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スピーカー出力でヘッドフォンをバランス駆動するOlasonic。新プレーヤー「PAWGold」も

 161ブランド以上が参加、500種類以上のイヤフォン、ヘッドフォン関連製品の試聴ができるイベント「第六回ポータブルオーディオフェスティバル2014」(通称:ポタフェス)が開幕。12月20日、21日の2日間、東京・秋葉原のベルサール秋葉原で開催し、入場は無料。ここではOlasonicやTOP WINGのブースをレポートする。

会場はベルサール秋葉原

Olasonic

 Olasonicブースの注目は、小型オーディオ・NANOCOMPOの新モデルで、USB DAC内蔵プリメインアンプ「NANO-UA1a」……なのだが、その隣に置かれた小さなアダプタも見逃せない。「バランス出力アダプター」と名付けられたもので、スピーカードライブ用のアンプ「NANO-UA1a/UA1/A1」のスピーカー出力を変換し、ヘッドフォンをバランス駆動するためのユニークなアダプタだ。

左側に置かれているのが「バランス出力アダプター」

 通常のスピーカー用アンプの出力は、ヘッドフォンをバランス駆動する事はできないが、Olasonicの「NANO-UA1a/UA1/A1」ではそれが可能かもしれないと技術者が考え、試作したところ非常に音が良かったため、イベントに出展したという。そのため、現時点で製品化は未定で、来場者からの反応を参考にしているという。

 試作機では、ソニーのヘッドフォン「MDR-Z7」で採用されている、3.5mmステレオミニ×2本のバランス出力と、MMCXのバランス出力を2系統備えている。

NANO-UA1aのスピーカー出力とアダプタが接続されている
アダプタの前面にはステレオミニ×2、MMCX×2のバランス出力端子

TOP WING

 TOP WINGブースの目玉は、北京informediaのオーディオブランド・Lotoo(ロトゥー)のハイレゾ対応ポータブルプレーヤー「PAWGold」。12月19日に発売されたばかりで、実売は263,888円前後。informediaは、スイスのオーディオメーカー、NAGRAのポータブルレコーダなどをODMで設計から担当。“NAGRAの血統”をアピールした高音質プレーヤーとなる。

Lotooのハイレゾポータブルプレーヤー「PAWGold」

 内蔵メモリは非搭載。SDHC/SDXCもサポートするSDカードスロットを備え、最大2TBまでのカードが利用可能。PCからの楽曲転送用にUSB 3.0(Micro B)を備えており、高速な転送が可能。

 筐体は航空機グレードのアルミニウム合金を使い、ディスプレイは1.8型の有機EL。ディスプレイの表面にはサファイアガラスを使っている。DACチップはバーブラウンの「PCM1792」。音楽ファイルはWAV/FLAC/APE/ALAC(Apple Lossless)、AAC、MP3、WMAなどをサポート。PCMデータは192kHzまでの再生に対応。DSDもサポートしており、5.6MHzまでのネイティブ再生に対応する。

 また、iFI-Audioの「Stereo 50 Retro System」も展示。USB DACやBluetoothレシーバ機能、アンプなどを搭載した一体型ユニットと、ブックシェルフ型スピーカーで構成するコンポで、セットでの予定価格は28万円程度、本体のみでは16万円程度、スピーカーのみでは14万円での発売を予定している。発売時期は2015年2月下旬を目指している。

 会場では、アコースティックリバイブ製というスピーカースタンドも参考展示。フロア型だけでなく、デスクトップ設置用のスピーカーボードも用意。「Stereo 50 Retro System」の発売と同時期の製品化が予定されている。

iFI-Audioの「Stereo 50 Retro System」
アコースティックリバイブ製のピーカースタンド
デスクトップ設置用のスピーカーボードも

Blue Ever Blue

 シースピリッツのブースでは、20日に発売を開始した米Blue Ever Blueのイヤフォン・ハイエンドモデル「Model 1001」を展示している。ハイエンドモデルながら、価格は10,530円(税込)とリーズナブル。

