ニュース

エプソン、3D画質やゲーム低遅延向上したプロジェクタ

ワイヤレスの「EH-TW8200W」やレンズシフト中級機

EH-TW8200W

 エプソンは、3D対応のフルHD液晶プロジェクタ「dreamio」3モデルを10月より順次発売する。いずれも、0.74型/フルHDの透過型高温ポリシリコン(HTPS)TFT液晶パネルを採用し、Wireless HDによるワイヤレスモデル「EH-TW8200W」とWireless HDを省いた「EH-TW8200」、レンズシフト機構を備えた中級機「EH-TW7200」の3モデルを用意する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は25万円~33万円前後。

新dreamio

 EH-TW8200W/8200は、2012年モデルのEH-TW8100W/8100をブラッシュアップし、コントラストや3D画質の向上、ゲームの表示遅延抑制などを図った2013年モデル。ET-TW7200は'12年の中級機TW6100W/6100で要望の多かったレンズシフト機構を取り入れた新モデル。

 同社のシアター向けフルHDプロジェクタは、この3モデルに加え、2012年発売のET-ET6100W/6100、8月31日発売のエントリー機「EH-TW5200」を加えた6モデル展開となる。

型番Wireless
HD
コントラスト比DEEP
BLACK
レンズ
シフト
直販価格
EH-TW8200W60万:132万円後半
EH-TW8200-29万円後半
EH-TW720012万:1-24万円後半
EH-TW8200
EH-TW7200

DEEPBLACK改善でコントラスト向上「EH-TW8200W/TW8200」

 上位モデルのEH-TW8200W/TW8200は、0.74型/1,920×1,080ドットの3D対応のC2FINE HTPS液晶パネルを採用。パネル世代はD9で480Hz駆動に対応する。輝度は2,400ルーメン。DEEPBLACK技術の改善により、コントラスト比を60万:1に向上した(従来モデルEH-TW8100は32万:1)。

EH-TW8200W
EH-TW8200
D9世代のフルHDパネルを搭載
EH-TW8200W。Wireless HDMIトランスミッタが付属する

 EH-TW8200WとEH-TW8200の違いは、Wireless HDへの対応。TW8200Wは本体にWireless HDのレシーバを内蔵するほか、別体のWireless HDのトランスミッタが付属。トランスミッタにBlu-rayプレーヤーやゲーム機などを接続することで、プレーヤーとプロジェクタ間の非圧縮無線映像伝送に対応する。

 Wireless HDユニットには、5系統のHDMI入力と1系統のHDMI出力を装備し、1系統は新たにMHLにも対応。MHL対応のスマートフォンなどの映像をプロジェクタに出力可能となった。HDMIのパススルーにも対応しており、プロジェクタを使用しない場合は、テレビ等へのパススルーが可能となっている。

 なお、EH-TW8200にWireless HDトランスミッタを追加して、Wireless HD対応とすることはできない。Wireless HDが必要な場合は、ET-TW8200Wを選択する必要がある。

Wireless HDトランスミッタ
5系統のHDMI入力を装備。1系統はMHL対応
EH-TW8200W

 その他の主な仕様は共通で、480Hzのパネル駆動技術「Bright 3D Drive」を搭載し、フレームシーケンシャル方式の3D表示に対応。明るい3D画質が特徴で、新たに3D映像における超解像(フレームパッキングのBlu-ray 3Dソフトのみ)や、3D映像時のフレーム補間に対応するなど、3D画質の改善を図った。ランプは230WのE-TORL。3Dメガネ「ELPGS03」も1台付属する。フレーム補間や超解像は従来同様に2D視聴時でも利用でき、DVDの高品位なフルHD再生も行なえる。

 2.1倍ズーム(F2.3-3.6)レンズを搭載。上下96%、左右47%のレンズシフト機能を備え、幅広い設置シーンに対応可能。フォーカス/ズームはマニュアル方式で、投写画面サイズは30~300型。6畳間でも80型や100型投写が可能としている。

 新たにゲームプレイ時などのフレーム遅延を抑制する「Fast mode」新搭載。高画質化処理のバイパスによる処理の高速化と、ゲームモード時に特化して各デバイスのタイミング設定値の見直しを行ない、遅延時間の高速化を実現するもの。リモコンについているFast/Fineボタンで切り替えでき、1フレーム近い高速化を実現したという。

EH-TW8200W背面
EH-TW8200背面

 本体側の入力端子はHDMI×2、D-Sub 15ピン×1、コンポーネント×1、コンポジット×1。トリガー端子やRS-232C端子を装備する。駆動音は最小22dB。消費電力は350W(待機時0.24W)。外形寸法は466×395×140mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約8.6kg(EH-TW8200W)/約8.4kg(EH-TW8200)。

レンズシフト対応のミドルクラス「EH-TW7200」

EH-TW7200

 要望が高かったというレンズシフト機能に対応したミドルクラスモデル。液晶パネルは、0.74型/1,920×1,080ドットの3LCDで、輝度は2,000ルーメン。コントラスト比は12万:1。

