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コンデンサイヤフォンに小型アンプMojo、週末の“ヘッドフォン祭”見どころピックアップ

 東京・中野にあるAV機器の専門店フジヤエービックのデジタルスタイルショップが主催する「秋のヘッドフォン祭 2015」が、10月24日(土)と25日(日)の2日間、東京・中野の中野サンプラザで開催される。入場は無料。

 各社がこのイベントに合わせて新製品を発表しており、会場ではそれらが体験できる。また、イベントでの新製品発表も予定されている。ここではそうした新製品情報の中から、特に注目のものをピックアップする。

Shure

 イヤフォンの注目は、Shureが22日に発表したばかりの「KSE1500」だ。イヤフォンながらコンデンサ型で、しかもポータブルタイプ。駆動するための専用アンプがセットになっており、アンプにはUSB DAC機能も搭載している見どころの多いモデルだ。価格はオープンプライスだが、店頭予想価格も36万円前後とハイエンド。発売は2015年12月末~2016年1月頃が予定されているが、それに先駆けて、気になるサウンドをイベントで体験できる。

コンデンサ型イヤフォン「KSE1500」

 同モデルからUSB DAC搭載アンプ部のみを抜き出し、コンデンサ型以外の通常のイヤフォンをドライブできるようにしたポータブルアンプ「SHA900」も11月中旬に発売予定。店頭予想価格は12万円前後。発売中のイヤフォン「SE846」を最適にドライブできるアンプとしても訴求されており、Shureのイヤフォンユーザーを中心に注目モデルと言えるだろう。

SHA900

Astell & Kern/Chord

 ポータブルアンプ最大の注目モデルは、英Chord ElectronicsのDAC搭載ヘッドフォンアンプ「Mojo(モジョ)」だ。11月14日発売で、価格はオープンプライス。直販価格は73,440円(税込)。

ChordのDAC搭載ヘッドフォンアンプ「Mojo」

 Astell & Kernの製品を取り扱うアユートが、10月からChordのモバイル用製品の輸入代理業務を担当。その第1弾モデルが「Mojo」となる。USB DACの人気モデル「Hugo」をコンパクトにしたような製品で、DACには、Xilinx(ザイリンクス)のAtrix7 FPGAを採用。独自のアルゴリズムを用いて、PCMは最大768kHz/32bit、DSDは11.2MHzまで再生する。ダイナミックレンジは125dB。

 アユートブースでは、イヤフォンとヘッドフォンの注目モデルもある。Astell & Kernとbeyerdynamicのコラボモデルで、イヤフォンの「AK T8iE ブラック」(11月下旬発売/直販税込み149,980円)と、ヘッドフォンの「AK T1p」(価格・発売日未定)だ。

 1テスラ(=10,000ガウス)を超える強力な磁束密度を生み出すテスラテクノロジーを、イヤフォンに投入したのが「T8iE」。テスラヘッドフォンの特徴であるリング型マグネットをイヤフォンにも採用。ダイナミック型で、口径は11mm。振動板は1/100mmと薄く加工されている。再生周波数帯域は8Hz~48kHz。

イヤフォンの「AK T8iE ブラック

 ヘッドフォンの「AK T1p」は、beyerdynamicのフラッグシップヘッドフォン「T1 2nd Generation」(インピーダンス600Ω)を、AKとのコラボで、32Ωと低インピーダンス設計とし、ポータブルオーディオプレーヤーに最適化したもの。リングマグネット内に生ずる高い磁束密度により、高い再現力をドライバーユニットにもたらすTESLAテクノロジーも進化させ、第2世代TESLAテクノロジーにより、さらなる高解像度再生を実現するという。

ヘッドフォンの「AK T1p」

 AK関連では、10月20日からiriverが展開するハイレゾ音楽配信サービス「groovers」がスタートしている。このサービスは、PCなどで楽曲が購入できるほか、今後、第二世代以降のAKプレーヤーから直接ハイレゾ楽曲を購入できるようになるという。

 なお、10月24日11時30分~12時30分まで、中野サンプラザの6階チャペルにて発表会も開催。前半にAstell&Kern AK T1p、後半にgrooversの紹介が行なわれる予定。

 また、10月24日の14時、25日の13時から15階のリーフルームでは、シンガポールのイヤフォンブランド「DITA」新製品紹介も予定されている。

城下工業のSound Warriorが新製品を展示

 城下工業が手掛けるSound Warriorブランド、その小型コンポシリーズ「SW Desktop-Audio」の新製品として、今後発売が予定されているモデルが会場で展示予定。

真空管バッファを採用したヘッドフォンアンプ「SWD-HA10」試作機と、ヘッドフォンSW-HP10のバランス・ハイレゾ対応モデル試作機「SW-HP20(仮称)」

 「SWD-HA10(仮称)」は真空管バッファを採用したヘッドフォンアンプ。入力はアナログRCA×1、出力は標準プラグ×1に加え、XLRバランスを1系統備えている。

 最大の特徴は、プリ段に真空管「12AU7」を搭載している事。パワー部はD級アンプを使い、出力は15W×2ch(4Ω)。最大出力は100mW(40Ω)。組み合わせるヘッドフォンの推奨インピーダンスは30~300Ω。外形寸法は146×165×40mm(幅×奥行き×高さ)。

