パナソニック、ブラウン管リサイクルの高効率化技術

-レーザー光を用い高速、高精度にブラウン管を割断


7月2日発表


 パナソニック株式会社 生産革新本部とパナソニックエコテクノロジーセンター株式会社は、レーザー光を用いてテレビのブラウン管を溶融割断するリサイクル技術を開発した。

 同社が開発したのは、レーザー光を使うことで、従来の工法に比べて、速く、高品位にブラウン管を割断分離する技術。2011年の地上デジタル放送完全移行を前に急増が予想されるブラウン管テレビのリサイクル処理を高効率化できるという。

 ブラウン管は、前面部と背面部とでガラス成分が異なっており、リサイクルのためにはそれぞれを混在することなく、所定位置で分離する必要がある。従来はこの割断処理のために、前面と背面ガラスの接合部を金属ワイヤーで囲み、これを通電加熱して両者を分離する方法(熱線方式)が取られていた。しかし、この手法では一定の加熱時間が必要なうえ、割断位置がばらつくため、人手による修正が必要だった。

 新方式ではレーザー光を用いることで、1台あたりの処理時間を約50秒と、従来方式の約3倍の処理能力を実現。さらに、レーザー光の焦点を常にガラス表面に合わせる「加工面倣いヘッド機能」と、周速に応じて一定エネルギーをガラス表面に照射する「照射エネルギー制御」で、前面部と背面部の混在のない割断を可能にした。

 また、14~36インチのノーマル(4:3)/ワイド(16:9)など、多様なブラウン管の種類を自動計測判定し、その機器サイズに応じた38種のレーザー条件で処理する技術も開発した。

 この高効率レーザー割断技術の導入により、増加するブラウン管テレビのリサイクル処理に対応。さらに、今後このレーザー光を用いたリサイクル技術を薄型テレビへの応用も検討。4月に敷設した薄型テレビリサイクル処理ラインと合わせて、テレビリサイクル処理全体の効率化を図るという。


(2009年 7月 2日)

[AV Watch編集部 臼田勤哉]