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Technics、20万円のオールインワンオーディオ「OTTAVA」、FLACリッピングサーバーも
(2015/9/30 13:52)
パナソニックは30日、Technicsブランドのオーディオ新製品を国内で発表。オールインワンシステムの「OTTAVA SC-C500」と、ヘッドフォン「EAH-T700」を2016年1月22日に発売する。価格はSC-C500が20万円、EAH-T700が9万円。ヘッドフォンについて詳細は別記事で紹介している。
なお、IFA 2015ではミドルクラス「Class G30」やアナログターンテーブルも発表されているが、日本での具体的な発売日や価格がアナウンスされたのは「OTTAVA SC-C500」と「EAH-T700」のみとなる。Class G30シリーズとターンテーブルは、発表会の会場に参考展示されており、どちらも2016年度内の日本発売が予定されている。
OTTAVA SC-C500
オールインワンシステム「OTTAVA SC-C500」は、メインユニットと縦型のスピーカーで構成するシンプルなシステム。
メインユニットは小型だが多機能で、天面にCDプレーヤーを搭載、アンプを内蔵するほか、USB DAC機能、DLNAのネットワークプレーヤー機能(DSD 5.6MHz、PCM 192kHz/24bit対応)、無線LAN機能、Bluetooth受信、AirPlay機能もサポートしている。アンプ部にはフルデジタルの「JENO Engine」を採用する。
天面のCDプレーヤー部は、透明のCDカバーを装備。指でカバーを開き、CDを設置、再び指でカバーを閉じるという流れで、アナログレコードのような再生までの一手間をあえてかける事で、音楽を楽しむ時間を演出しているという。
USB DACとして動作する際は、DSDは5.6MHzまで、PCMは192kHz/32bitまでの再生に対応。USBメモリに保存したWAV/FLAC/AIFF/AAC/ALAC(Apple Lossless)/WMA/MP3、DSDの再生も可能。この際はDSD 5.6MHz、PCMは192kHz/24bitまでの対応となる。
DLNAプレーヤーとしても動作。USBメモリ再生時と同様に、DSD 5.6MHz、PCMは192kHz/24bitまでの再生が可能。Bluetooth受信の際は、AAC/SBCコーデックに対応する。
スピーカーとは、専用ケーブルで接続。バイアンプ構成になっており、内蔵アンプの定格出力は、ウーファ用が40W×2ch、ツイータ用が10W×2ch(いずれも4Ω)となっている。
リファレンスクラス「R1」シリーズでも採用された、フルデジタルアンプ「JENO Engine」を使っており、フルデジタルで全て処理を行なうことで、低ジッタでの伝送、処理が可能という。各インターフェースラインのジッター対策、ノイズ遮断を徹底した「Digital Noise Isolation Architecture」、「Battery Driven Clock Generator」、「スピーカー負荷適応処理LAPC」も採用している。
入力端子はUSB、PC用USIB、光デジタル、Ethernet。前面にはステレオミニのヘッドフォン出力も用意する。
スピーカーにも特徴がある。縦に長いデザインで、内部に8cm径のウーファを2基搭載。1基は地面に向けて、もう1基は天面に向けて配置し、ユニットの前にはディフューザーを装備。低音を拡散させつつ、対向配置になっており、ユニット同士の振動を互いにキャンセルしている。
さらに、中央部分にはスパイラルアコースティックチューブを搭載。小型ながら豊かな低音再生ができるという。
ツイータは、100kHzまで再生できるものを前方と左右の側面に向けても搭載。合計3基内蔵しており、ツイータの前にはホーンも配置。広い指向性を実現する事で、正面だけでなく、真横など、自由な位置が音楽が楽しめるという。
メインユニットの外形寸法は360×248.5×91mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約3.9kg。スピーカーは110×110×277mm(同)で、重量は約1.9kg。
アナログターンテーブルやリッピングサーバーも
Class G30シリーズは、リファレンスモデル「R1シリーズ」と、プレミアムシリーズ「C700」の中間に位置付けられる、新しいシリーズ。ネットワークプレーヤーとUSB DAC機能を内蔵したアンプ「SU-G30」と、CDのリッピングと蓄積、DLNAサーバー機能を内蔵した「ST-G30」という2モデルで構成される。
アンプのSU-G30はデジタルアンプで、R1シリーズのアンプにも使われている、高速で超低ON抵抗のGaN-FET Driverを搭載。「JENO Digital Engine」も採用。「Battery Driven Clock Generator」なども搭載している。
プレーヤーとしては、DLNAでPCM 192kHz/24bit、DSD 5.6MHzまで、USB DACとしてはPCM 384kHz/32bit、DSD 11.2MHzまでの再生が可能。
ST-G30は一見するとCDプレーヤーだが、内部にSSDを搭載(容量は未定)。CDからWAV/FLACでリッピングを行ない、SSDに蓄積。DLNAサーバーとして動作し、SU-G30などにLAN経由で音楽を配信するミュージックサーバーとして機能する。
また、昨今のオーディオ向けNASと同様に、USB DACを直接接続する事も可能。ST-G30ともUSBで接続でき、保存したハイレゾファイルをUSBケーブルでシンプルに伝送する事ができる。
アナログターンテーブルの新モデルは、銘機「SL-1200」などと同様にダイレクトドライブ方式を採用。しかし、モーター部分のコイルの巻き方を含め、全てを一から見直し、ダイレクトドライブのターンテーブルを再定義するようなモデルになっているという。
展示された試作機は、このモーターが良く見えるようになっているが、実際の製品では大きくデザインが変更される予定で、今回のモデルは「コンセプトやメッセージを伝えるためのもの」と位置づけられている。価格帯も含めて詳細は未定。
C700シリーズのスピーカーに新色
同軸ユニットを採用した、C700シリーズのスピーカー「SB-C700」に、ブラックモデルが追加される事も明らかになった。11月13日発売で、型番は「SB-C700-K」。価格はペアで158,000円。
オーディオファンだけでなく「音楽愛好家」にも
パナソニック役員で、アプライアンス社 Technics事業推進室の小川理子室長は、発売中のR1シリーズ、C700シリーズの販売が好調である事、R1はリスニングルームを持つハイエンドマニア層に、C700は40~60歳代のTechnicsファンに人気があると説明。パナソニックセンター東京と大阪に設置したリスニングルームも、2014年10月のオープン以降、累計12,000人の来場者があったという。
一方で小川室長は、こうしたオーディオファンに向けた製品だけでなく、オーディオに詳しくはないが、音楽を良い音で楽しみたいという「音楽愛好家」に向けた製品を投入する重要性も説明。そうした層に向けて、より手軽に楽しめるオールインワンシステムやヘッドフォンを投入するとした。
また、ドイツ出身のピアニスト、アリス=紗良・オットさんのビデオメッセージを上映。アーティストが大切にしており、感情を込めているという、音と音の“間”を、Technicsのオーディオシステムが再生できているといったコメントを紹介した。
さらに、ジャズシンガーのakikoさんをゲストに招いての生ライブも開催。トークショーではakikoさんと小川室長が、音楽との出会いや、音に対するこだわりなどを話し合い、akikoさんはオールインワンシステム「OTTAVA SC-C500」について、「こんなにコンパクトでシンプルな可愛いモノから、こんなに良い音が出るんだとビックリした。スピーカーは大きくてゴッツイものが多いから敬遠しがちでしたが、インテリアにマッチして、女性でも気軽に良い音が楽しめるシステムになっているのが嬉しい」とコメント。小川室長も、“男性の趣味”というイメージが強いオーディオを女性にも広げていく事が、幅広い層への普及にも繋がると語った。