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Technics完全ワイヤレス2機種。強力NC「AZ60」、1万円台の「AZ40」

「EAH-AZ60」シルバー

Technicsは、完全ワイヤレスイヤフォンの新モデルとして「EAH-AZ60」と「EAH-AZ40」の2機種を10月15日に発売する。価格はオープンプライス。店頭予想価格は、ノイズキャンセリング(NC)機能を備え、LDACにも対応するEAH-AZ60が29,000円前後、NCは搭載していないがコンパクトかつ低価格なEAH-AZ40が16,000円前後。

カラーバリエーションは、AZ60がブラックとシルバー。AZ40がブラックとシルバーに加え、ローズゴールドもラインナップする。

「EAH-AZ40」はブラックとシルバーに加え、ローズゴールドもラインナップ

2機種に共通する特徴として、ドライバーの後端に、空間と調整用気孔を設けて、ドライバーの空気の流れを精密にコントロールする「アコースティックコントロールチャンバー」を搭載。中域の中弛みや、低域の伸びを改善している。

さらに、ドライバー前の空間の形状を最適化する事で、高域特性を改善する「ハーモナイザー」も備えている。なお、AZ40では、このアコースティックコントロールチャンバーとハーモナイザーがドライバーと一体化しており、イヤフォンの小型化に寄与。AZ40は、ドライバーの口径がAZ60よりも小さいため、チャンバーの部屋や、パーツなども小さくなり、体積や精度のバラつきなどが無視できなくなるため、モジュールとして一体化したという。

搭載しているドライバーはどちらのモデルもダイナミック型。素材と口径が異なり、AZ60は8mmのバイオセルロース振動板、AZ40が6mmのPEEK振動板を使っている。

バイオセルロース振動板は、広い帯域を余裕をもって再生でき、自然なボーカルや楽器の再現、締りのある低音再生が可能という。PEEK振動板は、小口径ながら全帯域で強調感、不足感のないクリアな音を再生。レンジ感、厚みのある本格的なサウンドを再生できるとする。

なお、既発売の上位モデル「AZ70W」は、10mmと大口径で振動板にはPEEK素材を採用しつつ、グラフェンコートを施して軽さと強度を両立している。AZ60は8mmのバイオセルロース振動板だが、これは、8mm口径であれば、バイオセルロースでも十分な強度が得られるため。素材としての素直な音にこだわり、バイオセルロースを採用したという。

Bluetoothのプロファイルは、A2DP、AVRCP、HSP、HFPに対応。コーデックはAZ60がSBC、AAC、LDACに対応。AX40はSBC、AACのみの対応となる。

「EAH-AZ60」
「EAH-AZ40」

AZ60は業界最高クラスのNC性能を搭載

AZ60のノイズキャンセリング機能は「デュアルハイブリッドノイズキャンセリング」を搭載。イヤフォンの外側にマイクを搭載し、外のノイズを集音、それと逆位相の音を再生する「フィードフォワード方式」と、イヤフォンの内側に搭載したマイクでノイズを拾い、ノイズと音楽を足したものの逆位相を作るフィードバック方式を組み合わせている。

大きな特徴として、フィードフォワードをデジタル処理、フィードバックをアナログで処理している。これが「“デュアル”ハイブリッドノイズキャンセリング」の名前の由来。

外の騒音をキャンセルするフィードフォワード方式は、キャンセルするために複雑なフィルタが必要になるため、小さな筐体のイヤフォンで実現するためには、デジタル処理の方が有利だという。

一方、耳の内側にマイクを搭載してノイズをキャンセルするフィードバックは、デジタル方式で行なうと演算に時間がかかり、遅延として知覚できてしまうという。そこで、遅延を抑えられるアナログ制御を採用している。

外の音を取り込むアンビエント機能も搭載。イヤフォンをつけていない時と同じように、周りの音が聞こえる「トランスペアレントモード」と、音楽を一時停止し、会話やアナウンスを強調しながら取り込む「アテンションモード」を用意し、用途に合わせて変更できる。

「EAH-AZ60」

クリアな通話を可能にする「JustMyVoice」テクノロジー

オンライン会議などで完全ワイヤレスイヤフォンの通話機能を活用する人も増加している事から、通話のクリアさにもこだわり、新たに「JustMyVoice」テクノロジーを投入した。

これは「ビームフォーミング」と「音声解析」、「風切り音対策」の3つで構成されている。

ビームフォーミングは、前述のフィードフォワード用マイクと、通話用マイクの2つを使い、発話者の音声帯域に絞って、声を2つのマイクで拾いあげるもの。発話検知マイクで、骨に伝わる声の振動を検知。同時に、周囲の音も検知し、それらを独自のアリゴリズムで処理し、発話者の声の帯域を特定する。

2つ目の音声解析技術を使い、マイクが拾った音が、装着者が発した声なのかを解析。装着者が話している時だけ、音声を取り込むようにする。この解析には、信号とノイズの大きさの比率をチェックし、急激な音量変化をもとに、ノイズなのか声なのかを検知する技術や、口の方向から入る音声信号の特徴を事前に把握する事で、“口の方向からではない音”は排除する技術も使われている。さらに、話声には特徴的なピッチが存在する事から、そのピッチを参考に、話声かそうでないかを分析する技術も使われている。

