LED化したBDレコーダ内蔵「AQUOS DX」の進化とは?

-ネットも録画も大幅機能強化した新世代機


AQUOS DX3「LC-52DX3」(左)、LC-46DX3(右)

5月20日より順次発売

標準価格:オープンプライス


 Blu-ray Discレコーダを内蔵した「AQUOS DXシリーズ」がモデルチェンジ。第3世代の「AQUOS DX3シリーズ」として、5月20日より順次発売される。

 新モデルの特徴は、UV2A液晶パネルを採用したほか、32~50型まではLEDバックライトシステムを採用した「LED AQUOS」となり、画質の向上や年間消費電力の大幅削減を実現したこと。発売日や想定売価は以下の通り。

型番サイズ解像度カラー発売日店頭予想価格
LC-52DX352型1,920×1,080ドットブラック6月10日40万円前後
LC-46DX346型33万円前後
LC-40DX340型23万円前後
LC-32DX332型1,366×768ドットブラック
ホワイト
レッド
5月20日16万円前後
LC-26DV726型14万円前後

 

 

LC-52DX3LC-46DX3LC-40DX3(左)、LC-32DX3(中央)、LC-26DV7(右)

 


■ BD内蔵DXシリーズが「LED AQUOS」に

年内にLED構成比を5割以上に

 LEDの採用は液晶テレビにおける大きな潮流だ。シャープのAQUOSにおいては、DX3シリーズの対応により、3シリーズ22モデルがLED対応となる。今後も、高画質と省エネを軸に積極的にLED化を進める方針で、3月末で出荷台数のうち約25%というLEDの構成比を、2010年末には50%超まで引き上げる計画という。

 52/46/40型は、1,920×1,080ドットのフルHD液晶パネル、32/26型は1,366×768ドットパネルを採用。独自のUV2Aパネルで光の利用効率を高め、コントラスト性能を向上している。

 40型以上では、映像エンジンに「高画質マスターエンジン」を搭載。倍速駆動技術の「Wクリア倍速」と、LEDバックライトON/OFFで残像感を低減する「スキャン倍速」の組み合わせにより、動画再生性能を向上。UV2Aの高開口率と併せてコントラスト性能を向上し、“シネマコントラスト”は500万:1、テレビコントラスト200万:1を謳う。なお、シネマコントラストという値の定義は、「BD/DVDソフトを内蔵プレーヤーで再生した際の全白信号と全黒信号での画面最小輝度の比較値(AVポジション:ダイナミック時)」としている。

好画質センサーを搭載

 視聴する場所や番組に応じて、自動的に画質と音質を調整する「ぴったりセレクト」を搭載。前面に備えた「好画質センサー」で、明るさと照明の色味を検出し、視聴している番組の種類や時間、映像シーンをリアルタイムで分析し、最適な画質/音質に調整するなど、LX1やSE1シリーズなど「LED AQUOS」で搭載した各種高画質化機能を搭載している。

 LED化に伴う、もう一つの特徴が省エネ。UV2Aによる光利用効率の向上と併せて、従来比で約30%の消費電力減を実現。「昨年の32型と、AQUOS DX3の40型の電気代はほぼ同じ」とし、ランニングコストの安さもアピールしていくという。


UV2A+LEDで高画質化従来モデルAQUOS DX2からDX3での進化点UV2A+LEDで省エネ化も

 


■ シンプルな操作性は継承しながらも高機能化

 もともとは、「レコーダ/プレーヤー一体化によるシンプルな操作性」を訴求していたAQUOS DXシリーズだが、DX3世代では機能面でも多くの進歩が図られている。

 主なものをリスト化すると以下の通り。

 


  • DLNA対応(ホームネットワークの動画対応)
  • オートチャプターや長時間録画など録画機能強化
  • EPGやUIの改善
  • 「常連番組」
  • BDと放送が同時に視聴できる「2画面機能」
  • USB追加
  • HDMI ARC対応
  • ネットワークサービス追加
スロットイン式のBDドライブを搭載

