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PC向け「TVキャプチャ」は何処へ行く? ピクセラに聞くPC録画の歴史と未来

 アナログテレビ放送時代に、PCのマルチメディア機能として大いに人気があった「TVキャプチャカード」。現在もデジタル放送対応の製品として存在しているが、そこに至るまではデジタル放送への移行、デスクトップPCの減少、スマートフォンやタブレットの普及といった、様々な時代の変化の影響を受けた波乱の歴史がある。

3波のデジタルダブルチューナを搭載した最新モデル「PIX-DT295W」

 PC向けTVキャプチャ製品はどんな歩みで現在に至り、そしてこれからどうなって行くのか? 黎明期から現在まで、コンスタントに製品を投入し、コンシューマだけでなく、PCメーカー向けOEMにも強いピクセラに話を聞いた。同社製品を軸に振り返りながら、市場の流れを俯瞰したい。話を伺ったのは、製品開発本部 インターメディアプラットフォーム開発部の木村靖史部長代理と、営業本部 第一営業部の遠藤暢克部長代理だ。

左から開発部の木村靖史部長代理、営業本部 第一営業部の遠藤暢克部長代理

アナログ放送時代のキャプチャ事情 (2002年~2006年頃)

 木村氏が入社後、最初に配属された開発チーム。そこが手がけていたのが、まさに同社初のTVキャプチャ製品。コンシューマ向けには、2002年末に発売された、チューナ搭載USBキャプチャユニット「PIX-MPTV/U1W」だ。

2002年末に発売されたUSB接続のアナログTVキャプチャ「PIX-MPTV/U1W」

 「当時はAV向けに単体レコーダが出始めた頃でしたが、PC向けのTVキャプチャ製品はありませんでした。MPEG-2規格がDVDをキッカケに広まりはじめており、当社も当時MPEG-2のデコーダ開発に注力し、“DVDプレーヤーを作ろう”という計画もありました。その流れの1つとして、テレビ放送をPCでエンコードして録画、MPEG-2のデコーダを通して再生するTVキャプチャカードを作ることになったのです」。

 しかし、木村氏によれば簡単に発売できたわけではなかったという。「Windowsの周辺機器として発売するためには、WHQL(Windows Hardware Quality Labs )というMicrosoftの認証をとる必要があり、これが無ければOEMとしてメーカーのPCにも採用してもらえません。しかし、初めてのジャンルの製品ですので、WHQLのカテゴリに“TVチューナ”が無かったのです。営業部長と一緒にアメリカに行って、Microsoftに直談判しました(笑)。こういうデバイスがあるので、どういったテストをすれば認証を与えていいのか? という提言などもしました」。

 こうしてWHQLを取得。完成したTVキャプチャカードはOEMとして日立のPCに採用。それを皮切りに、富士通など他のメーカーにも搭載されていった。コンシューマ向けには前述の通り「PIX-MPTV/U1W」として発売。これが、ピクセラのチューナ関連事業の基礎になったわけだ。ちなみに、コンシューマ向けモデルがUSB接続なのは、「それまでUSBカードリーダなども手がけていましたし、USBの扱いやすさに当時から注目していて、PCI接続だけでなくUSB接続の製品も作ろうという流れ」(木村氏)だったという。

2003年にコンシューマ向けに発売された、PCI接続アナログTVキャプチャ「PIX-MPTV/P1W」

 当時のPCユーザーにTVキャプチャカードが受け入れられた背景には、PCハード特有のニーズがあった。「当時のPCはHDD容量も限られていたので、MPEG-2で圧縮して、少ない容量で長時間録画できる部分に大きな反響がありました。また、チューナ数を増やしたい、録画した番組を編集してディスクに書き込みたいといった、PCならではのマルチな使い方のニーズと、TVキャプチャカードがマッチしていたのも、人気になった理由だと思います」。

 当時のPC市場は右肩上がりに拡大。スペックも同様で、CPUの高速化、HDDの大容量化も目覚ましいものがあった。“そのスペックを何に使うか”という回答の1つとしてTV機能が受け入れられたという側面もある。「◯◯時間録画可能!」といった進化点は、PCメーカーが新モデルを販売する時のキャッチコピーに使いやすい。ハイスペックを求める声は強く、地上アナログチューナを2基搭載した「PIX-MPTV/P8W」などが人気を博した。