Model 1001

 Blue Ever Blue初の4桁型番のモデルで「新たなチャレンジを多く盛り込んだ野心作」とする。ダイナミック型ユニットを採用し、Blue Ever Blueの特徴であるHDSS(High Definition Sound Standard)技術を搭載。ETL(Embedded Transmission Line)モジュールと呼ばれる特殊な部材をハウジング内や振動板の背後に設置する事で、内圧を温度変化や再生中の音、残響、定常波の有無に依らずに一定に保ち、振動板の正確な動作を補助。自然な音と、広がり、心理的ストレスを緩和した音が得られるという。

 「Model 1001」では、このETLモジュールを初めて2個搭載。従来モデルよりワイドレンジ化した周波数帯域(16Hz~20kHz)において、クリアな音質を実現したとする。ユニットサイズは、既発売の「Model 868B」や「Model 878」の10mmより小さな8mm径。

 さらにその上位機種として「Model 2001」というモデルも開発中。ダイナミック型の2ドライバと2 ETLモジュール構成で、高音域の伸びやかさをアップさせる事を目的に開発が進められている。価格は15,000円程度のイメージで、リケーブルにも対応予定。

 また、2015年春には「Model 866B」の後継機種となる「Model 833」も発売予定。価格は3,000円台を予定している。

「Model 2001」の試作機。デザインやリケーブル用の端子は変更になる可能性がある
2015年春発売予定の「Model 833」

オンキヨー

スポーツ向けイヤフォン「IE-S100シリーズ」

 2階のオンキヨーブースでは、DSD対応ハイレゾポータブルプレーヤー/アンプの「DAC-HA300」や、「HF Player」のアップデート情報に注目が集まっているが、同社は地下1階にもブースを展開。補聴器などで知られるシーメンス ヒアリング インスツルメンツ(シーメンス)と共同開発しているスポーツ向けイヤフォン「IE-S100シリーズ」を参考展示している。

 '15年春の発売を予定。リモコンマイク付きの「IE-S100CTI」と、リモコン無しの「IE-S100」をラインナップする。独特の形状をしたハウジングが特徴。耳かけ式の装着となる。ドライバは超小型の6mm径ダイナミック型で、耳穴に近い先端部分にマウント。ハウジング内部には、発泡素材を用いたアコースティック・レゾネーター(共振体)を装備。発泡素材の採用により高域部分を効果的に共振させ、低域にマスクされない高域特性を実現したという。バスレフポートも備えている。

radius

小型のDAC搭載ヘッドフォンアンプ「RK-LCH61」

 ラディウスブースでは、Android OSでハイレゾ再生が可能な小型のDAC搭載ヘッドフォンアンプ「RK-LCH61」を展示している。12月下旬発売で、価格はオープンプライス、店頭予想価格は2万円前後。

 USBオーディオ出力に対応したスマートフォンに接続し、高音質なヘッドフォン出力が行なえるAndroid OS専用ヘッドフォンアンプ。DACにはWolfsonの「WM8740」を搭載し、最高96kHz/24bitまでのハイレゾ音源に対応する。DSDには非対応。オペアンプは、TIの「LMH6642」。ヘッドフォン出力(ステレオミニ)を装備し、入力はマイクロUSBのみ。

ハイレゾ再生対応アプリ「Ne PLAYER」

 組み合わせるハイレゾ再生対応アプリとして、「Ne PLAYER」を提供予定(有料)。対応OSはAndroid 4.1以降で、Android 4.4以降での利用を推奨している。12月下旬にGoogle Playで提供予定で、価格は提供開始時に案内するとしている。

 対応フォーマットは、192kHz/24bitまでのFLAC/WAVと、WMA/MP3/AAC/HE-AAC/OGG Vorbis。

 ハイレゾビジュアライザーを搭載し、画面上に曲のサンプリングレートとDACに出力されているサンプリングレートを表示。2つのサンプリングレートが一致しない場合(スマホの本体再生時など)は、差分をグレー表示する。ラディウスでは、Ne PLAYERとRK-LCH61の組み合わせで「最高のパフォーマンスを引き出す」としている。

