西川善司の大画面☆マニア

第206回

熟成の4K画質と圧倒的な音。ソニーの新4K TV「KJ-65X9300C」

正常進化+Android TVのBRAVIA中核モデルを試す

 今回取り上げるのは、Android TV搭載でも話題のソニーの新4K BRAVIA「X9300Cシリーズ」。2014年モデルのX9200Bは、ソニーの4Kテレビ製品のミドルアッパークラスの製品で、こだわり画質とともにサイドスピーカーデザインによる上質サウンド性能を与えたユニークなモデルであった。

 X9300Cシリーズは、X9200Cの「4K×上質サウンド」コンセプトをそのままに、OSをAndroid TVに一新している。今回の大画面☆マニアでは、65型モデルの「KJ-X65X9300C」を取り上げる。今回は編集部での短時間での視聴であったため、4Kチューナや地デジなどのテレビ視聴は行なわず、ブルーレイやPCなどを接続しての評価を行なっている。

KJ-X65X9300C

設置性チェック〜2.2chサイドスピーカー音質がハイレゾ対応でさらに向上

 KJ-X65X9300Cは、サイドスピーカーデザインということもあって、最近の薄型テレビの売り文句である「大画面サイズなのに省スペース!」とは真逆で、一般的な65型テレビよりも左右に約10cmほどワイドな印象だ。

サイドスピーカーデザインの影響で、同クラスの競合機と比較すると横に大きい
ディスプレイ部の上部は厚みが抑えられているが、下部は結構膨らんでいる印象

 ディスプレイ部の寸法は170.6×9×87.1cm、スタンド取り付け時は170.6×29.2×91.1cmとなり、一般的な65型テレビと比べるとかなり幅が広い。事前の設置シミュレーションは入念にしておきたい。

 重量はスタンド無しのディスプレイ部のみで47.3kgとかなり重め。58型クラスだと25kg未満の機種もあるが、60型を超えると大画面を支えるための強度を筐体レベルで確保する必要があるようで、結構重いのだ。

 スタンドは小さな脚部をディスプレイ部の下に取り付ける方式。脚部自体はコンパクトなのでスタンド取付時の重量は48kgと、それほど重量増にはなっていない。

 ちなみに、スタンドはディスプレイ下部の中央より幅60.7cmで取り付けるパターンと、ディスプレイ下部の両端よりの幅160cmで取り付けるパターンが選べる。どちらを選ぶかは設置台の面積の大小で決めるといいだろう。安定性では幅広のパターンだ。

ディスプレイ部の端に脚部を取り付けた状態

 サイドスピーカーデザインと言うことで、最近流行の狭額縁デザインは潔くあきらめており、左右はスピーカーを含んで138mm、上は26mm、下(突起部分含まず)は33mm。上下の額縁幅もそれなりにあるのはバックライトが上下エッジレイアウトだからだろう。

 設置台とテレビ下辺との隙間はブルーレイパッケージ3つ分強。なので、以前のテレビと比べると映像が比較的低めの位置に表示される。

 表示面はハーフグレア加工といった印象で、周囲の映り込みはなくはないがそれほど強くはない。ただ、映像表示面に相対するところには照明や窓が来ないように配慮はしたい。

映像表示面はハーフグレアといった印象。映り込みがないわけではない

 拘ったというスピーカーユニットは2.2ch仕様の総出力90W。ステレオ2ch+サブウーファ2基という構成で、ステレオ2ch部分はそれぞれのチャンネルがツィータとウーファからなる2Wayのため、総スピーカーユニット数は6基となっている。

 総出力90Wの内訳はツィータが12.5W×2、ウーファが12.5×2、サブウーファが20W×2となっている。ここまでくると、下手なテレビ用サウンドバー製品よりもスペック的に豪華だといえる。先代は2chステレオ部のウーファユニットに磁性流体ダンパーを採用し、グラスファイバー製の振動板を採用していたが、X9300Cでは、さらにサブウーファユニットまでをも同仕様のユニットにアップグレードしている。

 その甲斐もあってか、テレビ用スピーカーとしては業界初の「ハイレゾサウンド再生対応」を謳うこととなった。

総出力90W。ツィータとウーファによる2Way構成のステレオメインスピーカーに加え、サブウーファも2機備えることで、競合を圧倒する高音質性能を獲得。ハイレゾ再生にも対応

