「立体展示」で年末商戦に挑むフリースタイルAQUOS

-設置自由度を訴求。シャープ年末のテレビ展開


フリースタイルAQUOS

 シャープは15日、フリースタイルAQUOSの新製品や、年末商戦に向けた店頭施策/プロモーションについて説明会を開催した。

 12月1日に発売するフリースタイルAQUOSの新シリーズ「AQUOS F3」は、40型の「LC-40F3」と32型の「LC-32F3」をラインナップ。店頭予想価格は40型が13万円前後、32型が9万円前後で、カラーはブラック(B)とホワイト(W)の2色を用意する。

 F3シリーズは、薄型のディスプレイ部と小型の地上デジタルチューナ部で構成され、チューナ部をディスプレイから省くことで、薄型/軽量化を図り、設置性を高めたフリースタイルAQUOSの新モデル。AQUOS F5シリーズと主な仕様は共通だが、F3がエントリーモデルと位置づけられる。F5シリーズとの違いは、スタンドのデザイン変更と壁掛け専用金具の削除で、これにより実売価格で約2万円低価格化した。


AQUOS F3シリーズF5はスクエア調のスタンドを採用。F3(左)はブーメラン形状

 また、12月1日にはAQUOS F5シリーズの40/32/20型に新色のレッドを追加。8月発表の「AQUOS F5シリーズ」、6月発売の「FE1シリーズ」に、12月1日発売製品を追加することで、「フリースタイルAQUOS」は合計18機種にラインナップを拡大する。

AQUOS F5シリーズの新色レッド18モデルで展開

■ 設置性/デザインに支持。AQUOSの10%がフリースタイル化

AVシステム事業本部 液晶デジタルシステム第1事業部 戸祭事業部長

 シャープ AVシステム事業本部 液晶デジタルシステム第1事業部 戸祭正信事業部長は、市場環境や今後のフリースタイルAQUOSの展開について説明した。

 2011年度の液晶テレビ市場は、「市場は一変した。アナログ停波前は、2台目、3台目の買い替え需要も大きかったが、今はその反動がある」とする。同社の'11年度の市場予測は1,650万台だが、「上期は前年比1,087万台の実績。一方下期はアナログ停波、エコポイントの前の状態に戻るので560万台程度」と見込む。通期では2009年度を上回るものの、下期の落ち込みは大きい。

 こうした環境下でシャープがテレビ商品戦略の核に据えるのが、「リビング革命」、「AVと通信の融合」、「設置革命」の3つのキーワード。リビング革命については、9月に発売した液晶最大サイズの70型「LC-70X5」などサイズ/画質などでの差別化を訴求、AVと通信の融合はスマートフォンとの連携「スマートファミリンク」などをアピールしていく。

液晶テレビ市況3つの商品戦略70型AQUOS「LC-70X5」

 フリースタイルAQUOSが担うのが「設置革命」だ。「壁掛けテレビ」、「どこにでも好きな場所に置ける」という点をアピールし、デザインやライフスタイルを含む新しいテレビの在り方を提案するというもの。この取り組みについては、「販売店からも差別化できると評価を得ている」という。

 購入者のアンケートからも「大きな共感が得られ、今後の事業展開に期待が持ってるデータが取れている」とする。これまでの同社テレビの壁掛け設置率は1.1%だった。しかし、フリースタイルAQUOSの購入者アンケートでは、19.6%が実際に壁掛け設置を採用した。さらに、「このテレビで壁掛け設置してみたいか?」との問いには43.5%が「YES」と回答。戸祭事業部長は「潜在需要がここにある。これまで以上に積極的に呼び掛けて、設置の常識を覆す試みを続けていきたい」とした。

購入者の約2割が壁掛け設置43.5%が「壁掛け設置したい」

 また、従来機種では圧倒的に「黒」が多かったものの、フリースタイルAQUOSでは白やシルバーの人気が高く、特に60型、40型などの大型になるほど、明るいカラーが好まれているという。こうした結果からも、「デザインやインテリアを重視する層に支持されており、“設置性”+“デザイン”が評価された。ただの壁掛けテレビでなく、新デザインの液晶テレビとして認知された」と自信を見せた。AQUOS F5シリーズのレッド追加では和室にもマッチする点を訴求していくという。

DX3シリーズでは黒の出荷が圧倒的AQUOS F5は白やシルバーの構成比が高い

 8月の発表会ではAQUOS全体の中での下期のフリースタイルAQUOS販売構成比を「10%」としていた。戸祭事業部長は「計画通りに進捗している。本格的にフリースタイルAQUOSの時代を作っていきたい」と年末商戦への意気込みを語った。


■ 「立体展示」でフリースタイルを訴求

AVシステム事業本部 液晶DS営業部 居石部長

 年末の販売施策については、AVシステム事業部 液晶DS営業部の居石勘資部長が解説。目指すは「伝わる店頭展示」とする。

 店頭で「一目でわかる」ため、大型店舗で11月下旬から順次展開予定とするのが、「立体展示」だ。これは、壁掛けアームや壁掛け金具、壁寄せスタンドなどを駆使し、店頭に実際に設置するほか、複数のフリースタイルAQUOSを“重なりあって”見えるように展示する点が特徴だ。

 通常のテレビの展示では、画質や機能を訴求するためにテレビ画面を塞ぐ展示はなかなかできないが、あえて重なって見えるように展示。こうした立体展示により、薄さや、軽快さを訴求するとともに、壁への一体感などもアピールできるとする。


フリースタイルAQUOSが重なり合うように多層的な展示で、薄さ、設置自由度をアピール
店頭展開イメージ

 また、専用の壁掛け金具のほか、追加設置オプションも拡充。エレコムは、上下/左右の角度も変えられるスイーベル壁掛金具「PDR-AR2020WH」(12月中旬発売/実売24,800円前後)や、壁寄せスタンド「PDR-SWK2020BK」(12月下旬発売/実売39,800円前後)も発売予定で、こうしたオプションを含め、設置の自由度をアピールしていく。全国の500坪超の大規模店の約1,500店舗での展開を予定しており、11月1日よりスタートした新テレビCMと連動し、フリースタイルAQUOSの魅力を訴求していく。


PDR-AR2020WHの利用例。“首降り”も可能にPDR-SWK2020BKの利用例

(2011年 11月 16日)

[AV Watch編集部 臼田勤哉]