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カオス再び「ニコニコ超会議2」開催。安倍首相も

PS Vitaでニコ生配信。初音ミクから戦車まで

 ニコニコ動画のユーザーが集まる、大規模なオフラインイベント「ニコニコ超会議2」が4月27日と28日の2日間、千葉県の幕張メッセで開催された。1日券は前売1,500円、当日2,000円、通し券前売2,500円。

 メッセの1〜8ホールを使い、「ニコニコ動画のすべて(だいたい)を地上に再現する」事をコンセプトに開催されたもので、昨年に続き、2回目となる。初音ミクなどのVOCALOID、アイドルマスター、東方Project、ユーザー生放送、ゲーム実況など、人気の動画ジャンルがブースを設け、展示を見るだけでなく、ユーザー自らが参加できるイベントになっているのが特徴。

 企業も多数ブースを出展。最新ゲームの体験・発表イベントや、各社商品を“ニコニコ動画”的にアピールする試みも実施。他にも、ユーザーが手がけた“痛車”の展示、博麗神社例大祭(東方Projectの同人誌即売会)なども併催されている。

 また、趣味系のブースだけでなく、自衛隊や在日米軍も参加。政治経済に関して討論するコーナーや、自民党や民主党などの政党までブースを出展。初日には安倍晋三内閣総理大臣も来場するなど、ニコニコ動画という配信サービスだけにとどまらず、日本のネット上で起きている様々なムーブメントが、2日間だけ、まとめて地上に出現したかのような、極めて大規模かつユニークなイベントとなっている。

 AV Watchでは多岐に渡る展示の中から、ニコニコ動画/生配信の今後に関しての技術展示を中心に、会場で見つけた興味深い展示をレポートする。

PS Vitaでニコ生配信

 ニコニコのシステムに関する技術などが展示されている「超ニコニコ未来開発ブース」では、PlayStation Vita(PS Vita)のアプリ「ニコニコ」の今後の展開として、年内に提供が予定されている「ニコニコ生放送」の配信機能のデモが行なわれている。

 PS Vitaには3G/無線LANの通信機能に加え、フロント/リアカメラも搭載している。これらを使い、Vita単体だけで、ニコ生配信を可能にするもので、現在ニコニコ動画などが視聴できるアプリ「ニコニコ」の強化機能として、今後提供が予定されている。

 フロント/リアカメラで撮影している風景を、そのまま配信できるだけでなく、PS Vitaならではの機能も用意。タッチパネルを使い、配信画面にキャラクターなどのスタンプを配置したり、好きな色で文字や絵などを書き込み、それらも含めて配信できる。

 さらに、エフェクトも用意。集中線や「ゴゴゴゴ……」、「ドン!!!」などの効果音文字を配信映像に重ねられ、まるで漫画のコマのような映像を配信できる。配信中に視聴者に対してアンケートを提示する事も可能で、よく使われるアンケート項目がテンプレートで用意されているほか、Vitaの文字入力を使い、好きなアンケート項目にカスタマイズも可能。

スタンプを自由な位置に配置して配信可能
アンケートもできる
集中線のような、漫画エフェクトも備えている

 なお、配信の細かな仕様は未定だが、配信時に利用する回線としては、無線LAN、もしくはVita内蔵3G機能のFOMAハイスピードモード(下り14Mbps/上り5.7Mbps)での利用を想定しているという。ブースでは、実際にVitaを使って配信も行なわれていた。

 Vitaを使った配信機能としては、Vitaでプレイしているゲームの映像を、ニコ生配信する計画も、従来からアナウンスされている。この機能は、デモ展示された「ニコニコ」アプリとは別に、今後登場する配信に対応するゲームソフトの中の1つ機能として提供されるイメージだという。

 会場には他にも、ソニーのBRAVIA、パナソニックのVIERAで、ニコニコ動画が楽しめるアプリの体験コーナーも用意。対応したばかりのWii U版「ニコニコ」アプリも用意され、Wii U GamePadとテレビという2つの画面を用いて、快適に動画視聴・検索ができる操作性が確認できた。

Wii U版「ニコニコ」アプリ
BRAVIA、VIERAのニコニコ動画視聴機能も体験できる

超未来プレーヤー/かけるとコメントが見えるメガネ?