ダブルチューナを搭載した「PIX-MPTV/P8W」
木村氏

 一方で、開発側にとってTVキャプチャカードは手間がかかる製品でもある。「録画・再生だけでなく、編集やライティングができるソフトも用意しなければなりません。我々ピクセラは、'82年の創業以来、“ソフトもハードも、すべての基幹技術を自社で開発するという”理念があり、TVキャプチャ製品の編集ソフトも自分たちで開発してきました。これがOEMでは強みになりました。PCメーカーさんから見ると、“TVキャプチャまわりをワンストップで任せられる”からです」(木村氏)。

 OEMでの強みを示す面白いデータもある。覚えている方も多いと思うが、当時、コンシューマのTVキャプチャ製品ではカノープスの人気が高かった。遠藤氏によれば、実際に内蔵型のシェアではカノープスが最も高く、当時の店頭には専用コーナーも設けられていた。アイ・オー・データ機器やバッファローは幅広いチューナ製品ラインナップを展開。そうした中で、ピクセラのシェアはそれほど大きくなかったそうだ。だが、OEMではピクセラが他社を大きく引き離し、トップシェアを維持していたという。

 木村氏は、同社の開発姿勢が“安定性”にも効果的だと言う。「我々はハードからソフトまで自分たちで作れますので、何かあった時に、悪いところをすぐに見つけられ、柔軟な対応が可能です。基板を作る技術者も、ドライバを書いている人間も同じフロアにいますので、一緒に問題の現象を確認するといった事もよくやっています。現在でも、全従業員の7割が開発者で、その中の8割がソフトウェア開発担当ですね」。

地デジキャプチャは苦労の連続!? (2004年~2008年頃)

 PC市場の成長と共に、右肩上がりのアナログTVキャプチャ製品。しかし、放送側に変化が起こる。2000年12月のBSデジタル放送スタート、そして2003年12月からは東京・大阪・名古屋で地上デジタル放送が開始。2011年7月のアナログ停波(岩手、宮城、福島の3県除く)まで続く“地デジ移行”だ。

 ピクセラはアナログ放送対応製品を2006年頃まで発売したが、その一方で「PCで地デジ」を実現すべく開発を進めていたという。しかし、実現までは様々な困難が待ち受けていた。

 初の“地デジ対応PC”は、2004年1月に発売されたNECの「VALUESTAR TX(VX980/8F)」だ。このPCにはピクセラのカードは採用されていない。このモデルは、PCIバスの性能や著作権保護の問題で、ハイビジョン放送をMPEG-2 TSでHDDに録画しつつも、再生時には480pにダウンコンバート表示する仕様だった。デジタル放送の映像を出力する場合は、HDCPの仕様に従って保護をする必要があるが、当時は“PCに関してのHDCP規格”が定まっておらず、「2005年まではSD解像度までの出力は可能」となっていたためだ。また、PCでデジタル放送受信機を発売することに対するガイドラインも定まっていなかった。

NECの「VALUESTAR TX(VX980/8F)」

 高画質な地デジを、そのままPCでフルに楽しめるようにしなければならない。そこでピクセラは、富士通と共にとロビー活動を実施。「放送局の集まりであるDpa(社団法人デジタル放送推進協会:現A-PAB)や、メーカーが集まるJEITA(電子情報技術産業協会)の会合などに参加し、地デジ対応キャプチャ製品の技術的な説明をしていきました。アナログTVキャプチャ時代に築いたメーカーとの関係も役立ちました。MicrosoftのWHQLの認定も、アナログ時代に同様の事をしていましたので、地デジではそこまで大変ではありませんでした」(木村氏)。

 こうした活動が実を結び、2005年3月に日本初となるハイビジョン放送を放送画質のままPCで視聴、録画、再生できる地デジキャプチャボードを発表。富士通のPC 2006年夏モデルに搭載された。

