ミニレビュー

冬のお風呂タイムのお供に。防水Bluetoothスピーカー3機種を試す

UE BOOM、SRS-X1、TREK Micro

 新年を迎えてから、寒さが日に日に厳しくなってきた。仕事を終えて帰宅すると、身体はすっかり冷えてしまっている。そんな寒い冬にはゆっくり湯船に浸かり、1日の疲れを取ってリフレッシュしたいものだ。そこで、今回は長風呂のお供に便利な防水Bluetoothスピーカーとして、ソニー「SRS-X1」、TDK「TREK Micro A12」、Ultimate Ears「UE BOOM」の3機種を試してみた。

左からTREK Micro A12、SRS-X1、UE BOOM
iPod nanoとSP-AW303

 筆者は入浴中によく音楽を聴いており、現在、プレーヤーを収納して有線接続するタイプのビクター(現JVC)製防水スピーカー「SP-AW303」と、現役を退いてお風呂専用になった第4世代iPod nano(16GB)を組み合わせて使用している。どちらも2009年に購入したものだが、さすがに5年も使っていると、バッテリがへたったり、メモリ容量が足りなくなってきたりと、色々不満も出てきた。そこで、5年ぶりに我が家のお風呂周りのAV環境をリニューアルすべく、防水性能を備えたBluetoothスピーカー3機種の機能や音質を比べてみることにした。

3機種ともNFCペアリングや、2台ワイヤレス接続のステレオ再生に対応

SRS-X1

 3機種の特徴を簡単に確認しておこう。ソニー「SRS-X1」は、ボールのような球形デザインが特徴で、防水性能はIPX5/7相当。40mm径のフルレンジユニットとパッシブラジエータを搭載している。コーデックはSBCに対応。3製品の中では唯一、曲送り/曲戻しの操作が行なえ、内蔵マイクでのスマホのハンズフリー通話も可能。実売価格は8,500円前後。

 TDK「TREK Micro A12」は、メタルメッシュのグリルとカラビナを備え、アウトドアを意識したデザイン。IP64相当の防水・防塵で、水だけでなく砂などにも強い仕様となっている。前面に40mm径のフルレンジユニット、背面に56mmのパッシブラジエータを備える。コーデックは非公開。実売価格は6,000円前後。

 Ultimate Ears「UE BOOM」は、水筒のような縦長のボディに、1インチ径フルレンジドライバ×2、2インチ径パッシブラジエータ×2を搭載し、3モデルでは唯一ステレオ再生可能となっている。コーデックは非公開。防水性能はIPX4相当。専用のスマートフォンアプリを用意し、EQ設定やアラーム機能などを利用できる。直販価格は19,800円と、ほかの2製品よりは高めだ。

TREK Micro A12
UE BOOM

 いずれもNFCによるペアリングや、2台をワイヤレス接続してステレオ再生が可能など、Bluetoothスピーカーのトレンド機能もおさえている。防水対応ではなくなるが、ステレオミニケーブルでの有線接続にも対応する。

製品によって異なる防水等級。どの程度の水濡れに耐えられるか確認を

 お風呂で防水スピーカーを使う前に、まず確認しておきたいのがIEC(国際電気標準会議)によって定められた、防水等級「IP(X)」だ。防水機能を備えた製品は、IPX○○相当という数値で、どの程度の水に耐えられるか示している。ちなみに、防水性能のみを示すものはIPX、防水・防塵性能を示すものはIPとなる。

 今回の3製品では、UE BOOMが「あらゆる方向からの飛沫による有害な影響がない」というIPX4相当、TREK Micro A12が「粉塵が筐体内部に侵入せず、あらゆる方向からの飛沫による有害な影響がない」IP64相当、SRS-X1が「あらゆる方向からの墳流水から保護するほか、水深1mに静かに沈めて30分放置しても本体を保護する」IPX5/7相当となっている。いずれも濡れた手で触ったり、水しぶきやシャワーが軽く掛かった程度なら耐えられる防水性能を備えており、お風呂でも利用可能だ。

