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国内初のHDR対応4K-VOD配信をひかりTVが30日開始。スマホでも4K/HDR配信

 NTTぷららは、映像配信サービス「ひかりTV」の4K-VOD配信において、新たにハイダイナミックレンジ(HDR)対応作品の提供を11月30日より開始する。商用サービスとしてHDR対応の4K-VOD作品を提供するのは、国内初としている。

左が従来のSDR映像、右がHDR映像

 また、スマートフォンアプリ「ひかりTVどこでも」において、4K-VOD作品の提供を11月20日より開始する。さらに、スマホ向けにもHDR対応の4K-VOD作品を2016年1月より提供する。スマホ向け4K-VODとHDR対応4K-VODを提供するのは世界初となる。

 なお、ひかりTVでは、光回線を用いた商用IP放送サービス(4K-IP放送)を11月30日より開始することも発表。総合編成の「ひかりTVチャンネル 4K」と、エンタメ/報道/ライフスタイルニュース専門の「モデルプレス TV by ひかりTV 4K」の2つのチャンネルを用意する。4K-IP放送の内容は、別記事で掲載している

テレビ向けHDR番組は「自衛隊観艦式 2015」などを配信

 ひかりTVのテレビ向け4K-VOD配信サービスでは、4K映像の高精細さに加え、明るい部分をさらに明るく、暗い部分をより暗く映すことで肉眼で認識する色に近づけるHDR対応作品を配信。HDRコンテンツ制作にあたり、16bit階調で撮影された素材を、人間の視覚特性に合わせた非線形カーブで10bitに圧縮し、HDR対応テレビに最適な色に調整する。

HDR対応4K-VODサービスの概要と、テレビメーカー各社の対応

 ひかりTVのHDR対応4K-VOD作品は、Ultra HD Blu-ray(UHD-BD)にも用いられている「HDR10方式」を採用。解像度は3,840×2,160ドット、フレームレートは最大60fps、動画の圧縮形式はH.265/HEVC Main 10 Profile 10bit、音声はAAC。配信ビットレートは30Mbps。

 HDRコンテンツを視聴できるテレビとして、LGの「EG9600」や「UF9500」が11月30日より順次対応するほか、東芝「REGZA Z20Xシリーズ」が12月17日に対応開始予定。シャープも'16年春に対応を開始する。ソニーは「今後決定」、パナソニックは「検討中」としている。

 ひかりTVの4Kチューナ(STB)「ST-4100」のHDR対応は、'16年上期を予定。アップデート方法などの詳細は、ひかりTVのサイトなどで案内する。なお、チューナ「ST-4100」の月額レンタル料金は、12月利用料金から従来の1,800円を、半額の900円に値下げする。

明部/暗部の表現領域を拡大
ひかりTVの4Kチューナ「ST-4100」は、'16年上期にHDR対応予定

 開始当初は10本のHDR作品を用意。ひかりTVオリジナルの「自衛隊観艦式 2015」や、「行ってみたい! 水族館」、NHKエンタープライズによる「Tokyo Kawaii Palette」、ABCの「ロハス窓 海と空の時間」などで、作品は順次追加される。

 視聴には、対応チューナの「ST-4100」を4K対応テレビに接続する方法(ファームウェアバージョンアップが必要)と、対応チューナ内蔵の4Kテレビ「REGZA Z20Xシリーズ」(12月17日対応開始予定)を利用する方法がある。対応チューナ内蔵テレビは、シャープやLGが今後発売モデルにおいて対応を決定するほか、パナソニックも検討中としている。

スマホ向け4K-VODはドルビービジョンのHDR採用

 スマートフォン向け「ひかりTVどこでも」の4K-VOD配信は11月20日に開始。さらに、HDR対応4K-VODは、'16年1月に開始する。スマホ向けのHDR技術には「ドルビービジョン」を採用する。4K映像の仕様は3,840×2,160ドット/30fpsで、音声はAAC。配信ビットレートは約15Mbps。

スマートフォンのHDRデモ。左が従来のSDR、右がHDR

 11月時点での対応端末は、4K液晶搭載スマートフォンの「Xperia Z5 Premium SO-03H」のみ。コンテンツ制作時にあらかじめダイナミックレンジを拡張しているため、スマホ側に専用デコーダは不要。これにより、スマホがHDR対応でなくても、4K対応であれば視聴でき、端末のディスプレイに応じた広いダイナミックレンジで視聴可能としている。

 4K-VOD作品は開始当初に約40本を用意。音楽番組「オトナの! フェス OTONANO FES! 2015」や、「ニッポン釣り四景(4K)」、バラエティ「ホームズ&ワトソン推理(ミステリー)の部屋 推理クイズ」などを配信する。HDR対応4K-VODは開始当初1本の予定。

外出先でも4K/HDR映像が視聴可能になる

「孤独のグルメ」や「ローカル路線バス乗り継ぎの旅 THE MOVIE」など4Kコンテンツ拡大

 コンテンツの拡大に向けて、テレビ東京や関西テレビと取り組んでいる4K共同プロジェクトの対象作品強化が進んでいる。

 テレビ東京関連では、ドラマ24「孤独のグルメ season5」(全12話)を10月の放送直後から順次4K見逃しで配信。コントバラエティ「SICKS~みんながみんな、何かの病気~」(全12話)は、放送6日前に4K先行独占提供している。このほか、'16年春に劇場公開される「ローカル路線バス乗り継ぎの旅 THE MOVIE」を、'16年夏に4K-VODで4K先行独占配信する。

テレビ東京の人気番組などを4Kで見逃し配信

 関西テレビとの作品では、「稲川淳二の怪談グランプリ2015~4Kカメラで怖さ4倍~」を9月より提供中。'16年1月13日からは、ドラマ「大阪環状線~ひと駅ごとの愛物語~」(全10話)を、放送直後に4K独占先行配信する。

 地方局との共同プロジェクト「にっぽん4K巡り」も進めており、第1弾として、'16年1月に北海道を特集。各地の絶景や食などを、各放送局の視点と4K映像で紹介する。第2弾以降は福岡、長崎などを特集予定。

 劇場作品としては、'15年作品「みんな! エスパーだよ!」(VOD/IP配信)や「探検隊の栄光」(VODのみ)を'16年春に4K配信。'16年作品では、オダギリジョーと蒼井優、松田翔太出演の「オーバー・フェンス」や、宮沢りえ主演「湯を沸かすほどの熱い愛」を、公開後に4K配信する予定。

関西テレビとの共同プロジェクト
地方局とも協力
劇場公開後の作品の4K先行独占配信も

(中林暁)