 「ニコニコ超未来プレーヤー」と題したコーナーでは、絵や文字を書き込める電子黒板を用意。そこに、カラフルなチョークや、動画ウインドウ、サムネイルなどのアイコンパレットを表示。来場者が黒板上の好きな場所にニコニコ動画の再生画面を配置し、コメントが流れる位置などを指定。動画のまわりにテレビの絵を描いたり、好きなキャラクターを描くなど、“こんなニコニコ動画プレーヤーがあったらいいな”という理想を形にできるコーナーになっている。

 これがすぐにサービスとして提供されるわけではなく、あくまで“未来のプレーヤーを自由に想像する”ための展示とのことだが、主に子供達に人気の展示となっており、思い思いのプレーヤーGUIが生み出されていた。

ニコニコ超未来プレーヤー
電子黒板全体が「ニコニコ超未来プレーヤー」で、好きな文字や絵を書き込め、配置も変更できる
来場者がデザインしたニコニコ超未来プレーヤーの数々
ミニ nicofarre AR技術体験

 また、六本木にあるニコファーレのARシステムをミニチュアサイズで再現した「ミニ nicofarre AR技術体験」コーナーも用意。ニコファーレではステージや、それを撮影するカメラにマーカーを取り付け、その位置を3次元的に把握。現実のステージの映像に、初音ミクの3DCGなど、仮想キャラクターを合成する際に、カメラマンのアングルの動きを取り入れる事を実現しており、アングルの変化に合わせ、仮想キャラクターの見え方も変化するようになっている。これにより、実際のステージには存在しないミクを、あたかも存在しているようなアングルで撮影すると、合成して出力される映像に、人間のカメラマンらしいアナログな動きが加わり、仮想キャラクターのリアリティがアップする。

 ただし、この場合、ネットで配信映像を見ている視聴者にミクの姿は見えているが、現実のニコファーレに集まった来場者には何も見えない事になる。

 そこで、ステージ上に透過スクリーンを配置。そこにプロジェクタでミクの姿を投写し、来場者にもキャラクターが見えるようなシステムも開発。会場でも盛り上がれるようにしている。

 その際、会場で撮影しているカメラには、“透過スクリーンのミク”まで写ってしまい、合成映像のミクと、2重になってしまう。そこで、現実のスクリーンのミクがカメラに映らないように、偏光フィルタをカメラ側に導入。このシステムは、ニコファーレの一部イベントで、既に導入されているとのこと。

撮影カメラにマーカーと偏光フィルタを装備
カメラの位置を、ブース上部に取り付けたセンサーで検出
カメラで透過スクリーンに表示させたミクを撮影
ニコ生で配信される合成映像。スクリーンのミクは撮影されておらず、カメラアングルに合わせた3DCGミクの合成が行なわれている

 また、透過スクリーンにVOCALOIDキャラクターを投写するデモは、VOCALOIDのブースでも大型装置が用意され、来場者の注目を集めていた。VOCALOIDブースでは他にも、人気“ボカロP”が、楽曲を生み出している作業部屋の写真を集めたユニークな展示、VOCALOID楽曲のイントロクイズ大会なども行なわれていた。

透過スクリーンにVOCALOIDキャラクターを投写するデモ
ボカロPの作業部屋公開

 「ニコニコメガネ」は、神奈川工科大学・白井研究室で開発された多重化隠蔽映像技術「Scritter」を使った展示。スクリーンに写っている映像を、偏光メガネをかけて見ると別の映像が見えるというもので、例えば“メガネをかけた時だけコメントが見える”という映像も実現できるという。

 原理は偏光方式の3Dテレビと似ており、別の映像を投写する2台のプロジェクタの前に、異なる偏光板を配置。その映像を一緒にスクリーンに投写する。3D表示の場合は右目と左目に別の映像を届けて立体感を生み出すが、Scritterの場合はL/Rのメガネではなく、L/L、R/Rのメガネを用意。かけたメガネによって、異なる映像が見えるという仕組み。コメントでなくとも、例えば、裸眼の時には英語と日本語の字幕が両方見え、英語用メガネをかけると英語の字幕だけ、日本語メガネは日本語字幕のみ見える、といった映像も実現できる。

ニコニコメガネの展示コーナー。偏光メガネを通して見ると、スクリーンに無かったはずの映像が見える

自衛隊や在日米軍、各政党も参加

 自衛隊のブースには今年、陸・海・空の自衛隊が集結。昨年よりも規模が拡大し、目玉展示として陸上自衛隊の最新主力戦車「10式(ひとまるしき)戦車」も展示。多くの来場者が記念撮影を行なっていたほか、戦車を前にミリタリー関係の“濃い”生放送イベントも行なわれていた。

10式戦車。120mm滑空砲や12.7mm重機関銃などを装備。戦闘時に高い連携を可能にするネットワーク機能や、軽量化(約44トン)を実現した事などが特徴だ
10式戦車を会場に搬入するまでの様子

 また、隣の在日米軍のブースでは、東日本大震災時に支援を行なった“トモダチ作戦”を説明するパネルなどが展示されたほか、ブースで米軍兵士と記念撮影ができるコーナーも用意していた。

在日米軍のブースには“トモダチ作戦の紹介も
北朝鮮の弾道ミサイルに備えて配備された事も話題となっている地対空ミサイル「PAC-3」の模型
海上自衛隊のブースには護衛艦「ひゅうが」の模型などが

