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クリプトン、バイワイヤリング対応で音も進化したピアノ仕上げスピーカー「KX-0.5P II」

KX-0.5P II

クリプトンは、ブックシェルフのフラッグシップスピーカー「KX-5PX」のDNAを引き継ぎつつ、普及価格帯を実現したコンパクトリファレンスモデル「KX-0.5P II」を6月下旬に発売する。価格はペアで税別268,000円。ピアノフィニッシュ・ミラー仕上げとなる。

2ウェイの密閉型ブックシェルフ型「KX-0.5」(通称ポイントファイブ)のピアノ仕上げ「KX-0.5P」の後継機種でもある。

従来モデルからの進化点として、KX-0.5Pがシングルワイヤリング接続だったのに対し、KX-0.5P IIはバイワイヤリング接続に対応。LowとHigh端子を接続する同梱のジャンパーケーブルは、内部配線材と同じPC-Triple Cを使っている。

バイワイヤリング接続の利点として、各スピーカーユニットの逆起電力のモジュレーションを防ぎ、中高音の歪みを低減できるという。

KX-0.5Pの背面
KX-0.5P IIはバイワイヤリング対応になった

筐体内部の配線材には、KX-5PXに使っているものと同じものを採用。単品売りもしている高級スピーカーケーブル2種類で、ウーファー用には絹の介在を使ったPC-Triple Cスピーカーケーブルを、ツイーター用にはマグネシウム芯線の外周にPC-Triple Cを6本撚りした構造のスピーカーケーブルを使っている。

内部の配線材を変えたり、バイワイヤリング対応にする事で、音質を底上げ。さらに、進化したサウンドに最適化するため、チューニングを徹底。定在波対策として内部に入れている吸音材を、従来の純毛低密度フェルトに加え、ミスティックホワイトも新たに追加。エンクロージャー内での配置なども追求し、制動特性(Q0)を調整。ウーファーの優れた低域特性との相乗効果により、トランジェントの良い豊かで伸びやかな低域再生を実現したという。

吸音材は従来の純毛低密度フェルトに加え、ミスティックホワイトも新たに追加

従来モデルを踏襲している部分

エンクロージャーの仕上げベースはスモークユーカリ木目。それを土台とし、ピアノフィニッシュ・ミラー仕上げを施した。ピアノ作りもしていた企業に依頼しているほか、ポリウレタン塗装ではなく、より硬度が高くなるポリエステル塗装を採用。

ポリエステル塗装は、塗装を吹いたあと自然乾燥させる必要があるため、ポリウレタン塗装よりも手間や時間がかかるが、完成すると硬度が非常に高くなり、サウンドの向上だけでなく、耐久性にも優れるという。

ピアノ塗装は何層も塗り重ねていく。凸凹があると塗り重ねでそれが増大してしまうため、1層1層ベルトサンダーで磨きをかけてフラットにしてから塗り重ねるなど、手間をかけた塗装になっている

ユニット構成は140mm径のウーファーと、35mm径のピュアシルク・リングダイアフラム型ツイーター。コストを抑えるため、ウーファーの磁気回路にはアルニコではなくフェライトを使っているが、フェライト特有の音を出さないために、B-H曲線(磁気ヒステリシス曲線)に注目して対策。ボイスコイルにエッジワイズのロングトラベル4層巻ボイスコイルを採用。線積率を上げ、高能率でトランジェントの良い低域改善を実現している。

低音再生のために、低域共信周波数(f0)は、ユニット単体で35Hzまで下げており、エンクロージャに入れたスピーカーとしては50Hzとしている。振動板はCPP(カーボンポリプロ振動板)を採用している。

ツイーターは上位モデルで採用しているものと同じで、透明感を高め、高域周波数レンジ拡大を図る砲弾型イコライザー付35mmピュアシルク・リングダイアフラム型。50kHzまでの帯域を確保している。

ネットワークは歪を極小まで抑えるため、抵抗値の低い直径1.2mmの空芯コイルを採用。ケース入りのピッチ材で振動を抑えた低損失メタライズドフィルムコンデンサなども採用。

定格入力は40W、最大入力は120W。出力音圧レベルは87dB/W・mで、インピーダンスは6Ω。クロスオーバー周波数は3,500Hzで、全体の再生帯域は50Hz~50kHz。外形寸法は194×319×352mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は7.6kg

音を聴いてみた

短時間ではあるが、KX-0.5PとKX-0.5P IIを聴き比べた。

KX-0.5P II

まず条件を揃えるために、どちらもシングルワイヤー接続で聴き比べる。

KX-0.5P

「ダイアナ・クラール/夢のカリフォルニア」を再生すると、中央のボーカルの分解能が、大幅にアップしているのがわかる。口の開閉など、細かな動きがよりクリアに見えるほか、コントラストもアップしており、音像により立体感がある。そのため、ボーカルが一歩前に出てきたように感じられるほか、音場の奥行きも深くなったように感じる。

さらに進化しているのが低域だ。「ズォーン」という沈み込みがより深く、重くなっており、ウーファーの口径は同じなのだが、まるで大口径化したかのようだ。駆動するアンプがよりグレードの高いモデルになったような印象すら受ける。

KX-0.5P II

ここまででも十分な進化が体験できるが、KX-0.5P IIをバイワイヤリング接続にすると、さらに音が進化する。

シングルワイヤーでは音像が前に出たり、奥行きが広がったりしたが、バイワイヤリングでは左右と上下にも空間が一気に広がる。ツイーターとウーファーがよりスムーズに、のびのびと鳴っているサウンドで、高域がより突き抜け、同時に低域の沈み込みの深さもよりアップ。1ランク上のスピーカーに取り替えたような、スケール感豊かなサウンドだ。

それでいて、個々の音像や定位は非常にシャープであり、ボワボワ膨らんだり、定位があやふやな部分はまったくない。このあたりの描写力は、エンクロージャーの剛性や吸音材によるチューニングに加え、表面の硬度が高いピアノフィニッシュ・ミラー仕上げによる効果もありそうだ。