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ポイントは「人の手」と「クラウド」の融合。東芝に聞く「2年目のTimeOn」
(2013/12/20 09:45)
東芝は自社テレビ「REGZAシリーズ」上位機種で、テレビ向けクラウドサービス「TimeOn」を展開している。スタートは2012年秋のことだから、すでにサービスから1年が経過している。昨年、サービススタート時にもその狙いを記事化しているので、併読していただけるとありがたい。
サービス開始から1年、TimeOnも機能が拡充され、より狙いがはっきりしてきた。「テレビは付加価値商品ではない」と言われる中、画質以外の軸として積極的な技術開発を続ける同社の狙いについて、改めて聞いてみた。
そこからは、「テレビを見る」という行為の現在の姿が見えてくる。取材にご対応いただいたのは、東芝 プロダクト&ソーシャル・インターフェース部 部長の片岡秀夫氏、プラットフォーム&ソリューション開発センター クラウド技術開発部 第一担当 主査の大喜多秀紀氏、同・第二担当 グループ長 木塚善久氏、同・主務の石垣智氏の4名だ。
チャンネル・録画連動機能をクラウドで提供
そもそもTimeOnとはどのようなサービスなのか、その点を振り返っておきたい。
TimeOnは、東芝のテレビ内で利用できる、専用のクラウドサービスだ。テレビ内で使えるサービスも多彩になってきたが、TimeOnは、他社によくある「外部にあるネットサービスのテレビ版が使える」ではなく、東芝のテレビ専用のものだ。その機能はほぼすべてがクラウド側で実装されており、テレビ側で用意されているのは、その受け皿となるHTML5対応のウェブブラウザと、TimeOnへと視聴中のチャンネル情報や録画予約情報を受け渡すための機構だけだ。だが、テレビならではの情報とクラウドが密接に結びついているため、「自分が見ているチャンネルに合わせた番組情報」をネットから抽出し、表示する、といったことも可能だ。
高性能なウェブブラウザが必要になる関係上、利用できるのは、2012年発売の「REGZA Z7/J7」、今年発売の「Z8X、Z8/J8」シリーズといった、比較的性能の高いテレビに限定されているが、テレビ側に特別なファームウエアを追加する必要がないため、旧機種であっても新機種であっても、常に最新の機能が利用できる。唯一の例外は、白物家電との連携技術「家電コンシェルジュ」がZ8/J8シリーズより対応となったことだけだ。今回はテレビ関連の機能に絞ってお話するため、本記事内で説明しているものは、すべてのTimeOn対応テレビで利用できる、と思っていただきたい。
まずできるのは、テレビの録画制御だ。TimeOn対応のREGZAシリーズはすべてテレビ番組録画に対応している。録画した番組にはクラウド側からシーン単位での「区切り」情報が提供される。そこから検索機能を使い、自分が好きな芸能人が出ているシーンだけを見たり、ライブシーンだけを見たり、といった使い方ができる。これが「みどころシーン再生」だ。同時に活用されているのが「タグリスト」。東芝がレコーダで使ってきたネット連携機能を生かし、番組毎に「放送局」「放送チャンネル」「番組名」「再生地点」の情報をまとめ、機器をまたいだ番組再生用インデックスにしよう、と育ててきたものだが、それがTimeOnでは、番組の頭出し機能の一つとして活用されている。
また、録画予約の情報は、TimeOnの利用者同士でメッセージとしてやりとり可能になっていて、「お勧めの番組」を知人に勧めて、番組録画をしてもらうこともできるようになっている。その際には、録画番組を自分が指定した法則に従って「グループ分け」し、そのグループをおすすめしてまるごと自動録画してもらうデータとする「おまかせ録画コミュニティ」(画像)という機能も使える。
冒頭で述べたように、TimeOnは「テレビのチャンネル情報」と連動して動く。そのため、今見ているチャンネルをテレビから取得し、「おまかせ録画コミュニティ」が連動で動作する。例えば、今実際に見ているドラマの出演者情報やジャンル情報から、その内容に適合する「おまかせ録画コミュニティ」を表示する、といったこともできるのだ。