EH-TW7200
EH-TW7200背面

 TW8200シリーズとの違いは、DEEPBLACKやフレーム補間などの高画質化技術を省いたこと。ただし、2.1倍ズーム(FF2.3-3.6)レンズやレンズシフトなどはTW8200シリーズと同等で、480Hzのパネル駆動技術「Bright 3D Drive」や3Dにも対応。ランプは230WのE-TORL。3Dメガネ「ELPGS03」も1台付属する。投写画面サイズは30~300型。

 ゲームプレイ時などのフレーム遅延を抑制する「Fast mode」も搭載。本体側の入力端子はHDMI×2、D-Sub 15ピン×1、コンポーネント×1、コンポジット×1。トリガー端子も装備する。消費電力は350W(待機時0.24W)。外形寸法は466×395×140mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約8.4kg。

EH-TW8200WEH-TW8200EH-TW7200
パネル0.74型液晶/1,920×1,080ドット
輝度2,400ルーメン2,000ルーメン
コントラスト比60万:112万:1
レンズ2.1倍マニュアルズーム(F2.3-3.6)
Wireless HD--
映像入力HDMI×2、コンポーネント×1、アナログRGB(D-Sub15ピン)、
コンポジット×1
制御端子RS-232C、トリガー、USBミニ
騒音レベル22dB
ランプ230W E-TORL(UHE)
消費電力
(スタンバイ時)
350W(0.24W)
外形寸法
(幅×奥行き×高さ)
466×395×140mm
重量約8.6kg約8.4kg

 また、3Dホームシアタープロジェクタの体験イベントも11月2日から11月10日まで実施。会場は東京スカイツリーイーストタワー5階の「スペース634」で、3Dホームプロジェクター新商品を体験可能とする。入場は無料で、詳細は後日公表する。

ローエンドを強化。4Kは未定

エプソン販売 中野修義 販売推進本部長

 エプソン販売 取締役 販売推進本部長の中野修義氏は、プロジェクタ市場でナンバーワンシェアを持つエプソンの今後の販売戦略について説明した。今後注力する市場については「高光束」、「ビジネスインタラクティブ」、「文教/電子黒板」、「ローエンド」の4つ。

 大会議室などで用いる高輝度プロジェクタ市場である「高光束」については、「パナソニックの独壇場だったが、'12年以降その一角をとれた。まだシェアは12%と小さいが、'13年はシェアを20%に引き上げる目標。エプソン唯一の未開拓市場だが、この領域を伸ばしていく」とした。

 「インタラクティブプロジェクタ」は、特にビジネス向けを強化。「文教市場では従来から販売されていたが、ビジネス向けの販売数は少ない。市場を開拓していく」という。実際の導入事例では、研修や教育現場のほか、大学での導入が増えているとのこと。「文教」は電子黒板を2020年度までに全国約46万の学校施設に導入するという文部科学省の教育整備方針に基づき、市場伸長を予測。ビジネスの拡大を図る。

 「ローエンド」は、8月29日発売の5万円台のWXGAモデル「EH-TW410」などを中心に、ビジネスだけでなく家庭でも使える製品を訴求。ゲームやホームシアター用途での大画面体験を訴求していく。

 ホームシアター機の展開については、上位機の「EH-TW8200W/8200」、ミドルクラス「EH-TW7200」、エントリー機「EH-TW5200」とともに、ローエンドの「EH-TW410」も含め、ラインナップを強化。「あらゆる層に訴求し、幅広く展開することで市場を開拓したい」とした。新モデルの1年間の販売目標は7,000台。

ローエンドを強化
ホームプロジェクタ市場概要
注力するホームシアター領域
セイコーエプソン ビジュアルプロダクツ事業部 渡辺潤一事業部長

 プロジェクタ全体では、2010年の世界市場規模が800万台で、エプソンのシェアは26%。今後900万台規模への拡大を見込んでおり、拡大市場の中で成長を図っていく(セイコーエプソン ビジュアルプロダクツ事業部 渡辺潤一事業部長)とした。

 4Kのプロジェクタ展開については、「研究開発を進めている」とするものの、現時点で製品化の予定はない。「テレビでは4K化が進んでいるが、プロジェクタの4Kは、デバイスだけでなく、光学系などでも難易度が高い。検討はしているが、いつ、どういう形で出すかという結論には至っていない。4K放送がスタートすれば盛り上がると思うが、今後も研究を進めていく」(セイコーエプソン ビジュアルプロダクツ事業部 小西正祐 VI企画設計部長)。

 また、他社プロジェクタで導入が進むレーザー光源については、「将来の光源の一つ。ただし、今の段階では商品化には早く、特に価格、性能面でまだパフォーマンスがでない。時期を見て、必要な時に商品化する準備をしている」(セイコーエプソン ビジュアルプロダクツ事業部 小川恭範 VI企画設計部長)と説明。高光束モデルのさらなる高輝度化については、「将来的には2万ルーメンぐらいを狙いたい」とした。

ビジュアルプロダクツ事業部 小西正祐 VI企画設計部長
エプソン販売 柳田 貴之 VP MD部 部長

(臼田勤哉)