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第143回:さらに黒が深まった第2世代「3D VIERA」

新パネルなどで3D高画質化。パナソニック「TH-P42VT3」



TH-P42VT3

 2010年は「3D元年」と言われ、数々の3Dテレビが世に出たが、家電業界に本格的な3D映像関連技術を持ち込み、整備し、ブームに火を付けたのはパナソニックだった。

 そんなパナソニックが、2011年、早くも3Dテレビの第2世代機を投入。今回評価したのはプラズマVIERA VT3シリーズの最小画面モデルの42型「TH-P42VT3」だ。

 画面サイズ部分以外の点については、46型、50型の各モデルと共通だ。今回の大画面☆マニアでは第2世代3Dプラズマテレビとしての実力を検証していく。



■ 設置性チェック〜薄さ3.7cmのスリムデザインに

VT3シリーズでは、大幅に薄型化された。スタンドの奥行きは32.0cm

 スタンドを除くディスプレイ部の大きさは101.8×3.7×63.0cm(幅×奥行き×高さ)となり、奥行きが先代の8.8cmよりも劇的に短くなった。この点が外観上の最大の進化点だといえる。ただ、薄くはなったものの、重量は増しており、同じ42型で比較すると前モデルのTH-P42VT2よりも約2.5kg重い約23.5kg(ディスプレイ部のみ)となった。

 しかし、3年前のプラズマと比べれば劇的に軽い。例えば2008年モデルTH-42PZ800は約37kg(ディスプレイ部のみ)あったので、TH-P42VT3は、3年前のプラズマよりも約40%も軽い。プラズマは、もはや液晶並の重量になっている。

 本体デザインのスリム化に伴って、付属のスタンドデザインもVT2の楕円形から、長方形へと変更された。首振り機構は左右±15度にまで対応。VT2の左右±10度よりも首振り量が拡大している。スタンドの設置位置からディスプレイ部下辺までの距離は約32mmと隙間は小さいので、テレビ台やテレビラックが低いと、画面位置は結構低くなる。


TH-P42VT3 標準スタンドは背が低く低重心で安定感はあるが、画面位置はその分低い。首振り機構も内蔵
HTX520-K

 TH-P42VT3に奨励されている2.1chスピーカーシステム内蔵のラックとして今春新発売のものは「HTX520-K」や「HTF6-M/T」がある。これらはフロント左右スピーカーとサブウーファーのバーチャルサラウンドサウンドシステムの機能を有した本格的なものだ。

 壁掛け設置用の取り付け金具は、引き続き「TY-WK4P1R」(26,250円)が利用出来る。こちらは42/46/50型までのVT2及びVT3シリーズや、VIERA V2/V1/G2/G1/R1/S2/X1シリーズの全てに対応しているので、既に壁掛け設置をしている旧モデルからの買い替えの際にも流用が可能だ。

 画面表面はシームレスデザインになっており、額縁との段差は無し。これは最近の薄型テレビの流行デザインだ。ソニーのBRAVIA HX900シリーズでは、表示面と額縁部のシームレス処理をした上に液晶パネルと表示面側ガラスの隙間を特殊樹脂で埋めることでウレックス石(テレビ石)的な見栄えを実現していたが、TH-P42VT3ではそこまでではなく、映像は表示面に対して数o奥まって見える。とはいえ、1〜2m離れた通常の視聴距離では、映像が表示面にギリギリに張り付いているようには見える。

 額縁の幅は、上が約43mm、左右がそれぞれ約44mm、下が約56mmとなっている(いずれも実測)。額縁部と表示部は同じ質感の光沢コーティングがなされているが、よほど明るいものが相対しない限り映り込みは気にならない。

 プラズマと言えば、動作時のノイズが気になるが、TH-P42VT3の静粛性は優秀だ。ディスプレイ部に耳を近づければブーンという音が聞こえるが1mも離れればほとんど聞こえなくなる。背面上部には冷却ファンが稼働中は常時回転しているが、静音タイプのため、回転ノイズは皆無に近い。しかし、映像表示面の温度を測ってみると40度を超えており発熱量は大きく、閉め切った部屋で長時間使っていると暑くなる。冷却ファンが必要なほどの発熱というのはプラズマに残された解決すべき課題という気がする。

 気になる定格消費電力は360W。TH-P42VT2が430Wだったことを考えると同画面サイズで25%以上の低消費電力化は素晴らしい。ただ、同画面サイズのエッジ型LEDバックライトの液晶テレビは今や180W前後なので、液晶の2倍の消費電力ということになる。プラズマのここ最近の低消費電力化の技術革新は素晴らしいが、同じペースで液晶も低消費電力化してしまうので、2:1の関係がなかなか縮まらない。

 ただし、定格消費電力はいわばその機器が仕様上、最大使用する電力量であり、実際の映像表示時の継続的な消費電力はもっと小さい。これを表したスペック値は年間消費電力量で、TH-P42VT3は140kWh/年となっている。これは同画面サイズの液晶テレビとほぼ同等だ。


■ 接続性チェック〜進むアナログ端子の削減。USB HDDの接続対応

 接続端子パネルは正面向かって左側の側面と背面にレイアウトされている。

 HDMI入力は背面に2系統、側面に1系統の合計3系統。Ver.1.4の3D対応となっており、実際にPS3での3D映像の再生を確認できた。HDMI1だけは、最近のテレビ製品ではなかば標準仕様となりつつあるARC(オーディオ・リターン・チャンネル)に対応する。光デジタル音声出力端子も備えている。

