【2010東京インターナショナルオーディオショウレポート 2】

-iPodデジタル接続機器が多数。2100万円の超弩級SPも


 日本インターナショナルオーディオ協議会(IASJ)が主催する、オーディオ機器の展示/試聴イベント「2010東京インターナショナルオーディオショウ」が11月5日から東京・有楽町の東京国際フォーラムで開幕した。期間は7日まで。入場は無料となっている。




■ iPodデジタル接続関連

 ハイエンドモデルの展示が多いイベントだが、iPodとコンポをデジタル接続することで、iPodをピュアオーディオのソースの1つとして扱う製品も多く出展されており、1つの構成の形として定着した感もある。

右側、上に乗っているのが「171 iTransport」。その下にあるのが「151 PowerDAC mini」横から見たところ。iPadへとケーブルが伸びている

 アクシスのブースでは、iPodからのデジタル出力ブームの発端とも言える、Wadia「iTransport」の新モデル「171 iTransport」を展示している。日本では2011年前半の発売を予定しており、価格は79,800円を予定。「170」の上位モデルと位置付けられており、電源部を改良しているほか、コネクタ部分にも高品位なパーツを使っているという。音声出力は光/同軸デジタルを備えている。

 また、170との最大の違いとして、天面に設けたiPod用Dockからケーブルをのばし、天面設置が不可能なiPadなどとも接続し、デジタル出力が可能になっている。なお、組み合わせるコンパクトなDAC内蔵パワーアンプ「151 PowerDAC mini」も148,000円で用意。151は50W/chの出力を持っており、そのままスピーカーをドライブ可能。171と151を組み合わせることで、省スペースなオーディオシステムが構築できる。

 アクシスのブースではほかにも、Ayre Acousticsから10月末に発売されたばかりのUSB DAC「QB-9(192version)」を展示。従来の「QB-9」は96kHzまでの対応だったが、モデル名の通り新たに24bit/192kHzまで対応できるようになった。Windowsでは専用ドライバを使用する。価格は438,000円。アシンクロナス伝送でジッタ低減を行なうなど、基本的な仕様は従来通り。

「170 iTransport」と「151 PowerDAC mini」小型筐体を使ったDAC「121」も参考展示。USBと光デジタルを各1系統、同軸デジタル×2系統の入力を備え、DACはサンプリング周波数 32/44.1/48/88.2/96/192kHzにまで対応。バランス/アンバランスのアナログ出力も備え、オプションでヘッドフォン出力も追加可能QB-9(192version)

 ステラヴォックスジャパンのブースでは、「TechDAS」(テクダス)というブランドの第一弾製品「D-7」を参考展示。デジタルインターフェイスと名付けられたモデルで、リアパネルに同軸デジタル入出力、光デジタル入力、USB入力、BNCの外部クロック入力を装備。前面にもUSB端子を備え、様々なデジタルデータを入力可能。前面USBにiPodを接続することで、iPod内の音楽データをデジタルのまま取り出す事もできる。

 DACはWolfsonの高品位チップを採用し、24bit/192kHzまで対応(同軸/光デジタルの場合)。PCとのUSB接続にも対応し、TI製USBコントローラーとオリジナルソフトウェアによりアシンクロナス転送を行ない、最大24bit/96kHzまでの音楽データに対応する。将来的にはバージョンアップで192kHzまで対応予定。ジッタ低減を図るサンプリングレートコンバータも備えており、フロントパネルのスイッチで1/2/4倍のアップサンプリング切り替えも可能。出力はRCA、XLRに加え、ヘッドフォン出力も備えている。12月発売予定で、価格は35万円程度を予定している。

「TechDAS」ブランドの第一弾製品「D-7」ゴールドムンドの新製品も展示された
Cambridge Audioの新製品ミュージックサーバー「SONATA NP30」、デジタル出力を備えたiPod用Dock「iP100」

 ほかにも、ナスペックのブースではCambridge Audioの新製品として、ミュージックサーバー「SONATA NP30」や、デジタル出力を備えたiPod用Dock「iP100」などが参考展示されている。詳細や発売時期、価格などは未定。




■ ノア

 ノアのブースでは、Sonus faberの新ハイエンドスピーカーの音が楽しめる。モデル名は「The Sonus faber」で、メーカー自らの名前を冠する特別なモデルとなっている。