「SWD-HA10」。デザインは最終ではない
「SWD-HA10」のXLR端子の奥に真空管が見える
「SWD-HA10」の背面

 また、同社ヘッドフォン「SW-HP10」の新モデルとして、ハイレゾ再生に対応し、バランス接続にも対応するモデル「SW-HP20(仮称)」の開発も進められている。

バランス・ハイレゾ対応モデル「SW-HP20(仮称)」の試作機。デザインは最終ではない

 DACの「SWD-DA20(仮称)」も開発中。フォーマット変換が可能で、例えばUSB、同軸/光デジタルから入力されたPCMデータを、リアルタイムにDSDへ変換してヘッドフォンやライン出力ができる。対応データはDSD 11.2MHz、PCMは768kHz/32bitまでサポート予定。

 これらに加え、SW Desktop-Audioの各製品に電源を供給できる電源サプライ「SWD-PS10(仮称)」も製品化予定。最大5製品に対して電源(DC15V×2台、DC12V×3台)を供給できるもので、DC15Vの端子は、パワーアンプ「SWD-TA10」やヘッドフォンアンプ「SWD-HA10」向け、DC12VはCDトランスポートの「SWD-CT10」、DACの「SWD-DA10」、クロックジェネレータの「SWD-CL10」向け、といった使い方ができる。

 Sound Warriorのブースでは、SWD-HA10やDA20、SW-HP20の試作機を展示するほか、25日日曜日の13時45分~15時には、6階のチャペルにて、これらのモデルの発表会も開催予定。

MrSpeakers

 ヘッドフォンの注目は、エミライが取り扱いを開始する、米国のヘッドフォンメーカー・MrSpeakersだ。第1弾モデルとして10月24日に、開放型の「ETHER」(MRS-ET-C013-1)、密閉型の「ETHER C」(MRS-EC-C013-1)が発売予定。価格は各248,400円だ。

 どちらも平面駆動型だが、振動板そのものに特徴があり、アコーディオンのひだの部分のように意図的に皺がつけられている。これにより、追従性、柔軟性を向上させ、振動板がアーチのように曲線を描いて動かないよう工夫している。どのようなサウンドになっているのが注目だ。

左から開放型の「ETHER」、密閉型の「ETHER C」

Klipsch

 フロンティアファクトリーのブースでは、21日に一斉に発表された米Klipschのイヤフォン・ヘッドフォンが展示予定。一番の注目は、最上位モデル「X20i」だろう。Klipschと言えばシングルBAのイメージがあるが、2基のBAを搭載。40kHzまでの再生ができ、ハイレゾにも対応。リケーブル対応だが、端子はMMCXよりも35%ほど小型な「SSMCX」だ。11月中旬発売で、価格はオープンプライス、店頭予想価格は72,800円前後。

X20i

 バランスドアーマチュア(BA)ユニットとダイナミック型のハイブリッド「XR8i」(実売36,800円前後)、KlipschらしいBA×1基の上位モデル「X12i」(実売45,800円前後)も今後登場予定だ。

 24日の14時~16時に、7階研修室11番にて発表会も予定されている。

ラックスマン

 据え置き型のヘッドフォンアンプ兼USB DACの注目は、ラックスマンの「DA-250」(11月下旬発売/17万円)だ。2010年発売の人気モデル「DA-200」のコンセプトや筐体サイズを継承しながら、DSD 5.6MHzなどの対応フォーマット拡充や、ライン出力やヘッドフォンアンプの強化、リモコンによる操作性向上などを図ったモデル。

DA-250

その他、発表会やイベントも多数

 24日の11時15分~12時15分にかけて、6階のトップウイングブース(フラワールーム)では、トップウイングが新規に取り扱うブランドの説明会が開催。KingSoundのエレクトロスタティックヘッドフォンやアンプ、Lars & Ivanの各種アンプ、香港のポータブルオーディオブランド「AROMA」のポータブルアンプ「A10」など、様々な製品が紹介される。

King Soundのコンデンサ型ヘッドフォン「KS-H4」

 King Soundは、コンデンサ型ヘッドフォン「KS-H4」とポータブルヘッドフォンアンプ「M-03」を11月上旬より発売する。店頭価格はKS-H4が125,000円前後、M-03が60,000円前後。

 さらに24日の13時15分~14時15分には、6階のチャペルにて、iFi-Audioの新製品発表会とカンファレンスも開催。今後の新製品ロードマップなどが示されるという。

 同じく24日の15時~16時に6階チャペルでは、Fitearも製品説明会を開催。詳細は不明だが、「何かが起こる(?)製品説明会」になるという。

 発表会だけでなく、各種イベントも充実。ただし、イベントによっては整理券が必要なものもある。

 「野村ケンジのなるほどハイレゾ Special Talk Show in 秋のヘッドフォン祭2015」と題し、24日の16時45分~18時15分、6階チャペルにて、ハイレゾの説明や楽しみ方などを紹介するイベントが開催。AV Watchでもお馴染み、オーディオビジュアルライターの野村ケンジ氏がMCを務め、ゲストとしてクラムボンのミトさん、メロキュアの日向めぐみさん(meg rock)が参加する。

 25日の11時~12時30分にかけて6階チャペルでは、ORBが主催し、オーディオライターの岩井喬氏、高橋敦氏、野村ケンジ氏が、おすすめ機材や愛用機材、アニメソングなどについて語り合う「ポータブルオーディオBig3鼎談&試聴会(アニソンもあるでよ!)」も予定されている。

 その他のイベントや発表会の情報は、ヘッドフォン祭の公式サイトを参照のこと。

(山崎健太郎)