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レグザ、ミニLEDテレビを43~85型まで拡充。タイムシフトマシン搭載「Z8」シリーズ

「Z8」シリーズ

TVS REGZAは、新開発の高輝度ミニLED液晶パネルを採用し、従来比で約1.2倍の高輝度化を実現した4KミニLED液晶「Z8」シリーズを7月4日から順次発売する。「Z875」と「Z870」の2ライン展開で、サイズはZ875が55/65/75/85型、Z870が43/50型。価格はすべてオープンで、市場想定価格は43型「43Z870R」が231,000円前後から。

4KミニLED液晶「Z875R」
・85型「85Z875R」 660,000円前後 7月4日発売
・75型「75Z875R」 506,000円前後 同上
・65型「65Z875R」 385,000円前後 同上
・55型「55Z875R」 308,000円前後 同上

4KミニLED液晶「Z870R」
・50型「50Z870R」 242,000円前後 7月4日発売
・43型「43Z870R」 231,000円前後 7月18日発売

レグザのミニLED液晶テレビとしては、初の50型「50Z870R」

2025年モデルのミニLED液晶レグザとしては、フラッグシップモデル「Z9」シリーズに次ぐハイグレードモデルに位置づけられるシリーズ。同社ミニLED液晶レグザ「Z870」の後継機で、セカンドラインながら全モデルでミニLED+広色域量子ドットを採用したほか、レグザのミニLED液晶モデルとして初めて50型、43型をラインナップする。

85型「85Z875R」

2シリーズの大きな違いは、搭載する映像エンジンとパネル構成。Z875Rは高画質映像処理エンジン「レグザエンジンZRα」で、パネルには量子ドットと広視野角を実現するワイドアングルシートを採用。Z870Rの映像エンジンは「レグザエンジンZR」で、パネルの量子ドットとワイドアングルシートは非搭載。スピーカー出力もZ875Rよりも抑えられている。

両シリーズとも、新開発のミニLEDバックライトモジュールを採用した高輝度ミニLED液晶パネルを採用。前モデル「Z870N」から輝度が約1.2倍になったほか、エリア分割数も約1.5倍になり、より引き締まった黒を再現できるようになった。

本村裕史氏

Z875Rは、低反射コートとワイドアングルシートを採用することで、高コントラストと広視野角を両立。同社で営業本部ブランド統括マネージャーを務める本村裕史氏は「フラッグシップモデルとハイエンドモデルの大きな違いのひとつは、(画面を)横から見たときに『あ、液晶だな』と気づくかどうか。『液晶か、有機ELか判断しにくい』という高画質を実現しているのがワイドアングルシート」だと説明する。

75型「75Z875R」

「このワイドアングルシートは高額なので、ハイエンドモデルではほとんど採用できていませんでしたが、今年からZ875Rには投入します。低反射コートも施しているので、セカンドラインのミニLEDにおいても、技術的にもかなりの高画質化が実現できました」

43型「43Z870R」

全モデルが地デジ番組を最大6チャンネルまるごと録画する「タイムシフトマシン」に対応。これについても本村氏は「タイムシフトマシンは2009年のCELL REGZAから投入してきましたが、基本的には大画面モデル、フラッグシップモデルを中心に搭載してきました。しかし、市場として(より小型な)パーソナルモデルにもニーズがあることは理解していた」と明かす。

「開発上の都合などにより、なかなか55型未満へのタイムシフトマシン投入は、ここ数年できていませんでした。しかし、ここにきて43型から85型までタイムシフトマシンを投入することができました」

両シリーズとも、地上デジタル放送など4Kに満たないコンテンツも超解像技術で高精細化する「AI超解像」に対応。映像エンジンにレグザエンジンZRαを採用するZ875Rシリーズでは、夜景、花火、星空のシーンに応じてレグザ独自の映像信号処理により、その場にいるようなリアルな光景を再現する「AIシーン高画質」にも対応している。

なお上位モデルのAIシーン高画質は夜景、花火、星空に加え、「リング競技」や「ゴルフ/サッカー」などのシーンもAIが判別するが、このZ875/870Rシリーズでは「一部の厳選したシーンをAIで判別する機能を採用しました」(本村氏)とのこと。

85型「85Z875R」のスピーカー

搭載チューナー数はZ875R/Z870R共通で、地上デジタル×9(タイムシフトマシン含む)、BS/110度CSデジタル×3、BS/CS 4K放送×2。別売のUSB HDDに地デジ/BS/CSの2番組同時、4K放送の裏番組録画ができる。

サウンドシステムは「レグザ重低音立体音響システムZ」。Z870Rは2ウェイメインスピーカー×2、背面の重低音バズーカ(ウーファー)×1、天面のトップスピーカー×2の合計7基を70Wマルチアンプで駆動し、迫力ある重低音とクリアなサウンドを再生する。いずれもDolby Atmosに対応。

Z870Rは、50型「50Z870R」が2ウェイメインスピーカー×2、重低音バズーカ×1、トップスピーカー×2を60Wマルチアンプで、43型「43Z870R」が2ウェイメインスピーカー、重低音バズーカ、トップツイーターを50Wマルチアンプで駆動する。