また、今年の機能強化として用意されたのが「SNS TV」だ。この機能はその名の通り、TwitterやFacebookのテレビ情報とTimeOnを連携し、番組情報を見つける手助けにするサービスだ。ハッシュタグを元に、今どのチャンネルが盛り上がっているのかを見ながら、チャンネルをチェックできる。これはもちろん、Twitterを使ったある種の「実況」対応といっていい。Facebookについてはフォトストレージとして使い、テレビ上で写真を見る、といった使い方になっている。
「習慣性が失われた」テレビで、番組を見つけてもらうには
これらTimeOnの機能には、明確なベクトルが存在する。それは「番組をいかに見つけてもらうか」に特化した存在である、ということだ。テレビの上のクラウドというと、家庭内掲示板やビデオ・オン・デマンドのような、どちらかといえば「独立したツール」に近いものが多い。しかしTimeOnは、明確に「テレビ番組との連携」を指向している。
その狙いはなんなのだろう? 片岡氏は次のように語る。
片岡:「テレビの中でなにかが起きている」ということを知ってもらうため、ということが一番大きいです。顧客の動向から先を読むのが難しい時代になった、とよく言われるのですが、テレビはいまだ「視聴率」という動向の指針に頼らざるを得ません。でも時代は確実に「動向」では切れなくなっているんです。
現在、テレビの録画量は減っています。でも、みなそのことに言及しなくなっています。録画予約の数も減っているんです。いちいち録画するのが、もうめんどくさい。また、せっかく録ったのに、みんなが話題にしているものは違う、ということもあります。
ノーマークだった番組が突然大ヒットし、話題の中心になることもあります。みんなが話題にしているのは特定の番組だけれど、自分が録画している番組は別のチャンネルの、別の番組。そうなっちゃうと「なんで録っているんだっけ?」ということになりかねません。番組が楽しみで録画している人もいるでしょうが、知り合いが盛り上がっているものを見れないと、どこか寂しいじゃないですか。多くの人にとって、テレビ番組は「会話の肴」なんです。それこそがテレビを見る動機の一つです。会話の肴になるには、放送の翌日・翌々日くらいまでに番組が見られる環境にないといけません。その番組を録っていない=見られないということは、会話の肴がなくなることにつながるわけです。要は「みんな見てるから私も見なきゃ」という、テレビへ人をつなぎ止めていた強制力が崩壊して、よりテレビを見なくなるんです。
その先にあるのは、「番組が見つからない」という問題です。そもそも消費者には、目的のものが「どこにあるか」がわかりません。ジャンルをまたぐものが増えた結果、どのジャンルに指定していいかも微妙になっています。音楽の例で言えば、エンヤのアルバムは、ニューミュージックに置くべきなのかロックに置くべきなのか。わからないですよね。お客様はある動向、カテゴリーによって分けられていて、コンテンツの側もお約束として「あるカテゴリー」で分類されます。でも、送り手側の多様化・受け側の趣味の多様化のマッチメイクにより、カテゴリー分けがうまく成立しなくなっています。要はCDをうまく探せない。それが、音楽などの「物理メディア」で起きたことです。
でも、アマゾンのようなサービスが一般的になると変わりました。要は検索すればよくなったわけです。もうジャンルを気にする必要なんてなくなった。テレビ番組でもおそらく同じものが必要で、どうやってお客様に、幅広いカテゴリーで用意された大量のコンテンツの中から、必要なものを探していただくか。これは今後も追求していくべき課題です。コンテンツの多様化と多彩化はこれからも続きます。そこからいかに好みのものを見つけるのか。ただでさえ、可処分時間はスマホやタブレットに奪われてきています。番組表から番組を探すのが面倒になってきたんです。これにより、さらに録画率・視聴率が減ります。
そうしたことに対応するための東芝の方策はなにか?というのが、「おまかせ録画コミュニティ」と「SNS TV」というわけです。
