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Technics、約1.5万円でノイキャン、LDAC対応完全ワイヤレス「EAH-AZ40M2」
2023年9月25日 10:10
パナソニックは、Technicsブランドの完全ワイヤレスイヤフォンのエントリーモデル「EAH-AZ40M2」を10月19日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は15,000円前後。価格を抑えながら、アクティブノイズキャンセリングを搭載したほか、BluetoothのLDACコーデックもサポートしている。カラーはブラック、シルバー、ローズゴールドの3色。
搭載するドライバーはダイナミック型で、6mm径のPEEK振動板を採用。上位モデルの「EAH-AZ80/EAH-AZ60M2」でも採用しているアコースティックコントロールチャンバーとハーモナイザーを搭載。アコースティックコントロールチャンバーは、ドライバー後端に空間と調整通気孔を設ける事で、ドライバーの空気の流れを精密にコントロールするための機構。力強く、かつ正確な低域を再現できるという。
上位モデルではドライバーとは別の空間を用意しているが、EAH-AZ40M2では小型化をするためにチャンバーとドライバーを一体化させたモジュールになっている。
ハーモナイザーはドライバー前の空間形状を最適化する事で、高域特性を改善する技術となる。
ユーザーが音をカスタマイズできるサウンドモード機能を備えているが、従来モデルではサウンドモードをオフにした時でも、フラットなイコライザーブロックを信号が通っており、若干音質が劣化していた。
AZ40M2では、オフの時でもEQブロックを通過はするが、その際の動作をよりシンプルにする事で音質の劣化を抑制するモードを新たに搭載している。
さらに、BluetoothコーデックはSBC、AACに加え、新たにLDACをサポート。コンパクトモデルながら、ハイレゾ音楽が楽しめる。
アクティブノイズキャンセリング機能も新たに搭載。上位モデルのデュアルハイブリッドノイズキャンセリングではないが、静かな環境で音楽に没頭できるという。また、外音取り込みモードも進化。フィルター性能を向上させたことで、高域の音も聞き取りやすくなり、より自然な音を取り込めるという。
筐体はしずく型形状で、前モデルを踏襲。耳穴にスッキリと収まり、ピアスやイヤリングを邪魔しない設計になっている。
カラーバリエーションの中でもローズゴールドは、肌に自然に馴染みつつ、エレガントな印象を与える色味を追求。ピンクが強すぎるとガーリーな印象に寄ってしまうが、赤みを抑えた淡い色使いにする事で、男性も選びやすいカラーになっている。
塗装にもこだわりがあり、高級感を感じさせるサーキュラー加工と金属質感のある仕上げにするために、金属塗装を行なっているが、フェースプレート部分の奥にタッチセンサーやアンテナが配置されているため、通常の塗装ではアンテナ性能が低下したり、タッチセンサーの誤動作が増えるなどの問題があるという。
そこで、インジウム蒸着と薄膜の調整を塗装メーカーと重ねることで、電波を通しつつ、高級感を損なわない質感を実現した。
奥にあるアンテナとタッチセンサーにも工夫がある。フェースプレート部分は面積が大きく、接続性を高めるためのアンテナを配置するには理想的な場所だが、操作で使うタッチセンサーも同じ場所に搭載したい……というジレンマがある。
そこで、板状逆Fアンテナ(PIFA)をベースとしながら、独自設計により、1つの配線でアンテナとタッチセンサーで共用できるアンテナを開発(特許出願済)。これにより、理想的な場所にアンテナとタッチセンサーを同居でき、接続性能を高めつつ、高感度なタッチ操作も実現できたという。
マルチポイント接続は、3台の機器と接続可能。例えば、パソコンと接続してオンライン会議をしながら、タブレットとも接続して動画を視聴、その間に3台目の機器であるスマホから着信があっても、AZ40M2で応答できる。
なお、時間軸上の無線リソースの問題で、マルチポイント3台接続と、マルチポイント2台接続 + LDAC接続は選択性となる。選択はアプリから行なう。
スマホ用アプリもアップデート。充電ケースが無くてもイヤフォンの電源OFFが簡単にできるようになったほか、操作のガイダンス音量を調整できるようになり、通知音にも変更可能になった。
さらに、あらかじめ設定しておく事で、機器とワイヤレス接続した時に、それがスマートフォンなのか、パソコンなのか、プレーヤーなのかをアナウンスしてくれるようになる。これにより、3台とマルチポイント接続する時も、何と接続したのかがわかりやすくなる。
2マイクとビームフォーミング技術を搭載し、通話も可能。パッケージは環境負荷低減を目的としたプラスチックフリー。4サイズのイヤーピースも付属する。
再生時間はノイズキャンセリングONでAACの時に約5.5時間、LDACの場合は約3.5時間。充電ケースを含めた場合は18時間、12時間となる。重量はイヤフォンが約5g、充電ケースが約35g。
音を聴いてみる
短時間ではあるが、試聴したのでファーストインプレッションをお届けする。
「Maroon 5/Sugar」や「松田聖子/赤いスイートピー」などを聴いたが、進化としてすぐにわかるのは、音の情報量が前モデルよりもグッと増えた事。イヤフォンのアコースティックな部分の進化もそうだが、EQブロック通過時の劣化がより抑えられた事も大きいのだろう。ボーカルの口の動きや、楽器の響きが背後の空間へ広がっていく様子など、微細な音の描写がよりクリアに、細かく聴き取れる。
こうした繊細さを持ちながら、中低域にはしっかりと迫力があり、エントリーモデルらしい「楽しさ」「音楽の気持ち良さ」を味わわせてくれるイヤフォンでもある。そして、そのパワフルな中低域も、単に低音がボワッと膨らんだ音ではなく、前述のように、分解能の高さ、シャープさを兼ね備えているので、下品な低音になっておらず、非常にクオリティが高い。
アクティブノイズキャンセリングによる静かな空間の中で、情報量の多さと迫力を兼ね備えたサウンドが楽しめる。エントリーモデルとは思えない実力の高さが光る、要注目モデルだ。