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これぞ“リアル野球盤”? キヤノンのMRシステムで東京ドーム巨人戦を俯瞰視点で体験
2025年7月3日 08:00
7月2日、東京ビッグサイトでXR・メタバースの日本最大級の専門展「XR・メタバース総合展 夏」が開幕した。期間は7月4日まで。なお、商談のための展示会で一般の人(18歳未満や学生など)は入場できない。XREALがブースを出展しているほか、今回はキヤノンITソリューションズが初出展。プロ野球・巨人の試合をMRで体験できるデモなどが行なわれていた。
XR・メタバース総合展は、AR・VR・MR技術の“AR”やメタバースを活用するサービス・技術が一堂に会する日本最大級の専門展。モーションキャプチャーなどコンテンツ制作に関連する企業や、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)・スマートグラスの企業などが参加している。
XREALブースでは、7月24日に発売するARグラス最新モデル「XREAL One Pro」のデモを実施。スマートフォンやNintendo Switchと組み合わせた体験ができる。そのほか単眼カメラアクセサリー「XREAL Eye」と顔認識AI技術を組み合わせたMESONのコミュニケーションアプリ「FaceLink AI」や、キャラクターとのコミュニケーションに特化したというTHRUSTERのAIエンジン「Nu-Ma Engine(ヌーマエンジン)」のデモなども行なわれていた。
これが同展初参加となるキヤノンITソリューションズのブースでは、同社のMR(複合現実)システム「MREAL」を使って、今シーズンのプロ野球・巨人戦の名シーンをMRで体験できるコーナーなどが設けられていた。
MR体験では、同社が東京ドームに設置している125個のカメラと「ボリュメトリックビデオ技術」を駆使し、ブースに置かれた野球盤の上にミニチュアサイズの選手を表示。MREALを通して見ることで、選手のプレーを俯瞰視点で楽しめる。
テレビの中継映像とは異なり、自由な視点から試合を楽しめるため、俯瞰から“打者がヒットを打った際に外野手がどう動いているのか”といったチームプレーのチェック、視点を固定して“三塁にいる推しの選手だけ見る”など、それぞれの観戦ができる。表示されるミニチュアサイズCGを“マインクラフト調”にデフォルメするといった展示も行なわれている。
実際に体験してみると、大きな野球盤の上でミニチュアサイズの選手たちがプレイしている様子は、見た目こそゲームに近いものの、選手の動きなどは本物そのものなので、まさに新感覚。担当者によれば実際の東京ドームでMREALを使ったデモも行なっており、参加者からは好評だったという。
野球に関連したボリュメトリックビデオ体験では、VRヘッドセットを使った展示も実施。バッターボックスのすぐ横の“特等席”から試合を観戦できるもので、投手が投げる球の速さや、ホームに駆け込んでくる選手のスピード感などを臨場感あふれる映像で楽しめる。
ブースには3D・VR撮影用のレンズとEOS Rカメラ、専用アプリで構成される「EOS VR SYSTEM」の展示も。サッカーの明治安田J1リーグに参戦しているFC町田ゼルビアのコンテンツ「ZELVISION XR」を、アップルの空間コンピューター「Apple Vision Pro」の8K 3D映像で楽しめる。
またEOS Rカメラで撮影した静止画から瞬時に3Dデータを生成する「EOS画質3D&360度撮影」と題した展示も展開されていた。これは、同社のカメラで採用されているオートフォーカス技術「デュアルピクセルCMOS AF」を活用したもの。
全有効画素が撮像と位相差AFの機能を兼ね備えているCMOSセンサーを使うデュアルピクセルCMOS AFでは、静止画を撮影する際に深度データも同時に取得しており、この深度データを使って静止画から3D画像を生成するという。
今回の展示では360度自動で回転するターンテーブルと組み合わせたシステムを紹介。ターンテーブルに置かれた野球のグローブを、全自動で撮影・切り抜き・合成し、EOS Rカメラで撮影した静止画から高画質な360度画像を生成していた。
大手通販サイトなどでは、グローブやバッグといった商品の画像を360度回しながら確認できるものもあるが、キヤノンのシステムでは従来よりも工数や時間を大幅に短縮しつつ、「EOSクオリティ」の高画質な3D画像を実現できるとのこと。
利用シーンはバッグや靴といった商品撮影のほか、ハンドクラフト、料理の撮影など。担当者によれば2026年には一般ユーザーが触れられる形で展開したいとのことだった。また将来的には、より高精度が求められる美術品アーカイブの用途などにも対応していきたいとのこと。
そのほか、同展にはDynabookもブースを展開。一般的なARグラスで採用しているサングラス型ではなく、一般的なメガネと同じく向こう側が透けて見える透過型レンズを採用したXRグラス「dynaEdge XR1」の展示・デモが行なわれていた。