 一つ注意したいのは、防水性能は常温の水を想定しているため、例えばIPX7相当で、水中に30分置いても使用できるとあっても、お湯の中でも同じように性能を維持できるかは保証していないということ。水に浸かっても大丈夫と謳う製品であっても、湯船に沈めることはなるべく避けた方がいいだろう。また、防水とはいえ、濡れたまま置いておくと錆びたり水垢が付着するので、使ったあとは水気を拭き取って乾燥させることを忘れないようにしたい。

音の広がりが心地いいSRS-X1

SRS-X1はフルレンジユニットがむき出しになっており、その上にあるディフューザーパネルで音を拡散させている

 今回はプレーヤーとしてiPhone 5を使用し、音楽はいずれもAAC 256kbpsのものを再生している。浴室は一般的なユニットバスで、iPhone 5は扉を隔てた脱衣所に設置したが、いずれの製品でも、音声が途切れたりノイズが乗ったりすることはなかった。

 最初に試したSRS-X1は、ユニットを上向きに配置し、それをディフューザーパネル(リフレクタ)で反射させて360度に放射する「サークルサラウンドステージ」により、どこに置いても聴こえ方が変化しにくく、置き場所を選ばないことが特徴。試しにボトルラックに置いてみたり、やや高いところにある窓の側に置いてみたりしたが、聴こえ方が極端に変わってしまうことはなかった。また、短時間の水没にも耐えられる防水性があるので、浴槽の縁など、誤って湯船の中に落としてしまいそうな場所にも気兼ねなく置ける。底面にゴムの滑り止めが貼ってあり、濡れた場所に置いても滑りにくくなっているのも好印象だ。

ボトルラックに置いたところ
窓の側などちょっとした場所にも置ける
底面にはゴムの滑り止め

 音楽を再生してみると、モノラルながら広がりのあるサウンドに驚いた。手嶌葵「光」を再生すると、音数を抑えたミニマムな伴奏と、透明感のあるボーカルが浴室中に広がり、思わず照明を落としてリラックスしながら音楽に耳を傾けたくなる。浴室ならではの残響感と相まって、音にやさしく包まれるような感じだ。人の声などの中音域が聴き取りやすく、ボーカルが演奏に埋もれず気持ちよく聴ける。

隅に置くと音の密度がグッと上がる

 一方、360度に音が広がる分、音の密度が薄く聴こえ、ロック系などの勢いのある曲ではやや物足りなさを感じる。レッド・ホット・チリ・ペッパーズの「By The Way」は、うなるようなベースの低音とハイテンションなドラムが気に入っているのだが、低音が薄めなため、全体的に軽く聴こえてしまう。その場合、音が広がらないように浴室の隅などに置き、2方を壁で囲うとグッと密度が上がった音に変化する。再生する音楽のジャンルによって、マッチする置き場所を探すのもおもしろい。

 3機種の中では、唯一曲送り/曲戻しの操作ボタンを備えており、湯船に浸かりながら曲を飛ばしたり、気にいった曲を何度も再生できる。スマホとワイヤレス接続しているときは、内蔵マイクで通話も可能で、実際に試したところ、問題なく会話ができた。相手側に通話音質を尋ねてみたが、ややエコーがかっているもののしっかり聞き取れるとのことだった。

エネルギッシュなTREK Micro A12。ステレオならではの奥行きを感じるUE BOOM

TREK Micro A12はカラビナ付きでフックなどに吊り下げられる

 続いてTREK Micro A12を使ってみた。カラビナが付属しており、フックやシャワーカーテンのレールなどに引っ掛けられる。本体重量は180gで、浴室にあった耐荷重300gのマグネットフックにも問題なく吊るすことができた。やや高い位置に吊るしておけば水しぶきなどで濡れにくく、水切れもいいので使った後の手入れが簡単で済むのが嬉しい。

 本体は、前面がフルレンジユニット、背面がパッシブラジエータとなっているので、前面がこちらを向くように設置する。試しに背面を手前に向けてみたが、こもったような音になってしまったので、本体の向きには注意が必要だ。側面に操作ボタンを備え、音量調整と電源のオン/オフができる。

