「第25回日本ゴールドディスク大賞」は嵐が2連覇

-洋楽はレディー・ガガ。シングルBEST5は嵐とAKB48が独占


第25回日本ゴールドディスク大賞の受賞者
 社団法人 日本レコード協会(RIAJ)は5日、ホテルニューオータニ(東京・千代田区)「おり鶴 麗の間」で「第25回日本ゴールドディスク大賞」授賞式を開催した。

 日本ゴールドディスク大賞は'87年に制定され、「レコード(CD)の総出荷数から返品数を差し引いた、正味売上数字」を選定基準として、審査などの判断は含まれていないことを特徴とする。同協会では正味売上数字についても、「第三者機関の公認会計士の監査によって厳正に確認されている」としている。

 第25回目となる2010年度は、2010年1月1日~2010年10月31日の全作品の売上数を集計している。以前は、12月31日までの集計だったが、今回は授賞式の開催時期が早まったため10カ月間となっており、全部で47の賞がアーティストと作品に贈られる。次回以降の集計期間は、11月1日~翌年10月31日までの1年間になる予定。

 期間中で発売された作品・楽曲の売上金額の合計が最も多いアーティストに授与される「アーティスト・オブ・ザ・イヤー」や、期間中にデビューしたアーティストで、その作品の正味売上金額合計の上位5組まで(洋楽は上位3位まで)のアーティストに授与される「ザ・ベスト5(洋楽は3)ニュー・アーティスト」、期間中に配信が開始された有料ダウンロード数の合計が上位5作品に授与される「ザ・ベスト5ソング・バイ・ダウンロード」などの各賞が用意されている。

 なお、全受賞作品・アーティストの一覧は、RIAJのサイトで公開されている。

ホテルニューオータニ(東京・千代田区)「おり鶴 麗の間」司会、進行は、通算18回目となる赤坂泰彦さん

 日本ゴールドディスク大賞の授賞式は'92年から2006年までは、NHKホールで開催され、一般の観覧者を招待し、受賞者がライヴパフォーマンスを披露し、NHKで放送するという大掛かりなイベントだったが、2007年以降は、2009年を除き、受賞者と関係者、報道関係者のみが参加する授賞式に構成が変更された。

 会場は、2007年が赤坂プリンスホテル、2008年はグランドハイアット東京、2009年は東京国際フォーラム、2010年はコンラッド東京と移動し、2011年はホテルニューオータニとなった。



「ザ・ベスト5ニュー・アーティスト」を受賞した北乃きいさん
 期間中にデビューしたアーティストで、作品・楽曲の売上金額合計の上位5組までに贈られる「ザ・ベスト5ニュー・アーティスト」には、WEAVER、北乃きいさん、KGさん、少女時代、miwaさんが選出された。授賞式には、WEAVER、北乃きいさん、KGさん、miwaさんさんが駆けつけた。

 北乃きいさんは、「今回、デビューシングルでこの賞をいただけたことを、すごく嬉しく思っています。お芝居の種になるかなと思って、やらしていただいた歌なのですけど、こんなステキな賞をいただけるとは思っていなくて……。歌を始めたからこそ、いただける役、『トイレの神様』というドラマをやらしていただけました。本当に、いろんな幅が広がったなと思っております。この賞をいただけたのも、続けていられるのも、ファンの皆さんや、私の周りのスタッフのみなさんのおかげだと思っております」と喜びを語った。


トロフィーを手渡された、北乃きいさんは「2011年も、歌とお芝居を両立して頑張っていきたいと思っていますので、今年もよろしくお願いします」と挨拶した
WEAVERは、「つい2年ほど前は、地元のライブハウスでしかライブしたことしかないようなバンドでしたが、2010年はたくさんの憧れているステージに立ち、たくさんの人に音楽を届けることができて、今日、このようなステキな賞をいただくことができて、心から感謝しています。今年も応援、お願いいたします」と受賞を喜んだ
MIWAさんは、「このような賞をいただけて、とても嬉しいです。この賞に恥じぬように、今年も精一杯曲作りをして、いい曲をたくさん、届けていけたらいいなと思っています。今年も、よろしくお願いします」とコメントした
「メジャーデビュー一年目で、このような賞をいただけたということは、支えてくれた家族、スタッフ、レーベルのみなさんの力があってのことだと思います。歌に込める思いは、賞をいただく前も、いただいてからもまったく変わらずに、歌っていきます」と受賞を喜んだKGさん