正面向かって左側の側面接続端子 背面側の接続端子パネル

 アナログビデオ入力端子は、コンポジットビデオが背面に2系統、D4が1系統というラインナップで、無数の端子が並んだ昔のVIERAと比べると、なんとも簡素な印象を受ける。ちなみに、コンポジットビデオ2のペアとなっている音声入力端子は、アナログ音声出力用にも転用できる。VT2には、モニター出力端子という、コンポジットビデオ出力とアナログ音声出力が可能な端子があったのだが、VT3ではカットされている。

 また、D4入力端子はコンポジット入力1と排他仕様となっている。側面のアナログビデオ入力端子も省略されている。

 アナログビデオ端子の削減は、パナソニックだけでなく、他社製品でも同じように起きている。2011年以降の再生機器ではD端子出力が廃止される予定なので、これに合わせ、アナログビデオ端子の減少傾向は今後、さらに進むことだろう。クラシックゲーム機やビデオ機器のユーザーは、アナログビデオ入力端子が搭載されているうちにテレビの購入を決断した方がよい。

 PC入力端子としては、アナログRGB接続のD-Sub 15ピン端子を備えている。アナログビデオ入力端子が減少する中で、このPC入力端子は長らく生き続けており、今やVIERAシリーズの特徴の1つとなった感もある。

 パナソニックはあまりゲーム機やPCとの接続を重視していないこともあるが、このPC入力端子の表示適応能力は高くない。筆者が確認してみたところでは640×480ドット、1024×768ドット、1,280×1,024ドット、1,280×768ドット、1,360×768ドット、1,680×1,050ドットといった解像度の表示は行なえたが、1,280×720ドット、1,440×900ドット、1,920×1,080ドットなどの解像度は受け付けてくれなかった(無信号扱いとなる)。同じPC入力端子(D-Sub 15ピン端子)を備えるAQUOSではそうした解像度も普通に受け付けてくれるので(AQUOS LX3で確認)、改善を期待したい。

オーバースキャンをキャンセルするには「設定する」-「画面の設定」の「HD表示領域」を「フルサイズ」へと変更する必要あり

 もちろん、PCや現行ゲーム機との接続に無理にアナログRGB接続を用いる必要はなく、HDMIを利用してそうした機器とデジタルRGB接続は可能だ。

 ただ、デフォルトでは、オーバースキャン表示されてPC画面のデスクトップ外周がクリップアウトされてしまう。これを回避して液晶ディスプレイのようにPC画面全域を表示させるようにするためには「設定する」-「画面の設定」から、「HD表示領域」を「標準」(オーバースキャン)から「フルサイズ」(アンダースキャン)へと変更する必要がある。PS3やXbox 360などの現行ゲーム機をHDMI接続した場合も同様の設定を行なわないと、ゲーム画面外周のインジケータやステータス表示が切れてしまうことがある。

 もう一つ。こうしたPCやゲーム機のHDMI接続の際に気を付けなければならないのは、本連載ではお馴染みの「HDMI階調レベル」の設定だ。

 長年、この問題を指摘し続けてきた甲斐あってか、パナソニックも2010年モデルからHDMI階調レベルの設定項目を設けるようになった。設定の確認と変更は「設定する」-「初期設定」-「接続機器関連設定」の「HDMI RGBレンジ設定」にて行なえる。


HDMI階調レベルの設定は「設定する」-「初期設定」-「接続機器関連設定」の「HDMI RGBレンジ設定」にて行なう

 工場出荷状態ではここは自動設定を意味する「オート」になっており、これをユーザーは、ビデオ階調相当の16-235範囲の「スタンダード」や、0-255範囲の「エンハンス」に各HDMI端子ごとに個別設定が行なえるようになっている。筆者が実験した限りではオート設定はほとんどアテにならず、RGB出力のPCや、PS3でRGBフルでHDMI出力した場合には「スタンダード」設定相当になってしまっていた。このあたりはユーザー側が気にかける必要がある。

 「アナログ音声入力」機能は、VT3でも残されている。HDMI2に切り替えたときのアナログ音声ラインとして、アナログビデオ2入力とペアのアナログ音声入力端子を利用できる。これを音声が出せないPCなどとTH-P42VT3をHDMI接続する際に活用することで、TH-P42VT3内蔵スピーカーをPCスピーカーとして利用できる。

 デフォルトではこの機能は無効になっているので、活用するためには有効化してやる必要がある。設定は、音声関連のメニューではなく、「設定する」-「初期設定」-「接続機器関連設定」-「HDMI(2)音声入力設定」を「HDMI」から「アナログ」へと変更しなければならない。

 この他、ネットワーク接続用のEthernetとUSBがある。USB端子は背面に2系統、側面に1系統、合計3系統があるが、それぞれの機能が異なっている点に注意したい。

 USB1端子は、番組録画をするためのUSB HDDを接続するための端子になる。そして、USB2端子は無線LANアダプタ「DY-WL10」を接続するために利用する。側面のUSB3端子は、Skype用コミュニケーションカメラ「TY-CC10W」を接続するために利用できる。なお、公式にサポートは謳っていないものの、筆者の実験の範囲では、側面USB3端子にUSBキーボードを接続したところ利用できた。検索キーワードやログインID/パスワードなどにおいて、キーボードが利用出来るのはかなり便利だった。

 これまでのVIERAと同様、SDカードスロットは側面に搭載されているが、今までのようにSDカードに記録されたJPEG写真、SDビデオやAVCHD動画などを再生できるだけでなく、ついにテレビ放送のダイレクト録画に対応することとなった。

