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ヘッドフォン祭、finalついに完全ワイヤレス。Meze新ハイエンド「Elite」

finalの完全ワイヤレス「ZE3000」

フジヤエービックは19日、「秋のヘッドフォン祭2021 ONLINE」を配信。finalが初の完全ワイヤレスイヤフォン「ZE3000」の外観を発表。Meze Audioからは、新ハイエンドヘッドフォン「Elite」がお披露目された。

秋のヘッドフォン祭2021 ONLINE

final、ついに完全ワイヤレスを開発

finalが開発中の完全ワイヤレス、モデル名は「ZE3000」。カメラの筐体などにも使われる“シボ加工”を筐体やケースに施しているのが外観的な特徴。

同社営業の森氏

同社営業の森氏は、「finalとして完全ワイヤレスで何ができるのだろうか、有線にこだわってきたfinalとして、ワイヤレスにどう踏み出していくか、その一歩目となる製品」と語る。

これまでagブランドイヤフォンの音質監修などは手掛けてきたfinalだが、finalブランドでの完全ワイヤレスは初となる。今まで完全ワイヤレスを発売できなかった理由として森氏は、「完全ワイヤレスはサイズの制約が大きく、音質でいじれる部分が少なく、有線イヤフォンのような作り込みがなかなかできなかった。プロットはいろいろ作ってきたが、Goサインが出せるものがなかなか作れず、くやしい思いをしてきた」という。

ブレイクスルーとなったのはドライバー。6mm径のダイナミック型を採用するが、ドーム型振動板は剛性の高い樹脂を、それを固定するためのエッジには柔らかい素材を使っている。それらを接続する接着剤に、理想とするものが無く、「音はアコースティックなチューニングをメインにしているが、最後の仕上げにEQも使っています。接着剤を使うと、組み立てる際にバラツキが生じてしまい、EQで仕上げをした際に、そのバラツキが悪さをしてしまう事があった」という。

それを克服するために、振動板とエッジの接続に、接着剤を使わず、熱融着可能な液状のシリコンを採用。組み立て精度を高め、「立ち上がりの良い、クリアさがもう一段抜けたようなサウンドをご体感いただけると思う。有線のE3000、A4000あたりの系譜を、しっかりワイヤレスに落とし込む事を目指しました」と、その完成度に自信を見せた。

ケースも、握り心地やポケットへの入れやすさなどを追求して多数のサンプルを作るなど、細かい部分にもこだわって開発中。発売時期については、「製品はかなり仕上がっています。10月~11月に正式発表し、年内には発売したい」とした。価格は未定だという。

Meze Audioの新ハイエンドヘッドフォン「Elite」

Meze Audioの新ハイエンドヘッドフォン「Elite」

Empyreanを超える、新たなハイエンドモデル。新開発のカスタムドライバー「MZ3SE」を搭載しているのが大きな特徴で、振動板の質量が75gと、従来から約32%軽量化を実現。0.11gの半結晶ポリマーフィルムを使った「Rinaro Parus」という振動板になっており、パフォーマンスも向上。低歪であるほか、高域は112kHzまでの再生に対応した。

新開発のカスタムドライバー「MZ3SE」

このユニットを格納するドライバーケースには、強化ポリマー材を配合したグラスファイバーを使っている。

イヤーパッドも刷新。ISOMAGNETICイヤーパッドテクノロジーを導入し、ドライバーから発生する磁場のフィードバックを活用し、イヤーパッドのズレ防止と、安定した遮音を実現するという。具体的には、イヤーパッド内部の磁場を正確にコントロールすることで、ドライバーの駆動力を12%アップさせる。さらに、漂遊磁界を95%まで削減する。

なお、イヤーパッドはアルカンターラを使ったものと、アルカンターラとリアルレザーを組み合わせたハイブリッドタイプを同梱。出荷時にはハイブリッドタイプが本体に装着されている。

スケジュールとしては「10月初旬には、お店などでお聴きいただける」という。

Empyreanとのスペック比較

各社が新製品を多数紹介

他にも、デノン初の完全ワイヤレスとして10月中旬から発売される「AH-C830NCW」、「AH-C630W」。agブランドから11月に発売される、世界初の“ASMR専用”完全ワイヤレスイヤフォン「COTSUBU for ASMR」など、各社の新製品が紹介されている。

デノン初の完全ワイヤレスとして10月中旬から発売される「AH-C830NCW」、「AH-C630W」
デノン・サウンドマスター山内慎一氏もビデオメッセージを寄せ、「AH-C830NCW」、「AH-C630W」について、“デノンのHi-Fiオーディオの音をイヤフォンの世界に”を目標に開発した事や、「競合が多いマーケットの中で、存在感を示せる卓越した音」にすべく、「鮮明でのびやかで躍動感のある音、開放感のある音場の中で音像がシャープに定位する。音響の世界により没頭でき、音楽をより深く味わうことができるイヤフォン」に仕上げた事などを語った。
COTSUBU for ASMR

Technicsは、10月15日に発売する完全ワイヤレスの「EAH-AZ60」と「EAH-AZ40」を紹介。ドライバーの空気の流れを精密にコントロールする「アコースティックコントロールチャンバー」や、ドライバー前の空間の形状を最適化する事で、高域特性を改善する「ハーモナイザー」といった、音質面での特徴を説明。さらに、「ビームフォーミング」「音声解析」「風切り音対策」を駆使し、クリアな通話を可能にする「JustMyVoice」テクノロジーへのこだわりも解説した。

Technicsの完全ワイヤレス「EAH-AZ40」と「EAH-AZ60」