「ニュー・アーティスト・オブ・ザ・イヤー」の洋楽部門を受賞したKARAは、ビデオでコメントした
 ザ・ベスト5ニュー・アーティストの中で、売上金額の合計が最も多いアーティストに贈られる「ニュー・アーティスト・オブ・ザ・イヤー」は、邦楽部門は少女時代、洋楽部門はKARAが受賞。洋楽、邦楽ともに韓国の女性アイドルグループが受賞するという、2010年のK-POP人気を印象付ける結果となった。

 KARAはビデオコメントを寄せ、「ニュー・アーティスト・オブ・ザ・イヤー。ありがとうございます。光栄です。日本の皆さんに、たくさん、愛していただいて、とても嬉しいです。今年も頑張りますので、応援、よろしくお願いします」と受賞を喜んだ。

「ザ・ベスト・演歌/歌謡曲・アーティスト」を受賞した坂本冬美さんは、ビデオでコメントした
 演歌/歌謡曲のアーティストのうち、期間中の作品・楽曲の正味売り上げ金額がもっとも多いアーティストに贈られる「ザ・ベスト・演歌/歌謡曲・アーティスト」は、ビリーバンバンの「また君に恋してる」をカバーして、話題を呼んだ坂本冬美さんが受賞した。

 坂本冬美さんは、「授賞式に出席させていただきたかったのですが、あいにく博多での公演中のため」(坂本さん)、ビデオでコメントを寄せた。「名誉ある賞をいただきまして、本当にありがとうございます。昨年は、本当に奇跡の一年だったと感じています。『また君に恋してる』という楽曲に出会うことにより、たくさんの経験をさせていただきました。出たことのないテレビ番組に出演させていただいて、ジャンルの違う方々と、共演させていただいたことで、幅広い方から応援をいただけるようになりました」と2010年を振り返っていた。

「Beginner」で、「シングル・オブ・ザ・イヤー」を受賞したAKB48は、大島優子さん、高橋みなみさん、柏木由紀さんの3人が駆けつけた
 対象期間中に発売されたシングルで作品の正味売上枚数上位5作品に贈られる「ザ・ベスト5シングル」は、嵐の「Troublemaker」、「Monster」の2曲、AKB48の「Beginner」、「ヘビーローテーション」、「ポニーテールとシュシュ」の3曲が受賞。嵐とAKB48の2グループで占めるという前代未聞の結果となった。

 その中で、対象期間中に発売されたシングルで最も正味売上枚数が多い作品に贈られる「シングル・オブ・ザ・イヤー」は、AKB48の「Beginner」が受賞。授賞式には、AKB48の大島優子さん、高橋みなみさん、柏木由紀さんが駆けつけ、3人でザ・ベスト5シングルに入った3曲について語った。

 「このような素敵な賞をいただき、本当にありがとうございます。AKBの3つの作品で、賞をいただき、私たちも本当にうれしく思います。そのなかの1つ、『ポニーテールとシュシュ』では、AKBのメンバーが全員でお揃いのポニーテールでシュシュをするという、初の試みを行ないました。2010年、AKBの団結力につながったのではないかなと思っています」と柏木さん。


AKB48を代表して3人が、トロフィーを受け取った

 大島さんは、「8月発売のヘビーローテーション』では、選抜総選挙からのシングルとなったのですけれども、今までのAKBにはなかった、小さいお子さんかの支持を得ることができて、とてもファン層が広がったなという曲になりました」。

 高橋さんは「『Beginner』では、今まで見せたことのない、かっこいいAKB48をお見せすることができたかなと思っております。私たちは、本当にまだまだなのですけれども、今年もみなさんにお見せしたことのない、AKB48のカッコ良さや、かわいさを前面に出していって、聴いてくださっている方に、元気を与えるような楽曲をお届けできたらなと思っておりますし、来年もこの場所に立てるように頑張っていきます」と今後の取組みを語った。

 日本ゴールドディスク大賞史上で最もメンバーの多いグループとのことだが、「本当に指紋がつかないように厳重に回して、写真を撮っていきたいと思います」と話していた。


大島優子さん
高橋みなみ
柏木由紀さん

きただにひろしさん
 アニメーション・アルバム・オブ・ザ・イヤーは、「ONE PIECE MEMORIAL BEST」が受賞。代表して、きただにひろしさんが受賞式に出席した。

 きただにひろしさんは、「実は2008年に『ONE PIECE SUPER BEST』で、同じ賞をいただきまして、今回2度目の受賞ということで、本当に光栄に思います。ワンピースも今年で放送12年目を迎えます。これからも、もっともっと面白くなるアニメに負けないように、アーティストで盛り上げられるように、すごいい歌、いい作品を創っていきたいと思います」と語った。