 また、3Dレンズを組み合わせたパナソニックのビデオカメラやデジタルカメラで撮影した3Dムービーや3D写真などもSDカード経由で直接の再生が可能となっている。

USB1にHDDを登録。登録したHDDは専用フォーマットされ、PCなどと共用することはできない TY-CC10W HDDは自動的に認識してフォーマットをするかどうかを聞いてくるが、SDカードは挿入しても何も起きない。SDカードの録画用フォーマットは、なんと「設定リセット」のところにある。最初見つからず苦労した


■ 操作性チェック〜ネット機能が拡充されてスマートテレビ化。録画機能も搭載

 リモコンはここ数年使い続けられている左右非対称型のデザインを踏襲。船体のような中央に絞り込んだような底面形状や、表面に立ち並ぶ表記文字の大きいボタン群は独特だ。

リモコンはデザインは同じだがボタン配置は結構変わっている 本体正面向かって右側には簡易操作パネルがある

 ただ、全く同じデザインかというとそうでもなく、実は結構変わっている。

 まず、特徴的な左突き出た縦並びのボタン群の機能割り当てが地味に変更されている。歴代のVIERAはモデルチェンジするたびに、ここのボタンの機能が変わるので、配置が安定しない。

 VT2で[アクトビラ]ボタンだった最上段ボタンはVT3では[3D]ボタンとなった。これは2D映像を疑似3Dに変換するモードの有効化や、サイドバイサイドやトップアンドボトムなどに代表されるデジタル放送、DVD、その他のアナログ入力の3D映像を強制的に3D映像と見なして表示させるモードの呼び出しを行なうために使用する。

 3D映像を強制的に2D映像に切り替える際にも利用するため、VT3の3D映像視聴時には何かとお世話になるボタンで、ここにレイアウトされる理由も納得が行く。ちなみに[アクトビラ]ボタンはVT3では廃止されている。

2D/3Dのモード切換にはリモコンの3Dボタンを利用できる

 VT2では[SDカード]ボタンだったところは、VT3では[ビエラリンク]ボタンとなり、[SDカード]ボタンは廃止された。VT2では[ビエラリンク]ボタンは十字キーの左上に配されていたが、VT3ではここに[録画一覧]ボタンがきている。

 VT3では、SDカードがユーザーコンテンツを記録した外部メディアだけでなく、録画媒体など多目的に活用されるため、ユーザーに「利用先ハードウェアを選択してもらう」やり方を止めたようだ。VT3では、録画ビデオ、写真、静止画メモなど、「見たいコンテンツ」をユーザーにメニュー項目の中から選んでもらい、その参照先としてSDカードなりHDDなりを選択してもらう、というような操作系に変更されている。

 VT2で[オフタイマー]ボタンだったところは[ドライブ切換]ボタンになった。[オフタイマー]ボタンは、リモコン下部の蓋の中に引っ込められた格好だ。

「ドライブ切換」は録画先デバイスを明示設定するもの。SDカードの脱着頻度が高い場合には意識する必要がある。1スロットを使い回すのではなく、できれば録画専用のSDカードスロットが欲しかった

 [ドライブ切換]ボタンは、録画先ドライブ(メディア)をHDDかSDカードかを明示設定するものになる。

 VT2に備えていた[番組キープ]ボタンは、VT3では[静止]ボタンへと変更された。番組キープは視聴番組を一時停止すると同時に録画を開始する、トイレや来客などで一時離席する際の機能として訴求されていたものだったが、利用には対応DIGAが必要だった。新設された[静止]ボタンも視聴番組を静止させる効果があるが、録画はされない。その代わり静止した画面を[サブメニュー]ボタンを押してSDカードに保存をすることができる。なお、静止画はHDDには保存できない。

 この[静止]機能を使ってみると便利なのだが、静止してから保存するまでのボタンアクションが一回余計で、連続キャプチャがやりにくい。どうせならば、[静止]ボタンを押した瞬間に保存でもよかったのではないか(あるいは、そうした自動保存の設定があってもよかった)。


[らくらくアイコン]ボタンを押すことで「何を見たいか」「何をしたいか」を選択する操作系になり、HDDを選択させるようなPC的なUIを避けているようだ ここで「メディアプレイヤー」を起動して「写真」を選べばSDカード内のデジカメ写真が見られる

 リモコン下部には開閉式の蓋があるが、VT3のリモコンはVT2のリモコンよりもこの蓋の大きさが小さくなっている。これは、録画、再生、早送り、巻き戻し、などの録画再生制御用のボタンをリモコン下部に配置したためだ。こうしたボタンを表面に配置したのは英断だ。非常に使いやすい。

 この他、VT2のリモコンにあった[アナログ]の放送種別ボタンがVT3のリモコンではついに姿を消したという点だ。代わりに[ネット]というボタンに置き換わっている

[ネット]ボタンを押すことで開くネットメニュー

 アクトビラなどの各種ネット関連機能/サービスは、この[ネット]ボタンを押すことで、ネット関連機能のトップメニューへ飛んでから選択するようになったのだ。

 メニューの見せ方はだいぶ変わり、ネット関連サービスのバリエーションも増加している。ネット関連サービスは、今後のシステムアップデートでどんどん増加していくそうだが、現状では「アクトビラ」「TSUTAYA TV」「YouTube」「ひかりTV」といったテレビ向けVODサービスとしてはお馴染みのものから、「Skype」「Twitter」「Picasa」といったコミュニケーションサービスが取り揃えられている。

 これらに加え、最近の流行語になりつつある「スマートテレビ」的な特色を打ち出そうとしているのか、アプリケーションソフトっぽいサービスがラインナップされている。4月上旬段階では、占いと天気予報を提供する「Club Panasonic」、バスケのミニゲーム「フリースロー」、トランプゲーム「ブラックジャック」などが利用できるようになっていた。


