用するドック兼スマートスピーカーという位置づけで、スピーカー側にUSB端子を搭載し、そこにタブレットを接続すれば、スピーカーと画面が一体化したようなデザインで利用できるようになる。

Lenovoのスマートスピーカー「Home Assistant Pack」
家庭内のIoT機器などの操作も可能

 音声アシスタントはAmazon Alexaに対応。スピーカーにAlexaと呼びかけると音声操作が可能になるが、その結果がタブレット側に表示されるので、単なるスマートスピーカーに比べて分かりやすいのが利点。

天気予報を調べたり、音楽を再生したりといったGoogleアシスタントの機能がタブレット側にも表示される

 コネクタ位置を変更できるギミックも用意され、タブレットサイズや端子位置が異なっていても利用できる点もよく考えられている。Alexaが対応するIoT機器などの音声コントロールも可能だ。発売は10月からで、価格は79.99ドルと比較的安価なことも特徴。

コネクタはUSB Type-Cだが、取り外して位置を変えることもできる

オンキヨーはAlexa/Google アシスタント対応モデル

 オンキヨーグループは、AlexaとGoogleアシスタントに対応するスマートスピーカーをそれぞれ発表。Alexa対応は「P3」、Googleアシスタント対応は「G3」で、発売は10月から。なお、時期は明らかにしていないが日本での発売も予定しているという。

Alexa対応のP3

 Alexa、Googleアシスタントの各モデルでできることは、大きくは変わらないが、オンキヨーブランドとして高音質にも配慮している点が特徴だ。P3は2.5インチフルレンジウーファ、デュアルパッシブラジエータを搭載し、対応機器同士で連携できるDTS Play-Fiもサポート。G3は新開発の高音質技術を導入するなどして音質を高めた。

Googleアシスタント対応のG3

JBLがGoogleアシスタント対応機。Harman/kardonはAlexaとCortana

 ハーマンインターナショナルは、Googleアシスタント、Alexa、Cortanaの3種類の音声エージェントに対応したスピーカーをそれぞれ発表。JBLブランドとharman/kardonブランドの製品として登場予定。

 Googleアシスタント対応モデルは、JBLの3製品。音声検索、音楽操作、接続する家庭のIoT機器操作といった基本的な機能は同等で、スピーカーの組み合わせによる複数部屋での音楽の同期といった機能も搭載する。

 3モデル用意され、「LINK 20」と「LINK 30」はバッテリー内蔵で防水性能も備える。「LINK 300」は伝統的なフルレンジのJBLサウンドを実現するという。

右がJBLのLINK 20。欧州で11月の発売、199ユーロ。左のLINK 10は169ユーロ
上部に操作ボタンがある
右がJBL LINK 300。11月発売で、価格は299ユーロ
上部の操作ボタン

 Alexa対応スピーカーでは「Allure」。harman/kardonらしいデザインで、再生時などに上部の透明部が淡く光る設計になっている。Alexaの音声操作などの機能はすべて利用可能で、4つのマイクで全方位からの安定した聞き取りが可能だという。無線LAN接続だけでなく、スマートフォンの音楽をBluetooth経由で再生することも可能。

harman/kardonのAllure。発売は今冬で、価格は249.95ドル

 Microsoftの音声エージェントCortanaに対応したスピーカー「Invoke」も展示。Invoke自体はすでに発表されており、発売は今秋になるようだ。Cortana対応ということで、Skypeと連携するといった独特の機能も備えている。

Cortana対応のInvoke。発売は秋の見込み

AnkerはAlexa対応モデル多数

 モバイルバッテリなどの周辺機器で知られるAnkerが、新しく立ち上げたオーディオブランド「Zolo」で出展していたのは、Alexa対応の「Halo」「Halo+」、Googleアシスタント対応の「Mojo」の3製品。いずれも円筒形のデザインで、Halo+のみロングサイズのスピーカーとなっている。

Halo。カラーは2種類

 Halo、Halo+はIPX5相当の防水性能を備え、Alexaの音声操作、接続する家庭内のIoT機器の操作、複数スピーカーを連携させるマルチルーム機能などを搭載する。Haloの発売は今年中だが、価格については未定だという。

左がHalo+。発売は来年になるという

 Mojoは、Googleアシスタント対応ということで、基本的な音声操作はすべてサポート。歪みの少ない1.7インチのフルレンジドライバーを搭載し、接続した家庭内のIoT機器のコントロールなどにも対応する。70ドル以下の価格での発売を想定しているという。

Mojo

国内でのサービス開始に期待。今後は差別化も進む?

 スマートスピーカーでは、会場内にAlexaブースが設けられ、対応製品が並べられていて力が入っていた。会場を回った限りは、Alexa対応製品の方は比較的多く、Googleアシスタント対応製品はまだ多くはないが、パナソニックやソニーが続けて発表し、国内での正式サービス開始も期待できるところではある。

Amazon Alexa対応製品を集めたコーナー
独MAS ElektronikのAlexa対応スマートスピーカー「XORO XVS 100」。Alexaに対応
ドイツの家電メーカーであるグルンディッヒのAlexaスマートスピーカー
独リープヘルのスマートスピーカー。冷蔵庫に設置したカメラやセンサーといったIoT製品と同様の家電周辺機器として用意

 欧州家電メーカーでも一部Alexa対応スピーカーを展示しているほか、Alexaからのコントロールに対応する家電製品の展示も増えている。音響メーカー以外があえてスマートスピーカーを投入しても、基本的には似通ったデザインと機能で、差別化が難しい印象だった。今後、差別化を図るために、どういった機能、デザインが必要なのか、模索が続きそうだ。

MusicManのMultiroom Soundstation。複数スピーカーを連携させることもできる。Alexa対応