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録画番組を屋外視聴する「Slingbox 350」、HDMI機器と接続するコンバータが2014年発売に

Slingbox 350 HDMIセット

 フロンティアファクトリーは、レコーダなどで録画した番組を、屋外のスマートフォン/タブレレットなどから視聴できる「Slingbox 350」の新パッケージとして、HDMI出力機器との接続を可能にする「Slingbox 350 HDMIセット」を発表した。2014年の早期の発売に向けて開発中で、価格は未定。詳細は今後、直販サイトのSlingbox.jpにて発表するという。

 発売中の「Slingbox 350」(19,800円)は、入力端子としてコンポジット、コンポーネント、アナログ音声(RCA)を1系統備。BDレコーダなどのアナログ映像/音声出力と接続し、インターネットを介して、遠方のPCやスマートフォンなどの端末から視聴できるようにする製品。

 一方で、アナログ出力を備えたレコーダは年々減少。さらに、Blu-ray Discの著作権保護技術「AACS」の規定により、2014年1月以降に製造されるBDプレーヤー/レコーダのアナログビデオ出力が禁じられるため。'14年以降に販売される製品では、AACSで保護されたBDビデオはアナログ出力できなくなる(ただし、HDD録画したデジタル放送の番組であれば、AACSの規定に依らずアナログビデオ出力は可能。BD-R/REに録画した番組はSD解像度に制限して出力される。詳細はシャープのBDレコーダ記事を参照のこと)。

 こうした状況の中、HDMI出力しか持たないレコーダでも、「Slingbox 350」を利用できるように開発されているのが、入力されたHDMI信号を、アナログのコンポーネント映像に変換するコンバータ。BDレコーダなどのHDMI出力をHDMIコンバータでアナログコンポーネント映像に変換してから、Slingbox 350へ接続。HDMI出力しか無いレコーダと組み合わせても、従来と同じようにSlingbox 350が利用可能になるという。

HDMIコンバーター
背面にコンポーネント出力を装備。側面のHDMI端子から入力した映像を、コンポーネントで出力し、Slingbox 350に伝送する

 開発されているHDMIコンバータには、HDMI入力、アナログコンポーネント出力、アナログ音声(RCA)出力を1系統搭載。さらにHDMIスルー出力も備えている。コンポーネント出力をSlingbox 350に接続するほか、HDMIスルー出力はテレビなどに接続する。

 Slingbox 350からネットを介して、PCのブラウザや、専用アプリをインストールしたスマートフォン、タブレットから映像を視聴できる。Slingbox 350と端末は1対1で、暗号化されているため、地上デジタルなどの著作権保護がかけられたHDMI映像も、コンポーネント変換し、伝送できるという。

Slingbox 350とのサイズ比較
上が、アナログ出力のあるレコーダと組み合わせていた従来の接続図。下が、HDMIコンバータを使った、HDMI出力のみの機器との接続図
Slingbox 350からのUSB給電で動作する

 HDMIコンバータは手のひらサイズで、USB給電で動作。Slingbox 350にはUSB端子も搭載されており、そこからの給電で動作する。

 「Slingbox 350 HDMIセット」には、HDMIコンバータとSlingbox 350本体、さらに接続用のHDMIケーブル、コンポーネントケーブル、USBケーブルも同梱。

 なお、既にSlingbox 350を利用しているユーザー向けには、HDMIコンバータの単品販売も予定されている。

電撃ネットワークのギュウゾウ氏も愛用

Slingboxのジェネラルマネージャー、Michael Hawkey氏

 発表会には、Slingboxのジェネラルマネージャー、Michael Hawkey氏が参加。「旅行先で、大好きなベースボールが観たい」という2人の兄弟の想いが発端となって設立され、現在発売中の「Slingbox 350」で5世代目になる事、iPhoneだけでなく、Android、iPadなど、様々なデバイスへ対応してきた経緯などを説明。

 現在では、Android、iPhone、iPadのモバイル機器を使った全世界での総セッション数が、1カ月で700万以上になるほど成長したという。また、録画番組を出先で鑑賞するだけでなく、特にスポーツの試合中継をリアルタイムで楽しみたいというユーザーからの支持が根強いという。

 また、ネット配信の動画と比べ、クオリティの高いHD映像が楽しめる事や、ハードウェアとアプリの代金を払えば、月額料金がいらない事なども特徴として紹介した。

Slingbox 350の愛用者、電撃ネットワークのギュウゾウ氏がゲストで登場

 さらに会場には、Slingbox 350を日々愛用しているという電撃ネットワークのギュウゾウ氏がゲストとして登壇。パフォーマンスで海外に出かける事も多いギュウゾウ氏は、スカパー! でのサッカー、WOWOWでボクシングなど、主にスポーツ中継を旅先でも楽しんでいるという。さらに、「ヨーロッパのムフフな番組を日本で観たり、海外で暮らしている日本人が、例えばオリンピックを観ようとすると、日本人が出てくる試合が海外ではまったく中継されていなかったりする。そうした時は、日本の放送が海外で観られるSlingboxが具合がいい」と、使い方を提案。

 一方で、「動きの早いスポーツでは、若干カクカクする時もある。けれど非常に便利です。家の中の様々な機器で観られるようにしているので、できれば視聴用の有料アプリが、もう少し安くならないですかね? 3ドルくらいとか」と、SlingboxのMichael氏に直接お願いするなど、リアルユーザーらしい生の声が飛び出す一幕もあり、会場は笑いに包まれた。

 発表会ではこれ以外に、別記事で紹介しているKlipschのBluetoothスピーカーや、新たにフロンティアファクトリーが取り扱い、年内の発売を予定しているプリペイドタイプの低価格データ通信SIM「GigSky」(ギグスカイ)も発表された。GigSkyは世界約70カ国をカバーし、アプリから各国でのプランを購入できる。SIMフリー端末で利用できる。詳細は、僚誌ケータイWatchでレポートする。

プリペイドタイプの低価格データ通信SIM「GigSky」

アジア展開のゲートとしての日本市場

フロンティアファクトリーの奥田哲生代表取締役

 発表会を開催したフロンティアファクトリーは、イーフロンティアが分社化され、7月1日に設立された会社。奥田哲生代表取締役は、「もっともっと新しい、イノベーティブな分野の中で、できる事があるのではないかと考え、この部門に集中するために別会社を作る事になった」と経緯を説明。

 シリコンバレーなど海外のIT企業は、中国などのアジアに対して、新たな市場としての期待を寄せているが、どのように自社の製品やサービスを展開していけば良いのかわからず、適切なパートナーがいないという状況があるという。

 その中で、「日本は非常に洗練された市場で、洗練されたお客様がいる市場として、彼らから“まずアジア展開する際のゲート”として改めて注目されている。我々は、彼等のパートナーとして、新しいサービスや製品を日本に運んでくるナビゲーターになりたいと考えている」という。また、「数百万人を相手にする製品ではなく、数万人、百万人など、ニッチと言えばニッチと言える製品かもしれない。しかし、そうした製品で生活の質を向上させ、色々なところで変化を起こしていきたい」と、展望を語った。

発表会では、ジャズシンガーの青木カレンさんによるミニライブも行なわれた。青木さんは、舘ひろしさんのツアーに参加。その際、舘さんからKlipschのカナル型イヤフォン「Image X10」をオススメされ、以来彼女も愛用しているという

(山崎健太郎)