 自民党、民主党、日本維新の会、日本共産党もブースを展開。自民党ブースでは、総裁選などに使われた本物の宣伝カー「あさかぜ」を設置。来場者がその上にのぼり、公認候補として何らかの主張ができる“街頭演説体験コーナー”を用意。さらに、総裁室を再現したコーナーも用意。“総裁の椅子”に座って記念撮影ができるなど、国会議員気分が満喫できるブースとなっている。

 民主党ブースでは、トークショーに加え、民主党議員によるカフェ「カフェデモクラッツ Makuhari」も用意。さらに、政界をテーマにした「POLITICAL QUEST」なるSF風アニメのプロモーションビデオも流していた。

街頭演説体験や総裁の椅子にも座れる自民党ブース
民主党ブース内に設置されたカフェ「カフェデモクラッツ Makuhari」
政界をテーマにしたアニメ「POLITICAL QUEST」のPV

 また、初日には安倍晋三内閣総理大臣も来場。宣伝カー「あさかぜ」から来場者にメッセージを送ったり、言論コロシアムに出席、10式戦車のある自衛隊ブースも訪れた。安倍首相はネットの力を自身のメッセージ発信に積極的に活用していく考えなどを語り、来場者にネットの力を活用し、日本を共に変えていこうと呼びかけた。

初日には安倍晋三内閣総理大臣も来場した

企業ブース

 ゲームメーカーでは、ソニー・コンピュータエンタテインメントが、PS Vita向けゲーム「ソウル・サクリファイス」の試遊台を設け、新しいボスキャラクターとのバトルが体験できるようにしたり、バンダイナムコゲームスでは「GOD EATER 2」をアピール。フィギュアなど、関連商品も展示されている。

 また、超ゲームエリアには、任天堂のマリオシリーズでお馴染み、“緑色の土管”が登場し、マリオ気分が味わえる。グッドスマイルカンパニーのブースでは、初音ミク関連の新作フィギュアが一堂に展示されていた。

「GOD EATER 2」から、アリサ・イリーニチナ・アミエーラのアクションフィギュア(D-Arts)。10月発売予定で、価格は5,040円
マリオの土管を体験
グッドスマイルカンパニーのブース

 ローソンブースでは、魔法少女まどか☆マギカのグッズ販売や、8月7日〜26日に東京・銀座の松屋銀座8階で開催するエヴァンゲリオン展の情報などを掲示(ローソンチケット前売り券を4月27日から販売)。さらに、来場者からペットボトルのキャップを集め、それでアイドルマスターのキャラクターを描くコーナーなど、ユニークな企画も行なわれている。

ペットボトルのキャップでアイドルマスターのキャラクターを描く企画
マリオの土管を体験
8月7日〜26日に東京・銀座の松屋銀座8階でエヴァンゲリオン展が開催される

 Android向けの日本語入力アプリでお馴染み「Simeji」のブースでは、入力した文字が変換され、“本物のしめじ”から出力されるというユニークな展示を実施。ブース内に用意されたAndroid端末や、来場者の端末で専用サイトにアクセスし、好きな文字を入力すると、アプリのSimejiではなく、あたかも本物のしめじが変換したように、しめじから文字が流れ出るように空間に広がっていくというもので、プロジェクタを用いて実現。「展示を通して、Simejiを知ってもらうための企画」だという。

文字を入力すると、本物のしめじから文字が出てくる

そのほか

痛車だけでなく……

 様々な趣味の分野で、ユーザーが集まって出展を行ない、それをユーザーが楽しむイベントでもあるため、展示内容は膨大。アニメなどのキャラクターをデザインしたマイカー“痛車”や、バイクの“痛単車”、さらにはスノーボード板の“痛板”があると思えば、手作りプラネタリウムを用意する参加者や、ひたすら溶接をする人、車の整備をしている人も。見上げれば超軽量飛行体が会場を飛び回るなど、良い意味でカオスな会場になっている。

車の整備をしている人も

 政党や企業の参加増加も今年の特徴だが、昨年に引き続き“超巨大な学園祭”という雰囲気は踏襲しており、カッチリした企業ブースと、良い意味で手作り感溢れるブースの共存が魅力と言えるだろう。

痛単車や痛板(スノーボード)も
超軽量飛行体が会場を飛び回る
ドアラも登場。奇妙な動きで観客を魅了していた
超フードコートには超個性的なメニューが。白米のみ(!?)で構成されるライス定食(大盛りOK)、ホモォムライス、「ニコラジ丼」から豆腐ユッケ丼など。ライス定食はひたすら白米を食べる事になるが、ふりかけなどを持参する猛者の姿も……
今年も超会議号ブルートレインが走る
超鉄道エリアのイベントには、鉄道マニアとしてお馴染み向谷実さん、ホリプロの南田裕介マネージャーも登場
鉄道関連グッズの展示、販売も行なわれた

(山崎健太郎)