 キャビネットは天然木蓄積材を中心に構成しており、ウーファ部とツイータ・ミッドレンジ部は内部で分離した2気室構造を採用。バッフル部分はレザー張りで、表面の音の乱反射を低減。天板、底板は分厚いアルミブロックを鋳造し、削り出しで作り出している。


「The Sonus faber」側面に380mm径のサブウーファを搭載バッフル部分はレザー張り

 ユニット構成は3.5ウェイ+2ウェイの7スピーカー構成。前面に29mm径ツイータ、165mm径のミッドレンジ、250mm径のウーファ×2基を搭載。さらに、側面に380mm径のサブウーファを搭載しており、80Hzをカットオフ周波数としたローパスを入れ、80Hz以下の最低音では前面ウーファと並列動作する。加えて、背面には25mm径のソフトドームツイータと、110mm径ウーファも搭載。MINIMAに使っていたユニットを仮良したもので、背面に音を出すことで、音像感や音場感を改善する役目を持つという。

 キャビネット部分のみ外寸でも、525×782×1,588mm(幅×奥行き×高さ)ある大型モデルで、重量は305kg。インピーダンスは4Ω。価格も別格の、ペア2,100万円となっている。

ノアのブースではほかにも、BLADELIUSのネットワークオーディオプレーヤー「EMBLA」(1,155,000円)などが展示されたSonus faberでもこちらは購入しやすいモデル。コンパクトなブックシェルフ「Toy Draska」(157,500円/ペア)
HDDとCDプレーヤーを内蔵し、リッピングができるネットワークプレーヤー「OLIVE 3 HD」。価格は178,500円Sonus faberの新トールボーイ「Toy Tower Wood」、ペア315,000円



■ ラックスマン

 ラックスマンブースでは3つの参考展示モデルが登場。いずれも来年春頃の発売を予定しているもので、真空管プリメインの「CL-38u」が32万円前後、真空管パワー「MQ-88u」が38万円前後、アナログプレーヤー「PD-171」が30万円前後の予定。

 「CL-38u」は木箱ケースを採用しており、ターンオーバー切り替え付きトーンコントロールを装備。「MQ-88u」はKT88 3極管接続の25W×2ch出力。アルミダイキャスト製のOY型出力トランスを装備している。「PD-171」はACシンクロナスモーターによるベルトドライブ。

真空管プリメインの「CL-38u」真空管パワー「MQ-88u」アナログプレーヤー「PD-171」

 ほかにも、純A級プリメイン「L-590AX」や、USB接続も可能なDAC「DA-200」などの注目モデルが展示されている。

USB接続も可能なDAC「DA-200」ヘッドフォンアンプも展示された純A級プリメイン「L-590AX」


■ その他

ユキムブースでは独ELACの新スピーカー「310 Indies Black」が展示。12月発売で252,000円前後(ペア)ユキムブースの様子ブルーのイルミネーションが印象的なChapterというメーカーのコンポも展示された
ハーマンインターナショナルのブースでは、JBLのフロア型新モデル「4365」をメインに展開ユニット構成なども確認できる展示になっている11月発売のJBLアクティブスピーカー「CAS-33」。実売は2万円前後
C.E.C.のブースでは、ダブル・ベルト・ドライブのCDトランスポート「TL3N」を参考展示。予定価格は136,500円さらにC.E.C.では、トールボーイスピーカーも参考展示しているアッカが取り扱いを開始するHOLM ACOUSTICSの製品も登場。デジタルプリ、パワーアンプなどをラインナップ。プリは組み合わせるスピーカーのユニット構成に合わせ、フルレンジ用、2ウェイ用、3ウェイ用といった製品ラインナップを用意するのが特徴で、PC用の詳細設定ツールも組み合わせてフィルタ設定などを追い込むマニアックなモデルとなっている
同じくアッカのブースでは、LINDEMANNの新スピーカー「Swing」を聴くことができる。セラミックコーンユニットなどを採用した高解像度モデルで、価格は1本1,312,500円オルトフォンブースでは新スピーカー、「Kailas 7 MK-II」(/写真左247,800円/ペア)などを体験できるオルトフォンブースでは、シェル一体型のMCカートリッジの予告も行なわれている。詳細は未定だが、年内に価格などは発表される見込みだ
フューレンコーディネートのブースでは、NuForceのハイエンドモノラルパワーアンプ「Reference 18」を展示ドライブしているスピーカーは、デンマークのDavone(ダヴォン)製スピーカーの新モデル「Ray」(ペア/682,500円)

(2010年 11月 5日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]