 テレビ音声がハイレゾで伝送されては来ないため、X9300Cで本物のハイレゾ楽曲コンテンツを楽しむには、ネットワーク経由やUSBメモリ経由で音楽再生を行なう必要がある。ただし、新開発の音質補正技術の新バージョン「DSEE HX」を利用することで、ハイレゾ未満のサンプリング周波数/ビットレートのサウンドをアップスケールして再生できる。

 実際に、MP3などの圧縮オーディオをDSEE HXの効果をオン/オフして視聴してみたところ、確かに違う。一言で言うならば「音がリッチになる」ということになるが、いわゆる振幅強調系のエンハンサーのような技巧的な感じはなく、生音に近づくような解像感の向上を感じるのだ。楽器の音色でいうと鳴り始めのアタック音はそれほど差はないが、減衰してしてからサステイン音までの響きに情報量が増加する。人の声の響きなども違いが分かりやすい。抽象的に言えば「音を超解像処理して聞いている感覚」といったところか。PCなどを接続してX9300Cをリビングでのジュークボックス的に活用しても楽しそうだ。

 サブウーファとウーファの効果は、主にバスドラムやスネアの皮の音の響きに違いが現れて聞こえる。ツィータは、シンバルやハイハットのような高周波サウンドを粒立ちの酔い音で奏でてくれて聴き心地がいい。

 定格消費電力は311W。年間消費電力量295kWh/年だ。最近の65型の4K液晶テレビとしては平均的な値である。

充実の接続性

 接続端子パネルは画面向かって左側に備えている。HDMI端子は4系統で、側面にHDMI1とHDMI2の2系統、背面側にはHDMI3とHDMI4の2系統を用意している。なお、HDMI2はMHL対応で、HDMI4がARC対応となっている。

側面側接続端子パネル
背面側接続端子パネルの右側部分。HDMI端子やアンテナ端子が列ぶ
面側接続端子パネルの左側部分。アナログ入力端子が列ぶ。意外にもD端子ではなく、コンポーネントビデオ端子を備えている

 オーバースキャン設定やドットバイドット表示の設定は「画質・映像設定」の「画面モード」-「表示領域」設定にて行える。「フルピクセル」「ノーマル」「-1」の設定値が選べるが「フルピクセル」がドットバイドット表示に相当。それ以外はオーバースキャン状態となる。

入力切換メニューはグラフィック表示で分かりやすい

 HDMI階調レベルは同じく「画質・映像設定」の「ダイナミックレンジ」設定にて行なえる。設定値は「オート」、「フル」(0-255相当)、「リミット」(16-235)相当が選べるが、今回筆者がPlayStation 3やPCと接続した限りでは「オート」設定で正しいHDMI階調レベルの設定が行なえていた。

「画質・映像設定」メニュー
B-CASカードスロットは背面側。X9300Cは4Kチューナー(スカパー!プレミアムサービスチューナ)を標準搭載しているためスカパー! ICカードもここのスロットに挿入する必要がある

 アナログ入力系はコンポジットビデオ入力とステレオ音声入力をセットにしたビデオ入力1と、コンポーネントビデオ入力とステレオ音声入力をセットにしたビデオ入力2が提供されている。日本市場向けのテレビ製品としては珍しくD端子ではなく、コンポーネントビデオ端子になっている。なお、ここのアナログ音声入力を特定のHDMI入力用に流用する仕組みは用意されていない。

 この他、背面には各種アンテナ端子、LAN端子、光デジタル音声出力、HDD録画専用USB端子が実装される。側面側にはヘッドフォン兼アナログ音声出力、2系統の汎用USB2.0端子がある。ここのUSB端子は録画用HDDの接続には対応していないが、デジカメやUSBメモリの読み出しには対応しており、アプリを活用する事で楽曲、ビデオ、写真を楽しむことが出来る。

タッチパッドリモコンが音声入力対応。Android TVの使い勝手は?