Z875Rはフロントスピーカーシステム、Z870Rシリーズはダウンファイアリングスピーカーシステムとなる。

HDMI入力は4系統で、HDMI 2がeARC/ARCに対応。光デジタル音声出力、LAN端子なども備える。

生成AIを活用した「レグザインテリジェンス」にも対応。発話内容の文脈やニュアンスをレグザが理解し、番組のタイトルがわからない場合でも、「最近話題のドラマ」といった抽象的な言葉に対してトレンドやユーザーの好みに沿って、おすすめのコンテンツを表示できる「レグザAIボイスナビゲーター」や、AIを使ってコンテンツの音声成分を認識し、音声と環境音のバランスを調整できる「レグザAI快適リスニング」などを利用できる。

また今夏に予定されているソフトウェアアップデートでは、対話形式での表示にも対応するほか、テレビ本体の内蔵マイクを通じたハンズフリー操作にも対応する予定。

そのほか便利機能として、タイムシフトマシンで録画した番組の中から、見たい番組に素早くアクセスできる「ざんまいスマートアクセス」や、放送中の地デジ6チャンネルをまるごとチェックできる「まるごとチャンネル」、2画面同時表示できる「ダブルウインドウ」、Apple AirPlay 2、スクリーンミラーリングなどに対応する。

レグザ本体のスピーカーと、ヘッドフォン端子に接続したヘッドフォン/イヤフォンから同時にテレビの音を再生できる「親切ヘッドフォン」機能が復活。有線接続だけでなく、Bluetooth接続でも利用可能となり、ワイヤレスヘッドフォンなどでも、内蔵スピーカーと同時にテレビの音を楽しめるようになった。それぞれの音量は独立して調整できる。

付属リモコン

付属リモコンには、Amazon Prime VideoやNetflix、YouTubeなど合計12個のネット動画ダイレクトボタンを搭載。ダイレクトボタンは押しやすい傾斜ボタンにすることで「真ん中付近のボタンの指がかりが良くなった(本村氏)」ほか、使用頻度が高い入力ボタンやホームボタンなどはカーソル周りに配置されている。

「Z870R」シリーズ
発表会のスライド投影にはTVS REGZAのプロジェクター「RLC-V7R MAX」が使われていた

消費電力/年間消費電力量は、Z875Rの85型が451W・202kWh/年、75型が368W・174kWh/年、65型が348W・172kWh/年、55型が250W・130kWh/年。Z870Rの50型が206W・110kWh/年、43型が183W・96kWh/年。

各モデルの外形寸法、重さは以下のとおり。


    4KミニLED液晶「Z875」
  • 85型「85Z875R」 189.4×40×114.9cm(幅×奥行き×高さ/スタンド含む) 55.5kg
  • 75型「75Z875R」 167×35.1×102.2cm(同上) 44kg
  • 65型「65Z875R」 144.8×29.2×89.4cm(同上) 31.5kg
  • 55型「55Z875R」 122.9×26.6×77cm(同上) 23.5kg

    4KミニLED液晶「Z870R」
  • 50型「50Z870R」 111×26.6×70.3cm(幅×奥行き×高さ/スタンド含む、スタンド高設置時) 19kg
  • 43型「43Z870R」 95.7×26.6×62.2cm(幅×奥行き×高さ/スタンド含む、スタンド高設置時) 16kg

“松竹梅”のミニLEDラインナップで「時代をリードしていく」

ミニLEDテレビのラインナップ拡充について、本村氏はTVS REGZAが2024年から掲げている「有機ELテレビも本気、液晶テレビも本気」という2トップ戦略は変わっていないものの、「市場が若干変化してきている」とした。

「“本当に画質にこだわる方は有機ELテレビ”という選択は変わっていませんが、いわゆる10年に1回のテレビ買い替えサイクルで家電量販店を訪れるお客さまはミニLED液晶テレビを選ばれる傾向が非常に強くなっていると肌で感じています。詳細な数字は明かせませんが、圧倒的にミニLEDの構成比が伸びています」

「2025年春夏のレグザフルラインナップでは、有機ELテレビは2ライン(X9900R/X8900R)ですが、ミニLED液晶テレビはフラッグシップモデルのZ970R、セカンドラインのZ875R、Z870R、さらにスタンダードラインのZ770RもミニLEDになっています。通常のLEDバックライトモデルはZ670Rの2サイズだけになったというのが、レグザのミニLED戦略の表れです」

「今まで液晶テレビの中で、ミニLEDを使ったモデルは各社のフラッグシップモデルという位置づけでした。一部の他社メーカーも同じ動きになっていますが、私たちはミニLED採用モデルのなかでフラッグシップからスタンダードまでの“松竹梅”を用意することができました。いよいよ本格的にミニLED時代が到来し、私たちが本格的なミニLED時代をリードしていくぞという思いが強いです」

また本村氏は、「お客さまのなかでも“55型は小さい”という認識が広まっている」と日本市場でもテレビの大型化ニーズが高まっているとし、大型モデルでは有機ELよりもミニLEDのほうが価格面で有利だと指摘。「75型や85型、もしくは100型というのは、これから日本においても大きな市場に拡大していくだろうと認識しています」とした。

「世界的に見ても、日本は一番小さな(テレビ)サイズが動いている市場です。欧州や北米、アジア、中国市場では75型以上がスタートサイズになってきていることを考えると、日本市場も75型以上の市場が拡大する余地は大きいと信じていますので、その面も強化していきたいと考えた(2025年)ラインナップとなっています」