背面にはTDKのロゴないので、区別がつけやすい
側面に電源ボタンとボリュームボタンを備える

 アニメ「アルドノア・ゼロ」の第1期ED曲であるSawanoHiroyuki[nZk]:mizuki「A/Z」を再生すると、ドラムやベースの低音がしっかり出て躍動感が感じられ、ボーカルの力強さも上手く表現できている。メリハリのあるエネルギッシュなサウンドで、ロックやJ-POPなどを楽しく聴ける。レッチリのBy The Wayのような激しいロックサウンドにもピッタリで、壁のフックに吊り下げて聴いていたら、パッシブラジエータの低音で壁がビリビリと振動するほどのパワフルさだ。音が力強く、シャワーの音にもかき消されないので、夏場などにシャワーだけでスッキリしたいときにもマッチするだろう。

円柱上のUE BOOM。シャンプーのボトルと並べても違和感がない

 最後はUE BOOM。本体は他の2機種よりやや大きめだが、シャンプーのボトルなどに近いサイズで、ラックに並べて置くと収まりがいい。表面は撥水製のある素材で織り込まれており、多少の水しぶきをはじくことができる。上部に電源/ペアリングボタンを備え、側面にプラスとマイナスがデザインされたボリュームボタンを備える。本体で行なえる操作は電源オン/オフとペアリング、音量調整くらいだが、スマートフォン用アプリを使えば、EQ調整やアラーム設定も可能だ。マイクを内蔵し、ハンズフリー通話も行なえる。

+と-がデザインされたボリュームボタン
上部には電源/ペアリングボタン
UE BOOMアプリのメニュー画面
アプリの設定メニュー
EQはエネルギッシュなどのプリセットのほか5バンドのカスタムも用意
5バンドのカスタムEQ調整画面

 フルレンジユニットとパッシブラジエータを各2基ずつ搭載し、3機種の中では唯一、単体でステレオ再生が可能。SRS-X1も広がりのあるサウンドが楽しめたが、やはりステレオになるとモノラルとは違う奥行きが感じられる。ノラ・ジョーンズ「Sunrise」を聴くと、モノラルスピーカーではボーカルとコーラスが一つの固まりになって聴こえるが、UE BOOMではそれぞれが分離し、美しいハーモニーが楽しめる。大編成の交響曲なども、左方向のバイオリンと右方向の金管楽器の音がしっかり分かれ、浴室にいながらコンサートホールの響きを味わうことができる。

 音質は、低音をしっかり感じると同時に中高域も埋もれず、高域から低域までバランスの良いサウンドだと感じた。あらかじめアプリでEQを調整しておけば、低域を強調したり、中高域を伸ばしたり、好みに応じて音質を変えることもできる。出力が18W(9W×2ch)と、他の2機種(X1は5W、A12は3W)に比べて大きく、かなり大きな音量で再生できるのもポイント。お風呂に限らず、野外や騒がしいパーティ会場など色々な場面で幅広く使えそうだ。

ラジオや動画音声などもお風呂で楽しめる

 テストをしていくうちに、音楽を流す以外にも、YouTubeやニコニコ動画などの動画サイトの音声を聴いたり、radiko.jpなどのネットラジオを楽しんだりと、お風呂での楽しみ方が広がってきた。防水スマホや、専用の防水ケースを使って浴室にスマホを持ち込み、テレビやゲームをリッチな音で楽しむのもいいだろう。防水ケースにスマホを入れると内蔵スピーカーの音が聴き取りにくくなるが、Bluetoothスピーカーを組み合わせることで、音質を犠牲にせずにテレビや動画を視聴できる。

 今回試した3機種はそれぞれに個性や特徴があり、どれも不満なく使うことができたが、個人的にはTDKのTREK Micro A12の元気なサウンドと、フックに吊るしておける気軽さが気に入った。これからの寒い季節、お気に入りの防水Bluetoothスピーカーを見つけて、音楽を聴きながらゆっくりと湯船につかってみてはいかがだろうか。

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SRS-X1 TREK Micro A12


(一條徹)