Club Panasonicでは天気予報と占いを提供 ゲームアプリも楽しめるようになった。「ブラックジャック」はシンプルなゲームなのだが、CPUのお姉さんディーラーとの勝負が楽しめる。脱衣は無いが、勝負に勝つとお姉さんディーラーが変わり、負けるとやんわりと罵られる(笑)
YouTube。全画面での視聴やマイアカウントでのログインも可能。全画面での視聴もOK Twitter Picasa

 また、「3Dテレビを買ってきても見る番組がない」というぼやきに対応するため、パナソニックは2010年12月までの期間限定サービスとして「3D体験コーナー」というチャンネルをネットメニューに備えている。映画の予告編だけでなく、パナソニックの撮り下ろしデモ映像や旅番組などが総勢37本も見られるようになっており、かなり楽しめる。ちなみに、昨年、VT2向けにデモディスクとして提供されていた3Dデモコンテンツもここで見られるようになっていた。VT3を購入したユーザーは一度はチェックしてもらいたいネットチャンネルだ。

 なかなかの充実ぶりのTH-P42VT3のネット関連機能だが、Webブラウザはなく、単体では外部のWebサイトの閲覧は行なえない。

12月までの期間限定公開の「3D体験コーナー」

 電源オンから地デジ放送画面が表示されるまでの所要時間は約5.5秒でなかなか高速だ。また、テレビチャンネルの切換も地デジ放送で約1.5秒でまずまずの早さだ。

 アスペクトモードの切り換えは専用ボタンがなくなってしまったため、[メニュー]から「画面モード設定」項目で選択する操作系になってしまった。用意されているアスペクトモードは、VT2から変更がないので、詳細については本連載の「TH-P50VT2」編を参照して欲しい。なお、アスペクトモードの切換所要時間はほぼゼロ秒だ。


アスペクト比切換はメニュー操作から

 入力切換はリモコン上の[入力切換]ボタンを押すことで開く「入力切換」メニューから、任意の接続端子を選択することで行なえる。「入力切換」メニューに表示される各接続端子名には数字が割り振られており、対応する数字ボタンを押すことで順送り操作をしなくても希望の入力系統に一発で切り替えることが可能だ。入力切換の所要時間はHDMI→HDMIで約1.5秒、HDMI→PCで約1.0秒、地デジ→D4で約1.0秒で、VT2よりも心持ち、高速化している。

 プリセット画調モードの切り替えは、VT3でもメニューを開いて切り替えさせるVIERA伝統の方式となっている。切り替えるには「画質を調整する」メニュー階層下の「映像メニュー」を出す必要がある。切り替え所要時間はほぼゼロ秒だ。

 2画面機能はVT2と同等の「サイドバイサイド」(SBS)と「ピクチャー・アウト・ピクチャー」(POP)の2モードに対応する。SBSは2画面を同画面サイズで横に並べ、POPではメイン画面を大きくサブ画面を小さくして並べる表示方式だ。親画面の中に子画面を合成表示する「ピクチャー・イン・ピクチャー」(PIP)方式には対応していない。2つの画面の組み合わせにはいくつかの制限があるが、これについては本連載の「TH-P50VT2」編を参照して欲しい。

2画面機能の表示方式はこの2パターンのみ。音声は任意の1画面をスピーカーから出力可能。もう一画面用の音声はヘッドフォン端子から出力できる

 調整可能な基本画質パラメータのラインナップはVT2から大きな変更はない。これらについての解説は本連載のTH-P42V1編(2009年モデル)、TH-42PZ800編(2008年モデル)、TH-42PZ750SK編(2007年モデル)などを参照して欲しい。VT3に新搭載された高画質化機能についてのインプレッションは後述する。

 様々なリモコン操作のレスポンスを音声で返してくれる「音声ガイド機能」、部屋の照度に応じた画面輝度制御、無信号オフなどを行なう「エコナビ」機能なども、VT2から大きな変更は無し。

 VT3の操作系周りの話で、最大の特徴となっている録画機能も解説しておこう。録画に利用出来るHDDはUSB接続であればなんでも良いわけではなく、160GB以上の容量がなければならない。最大8台のHDDを登録できるが、同時に接続できるのは1台まででUSBハブを用いての複数台同時接続には対応していない。これはREGZAなどと比べるとやや見劣りする仕様だ。

 VT3ではSDカードにも録画ができるようになったことも既に述べたとおりだが、細かくいうと、512MB以上のSDカード、32GBまでのSDHCカード、64GBまでのSDXCカードが利用出来る。1ファイルで4GBを超えた録画コンテンツを再生した場合、SDXCカードでないと再生が一瞬止まることがある。SDXCカードではこうした症状は出ないので、気になる人はSDXCカードを選択した方がよい。

番組表をみて録画したい番組を選択することで予約登録ができる [録画一覧]ボタンを押すと出現する録画番組リスト 録画予約をする際にも録画先デバイスを明示設定が可能。

 チューナは地上/BS/110度デジタル×2と地上アナログ×1で、同時に録画できるのは任意のデジタル放送(地デジ、BS/CSデジ)の1番組だけ。2番組の同時録画はできないが、録画番組以外の裏番組を視聴することは可能だ。アナログ放送の録画には対応していない。

 録画した番組データは、著作権保護の関係で、録画した個体でしか再生ができず、同一型番であっても別個体では再生できない。

 録画予約は番組表を用いての単番組録画、毎週録画、番組名追跡録画などの高度な予約が可能で、録画先は、基本的には前述した[ドライブ切換]で選択したSDカード、HDDのどちらかが選択される。録画予約時に番組単位でSDカード、HDDを個別に変更することもできる。

