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ドコモのNOTTV/フルセグ「TV BOX」にTwonky採用。リモート視聴など今後の展開を聞く

パケットビデオ・ジャパンの吉田一成社長に話をうかがった

 パケットビデオ(PacketVideo)は21日、NTTドコモから7月に発売予定のフルセグ/NOTTV対応ワイヤレステレビチューナ「TV BOX」に、パケットビデオの「Twonky SDK」技術を提供したと発表した。

 今回の発表に合わせて、パケットビデオ・ジャパンの吉田一成社長にインタビューを行ない、同社とTwonky関連の現状と今後の展開などについてうかがった。

iPhoneなどでもNOTTV/フルセグが視聴可能に

TV BOX

 TV BOXは、スマートフォン/タブレットなどの周辺機器ブランド「docomo select」の製品で、スマホ/タブレットのTV BOXアプリから、無線LAN経由で地上デジタル放送のフルセグ/ワンセグや、NOTTVを視聴できる。スマホ/タブレットの内蔵チューナ以外でNOTTVが視聴できる製品はTV BOXが初となる。7月発売予定で、価格は1万円台前半の見込み。製造はファーウェイ(Huawei)。ドコモのUIMカードに対応し、モバイルルータとしても使えるほか、スマホなどへの充電も行なえる多機能さも特徴。

 パケットビデオのTwonky SDKを採用したことで、iPhone/iPadなど、NOTTVやフルセグ/ワンセグチューナを搭載しない端末でも、TV BOXで受信した番組を無線LAN経由で視聴可能。DLNA/DTCP-IPによりセキュアに視聴できる。リアルタイム視聴だけでなく録画も可能。番組はTV BOXに収めた別売microSDに記録し、他のスマホ/タブレットからもアプリを利用して再生できる。

 なお、NOTTVの視聴には、ドコモの回線契約とNOTTV契約が必要。ただし、契約無しでもフルセグ/ワンセグチューナとして利用できる。回線契約しない場合も、初回のみ無線LAN接続して設定することが必要。

 TV BOXは、HDMI端子でテレビと接続し、NOTTVなどの放送やAndroidアプリなどを利用できることも特徴。NTTドコモのスマホ/タブレットにも採用されている、マイクロソフトのDRM「PlayReady」を活用したパケットビデオの「PlayReady ODF(Open DRM Framework) SDK」も採用したことで、dビデオ、dアニメストア、dヒッツのコンテンツもテレビなどで利用できる。

TV BOXにTwonky SDKが採用
チューナ非搭載端末でもNOTTVが視聴可能になる

Twonkyによる「次の一手」。リモート視聴は「Twonky DTCP+」SDKで提供へ

吉田一成社長

 今回の発表内容や、Twonky関連の今後の展開などについて、パケットビデオ・ジャパンの吉田一成社長に話をうかがった。

 スマートフォン用のDLNA/DTCP-IP対応アプリ「Twonky Beam」などで知られるパケットビデオは、1998年設立で、本社は米カリフォルニア州。'10年にNTTドコモの完全子会社となった。

 ドコモ携帯電話とのつながりはフィーチャーフォンの時代から始まっており、'02年の「F2051」向けに動画再生のimotion Playerを提供。その後も、Windows Media DRM用プレーヤーなどを携帯電話向けに提供。スマホが主流になってからも、dビデオなどへのPlayReady DRMのAndroid/iOS向けソリューション提供などを行なっている。

 ドコモによる今回のTV BOX提供開始は、NOTTVを含むサービスを同社スマホ以外にも展開する「キャリアフリー」の流れの一環であり、同社がiPhoneの取り扱いを始めたことも大きい。iPhoneでもセキュアにNOTTVやフルセグなどの視聴を実現するため、Twonky SDKが採用された。

タブレットでのTV BOXアプリ画面
テレビにHDMI接続すると、NOTTVやdビデオなどの視聴も可能なAndroid STBとして利用できる

 パケットビデオが既に提供しているDLNA/DTCP-IP視聴アプリ「Twonky Beam」は、iOS/Android版を合わせてこれまで250万ダウンロードを突破。U-NEXTや、music.jp(エムティーアイ)との提携も行ない、これらパートナー事業者に対し、同アプリユーザーのアクセス地域や、DLNA連携に使っている端末の種類といったデータを提供。パートナー事業者はこれを戦略判断に活用しているという。

 なお、Twonky Beamはドコモスマートフォンの一部端末ユーザーに対し、無料でDTCP-IP視聴ができるキャンペーンも行なっていたが、この取り組みは今年の3月末で終了。4月以降に初めてTwonky BeamでDTCP-IP視聴するには、ドコモユーザーであっても有料になった(アクティベーション済みの場合や、DTCP-IP視聴しない場合は無料)。ドコモとのキャンペーンがひと段落したことから、パケットビデオの「次の取り組み」の一つが、今回のTV BOXへの協力といえる。

Twonkyによるメディア連携
Twonky Beamアプリは250万ダウンロードを突破

 Twonky Beamで今後期待されている機能の一つには、BDレコーダなどに録画した番組の「レコーダからのリモート視聴」もある。これについても吉田社長に尋ねたところ、既にドコモと議論は進めているという。ただし、どういった形で、いつ実現するかは今のところ明かしていない。

 リモート視聴は、DTLAによるDTCP+など規格としては存在するが、細かい手順までは規定されておらず、各社が独自で対応しているという現状などから、Twonky Beamの対応も「どのタイミングで、どういったお客様がどういったニーズを持っているか、きっちり見極めなければ、なかなか進められない」と慎重な見方を示している。

 ただし、「Twonky DTCP+」という形で、リモート視聴対応を進めて行くことは既に決まっており、まずSDKとしてDTCP+対応を進める方針。Google Play/App Storeなどで買える単体アプリとしてリリースするよりも先に、どこかのメーカー/端末と1対1で協力して「この端末との組み合わせならリモート視聴できる」といった形で提供する見込み。ダウンロード機能など、Twonkyの特徴を活かしつつ提携できる相手を探しており、例えばそれがドコモの場合、ドコモの持つ様々な動画サービスなどと連携するといったことが実現可能になるという。

(中林暁)