 アナログ時代であれば、このボードをコンシューマ向けにも販売して……と続くハズだが、そう簡単には行かなかった。テレビのように、“チューナを内蔵した1つの製品”としてPCを発売する事はできたが、地デジのガイドラインに“PC用デジタル放送チューナ単体のガイドライン”が当時は無く、チューナボードだけを売れなかったのだ。

 「そこで、暗号化などの著作権保護を、“このようにしっかりやっています”という説明も各所でしました。ガイドラインが出て、それに対してどのように準拠しているかを説明も行ない、それにあたって資料も作成しました。ガイドラインに沿った製品としてOKがもらえなければ、受信に必要なB-CASカードが発行されなかったのです」(木村氏)。

 だが、そうこうしている2007年中頃、市場には“無反応器”と呼ばれる、地デジの放送データを暗号化せず、そのままPCに録画してしまう、ARIBの規定に沿わない製品が登場してしまう。ルールに沿った製品を開発すべく、ルールの完成を待っていたら、ルールを無視した製品に先を越されてしまったような格好だ。

 木村氏も当時を振り返り、「正直、ああいった製品が登場すると、私達の製品の売れ行きが減少するなどの影響が出るだろうと覚悟はしていました。しかし、実際にはあまりそういった(シェアが奪われたという)話は聞きませんでした。もしかしたら、我々の製品をお使いのユーザー層と、無反応器を求めるユーザー層が、異なっていたのかもしれません」。

 その後、2008年4月にDpaから「PC用デジタル放送チューナのガイドライン」が発表され、直後の5月にピクセラはPCI接続の地デジキャプチャ「PIX-DT050-PP0」などを発売。ほぼ同時に、バッファローとアイ・オーも対応製品を発売。地デジキャプチャの時代が幕を開ける事になる。

PCI接続の地デジキャプチャ「PIX-DT050-PP0」

「ダビング10」登場前に、苦肉の策でバックアップを実現 (2008年頃)

 紆余曲折を経てはじまった地デジキャプチャ時代。しかし、蓋を開けてみると、地デジの視聴・録画・再生は可能だったが、アナログ時代にできていたDVDへのバックアップや、録画番組の編集などが一切できず、ユーザーにとっては非常に扱いづらいものになっていた。コンテンツ保護が厳しかったためだが、アナログ時代にキャプチャを楽しんでいたユーザーにとっては、大きな不満があるものだった。

 これを解消するため、ピクセラは富士通と共に動き出す。「PCに録画したものをDVDに焼いて、なんとかバックアップできるようにしなければと考えていました。当時はコピーワンスで、DVDに焼くと、HDDのオリジナルが消えてしまいました(ムーブ)。そこで、ARIBの規定に沿いながらも、それをうまく回避して、DVDに焼いてもオリジナルが残せる機能を実現していました。我々は“富士通さんダビング”と呼んでいました(笑)が、そのくらい、ユーザーの利便性をなんとか向上させようと必死でした」(木村氏)。

 こうした状況への不満が消費者の間で高まり、2008年6月に「ダビング10」が登場する。コピー9回+ムーブ1回が可能になり、“富士通さんダビング”のような苦肉の策を使わずに、ユーザーの利便性がアップしたわけだ。

営業本部の遠藤氏

 営業本部の遠藤氏にとってもダビング10は待ち望んだものだったという。「ダビング10の登場で、またアナログチューナ時代のようにドンと売れ行きがアップするかと期待しましたが、アナログ時代と比べて扱いにくさはまだ残っていましたので、それほど大きくは変わりませんでした。しかし、利便性をこのままアップさせていけば、少しは良くなっていくだろうと考えていました」。

 遠藤氏の言葉どおり、それから約1年後には録画番組の編集も可能になり、キーワードによるおまかせ予約録画や、タイムシフトなど、機能面の進化が現在まで続いているのは御存知の通りだ。

ノートPCが薄くなりすぎて、チューナが搭載できない!? (2010年~現在)

 放送のデジタル化による、大きな変化。だが、変化はPCにも訪れる。アナログ放送時代は主流だったデスクトップPCに代わり、ノートPCが増加。さらに、大型ディスプレイと大容量HDD、DVDドライブを搭載し、チューナも備えた“マルチメディアノート”が各社から登場。ピクセラのチューナも、そうした製品に採用されるようになっていく。