 SDカード、HDDのドライブ種別で録画モードの格差はなく、共にビットストリーム録画の「標準モード」とトランスコードして長時間録画する「長時間モード1」と「長時間モード2」が選択可能だ。長時間モード1はMPEG-4 AVC/H.264の6Mbpsでの録画となり標準モードの約3倍の時間の録画が可能だ。一方、長時間モード2はAVC 3Mbpsでの録画となり、標準モードの約6倍の時間の録画が可能となっている。

 実際に録画をして長時間モード1、2の品質をチェックしたが、長時間モード2はディテール部や輪郭にモスキートノイズが出るもののあまり動かない映像であればハイレゾ感は十分にあるという感じ。長時間モード1は動きの速い映像でもブロックノイズやモスキートノイズも少なく、まずまずの高画質を維持できており「録って見て消す」用途であれば十分満足いくと感じた。よほど永久保存したい番組でない限りは長時間モード1でいいだろう。

 サウンド機能についても触れておこう。今回、本体がスリム化したことで、音質がグレードダウンしてしまったのではないか心配する人がいると思うが、見た目の華奢な感じと裏腹に、素直なクセのない音を出してくれる。

 スピーカーユニット達はディスプレイ部の下部に実装されているが音像はちゃんと画面中央から聞こえる。ただ、ステレオ感はやや弱く、ワイド感を強調する「サラウンド」設定も選べるが残響が強くなるだけで音像がぼやける。よって「サラウンド」設定はあまり積極的に活用すべきとは思わない。

 搭載スピーカーユニットの内訳は8cm径の出力10Wのウーハーが1基、2.5×9cmの長方形スコーカーが左右2基ずつの合計4基(6W+6W)と言う構成だ。この薄いボディの中に5個のスピーカーを詰め込んでいるのはなかなかの贅沢仕様だと言える。

 音像はパノラマ感というか、音のワイド感には乏しいが、周波数特性的にはスリム型テレビの割には悪くない。中音域はもちろんだが、高周波の音もちゃんと伸びやかに聞こえるし、低音のパワー感もある。スリム型テレビの出音としては及第点が与えられると思う。


■ 画質チェック〜漆黒の黒表現とさらに上質化した3D映像

 プラズマディスプレイパネル(PDP)の進化の速度は特に最近早まっている感がある。VT2の発表からわずか1年で、VT3には新世代PDPが採用されることとなった。

 VT2世代では、パイオニアのKUROシリーズの遺伝子を受け継いだ「フルブラックパネル」(FBP1)が具現化したことで話題を呼んだが、今期、VT3世代ではこれがさらに進化し、「フルブラックパネルII」(FBP2)となった。

予備放電を完全キャンセルする「予備放電レス」技術により漆黒の黒を実現

 FBP1では、予備放電を完全キャンセルする「予備放電レス」技術を身に付けて圧倒的な黒レベルの沈み込みを実現したが、この特性はFBP2でもそのまま継承されている。

 では、どこが進化したのか。実際のところ、FBP2に注ぎ込まれた多くの技術革新は、主に「3D画質の改善」に当てられている。

 パナソニックがVIERAに採用する3D方式はフレームシーケンシャル方式あるいはアクティブシャッターグラス(メガネ)方式とも言われるもので、左右の目の映像を交互に表示し、この表示タイミングに同期する形で3Dメガネの液晶シャッターを開閉する仕組みとなっている。

 この方式は3D液晶テレビ陣営からも広く採用されているものだが、液晶、プラズマ、共通した画質面での課題となっているのが「クロストーク現象」だ。これは、本来、左右の目、それぞれに向けた専用の映像が、二重映りして見えてしまう現象だ。

 これには様々な要因が絡んでくるが、最も根本的な原因とされるのが、片側の目向けの映像が反対側の目に向けた映像を表示したときにも残ってしまうという問題だ。

 これを根本的に解決するには映像パネルの応答速度を上げることだ。

 PDPは応答速度が速いと言われてきたが、速いのは発光速度であり、消灯速度は液晶画素の書き換え速度並かそれよりも遅いくらいだ。3D液晶テレビでは、液晶画素の書き換え応答速度の改善ではなく、消灯応答速度が高速なLEDバックライトを組み合わせるアプローチでクロストーク対策を打ち出してきている。

 VT2世代のFBP1では、この消灯応答速度を改善するために、残光時間の短い蛍光体を採用し、さらにPDP特有のサブフィールド式の時分割駆動法に手を加えて、明るいサブフィールドから暗いサブフィールドへと発光させるようにして、速く消灯されるように改善した。

 VT3世代のFBP3では、この工夫を全て継承した上で、放電電極の微細化とマルチ化で発光制御をきめ細かく行なうようにし(フィッシュボーン構造型電極)、蛍光体の粒子も微細化して発光効率の向上と残光時間の短縮を実現させている。パナソニックによれば、こうした工夫により、VT3(FBP2)ではVT2(FBP1)と比較して約15%の発光効率を実現できたとしている。

サブフィールド駆動の改善など、残光時間を短くする工夫を盛り込んだ
電極の改善と蛍光体レシピの変更でさらに発光効率を上げた

 こうした工夫はもちろん効果はあるのだが、ワーストケース、たとえば、ある箇所の画素が、左目用から右目用の映像を描き変える段階で、極端な明状態から極端な暗状態に変化する必要がある場合など(暗い背景に立つ明るい人物の輪郭線など)ではクロストークが押さえきれない。

 そうしたワーストケースにも対処するため、VT3では、3D映像表示時においては、本連載2011 CES編でも紹介したクロストーク・キャンセラー駆動を導入することで対処している。これはクロストークが発生しうる箇所の画素を補償駆動するメカニズムだ。