音声解析では、これらの解析処理を1秒間に15,000回以上実施。ほぼリアルタイムに、ノイズなのか、ユーザーの声なのかを判別できるようにしている。

風切り音対策では、マイクを搭載している穴の部分に、風切り音を拾わないためのメッシュを追加。メッシュからマイクまでの距離も確保し、空気の乱れも低減。さらに、2つのマイクに入ってくる音の中から、風切り音を検知・低減する処理も用いている。

マイクを搭載している穴の部分に、風切り音を拾わないためのメッシュを追加

遮音性と装着性を高めるために、現行モデルよりも、イヤフォンと耳との接触面積を約3割アップ。高さも抑え、装着した時に耳から飛び出す部分を少なくしている。

さらに、スマホ用アプリ「Technics Audio Connect」に新機能を追加。誰かを通話をする前に、自分の声を録音し、自分でその声をチェック。クリアに声が届けられるかどうかを、通話をする前に確認できるようになった。

付属のイヤーピースは丸形で、周辺部分と中心部分でシリコンの硬度を変えている。これにより、フィット感と遮音性を両立させた。

AZ60では、XSおよび、Sサイズは高さの異なる2種類を準備。M/L/XLと合わせて、合計7種類のイヤーピースを付属する。AZ40では、XSサイズを含む4サイズ(XS/S/M/L)のイヤーピースを付属する。

アプリも進化

アプリ「Technics Audio Connect」も進化。前述の、通話時の自分の声のチェック機能を追加したほか、UIのデザインも刷新。

好みに合わせて、NCやアンビエント、音質、タッチセンサー操作のカスタマイズが可能になる。音質面では中高域がクリアになる「トレブル+」、全帯域で厚みのある音になる「ダイナミック」などが調整可能。

さらに、左右のイヤフォンのバッテリー残量やモードの確認、紛失したイヤフォンを捜索できる「ヘッドフォンを探す」機能も備えている。

スマホとの接続は、左右独立受信方式。Google Fast Pairにも対応。マルチポイントもサポートする。IPX4相当の防滴仕様。

NC ON時のバッテリーの持続時間は、イヤフォン単体でAZ60が約7時間、AZ40が約7.5時間。充電ケースを含めると24時間と25時間になる。重量は、AZ60がイヤフォン約7g、充電ケース約45g。AZ40がイヤフォン約5g、充電ケース約30g。充電端子はUSB-C。

マーケティング担当者が語る新製品の魅力

音を聴いてみる

短い時間ではあるが、2機種を試聴したので印象をお伝えする。AZ60は、イヤフォンながら広大な音場が展開、抜けの良い高域、クリアな中低域が特徴で、雑味が無く、非常に素直なサウンドだ。低い音はしっかりと沈み、ゆったりとした量感にも余裕が感じられる。上位機のAZ70と比べると、AZ60の方がハキハキしたサウンドで、小気味が良い。音色も自然で、人の声やアコースティックな楽器もナチュラルな音で聴かせてくれる。LDACでも試聴したが、基本的な再生能力が高いため、音楽の情報量が増えると、その旨味がしっかりと味わえる。

AZ60ブラック
AZ60シルバー

ANCは強力で、エアコンや地下鉄の騒音などもキレイにカット。高域に少し騒音が残るくらいで、キャンセル精度は非常に高い。NC機能のON/OFFで、再生している音楽の音質変化が少ないのも優れた点だ。

小型かつ低価格なAZ40だが、それを感じさせないクリアで分解能に優れた低域の再生能力に驚かされる。それでいて、低音過多なドンシャリサウンドにはならず、全体のバランスも良好。一番低価格なモデルである事を忘れてしまいそうな、腰の座った、完成度の高いサウンド。空気感や低域の量感などは上位モデルに負けるが、中高域はクリアでシャープで色付けも少なく、とにかく聴いていて気持ちが良いイヤフォンだ。

また、今回の2機種は通話品質の向上にもこだわり「JustMyVoice」テクノロジーを投入しているが、これも体験してみた。周囲で人々が会話しているカフェの音を流し、その騒音の中でイヤフォンで通話を開始。その通話音声に、どのくらい周囲の騒音が入っているかをチェックしたが、JustMyVoiceをONにすると、ほぼユーザーの声だけが聞こえる。「カフェから電話している」と言われないとまったくわからないレベルで、「静かな部屋から電話しているのだろう」と思ってしまう。

JustMyVoiceをOFFにすると、ユーザーの声の周囲に、ザワザワという人の声が付帯。ユーザーの声の聞き取りやすさが阻害されてしまう。ONに戻すと、魔法のようにユーザーの声だけが聞こえてくる。通話性能も非常に高レベルなイヤフォンになっている。

AZ40シルバー
AZ40ローズゴールド
AZ40ブラック

テクニクスデビューキャンペーン

発売を記念し、9月14日から「テクニクスデビューキャンペーン」も実施。期間中に対象製品(EAH-AZ60、EAH-AZ40)を購入し、キャンペーン応募サイトから応募した人全員に、オリジナルケースカバーがプレゼントされる。

AZ60専用ケースカバーはレザー調、AZ40専用カバーはクリア調のものと、アニメーションミュージックビデオやイラストレーションなどを手掛ける、アニメーション作家・Wabokuデザインのカバーも用意する。

応募方法などの詳細はキャンペーンサイトを参照のこと。