ニュース

4K/8Kなどディスプレイを多用途に提案するパナソニック

サッカーの戦略にセキュリティ映像技術を活用

 米国ラスベガスで1月6日(現地時間)より開催しているコンシューマエレクトロニクス展示会「2015 International CES」から、8KディスプレイやFirefox OS搭載の新VIERA、4K Blu-ray Discプレーヤーなどを展示していたパナソニックのブースをレポートする。

CX850シリーズの65型モデル「TC-65CX850U」

 ブース入口で注目されているのは、4KやHDR(High Dynamic Range)などの最新技術に対応したBDプレーヤーの試作機と、4K対応テレビの「CX850シリーズ」、Varicam 35などの「4K World」製品群。このBDプレーヤーは次世代BD規格「ULTRA HD BLU-RAY」での採用が予定されている4KやHDRなどに対応しており、デモではHDRと従来の映像を比較シミュレーションしたコンテンツを再生している。プレーヤーの試作機は、BDディスク部が上から見えるようにカットされた形状になっている。

4K/HDR対応のBDプレーヤー試作機
4K映像パススルー対応のサウンドバー(下)
ハイダイナミックレンジと、通常のダイナミックレンジのコンテンツ比較デモ
CX850シリーズはFirefox OSを搭載。4K映像配信サービスを利用できる

 また、同じく初出展で注目されているのは55型の8K液晶ディスプレイ試作機。55型のIPS液晶パネルを採用しており、4Kに高精細化したことで画素ピッチは「iPad miniと同等」(同社)まで狭まったが、開口率が下がって暗くなるのを防ぐためにセルの構造や駆動ドライブなどを見直した「IPS-Pro」を採用しているのが大きな特徴。パネル解像度は7,680×4,320ドット、フレームレートは120Hz、コントラスト比は1,500:1、視野角は178度、色域はDCI/Adobe RGB比でいずれも100%以上。

 55型にした理由の一つは、CAD用途でA1サイズを高精細表示したいというニーズが高いためだという。ブース内の特設ルームでデモ上映も実施しており、入場待ちの長い列ができるコーナーとなっている。ここでは、NHKの8Kスポーツ映像や、日本画、CADなどのコンテンツを再生している。なお、この55型8Kディスプレイと、有機ELテレビ試作機については、西川善司氏の「大画面☆マニア」で解説している

55型4K/IPS-Pro液晶ディスプレイ試作機
テーブル型の試作機も用意している
4K湾曲型有機ELテレビ試作機も展示している

 テレビ/ディスプレイは、製品そのものの機能だけでなく、用途提案を中心とした展示が多い。4K Worldと反対側の出入口では、業務用DLPプロジェクタ「PT-DZ13K」3台と、超短焦点レンズの新製品「ET-D75LE90」を組み合わせて人工の滝とプールの2面をスクリーンにするサイネージ風の展示を行なっている。これはホテルやテーマパーク向けのソリューションとして提案するという。また、「インテリアに調和したデザイン」の短焦点プロジェクタ“ウォールプロジェクション”も展示している。

滝とプールに映像を投写するデモ。上に1台、左右に各1台のプロジェクタを設置している
業務用DLPプロジェクタに、超短焦点レンズを組み合わせている
小型の短焦点プロジェクタを使った家庭向けのソリューション

 BtoB向けのコーナーでは、「4Kマルチ動画タッチサイネージ」を、ホテルの施設案内などで利用することを提案。クラウドサーバーを活用した複数動画と情報を85型/4Kの10点タッチ対応パネルで操作して、地図の中から行きたい場所を探すといった用途を紹介している。

85型4Kタッチディスプレイを使ったホテル用サイネージのデモ
タブレットで同じ画面を表示したものでもタッチ操作できる
ウィンドウ(窓)型のディスプレイ

 セキュリティカメラの技術を使った事例としては、スポーツのチーム戦略に動画の認識技術を活用する「Real-Time Sports Analytics System」を紹介。カメラ4台を組み合わせてサッカーのフィールドを64:9の横長映像で撮影し、各選手の動きを分析。高精度に各選手を認識/追従できることから、特定の時間帯の選手の移動距離、速さなどを後から確認でき、試合の戦略に役立てられるという。ドイツのソフトウェア企業SAPと協力し、これまでもサッカーW杯のドイツ代表選手が活用。高速かつ高精度にデータを処理できることから、「前半の映像データをハーフタイムで利用して、後半の作戦に活かせる」としている。

「Real-Time Sports Analytics System」の展示
4台のカメラで撮影して横長の映像に合成
選手の動きなどをチェックして戦略に反映できる
4Kで360度/180度撮影が可能なセキュリティカメラも展示

 ヘッドフォンの新製品としては、ハイレゾ対応モデルの「RP-HC800-K」や、防水仕様の骨伝導モデル「RP-HGS10」などを用意している。HGS10はネックバンド型で、骨伝導ユニットをこめかみの下あたりに触れるように装着することで、耳を塞がずに音楽を聴くことができ、スポーツ時などの安全に配慮した製品となっている。

ハイレゾ対応ヘッドフォン「RP-HC800-K」
ヘッドフォンは用途別にモデルを提案。ハイレゾ対応モデルは“Tech Junkie向け”
骨伝導ヘッドフォンの「RP-HGS10」
装着例
スピーカーは、QualcommのAllPlayに対応したマルチルームオーディオシステム「AC-ALL8」などを展示

 車載ソリューションとしては、フォードに納入予定のインフォテインメント(情報+エンタメ)システム「SYNC3」を搭載したデモカーを用意している。そのほか、SUVとミニバンの長所を持つというテスラの電気自動車「モデルX」、電動アシスト自転車「チタンフラットロードEB」なども展示している。

SYNC3を搭載したデモカー
ナビのインターフェイス画面
テスラの電気自動車「モデルX」
チタンフラットロードEB

(中林暁)