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Dolby Atmos対応タブレット「Fire HDX 8.9」は11月4日発売

Kindle国内開始2年で、電子書籍は5倍の25万冊に

 Amazon.co.jpは、11月4日に発売するタブレット「Fire HDX 8.9」や、電子書籍端末の最新モデル「Kindle Voyage」などを披露し、Kindleの最新情報について紹介する説明会を10月29日に開催した。Dolby Atmosへのタブレット初対応などFire HDX 8.9の新機能を説明するとともに、国内開始から2年となったKindleストアの現状や、今後予定する新サービスなどを紹介した。

Amazonの新タブレット「Fire HDX 8.9」

 また、Kindleダイレクト・パブリッシング(KDP)で今年最も活躍した著者を表彰する「KDPアワード」の創設を発表し、授賞式も開催。第1回目は高城剛氏が受賞し、高城氏をゲストとしたトークセッションも行なわれた。

Dolby Atmos対応「Fire HDX 8.9」など。米国発売のスティック端末は「ノーコメント」

 Fireタブレット新機種のうち、最上位モデルのFire HDX 8.9は、8.9型/2,560×1,600ドット液晶を搭載。筐体は既存の8.9型モデルと同じサイズで薄さ78mm、375gだが、CPUやグラフィック性能なども高めている。16GB/32GB/64GBの3モデルを11月4日より発売し、税込価格は16GBが40,980円、32GBが47,180円、64GBが53,280円。

左が最上位機種のFire HDX 8.9。右は7型のFire HD7

 さらに、Dolby Atmosにタブレットとして初対応。Dolby Atmosコンテンツを再生してヘッドフォンで聴くと、立体的な音響を楽しめるのが特徴。対応のビデオについては「Amazonインスタントビデオ」での対応を予定。開始時期は明らかにしていないが、「劇場公開されているDolby Atmos対応の映画作品は、Amazonインスタントビデオ配信のコンテンツについても、順次Dolby Atmos対応にしていく」としている。

 また、カスタマーサポートの新機能「Mayday」にも対応。これは、使い方が分からない場合などに、「Mayday」ボタンをワンタップするだけで、専門知識を持った日本人スタッフが画面上に現れ、ビデオ通話を通してユーザー端末を遠隔操作したり、画面上にしるしをつけて、質問に答えるというもの。ユーザーからスタッフの顔が見えるが、ユーザーの顔はAmazon側には見せないようになっている。利用にはインターネットに接続した無線LAN環境が必要。

 なお、7型/1,280×800ドット液晶と1.5GHzクアッドコアCPUを搭載した「Fire HD 7」や、6型/1,280×800ドット液晶と1.5GHzクアッドコアCPUを備えた「Fire HD 6」も発売されている。

Dolby Atmosコンテンツの再生デモ
「Mayday」の画面。右下に表示される担当者と会話しながらサポートを受けられる
Fire HD7

 電子ペーパーの書籍端末は、従来のKindleの上位モデルとなる「Kindle Voyage」を発売。6型で精細度300ppiのe-Inkディスプレイ(Carta)を装備。特徴は、ページめくりボタンとして圧力センサーを採用した点。ページ送り時に指をタッチセンサー部から離さず、手に持ったまま軽く押し込むことで連続してページ送りができる。ページ送りボタンの上に戻しボタンも備え、同様の押し込み操作でページを戻せる。ページをめくった後はかすかな振動で動作を伝達する。また、周囲の明るさに応じた画面輝度の自動設定にも対応した。

Kindle Voyage
ページ送り/戻しボタンは、指を離さなくても力の加減で連続してページがめくれる
明るさの自動調整に対応

 英語学習向けに、英単語を説明する「Word Wise」も近日提供予定。対応作品を読んでいるときに、文章中の1つの単語に対して、英英辞典のような英語の解説を表示する。解説の対象となる単語の多さは、設定により増減できるため、ユーザーごとの習熟度に合わせた表示が可能になるという。

Word Wiseにより、特定の単語に英文で解説が加えられる
設定で表示数を減らすと、同じページでも解説の数が減る

 なお、米Amazonでは、テレビとHDMI接続してAmazonのビデオコンテンツや各種ネットサービスを利用できるHDMIスティック端末「Fire TV Stick」を27日(現地時間)より発売しているが、この製品の日本での展開については、「現時点ではコメントできない」としている。

Kindleストア開設から2年で電子書籍は5倍の25万冊に

アマゾン ジャパン バイスプレジデント Kindle事業本部 事業本部長の玉木一郎氏

 日本で電子書籍のKindleストアがオープンし、端末が発売されたのは2年前の10月25日。アマゾン ジャパン バイスプレジデント Kindle事業本部 事業本部長の玉木一郎氏は、この2年間を振り返りつつ、Kindleの最新状況について説明した。

 Kindleストアの10月25日時点の日本語書籍タイトルは、総数が開始当初の5万冊から5倍の約25万冊へと増加。コミックは当初の1.5万冊から6倍の約9万冊となった。同社が行なったアンケートでは、購入のきっかけとして「電子書籍に興味があった」や「Kindle端末を購入したから」という意見が多かったという。このように先進的なユーザーが多い一方で、KindleのテレビCMから興味を持った人は少なかったことから「まだ日本の市場は始まったばかり」と玉木氏は見ている。

 読まれているジャンルは小説が最も多く、ビジネス書やコミックが続いている。利用シーンは、通勤/通学中や、就寝前、リビングでの利用といった回答が多かった。Kindleの魅力としては、場所を取らない、紙よりも低価格、多くの本を持ち歩けるといった意見が大半を占めた。

 また、デビューしていない作家や、紙の本では実現しにくい企画など、様々な著者や作品に出版の機会を提供する目的で始まった電子出版サービス「Kindleダイレクト・パブリッシング(KDP)」は、十市社の「ゴースト≠ノイズ(リダクション)」など、KDPをきっかけに紙の出版に結び付いた例を紹介した。

 KDPで出版した著者の中から、今年最も活躍した人を表彰するという「KDPアワード」も創設。第1回目は、「黒本」と「白本」をKDPで上梓した高城剛氏が受賞し、会場で授賞式も行なわれた。高城氏は「これまで活動する中で、メディアや表現方法をいろいろと変えてきた。電子書籍はこれからきっと成長する。新しいメディアにこれからも真剣に取り組みたい」と述べた。

高城氏のKDP書籍「黒本」と「白本」は、これまでメルマガで読者との間で交わされたQ&Aの内容を再編集したもの。高城氏は玉木氏とのトークセッションで「出版社には“しがらみ”があって、書けないことが多く、面白さがなくなる。KDPで出した結果、読者から『毎月出して』と要望があった。できれば1年に1回は出したい」とした
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(中林暁)