すなわち、「知り合いと見る番組を共有し、共通の話題を作れる」「テレビの内容を文字で検索可能にする」「今話題の番組がなにかをわかりやすくする」という、テレビを見てもらうための課題に対応するために、「お任せ録画コミュニティ」と「SNS TV」という機能が作られた、というわけなのだ。
彼らが抱いている危機感は1年前から大きく変わっていない。それどころか、片岡氏の意見という意味で言うならば、もう5年以上同じだ。「テレビが面白くない」と言われ、確かにコンテンツ力の低下はある。しかし実際には、面白い番組も確かにある。だが、生活時間帯の変化や多チャンネル化によって、自分にとって面白い・興味深いはずの番組に「出会えない」状況がある。EPGはそれを解決するための手段だったはずなのだが、うまく機能していなかった。
片岡:実際の書店にいけば、視界にたくさんの本が目に入りますよね? 色んな本に出会うための「面」が、お店毎にあります。でも、画面の上の電子書籍ストアではそんなに多くない。検索してしまうと出会う面が狭くなるので、むしろ出会いが少なくなりますよね。
でも、テレビ番組は最初からそうなんです。EPGの膨大な空間を検索することもできなかった。だから見つかる番組は狭いんです。そもそも文字だけの情報ですよね。だから録画予約も大変。これが、テレビという業界そのものが抱える問題なのです。
これまで「テレビ」がそれでも成立してきたのは、決まった時間・決まったチャンネルの番組を見るという「習慣性」による発見能力が効いていたからだ。特に昭和の時代、テレビ黄金期には、習慣性による視聴誘導が視聴率上昇に繋がり、コンテンツ制作へのコストと才能の集中を生み、それがまた魅力となってテレビへのロックを生み出す……というポジティブスパイラルを生んでいた。
しかし、今のテレビ離れにおいては、すでに挙げたような理由もあり、習慣性によるロック機能も失われている。そうした問題を解決し、「そもそもテレビを見てもらえる環境を作る」ことを東芝は狙っている。ひいては、それが東芝のテレビを売ることにつながる、と考えているわけだ。
人の手でセグメントを作る「おまかせ録画コミュニティ」
軸である「おまかせ録画コミュニティ」は、すでに述べたように、番組を自動的に整理し、番組をグループ化した情報を提供することで、「ある内容に関連がある番組」を簡単に見つけられるようにする機能だ。
片岡:おまかせ録画コミュニティは、クラウドを使い、番組の「セグメント」を任意に自律的に追加できる機能です。例えば「恋愛ドラマ」なら自動的に恋愛ドラマが、「SFアニメ」ならSFアニメが自動的に列挙され、録画予約できるようになります。
ただし、ここで重要なのは、最初に列挙されているコミュニティ(セグメント)の多くは、東芝側がある基準に応じて作ったものだ、ということだ。写真をご覧いただけばおわかりのように、アニメだけでも「歴史アニメ」「ファンタジーアニメ」「つやつやアニメ」と、非常に細かい分類がなされている。ちなみに「つやつや」とは、ちょっとお色気要素の強い深夜アニメを指す。
片岡:こういったセグメントを作るには、結局キュレーションが必要です。テレビの内容はメタデータの形で提供されるのですが、「なにが恋愛ドラマか」というメタデータは存在しないわけですよ。アニメかどうかはわかっても、それがどんな内容か、というセグメントは提供されません。
先ほど挙げた音楽の例でいえば、エンヤはどこに入るか、というお話に近いです。ゴシックメタルってどんな曲・どんなバンドか、ということが販売情報に入っているわけではないですが、そのジャンルを知っている人からすれば、どんなバンドなら入るか、どこを外しちゃいけないか、はわかりますよね。
おなじように、テレビ番組もかなり専門家がキュレーションしないとセグメント分けは難しいです。メタデータではわからないんですよ。それをシステム化する、というチャレンジです。
ユーザーの方々の中にはもちろん、そういう「分かっている」方もいるので、セグメントを作っていただけると思います。しかしそこでひとつのアプローチとして、まず我々サービス側が模範を示さねばならない、ということで、「この辺がひとつのクラスターであろう」ということを示すために、事例をご提供しています。
