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8Kカメラ、8K/HDR、360度3D映像、4Kプロジェクタなど「Canon EXPO」で披露

 キヤノンのプライベートショー「Canon EXPO Tokyo 2015」が4日に開幕した。会期は6日までだが、入場には招待状が必要。Canon EXPOは5年に1度開催され、同社グループの製品やソリューションを一堂に展示。現行製品のほか、開発中の技術や未発表製品も数多く展示されている。2020年の東京オリンピックに向けた取り組みなども紹介している。

8Kカメラなどを展示していた「8K STUDIO」

 会場から、4K対応のLCOSプロジェクタや、8K/HDR対応ディスプレイやカメラなどを中心に、高機能なカメラやプロジェクタを活かしたソフトウェアやサービスなどをレポートする。なお、写真関連の展示は、僚誌デジカメWatchでレポートしている

4K対応LCOSプロジェクタを第2四半期に製品化

 同社は'16年に4Kプロジェクタ市場に参入予定で、第2四半期に発売するモデルの試作機を参考展示した。価格は未定だが、既に製品化している同社フルHDモデルより高価なハイエンドモデルとなる。自動車や飛行機のシミュレータ、美術館、博物館などでの利用を想定している。

4K対応LCOSプロジェクタ

 解像度は4,096×2,400ドットまで対応する。既存の4Kプロジェクタに比べて小型/軽量化したのが特徴。5,000ルーメンの高輝度で、約50〜120kgという既存製品に比べて大幅な軽量化となる20kg未満を目指して開発しており、天吊りも可能。投写画面サイズは600型まで対応し、80型は1mの距離で投写できる。仕様の詳細は明らかにしていないが、今回の展示ではDVI×4本で4K映像を入力して再生していた。

 試作機はスタンダードダイナミックレンジ(SDR)だが、ハイダイナミックレンジ(HDR)対応のための開発も続けているという。

側面

 もう一つの特徴は、内蔵するレンズのフォーカス調整機構により、別途レンズを追加しなくてもプラネタリウムのようなドーム型に映像を投写できること。従来の歪み補正技術を応用したものだが、光学的な処理のみで実現するため、ソフトウェアで映像処理した場合のような劣化が無く高画質な映像を楽しめるという。

 この4Kプロジェクタ4台を使った8Kシアターも用意。正面の185型スクリーンに背後から4Kプロジェクタ4台の映像を投写してソフトウェアでエッジをつなぎ合わせることにより8K映像を実現。さらに、視聴者を囲むように左右に同サイズのスクリーンを用意し、そこにHDプロジェクタ各1台で投写することで、映像に没入しやすくしている。左右の映像は意図的にぼかしたような処理を施すことで、前方に視点を合わせた状況を想定。走る列車の風景を見たり、ドアから実際の建物に入るような感覚を映像で味わえるようになっている。

天吊りも可能
4Kプロジェクタ4台などを組み合わせた8Kシアター
左右側面にも映像を投写

8Kカメラと8K/HDR対応ディスプレイ

 8K映像の撮影/表示が可能な業務向け「CINEMA EOS SYSTEM」のカメラやディスプレイも開発中で、試作機を参考展示。「8K STUDIO」というコーナーを用意し、8Kから4Kへのダウンコンバートや、4台のSSDレコーダへの記録など、映像制作現場でのワークフローを紹介している。

8K STUDIO

 CINEMA EOS SYSTEMの8Kカメラは、8,192×4,320ドット(有効画素数約3,539万画素)、スーパー35mm相当サイズのCMOSセンサーを搭載。8K/60fpsのフレームレート、13STOPのハイダイナミックレンジを実現。EFマウントを採用し、レンズはスタジオなどのライブ撮影用と、映画撮影用、市販のデジカメ用のそれぞれの利用シーンを紹介している。前述した4Kプロジェクタ使用の8Kシアターに使われている映像にも、この8Kカメラが使用されている。

8Kカメラのライブ撮影向けシステム

 試作機は既発売の4Kカメラ「C300 MarkII」をベースにして8K対応センサーを積んだもので、4K RAW出力を4系統装備。4台のSSDレコーダに出力して1つの8K映像にしたり、8K映像に出力することなどが可能。本体での記録には対応していない。製品化の時期や価格は未定で、今後の課題の一つは消費電力の低減が挙げられるという。

