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Samsungの4K TVは液晶に一本化。量子ドット/Tizen OSでプレステも遊べる
(2015/1/6 17:31)
北米時間の1月4日、Samsungは「2015 International CES」の展示内容に関しての先行説明会として、プレスカンファレンスを米ラスベガス市内のMandalay Bayホテルにて開催した。
4Kテレビを液晶に一本化。量子ドット技術で従来比64倍の広色域化
有機ELテレビの開発については、2014年春から夏にかけてソニー、パナソニックに続いてSamsungも撤退を表明。この日、午前に行なわれたLGのプレスカンファレンスでは、改めてLGが有機ELテレビの開発継続を表明していたので、午後のSamsungプレスカンファレンスでは何らかのメッセージがあるのではと期待されたのだが、特に言及は無かった。
昨年までは、Samsungも有機ELテレビについてはその優位性を訴えていたのだが、今年のプレスカンファレンスでは“有機EL”(OLED)のキーワードを一切排除し、テレビに関してはUHDテレビ(4Kテレビ)を訴えるのみであった。Samsungは4Kテレビに関しては事実上、液晶に一本化したことになる。
登壇したSamsung Electronics America、PresidentのTim Baxter氏は、Samsungが4Kテレビの市場シェアの60%を抑えていること、2015年はその市場が4倍の成長が見込まれていることを紹介し、Samsungの(液晶の)4Kテレビがこれからも4Kテレビ市場のトップシェアを維持しながら業界を牽引していく未来像を語った。
現状、4KテレビはフルHDコンテンツを超解像化して楽しむことがメインとなっているが、ユーザーとしては「リアル4Kコンテンツの供給」に対する期待が非常に大きい。これに対する取り組みとして、Samsungは4Kコンテンツの標準化業界団体である「UHD Alliance」に参加したことをアナウンスした。
UHD Allianceは、解像度については4Kはもちろん、8Kまでを視野に入れ、ハイダイナミックレンジ仕様、広色域仕様、立体音響仕様までの次世代映像音声規格を検討する業界団体。構成メンバーにはDirecTV、Dolby、Netflix、パナソニック、Samsung、シャープ、ソニー、Technicolor、Disney、20世紀Fox、Warner Bros. Entertainmentなどの業界のキー企業が名を連ねている。
さらに、Samsung製の液晶4Kテレビを広色域化させた「S-UHD」というブランドを発表。S-UHDは量子ドット技術を用いた広色域化技術と説明されており、色域を従来の白色LEDバックライトシステムに対して64倍も広げることができ、色調整幅も2倍に広がるとされる。
なお、量子ドット(Quantum Dots)とは、入射してきた光を別の波長(色)の光に変換する量子力学レベルの現象を引き起こさせるナノスケールの半導体結晶素材のことで、既に、ソニーのTRILUMINOS Displayなどで採用実績がある技術だ。
スマートテレビ用OSに「Tizen OS」を採用。PlayStationNowにも対応
さらに、これからのスマートテレビのOSとして「Tizen OS」を採用していく方針を表明。Tizen OSとは、サムスン、インテル、NTTドコモなどが推進している情報家電向けのLinux系OSで、iOSでもAndroidでもない“第3の情報家電向けOS”として注目されているものだ。
ただ、従来のスマートテレビと変わらずビデオ・オン・デマンドサービスやアプリケーションマーケットシステムが提供されるため、一般的なテレビユーザー視点では、それほど大きなトピックには映らないかもしれない。
今回のTizen OS採用発表がらみで注目を集めていたのは、2015年のTizenベースのサムスン製スマートテレビに、クラウドゲーミングプラットフォームである「PlayStation Now」(PS Now)がサポートされたことだ。プレイステーションのゲーム機無しで、サムスン製のスマートテレビだけで、プレイステーション向けのゲームを楽しむことができるのだ。
バーチャルリアリティコンテンツの配信もスタート
プレスカンファレンスではスマートフォン関連の新製品発表は特に無かったが、昨年発表した、同社のスマートフォン「GALAXY」シリーズを組み込む事で、手軽にバーチャルリアリティ(VR)が楽しめる「Gear VR」に対して、VRコンテンツを提供していく計画が明らかになった。
「MILK VR」と名付けられたこのサービスは、360度のほぼ全周を撮影したビデオ(動画)をストリーミング配信するもの。「Gear VR」もしくは「Oculus Rift」を装着したユーザーは、このビデオの再生中、任意の方向の映像をリアルタイムで愉しむことが出来る。ゲームではないのでインタラクティブ性はないが、映像に飛び込んだような没入感が得られる。
4Kコンテンツだけでなく、VRコンテンツの配信までが始まるというのは、イノベイティブな出来事といえる。