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ゼンハイザー、最上位イヤフォン「IE 800 S」や「HD 660 S」など発表。VR新展開や新ロゴも
2017年10月12日 14:15
ゼンハイザーは、フラッグシップイヤフォン「IE 800 S」や、オープン型ヘッドフォン「HD 660 S」を11月中旬に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格はIE 800 Sが12万円前後、HD 660 Sが55,000円前後。
また、9月にドイツ・ベルリンで開催された「IFA 2017」に合わせて発表されていたモデルとして、ユーザーが音質を調整できるハイエンドイヤフォン「IE 80 S」を10月26日に、aptX HD対応のBluetoothイヤフォン「MOMENTUM Free Bluetooth」を11月中旬に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格はIE 80 Sが4万円前後、MOMENTUM Free Bluetoothが24,000円前後。
フラッグシップイヤフォン「IE 800 S」
独自技術アブソーバーテクノロジーを搭載した既存のIE 800をベースに再設計した新たなフラッグシップモデル。ケーブル分岐部の端子を使ってケーブル交換も可能で、バランス対応の4.4mmと2.5mmのケーブル、通常のステレオミニの3本のケーブルが付属する。
7mm径のトランスデューサーを搭載し、特許技術のD2CAテクノロジーを採用。マスキング共鳴からエネルギーを排除し、不要な大音量を防ぐという。これにより、わずかなニュアンスまで聞き取れるようになり、「真にハイエンドなリスニング体験を可能にする」という。筐体はセラミック製で艶消しの黒色仕上げ。
HD650を継承するリファレンスヘッドフォン「HD 660 S」
ハイエンドモデルとして根強い人気のHD 650の後継となるオープンエア型ヘッドフォン。HD 650からの改良により、高調波歪を抑えることで自然で臨場感あるオーディオ体験を可能にするという。ケーブルは着脱可能で、接続端子は、標準プラグのケーブルのほか、4.4mmバランスのケーブルをオプションで用意する。
振動板の輪郭に適応するステンレス製の精密素材を使用し、振動板の制御を向上。トランスデューサーは超軽量アルミボイスコイルを採用し、最高レベルのインパルス忠実度を実現したという。楕円形のハウジングで耳へのフィット感を高めており、厚みのあるヘッドバンドや交換可能なイヤークッションを装備。
ネジを回して音質調整できる「IE 80 S」
IE 80 Sは、2011年発売の「IE 80」をベースにフィット感や音質の向上を図ったイヤフォンで、ドイツでは9月に発売。「プロフェッショナルHi-Fiステレオサウンドを一層改善し、ハイエンドオーディオファイル・シリーズの美しいスタイルを継承した、新たなデザインを採用した」という。ドライバはダイナミック型で、独自のサウンドカスタマイゼーション機能により、リスナーの好みに合わせて周波数特性を変更可能。
aptX Low Latency対応「MOMENTUM Free Bluetooth」
MOMENTUMシリーズのカナル型Bluetoothイヤフォン。ネックバンド型のMOMENTUM In-Ear Wirelessに続く、同シリーズのワイヤレスイヤフォンとなる。ドイツでは10月発売予定。
ダイナミック型ユニットと、特注のステンレススチール製音導管により、音響精度と強力な低音応答、細部にこだわったボーカル再生などの「MOMENTUMシグネチャーサウンド」を実現するという。
日本人向けの音質チューニング、4.4mm対応を強化
同社は12日に発表会を開催。日本が「IE 800 S」と「HD 660 S」をグローバルで披露する場となり、ドイツ本社から担当者が来日した。
シニアバイスプレジデント ディレクター マーケット ディベロップメントのエリック・デニス氏は、「新モデルを発表する場として日本ほどふさわしい場所はない。たいへん大きな市場であり、強みである高い技術、品質に、日本の皆様から高い評価を受けている。伝統と革新性を融合させ、最高品質を追求していく姿勢は日本らしいともいえるが、ゼンハイザーの企業姿勢そのものでもある」と述べた。