 リモコンは最近、他社製の4Kテレビ製品で流行中の2リモコン構成。1つはチャンネル数字ボタン搭載型の従来型のテレビリモコンだが、もう一つは、タッチパッドを実装した変わり種「タッチパッドリモコン」だ。

見慣れた形状の標準リモコンは赤外線式
タッチパッドリモコンは電波無線式
画面向かって左側には簡易操作パネルがある

 電源オン操作からHDMI入力の映像が出るまでの所要時間は実測で5.5秒。別系統のHDMI入力に切り換えてその映像が表示されるまでの所要時間は実測で約6.0秒。どちらも最近の機種としてはちょっと遅め。

 赤外線ではなく2.4GHz帯の電波式で接続されるタッチパッドリモコンは、音声入力にも対応。X9300Cは、プラットフォームがGoogleのAndroidベースとなったので、Androidベースのスマートフォンと同等の音声入力による検索や操作ができるようになっている。

Android OSを採用。操作系にもAndroid流儀が色濃く及んでいる
ソフトウェアのアップデートで機能進化

 それこそ「YouTubeで○○を検索」と言った具合に、見たい動画のキーワードを与えて検索することができるようになっているのだ。

 操作のレスポンスも高速。軽快だ。

 ただ、あまりにも「Android、Androidしている」部分が多く、テレビの操作文化圏とは異なる操作感が顔を出すことがしばしばあって戸惑うこともがあった。

 例えばX9300Cのリモコンには[設定]ボタンのようなものはなく、各種設定は[ホーム]ボタンを押してホームメニューを開いてから行う事になるのだが、どうもこの操作はAndroid端末のホームボタン操作に相当するようで、その時点で再生していた映像や音声が消えてしまう。

[ホーム]ボタンから設定を選ぶとこのように全画面がメニュー画面になってしまい、映像や音声も消失してしまう

 こうした事態を避けたい場合は、簡略化した設定メニューが出せる[視聴中メニュー]ボタンを押すといい。ごく基本的な設定項目しか調整出来ないが、再生中の映像や音声を消し去ることなく設定変更の操作が行なえる。ただ、似たような操作をするのに2つのメニューが用意されていて目的別に使い分けよ、というのも変な話ではある。

視聴中メニュー。設定項目のウィンドウが大きくて、基本的に映像を見ながらの調整がやりにくい

 また、YouTubeを見ているときにリモコンのチャンネル切り替えボタンを押してもテレビチャンネルに切り替わらず、[テレビ]ボタンを押してテレビ放送視聴モードに切り換えてからチャンネル切り換え操作をする必要がある。

 良くも悪くも、これまでの家電製品ぽい操作系はなりを潜めていて、スマホ流儀がそのままテレビに載ってしまったような操作系には違和感を感じてしまった。

 その他、使っていて気になったのは、電子取扱説明書が音声入力で検索できないこと。仕方なしに、ソフトウェアキーボードで入れようとしたらアルファベットのみで日本語(かな漢字)が入力出来ない。どうやらAndroidプラットフォームなので日本語入力システムをアプリとしてインストールしなければならないようだ。この辺りの操作性も、もう少しレベルアップを望みたい。せっかくAndroidで音声入力が使えるようになったのだから。テレビの取扱説明書の電子化は流行しているが、残念ながら使いやすいものに遭遇したことがない。ただペーパーレスにしただけで満足せず、テレビメーカーには使いやすさをもう少し探究して頂きたいと思う。

タッチパッドリモコンはNFC対応。スマートフォンとタッチパッドリモコンをくっつければ簡単にスマートフォンの画面をX9300Cに無線接続で映し出すことが出来る

 さて、Androidの流儀が導入されたことでもたらされたのは、何も「戸惑い」ばかりではない。いい面もあるのだ。

 Android端末ではお馴染みの標準アプリである「アルバム」を利用することで、X9300C側のUSBメモリにアクセスでき、USBメモリに格納されたコンテンツの再生がスマートフォン感覚で行えるのだ。実際に試してみたところでは、USBメモリに格納された静止画、楽曲、動画をAndroid端末と同じ操作感覚で再生することができた。ちなみに、4K撮影対応のアクションカム「FDR-X1000V」で撮影した4K映像(MOVファイル)も、ちゃんと4Kで再生出来たことには驚かされた。

Androidの標準アプリ「アルバム」でUSBメモリ内のコンテンツの閲覧や再生が行えた。操作感はまさにAndroidスマートフォンだ

 X9300Cでは新たに超解像処理機能付きの「ゲームモード」が搭載されている。その実力を確かめるべく、60Hz(60fps)時0.2フレーム(3ms)遅延の東芝REGZA「26ZP2」との相対遅延時間計測を行なったところ、60Hz時0.9フレーム(15ms)となっていた。超解像処理付きで、ここまでの低遅延は立派。アクションゲームなどをプレイしても違和感はないはずだ。