 実際に、今回、Blu-ray 3D「怪盗グルーの月泥棒」を視聴してみたが、確かにクロストークは同クラスの3D液晶テレビよりもだいぶ少なく感じる。両目で見れば大きいズレ幅で重なって見える視差の大きい箇所でも、3D眼鏡を掛ければクリアな輪郭線が浮かび上がる。4〜5エリア程度のLEDバックライトスキャニングを採用する平均的な3D液晶テレビの3D画質よりも、VT3は明らかにクロストークは少ない。言うまでもなくVT2と比較しても3D映像のクロストークは改善している。

 では完璧かというと、そういうわけでもない。

 例えば「怪盗グルーの月泥棒」のチャプター13のジェットコースターのシーンでは黄色い昆虫の形をしたトンネルを抜けるシーンにおいて、トンネル内壁の電球の全てにクロストークが見えてしまっていた。つまり、視差幅の大きい明るいオブジェクトが暗い背景に浮かぶようなワーストケースの映像箇所ではまだ完璧ではないのだ。

3Dメガネは別売。2011年のデザイン3Dメガネ「TY-EW3D2」は40gを切る軽量を実現。サイズもL、M、Sの3タイプを設定。電源はボタン電池ではなく充電式内蔵バッテリーになった

 3D映像の話題ついでに、VT3から搭載された3D映像向けの新機能についての解説とインプレッションにも言及しておこう。

 VT3では、「設定する」メニューの「3D設定」にて、3D映像視聴時専用の画調設定が行なえるようになっている。

 その1つが「3D奥行き設定」だ。取扱説明書にもろくな解説がないので一体なんのことか分かりにくいが、これは立体視における輻輳点(ふくそうてん)の操作に相当する設定になる。簡単に言うと「視差ゼロの基準面を映像表示面より奥に設定するか、手前に設定するか」を決定するものだ。

 値は0をデフォルト値としていて、-3〜+3までの設定が行なえるが、マイナス値設定では立体像が奥に引っ込んでいき、プラス値設定では逆に手前に出てくるようになる。

 となると飛び出し感の強い「+3」や奥行き感が強くなる「-3」を設定したくなりがちだが、デフォルト値の0以外の設定にすると映像の外周部分がクリップアウトされてしまい視野は狭くなってしまう。この設定は、ユーザーが「3D映像が見にくい」と感じたときにいじれば良い。

 「左右反転」設定は左右の目の映像が逆転再生されてしまっている際の対処用で、これもあえて設定する必要はない。「斜め線フィルター」はサイドバイサイド、トップアンドボトムのような、解像度半分となる3D映像のジャギー低減用だ。ガウスフィルタを欠けたようなぼやけた映像になるのでこれも通常はいじる必要は無し。


3D設定。基本的にいじる必要はない 「3D奥行き設定」は輻輳点の設定。見にくいときに調整すれば位ば良い。「飛び出し感」「奥行き感」を変更できるが、3D映像の外周はクリップアウトされる

 さて、当初パナソニックは「2D-3D変換機能は不要」というスタンスで、昨年春のTH-P50VT2には搭載されなかったのだが、後発の3D液晶テレビが軒並み2D-3D変換機能を搭載してきたこともあり、夏に発売した42型、46型には搭載してきたと言う経緯がある。当然、VT3には全モデルが2D-3D変換機能が搭載されている。

 その変換アルゴリズムの詳細な解説はないが、様々なテスト映像を視聴して実験してみた限りでは、いくつかのアルゴリズムを複合させた変換を行なっていると推察される。

 あくまで筆者の推測だが、映像を解釈、認識して奥行きを振り分けているのではないようで、映像中の明暗に基づいて奥行きを裁定しているようだ。また、画面中央付近を最奥端に置こうとする傾向も感じられる。

 そのためか、奥で光っている看板や信号機が妙に前に出て来て見えたり、ニュース番組で大写しになったアナウンサーの胸がえぐれているような凹状に見えたりすることがあったりして、あまり落ち着いてみていられない。ただ、人の顔の丸みなどはなかなかうまく立体感が付いたりするので、うまくハマることも少なからずある。実用性というか正確性においては"いまひとつ"な感もあるが、「こんな感じに3D変換されるんだ」という"観光気分を楽しむ"向きには十分に楽しめると思う。きっと来客時にも「こんな機能があるよ」と見せれば絶対にウケるはずだ。

画素格子の太さは液晶とあまり変わりが無い。「低反射ディープブラックフィルターII」の効果もあってか、フォーカス感は良好だ

 さて、3Dテレビであっても、結局、稼動時間の大半を2D映像を見て過ごすことになるので、2D画質を無視することはできない。TH-P42VT3の2D画質についても触れておこう。

 TH-P42VT3はフルHD、1,920×1,080ドット解像度のPDPを採用するが、以前のPDPと違い、画素開口率は驚くほど高い。サブピクセルを仕切る格子筋はもはや液晶パネルに近いといってもよく、面表現においてもサブピクセルの分離感から生じる粒状感というものは皆無だ。

 気になる明るさだが、これはやはり同画面サイズの液晶テレビと比べると暗いことは否めない。液晶から買い替えたユーザーは暗さに驚くかもしれない。「プラズマは天井に蛍光灯照明を皓々と光らせた環境で楽しむものではない」という理解は必要になる。

 ただ、先代のVT2よりは明るくなった印象を受ける。特に3D映像においては、VT2ではかなり暗室に近い状態にしないと暗すぎる……という印象を持ったが、TH-P42VT3ではちょっと薄暗くしただけでだいぶ良い見栄えとなっていた。このあたりは「VT2比で発光効率15%向上」と言う部分が効いているのかもしれない。