シネマ用にSSDレコーダを装着したスタイル
機動性を活かせる軽量レンズとの組み合わせも
3台のiPadをカメラと連携させ、タッチUIでフォーカスや各パラメータを調整しながら複数クルーで撮影するデジタルシネマソリューション

 8Kディスプレイは、HDRに対応した55型と30型の試作機を参考展示。輝度は55型が400nit、30型が600nitをカバーし、BT.2020の広色域に対応する。製品展示だけでなく、8K動画からの静止画切り出しや、静止画/動画コンテンツをルーペで拡大するといった形で高解像度の特徴をアピール。用途として医療現場での利用イメージなども紹介していた。

55型8K液晶
30型8K液晶
ルーペで拡大する展示も

 静止画向けとして、有効画素約1.2億画素の一眼レフカメラも開発。現行EOSシリーズのプラットフォームに、独自開発の高画素CMOSセンサーを搭載したもので、EFレンズが装着可能。「高画素撮影により、あたかも実物が目の前にあるような立体感あふれる質感・空気感・臨場感を再現することが可能。ポスターなど大きいサイズでのプリント出力はもちろん、撮影画面の一部を切り出すトリミングによる部分拡大でも、十分な解像感が得られる」としている。

1.2億画素のEOS

360度の3D映像を体感するハンドヘルドディスプレイ

 360度のバーチャルリアリティ(VR)映像と立体音響を楽しめるハンドヘルドディスプレイも参考展示。右目と左目に異なる映像を見せて3D立体視を実現するもので、体験展示向けに両手でバーを握って持つハンドヘルド型を採用している。

360度3Dハンドヘルドディスプレイの試作機

 5.5型液晶2枚にパソコンからの映像を表示しており、解像度は合わせて2,560×2,880ドット(538ppi)。視野角は120度。コンテンツは動画と静止画を用意。EOS 6D×6台や、IVIS mini×24台をそれぞれ開発中のリグに装着して撮影したものや、1台のカメラを回転して撮影した静止画をつなぎ合わせて作ったものを使用。

両手で下のバーを持つ。メガネをしたままでも装着できる
360度映像に囲まれたような体験ができる

 映像に立体音響も組み合わせているのが特徴で、市販の球形マイクで録音した音声をソフトウェア処理することで、見ている方向に合わせた音が聴こえる。デモでは、フラメンコを演奏している映像を再生。体験者を囲むようにしてダンサーやボーカリスト、ギタリストが配置され、顔を向けた楽器の音が正面から聴こえ、左右や後ろから聴こえている音の方に向くと、その音が正面から聴こえるようになった。

 製品化の時期は未定。今回の展示はハンドヘルド型だったが、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)など他の形状も検討しているという。

EOS 6D 7台をリグに装着
IVIS mini 24台での撮影も
通常のステレオヘッドフォンで立体音響が聴こえる
HMDを用いたVRシステムのMREALも体験可能。建設現場での問題発見などの活用を紹介

写真も4K動画も一括管理する「次世代Connect Station」

 デジタルカメラやデジタルビデオカメラの写真/動画を一括管理してテレビなどで表示できるキヤノンのストレージ製品「Connect Station」を発展させ、より生活に身近にした次世代の形も提案。

次世代「Connect Station」の試作機

 NFCやWi-Fiを備えたカメラとワイヤレス接続して写真や動画を転送できる点は既存モデルの「CS100」と同じだが、今回展示されたのはタブレットと連携して写真/動画の管理や活用を簡単にした点などが特徴。写真/動画を本体ストレージに保存するだけでなく、クラウド上に解像度を落としたバージョンもアップロードして、スマホなどで外出先でも見られるようにする。画像転送が終わると、カメラのワイヤレス充電を行なう。

 家のテレビで動画などを見る場合は、スマホをリモコンとして使うことで、コンテンツはConnect Station本体に保存された4K動画などの高画質なファイルを再生する。