 だが、程なくして“マルチメディアノート”は減少。ノートPCはどんどん薄くなり、「メーカーさんから“チューナのアンテナを接続する端子の厚さも無い”と言われるようになってしまいました(笑)」(木村氏)。また、市場ではタブレットやスマホが存在感を増していく。

 こうした流れもあり、PC向けチューナ市場は縮小傾向に。木村氏は「今思えば、2010年頃が底だったと感じている」という。そこでピクセラでは、新しいデジタル放送向けチューナの開発をスタート。「これまでMPEG-2で録画していたものを、トランスコーダを積んでMPEG-4 AVC/H.264に圧縮し、より低レートで録画できるようにする事で、HDD容量をさらに効率的に使える製品にしました。このトランスコーダは、富士通セミコンダクター(現ソシオネクスト)製ですが、我々が要素技術を持っていたのでスムーズにとりかかる事ができました」。

 トランスコードで低ビットレートでの録画が可能になった事は、タブレットに対抗するため、薄型化・低コスト化し、HDD容量も大きく増加しなくなったノートPCの流れとマッチ。HDDを圧迫せずに録画時間を増やすせる事から、“10倍録画”、“12倍録画”と、各社が低レート録画競争を展開した裏には、このような背景があった。

初のトランスコーダー搭載機で、Wチューナ、Wトランスコードが可能な「PIX-DT230-PE0」

 「トランスコード録画できる製品を出せた事で、キャプチャ市場はもう一度巻き返せる形になりました。2011年くらいですね。アナログ停波時期と重なり、アナログチューナ製品を使っていた人が、デジタルチューナに乗り換える時期でもありました。その時に、ある程度利便性が高くなった地デジTVキャプチャ製品を供給できたのは良かったと思います」(木村氏)。

 また、トランスコーダを使った製品の流れは、PC向けチューナの新しい形である「ワイヤレスチューナ」にも繋がっていく。ピクセラは、富士通のPC向けにワイヤレスチューナを開発。薄型化したノートPCにチューナを搭載するスペースが無いのであれば、“ネットワーク経由でテレビ放送を観よう”という考え方。ノートPCにアンテナケーブルを接続する必要がないという利点もある。

 「ネットワーク経由であればスマートフォンやタブレットでもTVが見られるのでは? と、iOSにも対応させようとしました。私はそちらの開発には参加していませんが、非常に苦労していましたね。アップルの認証取得や、iOSで(放送のMPEG-2からトランスコードした)MPEG-4 AVC/H.264をデコードするのも大変だったようです。もちろん、その際のハードもアプリも自社開発です」(木村氏)。

 ノートPCでのTV鑑賞を便利にしようと開発されたトランスコーダ搭載キャプチャが、結果的にスマホやタブレット向けワイヤレスチューナへと発展していくのは面白い。ノートPCの役割の一部が、タブレットに置き換わっていく現状において、チューナの利用層を拡大する事にもなっているだろう。

 では、スマホやタブレットでワイヤレスTVチューナ製品を使っている人が増加し、ノートPCやデスクトップPCで利用している人は減少しているのだろうか?

 遠藤氏は意外な事実を口にする。「我々の製品ラインナップで、現在、一番売れているのはUSB接続するスティック型の低価格地デジチューナ『PIX-DT300』です。これはWindowsとAndroid端末で利用できます。ワイヤレスチューナとしてはWindows/Android/iOSで利用できる『PIX-BR310W/BR310L』などがありますが、実は2番目に売れているのは、PCIExpress接続の内蔵型『PIX-DT460』なのです。その次が、ワイヤレスチューナと、USB接続の3波チューナですね」。

Android/Windows向け「PIX-DT300」
PCIExpress接続の内蔵型「PIX-DT460」

 内蔵型キャプチャカードがそんなに売れているというのは意外な気もするが、遠藤氏は「大きな自作PCブームはもう来ないかもしれませんが、自作PC向けのお店さんもまだ沢山いらっしゃいますので」と笑う。