輝度設定=低 輝度設定=中 輝度設定=高。暗いと思う場合は「画質を調整する」にて「テクニカル」モードに切り換えて輝度を上げることも可能。ただし、その場合は消費電力が上がり、寿命も短くなる。一部の画調モードでは輝度設定の調整は不可

 プラズマは明るさよりも黒や暗階調表現に重きを置いており、TH-P42VT3はこの点においては液晶を凌駕している。

 公称コントラストは500万:1。これはダイナミックコントラスト値ではなく、ネイティブコントラスト値だ。前述したように、液晶よりも最大輝度には劣るのに、ネイティブコントラストが圧倒的に高いのは、これはやはり暗部階調に伸びがあるからだ。

 500万:1というネイティブコントラスト値そのものは、実は、先代VT2から変わっていない。ただし、VT2よりも黒の深みが増して見える。上でVT2よりも明るく感じられる、と述べたが、これはVT3では黒の沈み込みが一層深まり、相対的に明部が明るく見えるようになったからに違いない。

 このVT3の圧倒的な黒の深さは「低反射ディープブラックフィルターII」によるものだと説明されている。VT2に採用されていた「低反射ディープブラックフィルター」よりも、「II」では、外光の映り込みをさらに押さえ、加えて表示面からの発光の内部反射を押さえ迷光を低減させることに成功しているとのことだ。

 この迷光低減は、画素のクリアな見え方にも貢献している。細い線分や、1ピクセルあたりの細かい表現などがぼやけずに非常にクリアに見えるのだ。このフォーカス感はVT3世代のパネルならではのものだと思う。

ビビッド=オフ ビビッド=オン。発色が艶やかになる

 発色もよい。最大輝度は液晶に劣るが、暗室で見れば色のダイナミックレンジは液晶よりも広い。とくに純色の艶やかさは素晴らしく、赤、緑、青の3色、どれも色乗りが鋭い。適切な表現かどうか分からないが、RGB-LEDで発光させた液晶の時の色乗りに似ている気がする。また、最暗部付近の色味も素晴らしく、暗部階調や黒表現能力が高いことと相まって、2D映像であっても暗部の色表現が非常に立体的に見える。

カラー・リマスター=オフ カラー・リマスター=オン。派手さよりも自然さを重視した発色になる

 肌色はVT2の時から良いが、VT3も良好だ。原色のダイナミックレンジの広さからなのか、肌色の色深度がとても深く、シャープネスが上がっていなくても、肌色の微妙な色変化が肌の肌理(キメ)などを美しく描き出してくれている。ハイライト付近の肌色も白に飛ばず踏ん張って色ディテールを浮かび上がらせてくれる。いうなればVT3は肌表現の情報量が多いという感じだ。

 階調表現や二色混合グラデーションも不満は無し。プラズマは時分割階調表現方式であるがために暗部階調にディザノイズが出たものだが、VT3では問題なしだ。液晶に近い美しい暗部階調が出せている。

色温度=低 色温度=低中 色温度=中
色温度=中高 色温度=高

 映像エンジン側の高画質化機能については2008年モデルのTH-P42V1とほぼ同じで、「NR」(ノイズリダクション)、「HDオプティマイザー」、「ビビッド」、「カラーリマスター」などの各機能についての機能解説とインプレッションについては本連載「TH-P42V1」編を参照して欲しい。

 先代VT2から追加された超解像機能は、VT3にも引き続き搭載されているが、相変わらず480i/480p/720pの映像に対してのみ適用可能となっており、1080i、1080pの映像に対しては適用できない。なお、ネット関連サービスの動画、PC入力映像に対しても適用させることはできなかった。

VIERAの超解像機能は使うための制限が多すぎる

 なお、超解像機能は、3D映像に対しても一定条件を満たせば効かせることはできる。その条件が詳しく説明されていなかったので筆者が実験してみたのだが、720p以下で入力したサイドバイサイド形式やトップアンドボトム形式の3D映像に対して効かせることができることが分かった。Blu-ray 3Dのような1080i、1080pの3D映像には効かせることができず、ネット関連サービス経由の3D映像にも(その映像解像度によらず)、効かせることはできなかった。

 総じてVIERAの超解像機能は、活用シーンがかなり限定される印象だ。DVD映像に対して効かせて楽しむのが、模範的な楽しみ方になるのだろうが、DVDプレーヤーがアップスキャンして1080p出力をしていると効かせることができない。

 機能自体もそれほど高度なモノではなく、ディテールが潰れてしまい、油絵シェーダーを掛けたみたいな映像になってしまう。しかも活用するまでの制約条件が多く、ほとんど使える局面がない。もう少しまともな機能にして欲しいと思う。

【2D映像に超解像を適用した例】

元映像(1080p) 超解像=オフ(720p) 超解像=強(720p)。超解像は使い物にならないという印象

【3D映像に超解像を適用した例】

元映像(1080p) 超解像=オフ(720p) 超解像=強(720p)。3D映像に対しても720p以下であれば効かせることはできるが、これでは……

 VT3に新搭載された「シネマスムース」機能もチェックしておこう。

 これは毎秒24コマ(24fps)映像をなめらかに再生するための機能で、VT3ではオフ、弱、強の3段階設定が行なえるようになっている。

 実験してみた感じではオフ設定は24fpsをフレームレート変換して96fps表示するだけの原信号(元フレーム)重視型の再生で、弱、強の設定ではフレームレート変換に加えて補間フレームの挿入を行なうものになるようだ。弱設定の方が元フレームの方を支配的に表示し、強設定の方は補間フレームの支配率を上げる表示となる。