実はそのために、我々のスタッフが全部番組を見ているんですよ。アニメなら、放送されている深夜アニメを何期も全部見て、製作プロダクション毎の傾向だとか、誰が監督だとか、絵柄やキャラクターによる傾向とか、作品毎の属性を分析して、セグメント分けを決定しました。大まかなジャンルを決め、そのジャンルに「この作品はこの辺だろう」という位置をプロットし、重なった作品毎にセグメントを決めていっている、というところでしょうか。
属人性を生かして「番組」を「話題の肴」に
言葉だけを見ると、東芝がやっていることは、なにか難しいことをしているように思える。だが要は「ファンなら持っている、言葉にならない分類のイメージ」を定型化する作業にすぎない。TimeOnチームはそれを業務としてやっているわけだが、彼らももちろん、そういったジャンルが嫌いなわけではない。少ないスタッフ(数については秘すが、驚くほど少数だ)が半ば趣味と実益を兼ねて、EPGやメタデータからは得られない「マニアの趣向による視点」を、サービスの付加価値として提供していることになる。それそのものがコンテンツでもあるし、片岡氏の言う通り、ある種のサンプルでもある、という位置付けだ。
片岡:もちろん、我々が作れる量には限りがあります。ですから、皆さんに自由に作っていただきたいのです。こうしてできたリストをフォローしてもらうことで、「僕らが好きなものはこれだから、フォローしてくれれば、会話の肴のための番組は簡単に見つかる」という状況が作れます。自動的にその属性にあった番組が追加されていくので、EPGに頼ることなく録画が行なえるわけです。
こうした分類は、8割くらいまでは機械化できます。しかし2割が難しい。でもその部分が大切です。ネットサービス全体を見渡しても、意外とこういう手作業が大切になってきた印象があります。今後も自動化の試みは続けて、ある程度までの省力化は行なっていきますが、最後はやっぱり人の手に頼ることになると思います。
本質的には、我々だけで作るものではなくみんなで作っていくものだと思いますが、「みなさんにお任せします」ではダメなんです。まずは我々がプロシューマーとしてお見せねばならない。
テレビ番組から面白いものを発掘し、独自の視点でグルーピングして紹介する、というやり方は、決して新しいものではない。昔ならば、テレビ番組情報誌が担っていた役割、ともいえる。他方で、雑誌からそうした情報を得る、というあり方は弱くなり、ウェブは同じ役割を果たせていない。東芝はテレビの中から同じようなことを、記事とは別の形でできないか、と考えているわけだ。そして昔と違うのは、そうした提案を、自分達も行なえるようになっているところにある。
そのため片岡氏は、TimeOnでやろうとしていることが、ある有名なネットサービスに似ている、と指摘する。
片岡:要は、クックパッドに似ている、と考えてください。美味しい料理の作り方が紹介されていて、それを見ていると面白いし、作るとさらに面白くて、評価できる。作ってみた人はまた別の観点で料理を投稿し、それが積み重なっていく。サービスの中の人、という意味では、同じように「まず対象を楽しんでみて、盛り上げる」立場であり、情報を提供する立場。その後、それぞれ拘りをもったユーザーが作った情報がまとまって、価値をもっていく、ということです。要は、そういう源になるものは、自動で作るとか、そういう話じゃないんですね。
なお、SNS TVも、番組との出会いを演出するためのものだ。他のチャンネルの盛り上がり方が見えるため、今見ていないチャンネルに目を向ける可能性が出る。これも「会話の肴」を見つけるための方策だ。
Facebookページでレポートも提供
クラウドサービスであるために、TimeOnを経由して録画された番組の情報は、基本的に東芝のサーバーに蓄積されていく。そこからは、番組視聴状況に関する、様々な統計データも集まってくる。要はランキングやその推移として扱えるわけだ。ランキングを見ることは、それそのものがエンターテインメントであり、番組の発見機能でもある。