画質チェック〜エネルギー感溢れるHDR画質。超解像付き3D映像は隠れた訴求点

 KJ-65X9300Cはディスプレイ部の上下に白色LEDバックライトモジュールを配置したエッジバックライトシステムを採用する。

 エッジバックライトシステムでは、輝度均一性(ユニフォミティ)性能が直下型バックライトシステムに及ばないという定説があるが、KJ-65X9300Cでは最外周がやや暗めということ以外に不自然さはなく、うまく調整されていると思う。

 液晶パネルの解像度は3,840×2,160ピクセルのリアル4K解像度。液晶タイプは非公開となっているが、画素形状を見る限りはマルチドメイン型の垂直配向(VA)型だと思われる。

液晶画素の接写写真。画素形状は昨年モデルの「KD-65X9500B」とほぼ同一であった

 映像表示面は液晶パネルと表示面側のガラス板の間を特殊樹脂で埋めて形成させるオプティコントラストパネル処理がなされているため、映像が表示界面に浮き出て見えるソニーBRAVIAのオンリーワン画質を実現している。

 発色は鮮烈で、緑青赤(RGB)のいずれも純色も美しい。人肌はシネマ系の画調モードにおいてリアリティが高く、暗いシーンでも明るいシーンでも自然に見えてくれる。

ライブカラー=切
ライブカラー=弱
ライブカラー=中
ライブカラー=強。強い設定にするほど広色域性能を引き出すチューニングとなっている

 ちなみに、X9300Cは上下エッジバックライトシステム採用機ではあるが上下二分割×左右複数分割の簡易エリア駆動に対応しており、映像フレーム内での明暗差の激しい表現に対してもある程度対応はできるポテンシャルを備えている。これが鋭いハイダイナミックレンジ(HDR)感の再現に貢献しているのだと思う。

バックライト分割制御=切
バックライト分割制御=弱
バックライト分割制御=中
バックライト分割制御=強。左側のくらい壁の暗さの変化に注目

 なお、X9300Cは、NetflixやUltra HDブルーレイで採用予定のリアルHDR表現にも対応予定。そうしたHDR映像時代を見据えて機能設計してきたのだろう。現在は通常のダイナミックレンジ(SDR:Standard Dynamic Range)コンテンツを、HDRコンテンツに推測変換して表示する「X-Tended Dynamic Range」の疑似HDR表示だが、その完成度も上がったように感じる。エッジバックライトシステム採用機のわりには、高輝度領域のピーク感/エネルギー感は良好で、復元された疑似HDR表示の品質は、上位の直下型モデルX9500Bに負けていない。

X-Tended Dynamic Range=切
X-Tended Dynamic Range=弱
X-Tended Dynamic Range=中
X-Tended Dynamic Range=強。弱→中ではピーク輝度を強めていくが、強設定では暗部に対して締まり強化制御も介入するようだ

 X9300Cは、4Kテレビではあるが、今でもメインのコンテンツはフルHD(2K)が中心だ。だからこそ、今まで以上に超解像機能の重要度が高くなったといえる。そして、X9300Cにも、登場以来高い評価を得ているデータベース型超解像エンジン「4K X-Reality PRO」が搭載されている。

 実際にフルHDのブルーレイ映像を見てみたが、確かに単純な信号処理レベルの輪郭強調や陰影強調とはひと味違う、視力が良くなったような見え方の映像になっていた。これは、テクスチャに乗った、細かなハイライト表現にも解像感が戻ることから得られる印象なのかも知れない。

全体写真
4K X-Reality PRO=切
4K X-Reality PRO=入。陰影側の先鋭化だけでなくハイライト側も先鋭化されているのがわかる

 120Hz倍速駆動パネルと、バックライトの明滅制御と補間フレーム挿入技術を組み合わせることで240Hz駆動相当の見映えを実現する「モーションフローXR240」技術を搭載するが、この品質もチェック。例によって補間フレーム生成難度の高いブルーレイ版「ダークナイト」のビル群の空撮シーンで確かめてみたが、全く問題なし。補間フレーム支配率の高い「なめらか強」設定でもピクセル振動を起こさずにスムーズに表示が行なえていた。