また、「ゼンハイザーには72年の歴史があり、オーディオ業界を変える商品を数多く生み出してきた。創業間もないころから日本でも好評をいただき、日本にオフィスを構えているのも、日本のニーズを肌で感じていられるように考えているから。歴史を踏まえつつ、今後の音響システムの未来を形作っていく企業でありたい」とした。
デニス氏は、同社の特徴の一つとして「自社製造」について説明。ドイツだけでなく、アイルランド、アメリカにも工場を持ち、独自ドライバを製造しており、「市場に出す製品は最高のものだと自負している」とした。
新モデルについては「IE 800 SとHD 660 Sの2つを見れば、ハイエンドな音響機器にもこういった未来形があると実感していただけるのでは」と自信を見せ、「まだ明かせない部分もあるが、2018年も素晴らしい製品発売していく」とした。
IE 800 SやHD 660 Sなど各モデルの特徴については、プロダクトマネージャー オーディオファイルのマニュエル・リッケ氏が説明。注目モデルの一つIE 800 Sについては、「日本で好まれる音質を目指した」ことを紹介。「洗練された低音域とクリアな中音域を重視する日本の特徴的なサウンドを、より高い解像感で再生する振動特性」に仕上げたという。
また、日本でもファンが多いHD 650の後継機種であるHD 660 Sと、上記のIE 800 Sの共通点として、バランス接続用に、ウォークマンなどで採用されている4.4mm(Pentaconn)端子のケーブルを付属することもポイントとして挙げ、「サイズや音質の面でもベストなコネクション」と述べた。
HD 660 Sのヘッドフォン側の端子はHD 650と同じ2ピンのため、従来のHD 650ユーザーに向けて、4.4mmバランスの交換ケーブル単体での販売も予定しているという。
VR製品などの新展開も
既に海外発表された新製品の国内での発売も行なうほか、他社とのコラボレーションも多方面に展開。ゼンハイザージャパンの大澤広輔マーケティングマネージャーが説明した。
360度録音できる「AMBEO VR MIC」など3Dオーディオ「AMBEO」の新たな取り組みとして、同社初となるソフトウェアメーカーとの共同プロジェクトを展開。360度の3D映像と、360度Ambisonics方式の音声を組みわせてエンタメコンテンツとしての可能性を探る実証実験「PROJECT OMNIVERSE」を、VRコンテンツ/システム開発のDVERSEと共同で開始。
プロジェクトの第1弾として、京都 建仁寺 両足院において、現在は一般非公開となっている阿弥陀如来の本堂や、大書院を、8K対応のInsta360 Proと、AMBEO VR MICで360度収録。さらに、他の音声も加えた形でエフェクト処理を行ない、より没入感を高めるコンテンツを開発。
今回のデモでは、視聴するヘッドセットなどのシステム側が8K未対応だが、今後のデバイスの進化で、より高解像度VR映像と組み合わせて、360度の音声を楽しめるようになるという。
ゲーミング製品については、ヘッドセット「GSP 303 Need for Speed Paybackエディション」を発表。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は11,000円前後。レースゲーム「Need for Speed Payback」と同じ11月10日発売となる。既発売の「GSP 300」をベースに、ヘッドバンド部やハウジングの内側にNeed for Speed Paybackのロゴが入っている。
また、ゲーミング用ヘッドセット「GAME ONE」と「GSP 300」の2モデルが、「ファイナルファンタジー XIV」の推奨機器として、スクウェア・エニックスから認定された。
マイク関連では、日本ヒューマンビートボックス協会主催の大会「Japan Beatbox Championship 2017」に協賛し、公式マイクとして同社の「e 945」が採用されたことを発表。大会は11月26日に川崎CLUB CITTAで行なわれる。
そのほか、ゼンハイザーのコーポレートロゴをリニューアルしたことも発表。2月にグローバルで発表されていたが、日本でも正式に披露された。従来のブルーのロゴからブラックに刷新され、「S」のマークも変更。「ロゴを囲むアウトラインを目立たなくすることで、余白を生み、“S”がより際立つデザイン」とし、「“S”とアウトラインを一体化することで、一層クリアかつクリーンな見た目を目指した」という。フォントを細くすることで読みやすさを向上させた。
さらに、現在東京・青山一丁目にあるショールームのリニューアルを年内に予定。製品の試聴コーナーなども設けるという。