RDシリーズから、同社はそうした方向性を模索してきたが、TimeOnでも同様だ。まず提案しているのは、Facebookでの情報提供である。といっても、これはテレビの中で閉じたものではない。TimeOnのプロモーションの一環として、Facebookページとして展開されているものだ。
注目は、TimeOnを経由して集まったデータから、アニメやドラマの人気状況を解析、その情報をレポートとして公開していることだ。どの番組が人気があるか、だけでなく、人気がどのように推移しているかを見ると、見ていなかった番組への興味もわいてくる。
こうしたレポートは、スタッフがデータを見ながら、執筆者の属人性を生かした形で書き上げられている。時にはスタッフお勧めの番組が単品で紹介されることも多い。
すでに述べたように、TimeOnでやっている「テレビ番組紹介の方法論」は、データの裏付けに加え、スタッフの属人性を生かした上で編み上げる、ある意味「雑誌的」なものだ。TimeOnのFacebookページも、独立したウェブメディア、という印象が強い。
こうした行為がテレビの拡販に、直接的にどこまで響くのか、正直疑問なところはある。とはいうものの、こうやって「テレビにまだ存在する魅力」を発掘していくことが、テレビという商品を浮上させるために必要なこと、と片岡氏を中心としたスタッフが信じていることだけは、間違いない。
サーバーはアマゾンAWSを利用、過去機種にも機能提供
TimeOnはクラウドで実現されているわけだが、そのインフラは、我々にもおなじみのもの。「具体的には、アマゾンのAWS(Amazon Web Services)を使っている」(木塚氏)という。要は、アマゾンのクラウドインフラを使い、利用者の量に応じてスケーラブルにインフラを増やしながら対応する、ということ。様々なネットサービスで使われているAWSを採用しているということは、TimeOn自身もクラウドサービスとして見た場合、データの内容や対象製品が多少特殊ではあるが、特別な技術で作っているわけではない、ということでもある。とはいうものの、テレビはリアルタイム性が大切なものなので、処理スピードは非常に重要になる。
木塚:すでに数万のユーザーを同時に扱うシステムになっているので、同時・リアルタイム性の高いリクエストに耐えられるようなシステムを構築するのがポイントです。サーバーの台数などはお答えできませんが、1年間で規模は倍以上になっています。負荷の多いものはできるだけクラウドで処理し、テレビ側は軽くする、というのが基本ではあるのですが、そう上手くはいっていないです。どのくらい処理負荷が出るのかを試した上で、慎重に機能を実装しています。
大喜多:弊社としても、テレビを「売った後」にこれだけ多くの機能を追加している、というのははじめてのことだと思うのですが、クラウドの仕組みだからこそ実現できているな、と思います。今のところ、2012年リリースのテレビを切り捨てることは考えていないので、今後とも機能追加を行ない、うまく刺激を与えつつ進めていければ、と思います。正直言って、Z7(2012年モデル)のファームウエアの部隊も、最初に製品をリリースする時はたくさんいるのですが、リリース後には次製品に移りますから、いなくなったも同然です。しかし、我々は我々の中でできる限りのものを提供しています。時にはファームウエア側での追加をお願いすることもありますが、今のところはほぼクラウド側で対応できています。その分開発は大変ですが(笑)
TimeOnは意欲的なサービスだが、それで直接的に料金を徴収するビジネスモデルではない。すべてのテレビに『ファームウエアを書き換えて」対応するのでは、コストがかかりすぎて現実的ではないし、変化するテレビとネットの世界に合わせた機能提供も難しい。
そこをクラウドにしたことで、ここまで「家電的でない」ものが作れた、ということでもある。2012年に第1世代製品が出た時からあった方向性だが、2013年の第2世代でも堅持し、第1世代製品に(予定通り)訴求してサービス提供が行なえたことで、その価値が実証できた。
テレビにおける「クラウド連携」の形として、今後どう進化させるのか、そしてどう「利益」につなげていくのかに注目しておきたい。