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Astell&Kern、クレードルで家のオーディオとバランス接続できる新DAP「PD10」
2025年5月23日 11:00
アユートは、Astell&Kernの新製品として、ポータブルユースとホームユースを兼ね備える新ハイレゾ・デジタルオーディオプレーヤー「PD10」を、5月31日に発売する。価格は440,000円。DAPにドッキングクレードルが付属しており、外出時はDAPとして使い、帰宅後はクレードに設置すると、XLRでのバランス出力が可能。据え置きのオーディオ機器から、DAPの音楽を楽しむ事もできる。
「真のイノベーションを実現するためには、従来の手法とは一線を画すことが不可欠」とし、従来のDAPラインナップの制約を超えた、新たな試みとなる最初の製品になるという。
DAP部分には、AKMの最新DACである「AK4498EX」を搭載し、より繊細なサウンドを実現。迫力のある表現が得意なSwitched Resistor型電流出力のAK4499EXと異なり、Switched Capacitor型電圧出力を採用したAK4498EXは、高精細なサウンドが得意という。
さらに、デジタル信号を処理するプレミアムデジタルデータコンバーター「AK4191EQ」を2基と AK4498EX DACを4基使用し、デジタル信号処理とアナログ信号処理を完全に分離したHEXAオーディオ回路構造を搭載。
通常DAPは、DACの内部でデジタル信号とアナログ信号を一緒に処理するが、HEXAオーディオ回路構造により、入力されたデジタル信号のノイズをデジタルΔΣモジュレーターのAK4191EQで分離して低減。そこから最新DACであるAK4498EXでアナログ信号を分離して処理することで、デジタル信号処理とアナログ信号処理を物理的に分離。「驚異的なSN比を実現した」という。
また、これまでのDAPでは、アンバランス出力側とバランス出力側の両方に同一の内蔵DACを使っていた。DACからの信号はアンバランス出力側とバランス出力側に分割されてアンプ部に伝送されるため、オーディオスイッチが必須だった。
しかし、スイッチを使用する場合、DACから送られてきた信号を受信できる範囲に限界があるため、多くは、まず信号サイズを小さくし、アンプに信号を送り返す際に、元の信号サイズに戻す処理を行なっていた。
この限界を克服するべく、デジタルデータコンバーターのAK4191EQを2基、DACのAK4498EXを4基使用。このHEXAオーディオ回路構造により、アンバランス出力とバランス出力が独立。「真のデュアルDAC構造を実現」したという。
Astell&Kernが開発した、主要回路を一体化した究極のサウンドソリューション「TERATON ALPHA」も搭載。効果的な電源ノイズの除去、効率的な電源管理、歪みの少ない増幅により、オーディオ出力インターフェースを通して原音に近いオーディオ再生を実現するという。
PD10には、様々なイヤフォンやヘッドフォンが接続される事になるが、それを見越して、2つの異なるアンプを搭載し、「インピーダンス適応型デュアルアンプ」としている。
これは、接続するイヤフォンやヘッドフォンの平均インピーダンスを考慮し、それぞれのアンプに異なるサウンドチューニングを施したもの。「ノーマルゲインアンプ」は、繊細なディテールと純度の高い音質を再現し、原音を忠実に表現。
「ハイゲインアンプ」は、複雑でダイナミックなサウンドを得意とし、音声信号をより鮮明に表現。接続するイヤフォン、ヘッドフォンに合わせて、1台のDAPで様々なサウンドを楽しめるのが特徴。
そのデュアルアンプをオートで切り替える自動アンプマッチングモード「スマートゲイン」機能も搭載。イヤフォンやヘッドフォンを接続すると、接続されたレシーバーのインピーダンスを瞬時にチェックし、適切なアンプを自動的に設定する。
インピーダンスが平均32Ω以下のレシーバーはノーマルゲインに設定、バランス出力で最大5.5Vrms、平均32Ωを超えるレシーバーはハイゲインに設定され、バランス出力ベースで最大8.3Vrmsの余裕ある出力が得られる。
768KHz/32bit、DSD512までのネイティブ再生が可能。USB-DAC機能も備えている。音楽ストリーミングサービスアプリなどをインストールできる「Open APP Service」機能も用意する。
AKMのサンプルレートコンバーターAK4137EQを使ったデジタルオーディオリマスター(DAR))機能を搭載。再生する音源のサンプリングレートをリアルタイムにアップサンプリングして、音源フォーマットの限界を超えるために開発された。最大PCM 384KHz/DSD256に変換再生でき、変換はPCMかDSDどちらかを選択できる。
付属のドッキング型クレードルは、XLR出力に加え、USBポート経由で機器の充電とデジタル入力を同時にできる。PD10のクイックメニューからXLR出力を選択することで、クレードル背面XLR 3pin×2からバランスライン出力が可能。
設定でラインアウトオプションを有効にすることで、一定の出力レベルに設定することも可能。クレードル前面のLEDで、PD10のLEDと同じように、現在の再生曲のビット深度情報を表示する。
DAPのディスプレイは6型。デザインコンセプトは「Contrast Cube」。ステンレスとガラス素材を調和させたボディは、光の反射によってシンプルでありながら豊かな表情を演出。DAPの特性に合わせ、片手で簡単に操作できるよう設計された直感的なボタン操作ができる。
外形寸法は149.5×75.4×17.3mm(縦×横×厚さ)で、重量は約435g。内蔵ストレージは256GBで、microSDスロットも用意。最大2TBまでのカードが利用できる。出力は、3.5mm 3極アンバランス出力(光デジタル出力兼用)と、4.4mm 5極バランス出力。
クレードルはアルミニウム製で、126×166.4×97.1mm(幅×奥行き×高さ)、重量約565g。入力はUSB-C(PD10への充電&データ転送)、出力はXLR 3pin×2バランス出力。
DAPはiPhoneユーザー向けにAirPlayもサポート。5,770mAhの大容量バッテリーを搭載し、最大約15時間の連続再生が可能。
バンドルケースは、イタリアSynt3社のポリウレタン生地を使用。環境に優しい素材で、原材料から最終製品に至るまでリサイクル素材の使用を検証。耐久性に優れ、汚染にも強いという。