 家族で1台のConnect Stationを使う場合でも、父親と母親、子供それぞれのアルバムを別アカウントで分けて管理でき、家族で見たいものだけ共有アルバムに入れることができる。写真をレーティングする場合は、タブレットのタッチ操作でサムネイルを上下に移動することでレーティングが設定でき、一定のレート以上の画像だけをテレビでスライドショー表示するといったこともできる。

カメラをのせるとNFCで連携し、画像を転送
テレビで静止画や4K動画などを再生
iPadアプリ画面

 この形をさらに発展させた未来のイメージ「Intelligent Imaging for Life」も紹介している。

 テーブルをディスプレイとして利用したもので、上にカメラやアルバム、フォトフレームなどを置くと、それに応じて写真を表示する。映像は天井からのプロジェクタで投写している。カメラをテーブルに置くと写真をワイヤレスで取り込み、同時にクラウドへアップロード。テーブルをタッチして、好きな画像を壁に向かってスワイプすると、壁面ディスプレイの大画面で写真や動画を家族などで楽しめる。

Intelligent Imaging for Lifeのテーブルにカメラをのせたところ

 紙のアルバムをテーブルに置くと、アップロードされた写真などをテーブル一面に表示して、そこから好きな画像を選んでアルバムに向かってスワイプすることで、自動でアルバム内の白紙の部分に画像をレイアウトしてフォトアルバムのように楽しめる。テーブル上に全画面表示された写真の上にフォトフレームを置くと、フレームの枠内に表示された部分をトリミングして、近くのプリンタにその画像を印刷、実際にフォトフレームに入れて飾れるようになる。こうした世界は、2020年ごろの実現を想定しているという。

映像は上からプロジェクタで投写
写真を選んでフォトブックを作成
「Intelligent Imaging for Life」でのフォトフレーム活用イメージ
フォトブックの活用

2.5億画素CMOSや、ISO 400万相当のフルサイズ超高感度CMOSセンサー

 約2億5,000万画素(19,580×12,600画素)のCMOSセンサーと、それを搭載したカメラも参考展示している。センサーの大きさはAPS-Hサイズ(約29.2×20.2mm)で、35mm判(フルサイズ)以下のセンサーにおいて世界最高画素を可能にした。回路の微細化や信号処理技術の進化により、秒間12億5,000万画素の超高速な信号読み出しを実現。毎秒5コマの動画撮影が行なえ、高感度/低ノイズ化も実現している。特殊監視や防犯機器、超高精細計測機器、産業機器、映像表現分野などへの応用などを検討している。

2.5億画素のCMOSセンサー
このCMOSを搭載したカメラの試作機

 このほかにも、ISO 400万相当を実現する超高感度35mmフルサイズCMOSセンサーと、これを搭載した超高感度多目的カメラ「ME20F-SH」を紹介。肉眼では見えにくい暗闇の中の風景も、わずかな光源で被写体を認識でき、カラーのフルHD動画が撮影可能。ME20F-SHは12月上旬に発売し、価格は300万円。

超高感度のフルサイズCMOSセンサー
超高感度CMOS搭載のカメラ実験機
既存の監視カメラを活用した新しいサービスも提案。フットサルのコートに設置された8台のカメラ映像を元に、ボールの支配率やパスの回数各選手の走行距離などを可視化するゲーム分析システムをオラクルと共同で開発
プロジェクションマッピングのショッピングでの活用。白いTシャツを着たマネキンに様々なカラーのユニフォーム映像を投写して、好みのデザインを選んで購入。ロゴの位置も変更できる
これまでの製品の歴史を振り返る展示。1934年の「KWANON」
8mmシネカメラ「8T」(1956年)。日本初のグッドデザイン賞を受賞
VLマウントを採用したレンズ交換式8mmビデオカメラ「LX-1」(1991年)
スタジアムなどにある監視カメラを用いて、トイレの混雑状況を教えるシステム。トイレまでの距離だけでなく、行列の進み具合などを見て最適なルートを表示。NECと共同で開発している
MREALを活用した「震災復興3Dアーカイブプロジェクト」によって映像で再現された第18共徳丸(気仙沼市)

(中林暁)