 「ダークナイト」のオープニングのビル群を飛行するシーンでテストしてみた限りでは、弱、強のいずれの設定においてもビルの窓枠に大きな振動が発生してしまい安定して見ていられなかった。

 ちなみにオフ設定であっても24fpsの同一フレームを4度描きした実質上のリアル24fps表示となるので、フィルムジャダーの出方はリズミカルであり、映像の動きはスムーズだ。補間フレームのエラーに怯えながら見るよりは、オフ設定のこちらの表示の仕方の仕方の方が安心してみられる。常用するならばオフだろう。

24fpsソースを24fpsらしく表示するならば24Hzの整数倍の96Hzに設定する必要がある 3D映像のリフレッシュレートは通常は120HzでOK。120は24、30の両方の最小公倍数だからだ

 プリセット画調モードの種類は先代VT2と同じで傾向も同じなので、活用傾向とインプレッションについては本連載「TH-P42V1」編を参照して欲しい。

スタンダード シネマ
ダイナミック リビング

 1つ、付け加えるとすればデジカメ写真閲覧専用画調モード「プロ写真」モードについてだろうか。

 [らくらくアイコン]ボタンから選択できる「メディアプレイヤー」を利用することで、SDカードに記録されたデジタル写真の閲覧ができるが、この時にだけ「プロ写真」モードと呼ばれる画調モードが選べるのだ。

 このモードでは彩度が上がり色が艶やかになり、階調もコントラスト感重視に調整され、メリハリの付いた画調になる。純色表現もパネルの色ダイナミックレンジをめいっぱい使った、記憶色再現傾向が強まる。ナチュラル志向な画調という感じではないが、みんなで思い出の写真をワイワイ見るにはウケは良さそうだ。

プロ写真=オフ プロ写真=オン

 表示遅延テストも行なった。比較対象はテレビ製品としては最速に近いと言われているREGZA RE1シリーズの19インチモデルだ。19RE1は表示遅延最短のゲームダイレクトモードに設定し、HDMI分配機を用いて同一時刻帯の映像を19RE1とTH-P42VT3に表示してカシオのEXILIMにて120fps撮影を行っている。測定用テスト動画生成にはフリーウェアの「LCD DELAY CHECKER」を使用した。

 測定結果だが、TH-P42VT3では、画調モードによらず、19RE1に対して3フレーム遅延が発生している。また、実験してみた限りでは、画調モードによらず、「シネマスムース」機能をオフ設定にして補間フレームの介入をキャンセルすると1フレーム分早くなることが分かった。

 最近のテレビでゲームモードを搭載していないのはVIERAくらいなので、そろそろ対応をして欲しいところだ。

スムースオン スムースオフ

デフォルトではオン設定になっているナノドリフト機能
 撮影していて気がついたのだが、カメラを三脚で固定して撮影しるのに撮影した画面上の映像が微妙にずれるのだ。VT3には「ナノドリフト」機能が搭載された影響のようだ。これは表示映像をゆっくり上下左右にシフトしてプラズマの焼き付きを低減する機能とのこと。実用上は問題ないのだが、気持ち悪い人はオフ設定にすることをお勧めする。

■ まとめ

 VT3はVT2のマイナーチェンジ版といえるが、3D画質には磨きがかかっただけでなく、録画機能が搭載されるなど、テレビの本質的な部分での機能アップもあり、魅力的な製品となった。時代の潮流をいち早く取り入れたスマートテレビ的な機能も搭載され、競合製品との差別化をうまく訴求できていると思う。

 筆者的には、なにより、さらに黒が深まった2D画質に感心した。プラズマはもう言い訳ができないくらい液晶に比べてくらいが、この黒があるならば部屋を暗くして(あるいは暗室にして)見ようという気にもなる。ただ、こうしたテレビの見方は一般向けというよりは玄人向けだ。プラズマの生きる道はそこになるのだろう。

 最後に、いくつか気になった点を挙げておく。

 1つは視野角についてだ。本来プラズマは視野角が広いと言われているが、今回の額縁シームレス加工の弊害なのか、あるいは「低反射ディープブラックフィルターII」の影響なのか、近距離から見下ろしたり、近距離から見上げたりするような見方をすると極端に暗く見えるようになってしまっていた。左右の視野角には問題がなく、表示面と相対して視聴するような一般的な視聴スタイルでもこの現象は確認できないのだが、床に寝そべって見るような日本の茶の間スタイルで見る場合にはこの視野角特性は気になるかも知れない。

 もう一つ、プラズマの時分割階調表現で問題となる「移動するグラデーション表現を目で追うと知覚される擬似輪郭現象」。久々に実験をしてみたのだが、これも完全解消とはいかないまでも十分に低減されていた。例えば人の頬や赤いリンゴが動くような、同色系グラデーションが動く場合はほとんど気にならない。しかし、全く異なる原色同士(例えば青と赤など)が混ざるグラデーション表現では擬似輪郭が知覚された。これはかなり意地悪なテストであり、実写映像であればあまり起こりえない状況だとは思うが、ゲーム用途やグラフィックス製作用途では気になるポイントになり得るので報告はしておく。

(2011年 4月 14日)

[Reported by トライゼット西川善司]

西川善司
大画面映像機器評論家兼テクニカルジャーナリスト。大画面マニアで映画マニア。本誌ではInternational CES他をレポート。僚誌「GAME Watch」でもPCゲーム、3Dグラフィックス、海外イベントを中心にレポートしている。映画DVDのタイトル所持数は1,000を超え、現在はBDのコレクションが増加中。ブログはこちらこちら。近著には映像機器の仕組みや原理を解説した「図解 次世代ディスプレイがわかる」(技術評論社:ISBN:978-4774136769)がある。