 3D映像も視聴。視聴したのはこれまた例によってブルーレイ3D版の「怪盗グルーの月泥棒」のジェットコースターシーンだ。トンネル内の照明群にクロストーク(二重像)が出やすい映像なのにもかかわらず、X9300Cではほとんどこれが感じられない。X9300Cの3D表示方式はフレームシーケンシャル方式で、3Dメガネは液晶シャッター方式を採用したアクティブ3Dメガネ。この方式で、ここまで低クロストークな3D映像も珍しい。

 また、3D映像にも4K化超解像処理は効いているようで、超解像処理されて疑似4K表示となった精細感のある3D映像が楽しめた。直視型の4Kテレビでの3D表示は偏光方式/パッシブ3Dメガネ方式が多く、フルフレームが4K化された3D映像を見られる機種は少数派。ここは3D映像ファンにとっては訴求ポイントとして響きそうだ。

 プリセット画調モードに関して、今回大きな仕様変更が行なわれている。従来機では「シーン」と名付けられたコンテンツの種類に応じて、適切な画質モードをさらに別途選択するという二段方式を採用していた。東芝のREGZAでもこうした二段方式を採用しているが、今回のX9300Cではこの二段方式をやめて「画質モード」のみを選択すればよい方式となった。つまり、以前のBRAVIAの方式に戻ったのだが、もともと、なぜ二段方式にしたのかよく分からなかったので、個人的には良かったと思っている。

 全画質モードのうち、特に選択に悩みそうなモードに関しての活用方針とインプレッションを述べておこう。

 シネマ系には「シネマプロ」と「シネマホーム」があるが、前者はBT.709のsRGB色域に準拠した画調に調整されているようで、現行ソフト/コンテンツ本来の画調で楽しみたい人向けのモードだ。後者は、どちらかといえばソニーのエンジニアがXCのポテンシャルを活かしきろうと調整した、豊かな画調モードとなる。好みや映画のタイプにも寄るが、X9300Cは広色域再現に注力してチューニングされたトリルミナスディスプレイ対応製品なので、その性能を楽しみたいならば後者を選択するといいだろう。

 「アニメ」は、日本のテレビアニメに合わせて作り込まれた画調のようで、色温度は高めだが、日本のアニメ特有の「塗り」の階調が過不足なく表示される印象がある。

ダイナミック
スタンダード
シネマプロ
シネマホーム
スポーツ
アニメ
フォト-ダイナミック
フォト-スタンダード
ゲーム
グラフィックス
HDRビデオ

おわりに〜極まった画質性能。HDR対応への期待感

 KJ-65X9300Cの価格はソニー直販価格で599,880円。65型の4Kテレビのアッパーミドルモデルとはいえ、低価格化が進む4Kテレビの中では高価な部類だ。55型のKJ-55X9300Cは419,880円と、65型よりはリーズナブルになる。

 画質に関しては、視聴した限りではX9200Bから大きくは変わった印象はなく、いうなれば「洗練を推し進めた」といった手応えだ。X9200Bの時からエリア駆動の品質は高かったし、倍速駆動のエラーは少なく、超解像も成熟の域に達していたので、あの名機の新世代版というだけで引き合いは強そうである。

 画質面での本領発揮は、次世代映像規格のHDRフォーマットに対応したときまでお預けかもしれないが、4Kチューナー搭載、新ゲームモード搭載、超解像化3D映像表示対応……と、全方位に粗のない高性能を纏った優等生的な製品として、十分に満足度の高い製品にはなっている。

 1つ課題を挙げるとすれば、大きく舵を切ったAndroidプラットフォーム周りだろうか。

 画質の完成度と比較すると、スマートテレビとしての使いやすさが発展途上という感じで、本文でも紹介したようにスマートフォン的な便利さの中に、テレビ製品文化に適合しない「あれ」っと言う感じの不便さも同居している。この部分は、アップデートで進化をしていって欲しいものである。

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トライゼット西川善司

大画面映像機器評論家兼テクニカルジャーナリスト。大画面マニアで映画マニア。本誌ではInternational CES他をレポート。僚誌「GAME Watch」でもPCゲーム、3Dグラフィックス、海外イベントを中心にレポートしている。映画DVDのタイトル所持数は1,000を超え、現在はBDのコレクションが増加中。ブログはこちら