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シャープ、第3四半期は営業利益476億円。「国内TV市場に底打ち」4K AQUOSなど拡充へ
(2014/2/4 16:08)
シャープは4日、2013年度第3四半期(2013年10月~12月)の連結業績を発表した。売上高は、前年同期比11.1%増の8,152億円、営業利益は476億円(同54.7%増)、純利益は220億円(同61.6%増)。第3四半期累計(2013年4月~12月)は、売上高が前年同期比21%増の2兆1,572億円、営業利益は同2,477億円増の814億円。純利益は同4,420億円増の177億円で、黒字に回復した。
髙橋興三社長は「2013年度は、期初の計画を達成できる見通しとなったが、依然として厳しい環境にある。手を緩めずに構造改革の取り組みを加速させ、中期経営計画の必達に邁進する」との決意を表した。
テレビ売上は国内市場堅調で、前年同期比13%増
デジタル情報家電の第3四半期売上高は、前年同期比7.2%増の2,169億円、営業利益は84億円。うち、液晶テレビの売上高は前年同期比13%増の1,188億円、台数は2.3%減の218万台だった。携帯電話事業の売上高は、前年同期比6.7%増の692億円、台数は同13%増の177万台。液晶テレビは米州/欧州で低迷した一方、国内で堅調に推移。中国や新興国などでの伸長により、売上高が前年同期を上回った。携帯電話の新製品投入などの効果もあり、デジタル情報家電は第2四半期に続き営業黒字を確保。収益性を大幅に改善したという。
液晶事業の第3四半期売上高は前年同期比7.5%増の2,775億円。スマートフォン向けを中心に中小型が伸長したが、大型パネルの価格下落などにより、第2四半期からは減収となった。営業利益は260億円で、特許関連などのビジネスによる利益が寄与したことで、前期比43.1%プラスの大幅な増益となった。「液晶工場の稼働率は計画通りに進捗している」とし、亀山第2工場の中小型比率は約3割。中小型液晶は、IGZO液晶など高精細/低消費電力パネルの販売を強化していく。
健康・環境の売上高は前年同期比9.7%増の821億円、営業利益が同23.9%減の56億円。PM2.5問題に伴い、空気清浄機が好調に推移した。太陽電池は、売上高が前年同期比94.1%増の1,085億円、営業利益は同93.7%増の59億円だった。国内市場でメガソーラー向けなど産業用が好調に推移した。ビジネスソリューションは、売上高が前年同期比10.7%の771億円、営業利益が同3%減の61億円。季節要因や競争激化などで利益率は低下したが、安定した収益を確保したという。電子デバイスは、売上高が前年同期比29.5%増の1,064億円、営業利益が同32.5%増の42億円。前年同期比では、全部門で売上が伸長し、第2四半期に続いて営業黒字を全部門で達成した。
通期連結業績予測は、売上高と営業利益を上方修正。売上高が2兆9,000億円(プラス2,000億円)、営業利益1,000億円(プラス200億円)とした。純利益は50億円で変更はない。
液晶テレビの通期予想は、売上高が前年同期比8.1%増の4,200億円、販売台数が前年比0.4%減の800万台。今後は、4K対応AQUOSやクアトロンプロなど、高精細液晶テレビと、60型以上(70/80/90型)モデルのラインナップを拡充していく。そのほか、新興国など重点地域へのローカルフィットモデルの投入により販売強化を図る。
携帯電話の通期予想は、売上高が前年同期比8.5%減の2,100億円、台数が10%減の550万台。今後は、高精細/低消費電力を特徴とするIGZO液晶搭載モデルのラインナップを拡大していく。デジタル情報家電の通期予想は、売上高が前年比0.4%マイナスの7,300億円だが、営業利益は80億円の黒字を見込む。
液晶特許などが収益に貢献。亀山での中小型比率は来期50%を見込む
同社は4日に決算説明会を開催。髙橋興三社長が説明を行なった。
テレビの売上額が前年同期を上回り、第4四半期も同9.8%の1,070億円と増収を見込んでいる点については、4K対応テレビやクアトロンプロの好調などにより、単価が上がっていることを理由として挙げた。髙橋社長は「国内マーケットにおいて底打ち感が見られた。欧米/中国でも台数を伸ばしている」という。携帯電話については、「海外メーカーとの競争激化など、今後も厳しい状況が続くと見ている。IGZOや大画面、狭額縁モデルなど独自モデルの創出で、販売強化に取り組む」との意向を示した。
液晶部門は、営業利益260億円のうち、約200億円が特許関連などのビジネスによる利益。この中には、'13年に発表した中国電子信息産業集団有限公司(CEC)との業務提携による利益も含まれている。なお、シャープが提携によってCECに供与する技術には「IGZO」関連も含まれているが、現時点では8.5世代のテレビ用液晶パネルの生産が南京でスタートした段階であり、IGZOパネルをCECが生産するという具体的な予定は決まっていないという。
こうした特許関連の利益などにより、第3四半期の利益率は9.4%に上昇した(第1四半期は-4.9%、第2四半期は6.4%)が、この利益は中小型液晶パネルによるもので、大型パネルでは利益が見込めないことから、同社としては液晶パネル全体のビジネスにおいて、今後も利益率10%前後を見込むという。
亀山工場における中小型パネルの比率は現在約30%だが、1~3月期には40%を達成できる見通し。「来期以降は、スマートフォンだけではなくタブレットなどを合わせて50%に近付けていく」とした。
液晶の第4四半期営業利益は53億円の見込みで、第3四半期からは減益となるが、これは、従来のIGZO液晶がハイエンドのスマートフォンなどに特化していたのに対し、今後はモデルミックスしてミドル以下のモデルにも採用していくことに伴う収益の低下によるものだという。
個人向けと法人向けビジネスの今後について記者から質問が出ると、髙橋社長は「前回の決算時に、携帯電話やスマートフォン、通信技術はコンシューマとBtoBを分けるものではないと話したが、テレビも同じ。量販店で売っているテレビだけが中心ではなく、家庭/オフィスにおけるディスプレイも続けていく。この世界でもBtoCとBtoBはきれいに分かれるものではない。技術を中心として、BtoC/BtoB問わずビジネスに結び付けたい」と述べた。