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マランツ、PCノイズカットしたUSB DAC/SACD「SA8005」

約13万円。瞬時電流供給能力高いハイレゾ向きアンプも

USB DAC/SACDプレーヤー「SA8005」

 マランツは、デジタルアイソレーションシステムを採用したUSB DAC/SACDプレーヤー「SA8005」と、ステレオプリメインアンプ「PM8005」の2機種を1月上旬に発売する。価格は各135,975円。

USB DAC/SACDプレーヤー「SA8005」

 2010年発売「SA8004」の後継モデルとなる、USB DAC/SACDプレーヤー。10月から発売している「SA-14S1」(252,000円)など、上位モデルで採用しているPCからのノイズを排除するアイソレーションシステムなど、USB DACまわりの技術や思想を踏襲しているのが特徴。

 USB DAC機能は新たにDSDの2.8/5.6MHzに対応。ASIOドライバによるネイティブ再生と、DoP方式の両方をサポート。PCMデータは、最大24bit/192kHzまでの入力に対応。アシンクロナス(非同期)伝送が可能で、PC側のクロック・ジッタに左右されない、ジッターフリー伝送を実現している。対応OSはWindows XP/Vista/7/8と、Mac OS X 10.6.3以降。Windowsでは専用ドライバのインストールが必要。

「SA8005」の内部

 USB DAC部には「デジタル・アイソレーションシステム」を採用。「SA-14S1」などに搭載されている「コンプリート・アイソレーション・システム」と似た名称だが、「コンプリート」は、高速デジタルアイソレーターを用いて、USB B入力インターフェイスとデジタルオーディオ回路間の信号ラインとグラウンドも電気的に絶縁。ノイズの回り込み、グラウンド電位の変動を排除するもの。

 一方、「SA8005」の「デジタル・アイソレーションシステム」は、この思想を踏襲しているが、絶縁する段階が異なり、DIRの後ろ、DACの直前で一括して絶縁。具体的には、USB A/Bと光デジタル、同軸デジタル入力を搭載したデジタルオーディオ回路基板と、アナログオーディオ回路(DACはアナログボードに搭載)の間に高速アイソレーターを入れて絶縁。信号だけでなく、アースラインもコンダクタのコイルを使って絶縁。アナログ回路を高周波ノイズから保護すると共に、USBだけでなく、光/同軸デジタルや、光学ドライブからのノイズも一括して遮断している。

デジタルオーディオ回路基板
、アナログオーディオ回路基板

 入力端子はUSB A、USB Bと、光デジタル/同軸デジタルを各1系統搭載。光/同軸デジタルのどちらも、24bit/192kHzまでをサポートする。なお、USB Aと光/同軸デジタルからの信号は、ジッタリデューサーによりジッタを低減してからDACに送られる。また、24bit/192kHzの出力が可能な同軸/光デジタル出力も各1系統備えている。

 フロントに備えたUSB A端子には、iPhone/iPodが接続でき、デジタル伝送で高音質な再生ができるほか、iPodの充電も可能。

 DACはシーラスロジックの「CS4398」を採用。クロックには低位相雑音クリスタルを採用。44.1kHz系、48kHz系、それぞれに専用のクリスタルを搭載する事で、入力信号のサンプリング周波数に最適なクロックを供給。ジッタを抑制している

 DAC以降のアナログステージには、フルディスクリート構成のオーディオ回路を採用。独自の高速アンプモジュールHDAM、HDAM-SA2を採用し、電流帰還型フィルターアンプ兼送り出しアンプを構成している。

 また、ハイスルーレートオペアンプとHDAM-SA2バッファによって構成されたヘッドフォンアンプも採用。メインのアナログオーディオ出力回路との相互干渉を抑制し、安定した再生ができるという。また、従来型の回路と比べ、出力インピーダンスを低くし、勢いのある再生を実現したとする。

光学ドライブ

 光学ドライブには、最新型のオリジナルメカエンジンを採用。スピンドルシャフトを短くする事で、高速回転時のディスクのブレを抑制。読み込みの精度を高め、サーボの負荷やエラー訂正処理を軽減。トレーには制振性の高いザイロンを使用。表面に防振塗装を施し、2mm厚の鋼板を使ったベースでメインシャーシに固定している。

