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Aurisonics、14.2mmダイナミックとBA 2基のハイブリッドイヤフォン。無線イヤモニも試作
(2014/10/24 09:40)
完実電気は、米Aurisonics(オーリソニックス)製品の国内での取り扱いを開始し、イヤフォン3モデルを11月7日に発売する。14.2mm径ダイナミックドライバ×1とバランスド・アーマチュア(BA)ドライバ×2を搭載したハイブリッド仕様の「ASG2.5-RED」と、14.2mm径ダイナミック×1、BA×1の「ASG1PLUS-BLACK」、5.1mm径ダイナミック×1の「ROCKETS」をラインナップ。価格はオープンプライスで、店頭予想価格はASG2.5-REDが74,000円前後、ASG1PLUS-BLACKが49,800円前後、ROCKETSが27,500円前後。
Aurisonicsは、2011年に米国ナッシュビルで設立されたブランド。「ASG2.5-RED」は、同社のユニバーサルシリーズのフラッグシップモデルとなるカナル型(耳栓型)イヤフォン。14.2mm径のダイナミックドライバ1基と、BAドライバ2基を搭載。低域ボリュームの調整機構も備え、好みの帯域バランスに調整可能。調整には付属のマイナスドライバを使用する。
イヤーピースは熱で変形するというサーモプラスティックエラストマー製で、耳の中に入れると体温で変形し装着性を高めるという。ASG2.5のほか、全モデルで同素材のイヤーピースを採用している。再生周波数帯域は8Hz~25kHz。インピーダンスは41Ωで、感度は123dB(1kHz)。ケーブル長は約1.2mで交換も可能。重量は約20g。4サイズのイヤーピースが付属する。
「ASG1PLUS-BLACK」は、14.2mm径ダイナミックドライバとBAドライバを各1基搭載し、「ワイドレンジかつ自然な音色を実現する」という。再生周波数帯域は8Hz~25kHz。インピーダンスは11Ωで、感度は120dB(1kHz)。ケーブル長は約1.2mで交換も可能。重量は約20g。4サイズのイヤーピースが付属する。
「ROCKETS」はロケットのようなデザインを採用した、5.1mm径ダイナミックドライバ搭載のイヤフォン。ハウジングはチタン製で、ケーブルには耐久性の高いケブラー素材を使用。IP65相当の防水性能も備える。イヤピースの下にトリタブというパーツを備え、装着時にグリップのような役割を果たしてイヤフォンが抜けるのを防ぐという。再生周波数帯域は18Hz~22kHz。インピーダンスは16Ωで、感度は105dB(1kHz)。ケーブル長は約1.2m。重量は約22g。4サイズのイヤーピースが付属する。
このほか、ASG用交換ケーブル「IEH-WIRE-BLACK」(オープン/店頭予想価格6,480円前後)や、サーモプラスティックエラストマー製イヤピースなどのアクセサリも販売する。
商品名 | 型番 | 対応機種 | 店頭予想価格 |
---|---|---|---|
ASG用交換ケーブル | IEH-WIRE-BLACK | ASGシリーズ | 6,480円前後 |
SureSeal tips S(3ペア) | SST-S2 | ASGシリーズ ROCKETS | 2,300円前後 |
SureSeal tips M(3ペア) | SST-S3 | 2,300円前後 | |
SureSeal tips MP(3ペア) | SST-S4 | 2,300円前後 | |
SureSeal tips L(3ペア) | SST-S5 | 2,300円前後 | |
ハードケース | S3HSC | 3,000円前後 | |
ROCKETS用トリタブ(1ペア) | TRITABS | ROCKETS | 1,500円前後 |
ROCKETS用アンチループ(1ペア) | ANTILOOP | 1,500円前後 |
NASAでヘッドセット開発した社長がフィット性を追求。両耳ワイヤレスの「Auris」も
Aurisonicsは米国テネシー州ナッシュビルに本社を構えるオーディオブランドで、社名はラテン語で耳を意味するAurisと、英語で音などを意味するsonicを合わせたもの。高いフィット性と遮音性を特徴とするカナル型のカスタムイヤモニやユニバーサルタイプのイヤフォンを中心にラインナップし、製品のクオリティを追求するため、全ての製品をナッシュビルの自社工場で生産している。
製品の説明を行なったAurisonicsのDale Lott社長は、80年代にロックミュージシャンとして活動し、その後マスタリングエンジニアに転身。ロックバンド「REOスピードワゴン」などの作品に携わっていたという。さらに、NASAやアメリカ陸軍で、ヘッドセットなどのコミュニケーションシステムの開発にも参加。軍隊在籍時には、開発のため2,000を超える耳のCTスキャンデータを採取しており、その経験から耳にフィットするイヤフォンの開発に至ったという。
Aurisonicsの製品はフィット性を重視しており、イヤーピースも自社で開発したものを全モデルで採用している。Lott社長は、「フィット性や音質チューニングの面でイヤピースはとても重要なパーツだが、多くのメーカーは他社で作ったOEM品を使用している。Aurisonicsでは、一般的なシリコン素材は使わず、サーモプラスティックエラストマーという熱で変形する素材を使ったものを自社で開発した。これは、耳の中に入れると体温で変形し、フィット性を高める効果がある」と説明した。
今回日本で発売される3機種については、「ASG2.5は低域を強調した迫力のあるサウンドで、ロックやヒップホップ向き。低域の調整機構を備えており、ダクトを開閉することで低域を調整できる。個人的には、ダクトを少し開いたくらいが好み」と説明。ダイレクトドライバ1基とBAドライバ2基を搭載したハイブリッドタイプだが、ネットワークを使用せず、チューニングだけで仕上げているのも特徴としている。なお、低音調整には付属のマイナスドライバを使用する。
「ASG1PLUSはニュートラルなサウンドで、オーディオマニアに向いた音。音楽のジャンルを選ばず何にでも合う。ROCKETSは小さなボディからは想像できない音質で、人に聴かせると驚かれる。音質はナチュラルで、クラシックやピアノ、ギターなどのアコースティックな音楽にマッチすると思う」とのことだ。
なかでも自信作としているのはROCKETSで、「チタン製ボディで耐久性に優れ、防水性も高いのが特徴」と語ると、ROCKETSのケーブルを引っ張ったり、製品を壁に投げて足で踏みつけるパフォーマンスを披露。さらに、水の入ったコップにイヤフォンを沈めたまま音楽を再生し、コップを耳元に近づけて「ほら、この状態でも音楽が聴こえる。個人的には軍用レベルの耐久性があると思う」と自信を見せた。
また、日本展開を記念したサプライズとして、現在開発中の試作品「Auris」も初披露された。これはBluetooth接続のワイヤレス型イヤモニで、片方がマスターとなり、もう片方を制御。左右のイヤフォンと音楽プレーヤーは、それぞれが完全にワイヤレスに接続されるという。ユニットはROCKETSと同じ5.1mmのダイナミックドライバ1基を搭載する。Lott社長は、「小型のボディに先端の技術を詰め込んでいる。Aurisのサウンドが世界を変えると思うので、期待して待っていて下さい」と語った。
完実電気によると、今回発表されたユニバーサルモデルに限らず、カスタムイヤモニの展開も計画中だという。また、10月25、26日に、東京の中野サンプラザで開催される「秋のヘッドホン祭」に、ASG2.5-RED、ASG1PLUS-BLACK、ROCKETSの3機種を出品する。