植村花菜さん

 特別賞は、植村花菜さんの「トイレの神様」と、德永英明さんの「VOCALIST」シリーズが受賞。

 植村さんは「『トイレの神様』という曲は、私のおばあちゃんの思い出を素直に書いた曲ですけれども、その曲で、いろんな方が、自分の大切な人を改めて、大事に思う気持ちを感じていただけて、私も、おばあちゃんも天国で喜んでくれていると思います。おばあさんは『ずっと歌ってきてよかったね』といってくれていると思います。今後も、植村花菜らしい、植村花菜にしかかけない曲を素直に書いていきたい」と語った。

 トイレの神様は、北乃きいさん主演でドラマ化されたが「CM見るだけで、毎回泣いてしまうくらいの感じなので、今日(1月5日)のドラマを見たら、最初からずっと泣きっぱなしじゃないかなと思います。今日、北乃きいちゃんともお話をして、すごい笑いあり涙アリの暖かいドラマと伺っているので、すごい楽しみで、是非、ご家族で、ご覧になっていただければ嬉しいです」と話していた。


植村花菜さん

 徳永英明さんは、「菅総理がいらっしゃったんで、なかなか車が進まなくて、今到着したところなのですけれども、特別賞というすごい賞をいただくことができまして、感謝しております。カバーをやるときは、シンガーソングライターでありながら、どうやってカバーをやっていこうか迷いが非常にありましたが、やってみていろんなかたに支持されて、ファンの年齢層も幅広くなりました。トロフィーは、ファンクラブのファンが集まるスペースに展示して、ファンの皆様に見てもらおうかと思います」

徳永英明さん

「会いたくて 会いたくて」で「ソング・オブ・ザ・イヤー・バイ・ダウンロード」を受賞した西野カナさんは、ビデオでコメントを寄せた
 対象期間中に配信が開始された有料ダウンロード数の合計が最も多い作品(着うた+着うたフル+PC配信)に贈られる「ソング・オブ・ザ・イヤー・バイ・ダウンロード」は、西野カナさんの「会いたくて 会いたくて」が受賞。

 西野カナさんはビデオでコメントを寄せ「『会いたくて 会いたくて』が、ソング・オブ・ザ・イヤー・バイ・ダウンロードを受賞させていただき、ありがとうございます。歌詞にしても曲にしても、挑戦した曲で、沢山の方に聴いていただけて、本当に嬉しく思っています。2011年もたくさん、みなさんに愛される曲を作っていただきたいと思っております」と語った。



■ アーティスト・オブ・ザ・イヤーは、2年連続で嵐

「アーティスト・オブ・ザ・イヤー」は洋楽部門は、レディー・ガガが受賞
 毎年受賞式の最後に発表される今年度の「アーティスト・オブ・ザ・イヤー」は、邦楽部門は嵐、洋楽部門はレディー・ガガが受賞した。なお、嵐はスケジュールの都合で授賞式を欠席した。

 嵐は、アルバムを1,461,170枚/組、シングル3,459,333枚、ビデオ1,134,535枚、配信4,236,918ダウンロードを達成。レディー・ガガはアルバムを639,330枚/組、配信2,106,228ダウンロードを売り上げた(シングルとビデオは0)。

 今回は例年より集計期間が2カ月短いが、嵐は昨年よりアルバムとビデオは減ったものの、シングルは約2倍、ダウンロードは約1.4倍と大幅に増えた。(2009年はアルバム1,771,369枚/組、シングル2,440,515枚、ビデオ1,137,092枚、配信3,068,025ダウンロード)


石坂敬一会長
 RIAJの石坂敬一会長は、「2010年は、シングル盤の生産数が2009年の108%から110%の成果となり、一割ぐらい伸びそう。湿った話題の多かった音楽産業界だが、すごいこと」と2010年の結果に喜んだ。

 さらに「シングル盤は産業の“コメ”です。デジタルとパッケージと共生の戦略、そしてすみわけの戦略を、日本レコード協会はとってきたが、嵐の大ヒットをはじめ、AKBのみなさん、植村花菜さん、今日登場した方々が2010年が引っ張ってくれた。いよいよ、ネオシングルヒットの到来が必ずやってくると思います」と、2011年の展望を語って締めくくった。



(2011年 1月 6日)

[AV Watch編集部 古川 敦]