背面

 電源部には大容量トロイダル型トランスを搭載。漏洩磁束を抑えるために、垂直方向の磁束漏れを抑えるアルミ製ショートリングと、水平方向の磁束漏れを抑える珪素鋼板シールドで2重にシールド。メカエンジン、デジタルオーディオ回路、アナログオーディオ回路、ディスプレイ、それぞれブロックごとに専用の二次巻線を用い、後段の整流回路や平滑回路も独立させている。

 消費電力は29W。待機時電力は0.2W。外形寸法は440×341×106mm(幅×奥行き×高さ)。重量は8kg。

ステレオプリメインアンプ「PM8005」

プリメイン「PM8005」

 フルディスクリート構成の電流帰還型増幅回路をプリ部とパワーアンプ部に採用したプリメイン。SNに優れ、低歪を実現。プリ、パワー、トーンコントロールの各ブロックは独立しており、左右チャンネルの等長/並行配置を徹底している。定格出力は70W×2ch(8Ω)、100W×2ch(4Ω)。

 最大の特徴は、瞬間的に供給できる電流の量を強化した事。電源部の強化や、ショート・パワーラインレイアウトの採用、回路のディスクリート化、低インピーダンス化などにより、回路全体を最適化。パワートランジスタ、ドライバートランジスタ、出力段用電源のダイオードの電流容量を向上させ、瞬時電流供給能力を「PM8004」から80%アップ。25Aから45Aとなった。これにより、バスドラムや大太鼓のような、急峻に立ち上がり、かつ大きなエネルギーを必要とする低音がリアルに再現可能。微細な音も再生でき、ハイレゾソースともマッチするという。

 CD入力専用バッファと、その他のライン入力用バッファにはHDAM-SA2を搭載。バッファアンプによって、入力信号を忠実に伝送。メインの増幅回路でもオペアンプは使わず、オリジナルのディスクリートアンプモジュールの「HDAM-SA2」と「HDAM-SA3」を使用している。ここには、低歪でSN比に優れた、フェアチャイルド・セミコンダクターのトランジスタを全面的に採用。「聴感上の駆動力や音楽の表現力を向上させた」とする。

 電源部には大容量トロイダル型電源トランスを搭載。「SA8005」と同様に、漏洩磁束を抑えるために、垂直方向の磁束漏れを抑えるアルミ製ショートリングと、水平方向の磁束漏れを抑える珪素鋼板シールドの2重シールドを採用。固定用ボルトは非磁性体の真鍮とすることで、磁界ループを遮断。ブロックコンデンサは、ニチコン製で、マランツ専用カスタム品を採用。大容量と高速な電源供給能力を両立させたという。出力段用電源回路のブリッジダイオードの容量は、従来品の2倍となる20Aになっている。

コンスタント・カレント・フィードバック・フォノイコライザー

 Phono入力も装備。NFB型、CR型の課題を克服したという、オリジナルの「コンスタント・カレント・フィードバック・フォノイコライザー」を搭載。低域から高域までサウンドキャラクターが変化しないという。また、終段のHDAM-SA型送り出しバッファ部の出力電流を倍増させ、「よりダイナミクスのあるアナログレコード再生を可能にした」という。

 BASS/MID/TREBLEのトライ・トーンコントロールを採用。スピーカーターミナルはA/Bの2系統装備。端子のコア部は真鍮削り出しで、金メッキを施し、直径5mmまでのケーブルに対応。Yラグ、バナナプラグも利用できる。全ての入出力端子は金メッキ仕上げ。

背面

 メインシャーシに加え、1.5mm厚黒色塗装鋼板を2枚重ねた3層構造シャーシを採用。シャーシの剛性を高め、電源トランスやパワーアンプブロック、基板を強固に支持している。

 入力端子はアナログRCA×5、Phono(MM)×1、パワーアンプダイレクト×1。出力端子はRECアウト×1、プリアウト×1、ヘッドフォン出力×1。リモートバス(RC-5)入出力も備えている。消費電力は220W。待機時電力は0.2W。外形寸法は440×379×128mm(幅×奥行き×高さ)。重量は12kg。

(山崎健太郎)