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パイオニア、「BDプレーヤー集大成」の最上位「BDP-LX88」

14.2kgの高剛性筐体、4K出力対応。10万円を切るLX58も

 パイオニアは、Blu-rayプレーヤーのフラッグシップモデル「BDP-LX88」と、その特徴を多く取り入れつつ低価格化した「BDP-LX58」の2機種を発売する。価格と発売時期は、「BDP-LX88」が278,000円で、11月下旬。「BDP-LX58」が98,000円で10月下旬。

BDP-LX88の天面パネルを開けたところ

 徹底した高剛性設計や高品位なパーツを多数投入、BDなどのメディアに保存された映像と音声を「余すところなく再生し、最新の4K出力にも対応する」というモデルで、2008年のLX91を手掛けたエンジニア達が再結集して開発した。パイオニアでは、今フラッグシップのBDプレーヤーを発売する意義として、「配信・ストリーミング化が大きく進んだが、画・音共に最良の状態で保存・再生しうるメディアは依然Blu-rayであり、日々Blu-rayを楽しんでいるユーザーに向け、持てる力を最大限発揮し、BDプレーヤーの集大成を導入する事にした」という。

 どちらのモデルもBD/DVD/CD/SACD、AVCHDディスク、AVCRECディスクの再生に対応。ディスクやUSBメモリに保存したAVI、MKV、WMV、3GP、MP4、FLV、DivX Plus HDの動画、JPEG、MPO、PNG、GIFの静止画、MP3、WMA、AAC、FLAC、APE、WAV、DSD、AIFF、Apple Losslessの音楽ファイルも再生できる。

 また、Ethernet端子も備え、DLNA 1.5に準拠したネットワークプレーヤー機能も搭載する。ネットワーク/USB/ディスクからのハイレゾ再生も可能で、PCMは192kHz/24bit、DSDは2.8MHzまでの再生に対応する。

BDP-LX58
BDP-LX88
BDP-LX58

剛性にこだわったドライブ&筐体

 筐体に特徴があり、LX88はシャーシ部(前面、後面、底面、側面)、天板、さらに内部構造体に高剛性鋼板を採用。全体の剛性を高めているほか、アルミ製パネルを使い側面を二重構造にすることで、筺体内部の不要振動を抑制。さらに、1.6mm厚底面シャーシに3mm厚鋼板の底板を装備した「レイヤードシャーシ」と、専用の亜鉛ダイキャスト製インシュレータによる低重心化も行ない、外部振動の筺体内部への伝播と筺体全体の振動も防いでいる。LX58ではシャーシに高剛性鋼板を採用。レイヤードシャーシも採用している。

BDP-LX88の筐体
BDP-LX58の筐体
2機種の筐体の違い

 LX88では、電源部、ドライブ・デジタル部を、それぞれシールドケースで囲い、アナログオーディオ部と離して設置した3分割シャーシ構造を採用。相互干渉を防いでいる。

BDP-LX88の内部。3分割シャーシ構造を採用している

 光学ドライブは、全体を鋼板ケースで包むことで制振性を高めている。ドライブは鋼板製の強固な専用ベースの上に、ダンパーを介して固定するフロート構造になっており、振動の伝播を防いでいる。

 さらに、ドライブ内の振動が、トレイから筐体へと伝わるのを防ぐ「アコースティックダンパートレイ」を装備。トレイカバーとベース部を分離し、スプリングで接続する構造となる。ディスクトレイには高比重材料の塗装も施している。なお、LX88ではこの塗装を電源部・デジタル部のシールドケース、トランスカバーなどにも採用して、制振性をより高めている。

ドライブ内の振動が、トレイから筐体へと伝わるのを防ぐ「アコースティックダンパートレイ」
高比重材料も塗装している

 剛性を高めて振動防止を追求した結果、重量はLX88で14.2kg、LX58で9.9kgという、重量級のプレーヤーとなっている。

 また、LX88の電源部には、カスタムケースでシールドされた大容量の電源トランスを採用。ケースには振動を抑えるためのエンボス加工も施している。さらに、パーツメーカーと共同開発したオリジナルコンデンサも多数使っている。

Precise Pixel Driver + 4K Reference ConverterでHD映像を4K出力

 映像処理回路として、「Precise Pixel Driver」を搭載。入力された映像から、テクスチャ部を抽出し、適正な補正を行ない、細部の質感を向上させた上で1080/24p/60pに変換。ブロックノイズ、モスキートノイズ、ガウシアンノイズなども低減させる。

 その映像を、超解像技術を用いたアップスケーリング「4K Reference Converter」により、画像解析とテクスチャ/エッジの画質調整を行なった上で4K/24p/60p(4:4:4)出力。4Kテレビなどで、HDソースをより高画質な4K映像として出力できる。

画像処理の流れ
Precise Pixel Driver
4K Reference Converter

 DACは、LX88がESS製のSABRE 32bit Reference DAC「ES9018」を採用。8chのDACだが、それをL/Rで、4並列処理して高精度なアナログ変換を実現。通常はアナログマルチチャンネル出力に利用するが、LX88はアナログマルチ出力を備えておらず、アナログ出力は2chの音質にこだわっている。

 対応AVアンプ(VSX-1124、SC-LX58/78/88)とHDMIで接続する事で、高音質再生を可能にする「PQLS」にも対応。伝送経路で外乱によるジッタの発生を防ぎ、ジッターレスでの伝送を実現するというもの。BD/DVD/SACD、音楽ファイル再生でも活用できる。

 さらにLX88は、音声DAC専用のマスタークロックを搭載。ジッタを抑制し、より高品位なアナログ出力を可能にする「Precision Audio」機能も備えている。

 2機種とも、4K出力も可能なHDMI 2.0に対応。HDMI出力は2系統備えており、それぞれ映像専用と音声専用に割り当てる事で、高音質な出力も可能。その他の出力は、同軸デジタル×1、アンバランス(RCA)×1を搭載。EthernetやUSB端子も備える。LX88のみ、バランス出力(XLR3/位相切り替え機能付き)、光デジタル出力も各1系統装備する。

 どちらのモデルも、ノイズリダクションや明るさの調整、色のバランスなど、様々な画質調整項目を用意。使いやすいプリセットモードも備えている。

 両モデルとも、ユニークな「Zero Signal」という画質・音質調整用端子を装備。外観的にはRCA端子だが、映像も音も出ていない端子で、通常のピンケーブルでアンプなどの入力機器側と接続。機器間のグランドを一致させ、高い精度の信号伝送が可能になり、画質・音質が改善するというもの。「メーカーがイベントなどでデモを行なう際に、クオリティを向上させるテクニックを、アナログ出力が少なめのLX88/58でも利用するための端子」だという。

豊富な画質調整機能
プリセットモードも用意
「Zero Signal」端子

 外形寸法と重量はLX88が435×339×131mm(幅×奥行き×高さ)で、14.2kg。LX58が435×338×118mm(同)で、9.9kg。消費電力はLX88が40W、LX58が27W。

(山崎健太郎)