ニュース

キヤノン、高音質&長時間撮影も可能になった自分撮りカメラ「iVIS mini X」

 キヤノンは、動画投稿サイトなどにアップするダンスや歌唱の撮影など、“自分撮り”が快適に行なえるビデオカメラ「iVIS mini」の新モデルとして、録音音質の向上や、AVCHD記録モードの追加、バッテリの大容量化などを行なった「iVIS mini X」を10月16日に発売する。価格はオープンプライスで、直販サイトでの価格は38,800円。

iVIS mini X

 従来モデルは直販サイトのキヤノンオンラインショップ限定販売だったが、「iVIS mini X」は一般の店舗でも販売される。

 胸ポケットに収まる薄型・コンパクトな筐体に、広角レンズ、バリアングル液晶、底部にスタンドなどを搭載。机や床に見上げるようなアングルで簡単に設置でき、自分が楽器を演奏している様子や、踊っているところなどを撮影しやすいのが特徴。

 従来モデルでは、メーカー側が開発時に想定していた利用の枠を超え、コンパクトなビデオカメラとして旅行風景の撮影、子供や孫の日常風景を至近距離から撮影、超広角の静止画撮影などを活用する人も多かったため、そうした用途に使いやすい機能も搭載されている。なお、バッテリの大容量化でサイズは一回り大きくなったが、胸ポケットに収まるサイズは維持している。

コンパクトサイズのビデオカメラ

 対角画角が動画(16:9)撮影時で約160度(MP4時/AVCHD時は約150度)、静止画(4:3)時で約170度、35mm換算の焦点距離が動画時約16.8mm(MP4時/AVCHD時約17.5mm)、静止画で約15.4mmという広角レンズを搭載。絞りの開放F値はF2.8。

 レンズには光学ズームは備えていないが、歪の少ない画面中央部分を切り出して撮影する“アップ撮影”が可能。撮像素子は従来モデルと同様の1/2.3型、約1,280万画素のCMOSセンサー。有効画素数は動画撮影時で約899万画素、静止画で約1,200万画素。アップ撮影の切り出しでも、動画で207万画素、静止画で276万画素を使用するため、画素補完の無いフルHD撮影ができる。映像処理エンジンは「DIGIC DV4」。

 従来モデルは手ブレ補正機能を備えていなかったが、新モデルではアップ撮影をしている場合に、電子式の手ブレ補正が利用できる。

 記録フォーマットは、従来からのMPEG-4 AVC/H.264のMP4、1080/30p/24pに加え、AVCHDにも対応。AVCHD撮影時は1080/60iでの記録となる。ビットレートは24/17/4Mbpsから選択可能。

 AVCHDの24Mbps録画時は、音声をリニアPCMの48kHz/16bitで録音できる。AVCHD録画機能を追加したのは、後述するマイクの強化による高音質録音に、AVCHDのリニアPCM録音が活用できるため。音楽演奏の収録などのクオリティアップを図っている。

HDMI出力やUSB端子を側面に装備
マイク入力、イヤフォン出力も備えている
バリアングル液晶を搭載

 MP4録画では、カメラの回転状況をセンサーが判別し、上下反転記録が可能。高い位置にカメラを設置し、液晶モニタを真下に向けた状態で、ピアノ演奏をしている様子を俯瞰撮影するといった場合に利用できる。

 さらにMP4では、左右反転して記録・再生、リピート再生を行ない、ギターの演奏やダンスなど、コーチの動きを見ながら演奏などの練習に適した機能が利用できる。さらに、最大1/4倍速(VGA)のスロー記録、最大4倍の倍速記録も可能。

 なお、カメラ内でトリミング編集をしたり、ダウンコンバートも可能。フルHDのAVCHDやMP4を、MP4の24/17Mbps(フルHD)、4Mbps(1,280×720)に変換でき、Webにアップロードする際に、使いやすいファイルが生成できる。

 1ショットの撮影時間を2/4/8秒間に限定し、撮影した動画を1本に繋げて、テンポの良い動画作品が作れる「ビデオスナップ」機能も用意。撮影時の設定には「こだわりオート」や「シーンモード」が利用可能。

 静止画はJPEGで、ワイド設定で最大4,000×3,000ドット、アップ設定で最大1,920×1,440ドットの撮影が可能。

高音質撮影が可能に

 大きな強化点として、マイクの性能が強化された。マイクの口径を従来モデルの約2.5倍としたほか、集音した音を2層構造の構成部品(スポンジとメッシュクロス)を通過させる事でノイズを低減、信号変換前に音質を向上させている。

レンズの左右に出っ張っているのがマイク部分

 さらに、外部マイクを接続するための端子も側面に用意。入力レベルは外装のボリュームダイヤルでダイレクトに調整できる。画面にレベルメーターを表示できるほか、ヘッドフォン出力も備えており、耳で入力レベルをチェックする事もできる。

 入力信号の音量差を小さくし、聞き取りやすくするコンプレッサー機能も搭載。シーンを選ぶ事で、最適な録音設定で撮影できる「オーディオシーンセレクト」も用意。新たにフェスティバル、ミーティングを追加し、合計8モードを用意する。

 従来モデルのユーザーからの意見を踏まえ、長寿命のバッテリを採用。従来は約65分の撮影が可能だったが、新モデルでは約160分と、約2.5倍に延びている。

 また、側面にACアダプタのポートを用意。ACアダプタから給電し、長時間撮影にも対応できる。

 HDMI出力を装備。カメラがとらえている映像などを、スルーで出力できる端子で、動画モード時のみ機能。バンド撮影など、大人数での構図確認や店頭デモでも利用可能。

 撮影ボタンを押す直前3秒間を常にメモリーカード内に記録し、録画ボタンを押してから3秒前にさかのぼって撮影できる「プレREC」機能も装備。MP4/AVCHD録画のどちらでも利用できる。

スマホとの連携機能も

 Android/iOS向けに、「CameraAccess plus」というアプリを用意。無線LAN経由でカメラにアクセスし、構図の確認や、録画の開始/停止などの操作が可能。インターネット経由で、宅外からカメラにアクセスする事もでき、オフィスから自宅のペットの姿を確認するといった使い方もできる。

 撮影した映像を、タブレットやパソコンのブラウザから表示する「リモートブラウズ」機能や、iOS端末でMP4の動画と静止画を再生・保存できる「Movie Uploader」なども用意する。

 撮影した動画を、カメラからCANON iMAGE GATEWAYに直接アップロードする事も可能。同時に、カメラに登録しておいた最大20個のメールアドレスに、動画ファイルへのリンク付きメールを送信したり、facebookやYouTubeに直接アップロードする事も可能。Twitterに投稿すると、リンクURLがタイムラインに表示される。

 こうした連携機能で活用できる周辺機器として、別売のカメラパンテーブル「CT-V1」も用意。カメラを上に設置し、スマートフォンからの遠隔操作で、左右方向に200度の範囲でパンニングできるようになる。

 カメラの外形寸法は約109×82×30mm(縦×横×厚さ)。重量はバッテリとカードを含め、約240g。メモリーカードはSDカードスロットを装備する。

底部にスタンドを備え、見上げるようなアングルで撮影できる
別売のカメラパンテーブル「CT-V1」に設置したところ

(山崎健太郎)