 他にも、写真撮影はできなかったが、低音再生を重視したNeブランドのイヤフォン2機種も参考展示。VTF11/21というモデル名で、来年の発売を予定。1万円程度での販売が予定されている。

タイムロード

Edition8 Romeo Red-I
ULTRASONEと松屋がコラボした「ウルトラ丼(ドーン)」

 タイムロードブースの目玉は、独ULTRASONEのヘッドフォン「Edition8 Romeo」の別注モデル「Edition8 Romeo Red-I(レッドアイ)」。12月20日より発売しており、価格は22万6,000円。

 タイムロードのULTRASONE製品取扱10周年を記念した別注モデルで、20セット限定販売。イヤーカップのインレイに、タイムロードのコーポレートカラーである真紅の塗装を施し、黒基調の本体とのコントラストを演出。日本限定のアニバーサリーモデルとなっている。

 なお、1階の食事スペースには松屋が出展。牛めしなどが食べられるが、ULTRASONEと松屋がコラボしたメニュー、その名も「ウルトラ丼(ドーン)」が登場。ドイツのソーセージ料理、ジャーマンカレーを模したスペシャル牛めしとなっている。

ハーマンインターナショナル

 ハーマンインターナショナルがアピールしているのは、12月10日から発売している、スポーツイヤフォンブランド「yurbuds(ヤーバッズ)」の製品。ベーシックな「INSPIRE」シリーズ3製品、耳かけパーツを備えた「FOCUS PRO」、小型で女性向けの「INSPIRE PRO FOR WOMEN」、「INSPIRE FOR WOMEN」を用意。全6モデルとなる。価格はオープンプライスで、直販価格は2,500円~5,500円。

yurbudsのシリーズ
INSPIRE DURO
インナーイヤホンに、耳穴に挿入しやすい独特の形状の柔らかいイヤーピースを組み合わせている

 トライアスロンやマラソンなどのアスリート経験者が、理想とするスポーツイヤフォンを作るために2008年に立ち上げたブランドで、2014年6月にハーマンインターナショナルに買収された。

 ユニットは全モデルダイナミック型。耳から抜けにくく、長時間快適に使用できる事をコンセプトとして開発。独自のイヤーピースをひねりながら耳に挿入することで、下向きにかかる力を耳珠と対耳珠で支え、運動中でも落下しにくくする「TWISTLOCK(ツイストロック)テクノロジー」が使われている。

ハーマンは1階にも出展。JBLのカーオーディオ機器を搭載した試乗車を用意し、カーオーディオの魅力もアピールしている

その他

 台湾のブランドChord&Majorのイヤフォン。 「Major7’13 Jazz」(19,800円/税込)、「Major6’13 Ballad」(22,680円/税込)、「Major8’13 Rock」(19,800円/税込)、「Major9’13 Classical」(21,680円/税込)などをラインナップ。モデル名の末尾にあるように、それぞれのモデルが音楽のジャンルに合わせてチューニングされているのが特徴。

 各モデル、異なる木材をハウジングに採用。ケースなども含めて、デザイン性の高さも特徴となる。会場では、今後発売を予定している新モデル「Major5’14 World」(22,680円/税込)も展示。ワールドミュージックに最適化されたモデルで、伝統楽器の生録音など、ダイレクトで生々しいサウンドの再生が得意だという。

「Major5’14 World」
既発売のシリーズ
中央のシルバーの筐体がLove Harmonyの「AX-W3MKII」。オーディオ機器やヘッドフォン用の消磁器で、その技術をベースにしたギター用モデルが右上の紫色の「DP-G1」
フロンティアファクトリーのブースでは、Klipschのラインナップをアピール
audioquestのブースでは、2015年1月のCESで発表予定の、同社初ヘッドフォン「NightHawk」のパネルを掲示している
ヤマハは会場内にイヤフォン/ヘッドフォンを展示するだけでなく、1階の入り口付近にMotoGPの参戦マシン「YZR-M1」を展示

(山崎健太郎)