テレビの3D対応率は2015年に50%。富士キメラ総研予測

-裸眼3Dがメガネを逆転するのは2015年以降


 富士キメラ総研は24日、3D対応のテレビやPCディスプレイ、スマートフォンなどの世界市場調査(一部は国内市場)の結果を発表。このなかで、テレビの3D対応率は2015年で50%と予測した。

 同社は、3Dディスプレイ9方式、専用メガネなど関連製品やグラフィックカード/チップなどのデバイス7品目、3Dディスプレイ搭載または3D表示対応機器18品目、映画/テレビ放送/パッケージソフトなどコンテンツ/サービス11品目の各市場を調査/分析。今後の市場規模などを予測している。

 3Dメガネを使用する3Dディスプレイ(テレビ/PCディスプレイなどの合計)の市場規模は、2010年が533万台/2,062億円に対し、2011年の見込みは3,493万台/1兆2,185億円。また、2015年の予測は、1億6,746万台(2010年の31.4倍)/4兆1,024億円(同19.9倍)としている。

 偏光方式(パッシブメガネ使用)とフレームシーケンシャル方式(アクティブシャッターメガネ使用)の割合については、「パッシブ方式は、アクティブ方式に比べ解像度が落ちるものの、目の疲労を抑制できるほか専用メガネを含め低コストであるなどの優位性があり、今後採用が広がる見通し」と予測。2010年は数量ベースで98.1%がアクティブ方式だったが、2011年にはパッシブの構成比が33.2%に急伸すると見込んでおり、今後もパッシブ方式は30%前後の構成比を維持すると見ている。

 また、2012年以降には、RealDとSamsungが共同開発しているアクティブリターダ方式(RDZ)のテレビやPCディスプレイの登場が見込まれることから、方式間の競合が激化すると予測している。



■ 当面はメガネ使用の3Dが主流に

 裸眼3Dについては、一部スマートフォンの3D対応や「ニンテンドー3DS」の発売などで、2011年の市場は急激な拡大を見込んでおり、パララックスバリア方式の構成比が裸眼方式の98.3%(数量ベース)を占めると予測。2015年においてもパララックスバリア方式が裸眼方式の96.4%(同)を占めるとみている。将来的にはテレビやノートPCなど中大型でも採用が進み、2015年以降には3Dディスプレイ市場全体におけるメガネ利用/裸眼の構成比(数量ベース)が逆転すると予測している。

 2010年の3Dテレビ市場は、2010年が430万台(3D率2.1%)/9,200億円。2011年は、3,100万台(3D率13.9%)/4兆5,000億円と大幅な拡大を予測。その要因としては、30型クラスの中型の製品化や、液晶の120Hzパネル採用によるローエンド製品の拡充、オプション対応製品の増加などを挙げているほか、3D非対応製品との価格差が縮小しつつある点も指摘する。

 また、メガネの各方式の競合や、コンテンツ/サービスの拡充にも期待を寄せている。7月の地デジ完全移行(岩手、宮城、福島の3県を除く)の買い替え需要や、エコポイントによる押し上げが消えることからテレビ市場全体は大幅に縮小するものの、3D対応テレビはプラスになると見込んでいる。

 特に30~40型以上では3Dが標準化されると見ており、2015年には対応3Dテレビ市場規模が1億4,000万台(3D率50%)/8兆2,000億円と予測。ただし、価格や画質面などから、当面は裸眼ではなくメガネを使用する方式が続くと予測している。



(2011年 6月 24日)

[AV Watch編集部 中林暁]