 では、内蔵型に限らず、現在のキャプチャ製品全体の売れ行きはどうなのだろうか? 「市場として勢いが落ちているというわけではありませんね。我々の製品の売れ行きに関して言えば、Windows 10が登場した頃に、他社さんがTVキャプチャ製品をやめてしまわれたので、その分が上乗せされており、決して悪くはありません。スペースの小さなお店では、TVキャプチャ製品のコーナー自体が小さくなってしまったり、無くなってしまうなど問題もありますが、根強いニーズは感じています」(遠藤氏)。

 なぜ、ライバル他社が消えてしまったのか? 木村氏は「ビジネスとして続けていくのは大変な製品だからかもしれません」と答える。「売れたと言っても年間1万台くらいですからね。我々の場合は、富士通さんのPCに向けて、継続的にOEMとしてチューナ製品を手がけているというのが大きいと思います」。

ノートPCでの使いやすさにこだわった最新モデル「PIX-DT295W」

 昔話は一区切りして、新製品も紹介しよう。ピクセラが7月から発売しているのが、3波のダブルチューナを搭載した、USB接続のWindows向けチューナ「PIX-DT295W」だ。価格はオープンプライスで、実売は約19,800円(税込)。

PIX-DT295W

 Wチューナなので2番組の同時録画ができ、2台接続すれば最大4番組までの同時録画も可能だ。トランスコードでHD解像度で最大15倍の長時間録画もできる。トランスコーダは1系統だけなので、2番組の同時録画の場合、トラスコできるのは1番組のみだ。

 再生・制御ソフトは「StationTV X」。追いかけ再生やダイジェスト再生、おまかせ予約、タイムシフト機能に、スキップ再生も可能。編集やブルーレイ/DVDへの書き出しもサポートしている。地デジ以降直後と比べると、利便性は比べ物にならないほどアップした。

アンテナ端子とUSB端子。接続もシンプルだ

 「ノートPCで使いやすい機能に注力しているのが特徴です。例えば、録画した番組を、チューナではなく、PC自体に紐付けられます。ですので、チューナを外した状態でも録画番組が再生できます。外出先で録画番組を見る際に、いちいちチューナを持っていかなくて済むわけです」(木村氏)。

 珍しい機能として、SeeQVaultにも対応している。対応するカードリーダを使い、SDカードに録画番組を書き出せば、対応スマホは限られるが、録画番組の再生が可能だ。家庭内では、チューナで受信・録画した番組を、LAN経由でスマホやタブレットから見る事もできる。

 こうした、“日本のデジタル放送で使いやすい細かな機能”を実装できているのは、自分達でハードからソフトまで開発できるピクセラの特徴を活かしたものと言えるだろう。また、CM検出・スキップ再生など、PC用チューナならではの使いやすさもある。シングルチューナモデル「PIX-DT295」は以前レビューしているので、詳しくはそちらを読んで欲しい。

4K対応TVキャプチャ製品は実現するか

 話を聞いていて感じるのは“自力で開発できる強さ”だ。PC向けキャプチャ製品は、放送局やPC/OSメーカーとも関係するため、“自社で勝手に作って出す”事が難しい。製品化を実現するために、ロビー活動レベルから地道に取り組み、問題が発生したら自分たちの技術力でそれをクリアしていく。その繰り返しが、ピクセラのテレビキャプチャ製品の歴史と言い換えてもいい。その強さが、PCや放送のカタチが変化し、ライバルメーカーがいなくなった現在でも、市場に残り、新たな製品を出し続けられる理由だろう。

 木村氏は今後の夢として、「技術者が多い会社ですので、新しい技術に対するモチベーションは非常に高いです。“そういう人を集めた会社”と言ってもいいかもしれません。例えば、PC用4Kディスプレイも増えてきましたので、“4K対応TVキャプチャ製品”は、実現に向けて動向をチェックしたり、技術的な話を聞いたりもしています。まだ録画やCASなど、定まっていない部分も多いですが、いつかは作りたいと思っています」。

 「また、新しいテレビの見方、テレビを見る楽しさがもっと伝わる製品を作りたいと、常に考えています。“テレビをあまり見ていない”という人にも、改めてテレビの魅力を感じていただけるような……そんな製品をこれからも作っていきたいですね」。

 (協力:ピクセラ)

山崎健太郎