ニュース

ソニー、ハイレゾ追求した最上位ウォークマン「ZX1」

電源/クロックなど強化し、音質追求。実売75,000円

NW-ZX1

 ソニーは、音質に徹底的にこだわった設計で、24bit/192kHzまでのハイレゾ楽曲に対応したウォークマン最上位モデル「NW-ZX1」を12月7日より発売する。内蔵メモリ容量は128GBで、価格はオープンプライス。店頭予想価格は75,000円前後。カラーはシルバーのみ。

 10月19日発売のNW-F880シリーズでも、24bit/192kHzハイレゾに対応し、新開発S-Master HXアンプを搭載するなどで音質強化しているが、NW-ZX1シリーズはピュアオーディオのノウハウなどを集約し、徹底的にポータブル環境での音にこだわったフラッグシップモデル。アルミ削り出しのフレームや、大型コンデンサの採用などによる電源強化、専用クロック発振器搭載などで、差別化を図った。

 また、F880シリーズと比較すると、デジタルノイズキャンセリングやFMラジオなど機能が省かれている。これは、音質への影響を極力排除するため、とのこと。また、ハイエンドユーザーの利用を想定しているため、ヘッドフォンも付属せず、ユーザーが好みのものを接続できるようにした。

 ソニーでは、量子化ビット数24bit、サンプリングレート96kHz以上の楽曲を「ハイレゾ」と分類し、それらのファイルに対応し、かつ同社の音質規準を満たした製品について「Hi-Res」ロゴを付与。NW-ZX1はウォークマン最上位モデルとして展開する。

NW-ZX1NW-F880
容量128GB16/32/64GB
アルミシャーシ-
アンプS-Master HX
再生可能ファイルFLAC、WAV、AIFF、Apple Lossless、
MP3、WMA、AAC、HE-AAC、ATRAC
NFC/Blutooth
デジタルNC
FMラジオ
-
付属ヘッドフォン-EXヘッドフォン
店頭予想価格75,000円27,000円(16GB)
30,000円(32GB)
40,000円(64GB)

高剛性シャーシや電源強化など「ピュア」な音質改善

 オーディオプレーヤーとしての主な機能はF880シリーズと共通だが、より音にこだわり、シャーシや電源、オーディオ回路を専用設計とした。

 シャーシは、アルミ削りだしフレームをベースとし、高剛性かつ不要な振動による音質への悪影響を低減。ヘッドフォン駆動用に大型のコンデンサを搭載したため、背面下部には膨らみがあるが、外装のラバーグリップにより、手に馴染む素材感を実現したという。なお、ヘッドフォンアンプとの併用時などに利用する背面用スペーサーも同梱する。ヘッドフォンジャック部も円筒形の真鍮切削パーツで包み込み、より強固に固定する。

側面にボリュームボタン
大型コンデンサ内蔵のため背面が膨らんでいる
ヘッドフォンジャック部も専用パーツを採用

 DACには専用のクロック発振器を使用。高精度クロックを供給することで、内部演算回路の精度を向上させ、歪率やノイズの低減を図った。電源も大型コンデンサ(OS-CON)の採用により、力強い中低音を実現。電池接続に低抵抗のケーブルや保護回路を採用した。また、デジタルアンプの不要なノイズを取り除くため、フィルムコンデンサを採用するなど信号回路のブラッシュアップを図っている。

 高品位パーツの採用や、振動の徹底した抑制など、基本的なアプローチは「ピュアオーディオ的な手法」と物量によるものだが、こうしたアプローチにより、音質の向上を図っている。

24bit/192kHzハイレゾ音源対応。WM-Portのデジタル出力も

 ディスプレイは4型/854×480ドットの「トリルミナスディスプレイ for mobile」液晶で、一枚ガラス板のような仕上げの「オプティコントラストパネル」となっている。OSはAndroid 4.1。

NW-ZX1の再生画面

 24bit/192kHzのFLAC、Apple Lossless、WAV、AIFFなどのハイレゾオーディオファイルに対応。ただし、DSDには対応せず、対応音楽フォーマットは、FLAC、Apple Lossless、AIFF、WAV、MP3、AAC、WMA、ATRACとなる。AIFFやApple Lossless、AAC、MP3でも曲間無しの「ギャップレス再生」に対応する。楽曲管理ソフトはMedia Go Ver.2.5以降。ヘッドフォン出力は15mW×2ch(16Ω)。

 ハイレゾ音源ではCDの3~6.5倍の情報量を持つ。そのために、電源やアンプ、高音質化処理などの各領域で強化を図っている。

 上記の通り、電源の強化、回路のブラッシュアップ、高音質パーツの採用などが、F880シリーズとの違いだが、独自のデジタルアンプ「S-Master HX」や音質補間技術「DSEE HX」搭載などの基本機能は共通となっている。S-Master HXは、カップリングコンデンサを除去することで、低域の制動性を高め、キレの有る低音を実現している。

 DSEE HXは、圧縮音源でも高域などを補間し、高音質再生するもの。従来のDSEEでは、16bit/48kHzまでの処理を行なっていたが、DSEE HXでは、16bit/48kHz処理から、24bitにビット拡張し、さらに192kHzにアップサンプリングし、圧縮ファイルでも内部では24bit/192kHzで処理を行なう。これにより、圧縮で消えがちな微小な音の再現性を高めたとする。

 本体には、ボリュームのほか、再生/停止、曲送り/戻しボタンを装備。画面を見ずに、オーディオプレーヤーとしての基本操作を行なえる。

 プレーヤーアプリの「W.ミュージック」は、ハイレゾ楽曲に対応。TOPページとなるマイライブラリー内に好きな曲やアルバム、アーティストのショートカットを作成可能にした。また、W.ミュージックでの楽曲検索機能も利用できる。

 パソコンや外部機器と接続する際に利用する「WM-Port」は、デジタル音声出力に対応。ポータブルアンプ「PHA-2」などの対応機器にデジタル信号のまま出力可能になった。NW-ZX1のほか、NW-F880のWM-Portもデジタル音声出力に対応する。

Bluetooth/Wi-Fi/NFC対応

 OSにはAndroid 4.1。Google Playによるアプリ追加に対応するほか、YouTubeやGmail、Google Map、Webブラウザなどの標準アプリに加え、ソニー独自のW.ミュージックや、ビデオプレーヤー、フォトビューアなどを搭載する。本体にはスピーカーも内蔵し、xLOUDにより低音を強化して、再生できる。

 IEEE 802.11a/b/g/nの無線LANや、Bluetooth(A2DP/AVRCP/OPP/HID)に対応する。機能面の特長としては、NFCリーダ/ライター機能を搭載。NFC対応スピーカーとワンタッチするだけで、Bluetoothのペアリングから接続までを一気に設定できる。切断もワンタッチで行なえる。

 定額制音楽配信の「Music Unlimited」アプリや、音楽配信「mora」、電子書籍の「Reader」などのアプリを搭載。DLNAやDTCP-IPもサポートする。

 パソコンからの楽曲転送はドラッグ&ドロップと、管理/転送ソフト「Media Go Ver.2.5」に対応。本体メモリ内にMedia Goを内蔵している。Media Goでは、24bit/192kHzのハイレゾファイルの楽曲管理などが可能で、FLAC形式でのリッピングも行なえる。

 バッテリ駆動時間については測定中としている。外形寸法は122.8×60.7×15.3mm(縦×横×厚み)、重量は測定中。付属品はUSBケーブルやスペーサー、キャリングポーチなど。ヘッドフォンは付属しない。

(臼田勤哉)