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4Kテレビの平均単価が初めて30万円を切る。BCN調査

レコーダはW杯などの影響少なく伸び悩み

 BCNは11日、2014年のデジタル家電市場について、増税前駆け込み購入とWindows XPのサポート終了によるPC買い替え需要が貢献し、前年比6.1%増になるとの予測を発表。1~3月の増税前駆け込み購入による"貯金"が4~6月の反動減を補い、'14年累計ではプラスになる見込みとした。一方、'14年4月~'15年3月までの年度ベースで試算すると累計はマイナスに転じることから、市場はゆるやかに回復しつつあるが、本格的な回復へは時間がかかるとの見通しを示した。

デジタル家電市場の年間動向実績と予測(暦年ベース)

 BCNの市場分析は、家電量販店など全国22社、2,432店舗(2014年6月現在)のPOSデータを集計したBCNのデータをもとに行なっている。Amazonなどを中心としたネット店舗のデータも加味した形で前年同月比を算出。メーカー直販店の売上は含まれない。発表データ内の金額は全て税抜きとなる。

6~9月はマイナス幅が減少。本格回復はまだ先

道越一郎アナリスト

 デジタル家電の販売金額前年同月比を示すBCN指数は、駆け込み購入後の反動減の底となった6月に96.1を記録したが、7月は97.6、8月は98.8とマイナス幅が縮小してきており、「前年並みの水準まで、あと一歩のところまで回復している」(BCNアナリスト・道越一郎氏)という。現在の市場動向をもとにした9月~12月までの累計販売金額の予測は、'13年比106.1%と前年を上回る見込みで、1~3月の駆け込み特需の"貯金"が年末まで残るという。Windows XPのサポート終了に伴うPCの特需分を除外しても、前年比103%になると試算している。

発表の概要
BCN指数の推移

 一方、2014年4月~2015年3月までの年度ベースで試算を行なうと、'14年1~3月までの特需を含まないことから、前年度比8.4%減の91.6%になる見通し。道越氏は、「市場は2011年8月から続いてきた地上デジタル特需の反動減から立ち直りつつある"病み上がり"の状態。直近の数値を見ると回復傾向にあるが、長期的な視点ではまだまだ本格回復には時間がかかる」との見方を示した。

年間動向実績と予測(暦年ベース)
年間動向実績と予測(年度ベース)

テレビは比較的好調。レコーダはW杯などの影響少なく伸び悩み

レコーダの販売金額・台数前年同月比と平均単価

 試算した2014年の累計販売金額をカテゴリー別に見ると、液晶テレビが前年比116.8%、PCが117.6%で、ともに2桁増となっている。液晶テレビは、大型化や4K対応テレビなどの高単価商品が拡大していることから安定した推移を見せているが、PCは好調なタブレットPCを除くと、デスクトップ・ノート型とも減少傾向が続いており、Windows XPサポート終了による買い替え特需後の反動の影響から抜け出せていないという。

 冬季オリンピックやサッカーW杯による録画需要増が期待されたレコーダは105.3%の見込みで、「大きなイベントによる録画需要への効果はそれほど見られなかった」(道越氏)という。デジカメは100.5%で、「テレビなどに比べ、駆け込み特需による恩恵が少なかった」としている。

4K対応テレビの平均単価が初めて30万円を切る

液晶テレビの販売金額・台数前年同月比と平均単価

 8月の液晶テレビの販売台数は前年同月比103.6%で、駆け込み需要の反動が表れた4月以来、初めてプラスとなった。販売金額は同110.3%で4カ月連続のプラスとなっている。

 4K対応テレビの売上は4月以降拡大が続いているが、8月はテレビ全体における販売構成比の伸びが台数・金額ともにゆるやかになったことから、一服感が出たと見ている。8月の4K対応テレビの販売金額構成比は14.9%で、台数構成比は3.2%。50型以上に限ると、金額構成比38.9%、台数構成比21.9%となっている。40型台の比較的小さな画面サイズのモデルが市場に出てきたこともあり、4K対応テレビ全体の平均単価は29.4万円と、初めて30万円を下回った。

4K対応テレビの販売台数・金額の比率
4K対応テレビのメーカー別販売シェアと平均単価

(一條徹)