 BDレコーダ機能は、シンプルな使い勝手を踏襲しながら、細かい使い勝手を改善している。

 記録メディアはBD-R/R DLとBD-RE/RE DLで、TS録画を行なう「標準モード」に加え、MPEG-4 AVC/H.264へのトランスコード機能も搭載。新たに最長8.5倍の長時間録画が可能となった(従来のDX2シリーズは7倍録画)。なお、初期出荷時の録画モードは5倍となっている。

 大きな進化点としては、オートチャプター機能の搭載が挙げられる。従来は一定間隔での自動チャプタ設定のみだったが、新たにCM位置などを自動検出し、チャプタ設定しながら録画できるため、録画したBD-R/REでCMスキップなどが可能となる。

 電子番組表(EPG)もデザインを変更し、視認性を向上。さらに、動画メニューのデザイン変更などで操作性の向上を図っている。また、「常連番組」機能も追加している。これは、リモコンの常連番組ボタンを押すと、視聴履歴やジャンル情報から、その時間で最も視聴可能性が高いと思われる番組をEPGの左側に表示してくれる機能。このリストから録画予約を行なうことも可能となっている。

 2画面表示機能も搭載。BDビデオとデジタル放送を同時に表示できる点が特徴で、均等2画面やPinP表示、子画面の大/小指定など、様々な表示方法を用意している。

新デザインのEPGを採用EPGの左側に同一時刻帯のお勧め番組「常連番組」を表示リモコンに「常連番組」ボタン
メインをBDビデオに、子画面をテレビ放送として2画面表示均等2画面やPinPなどの様々な2画面表示を用意

 ネットワーク機能では、「ホームネットワーク」で動画対応した。これはDLNA/DTCP-IPのクライアント機能となっており、同サーバー機能に対応したAQUOSブルーレイ「BD-HDW55/HDW53」で録画した番組を、LAN経由で再生できる。AQUOSでのホームネットワーク対応は、DX3が初となる。

 AQUOSブルーレイだけでなく、Windows 7パソコンなどDLNAサーバー機器の動画や静止画、音楽ファイルの再生も可能。対応動画ファイルはMPEG-2 TSと、MPEG-4 AVCで音声がAAC、ドルビーデジタルのもので、基本的にはデジタル放送録画番組と、民生用ビデオカメラで撮影したビデオファイルで利用を想定しているという。音楽はMP3に、静止画はJPEGが再生できる。


ホームネットワーク機能で、デジタル放送録画した番組をストリーム再生可能にAQUOS DX3からBD-HDW55の番組を確認BD-HDW55

 「アクトビラ ビデオ・フル」や、「ひかりTV」、「AQUOS.jp」、「Yahoo! JAPAN for AQUOS」、「DoTV デジ×マガ」などのネットワークサービスに対応。さらに、AQUOS独自のインターネットサービス用プラットフォーム「Exシステム」を活用し、ブロードメディアのVODサービス「T's TV」(4月23日ベータサービス開始)や、凸版印刷によるカタログショッピング「parale(パラリー)」など、対応サービスを増やしている。

ブロードメディアの「T's TV」カタログショッピング「parale」ネットスーパー「おとどけ.com」
ファミリンクは携帯電話に対応

 USB端子も装備し、接続したUSBメモリやデジタルカメラのJPEG画像やMP3ファイルの再生に対応する。

 周辺機器との連携という点では、HDMIリンク機能の「AQUOSファミリンクII」も改善。新たに、ARC(オーディオリターンチャンネル)やHDMIコンテンツタイプ連動にも対応したほか、携帯電話との連携も可能となり、HDMI接続した携帯電話から、動画や写真を出力できる。ただし、現時点では対応の携帯電話は発表されておらず、今後の同社製携帯電話などで対応機器を増やしていくようだ。

 当初、世界初のBDレコーダ内蔵テレビとして登場した「AQUOS DXシリーズ」。シンプルな操作性という基本は変えずに、第3世代では高機能モデルとして生まれ変わった。

 その狙いをシャープ AVシステム事業本部 液晶デジタルシステム第一事業部 商品企画部 渥美忠道係長は、「シンプルに使える点には引き続きこだわっている。一方テレビで、デジカメ写真などのパーソナルコンテンツを見る人も増えており、ホームネットワークなどは、2台目のテレビなどでは非常に便利な機能。2台目を32型など比較的大型にするという方も増えている。“家族団らん”、“自分の時間”など、さまざまなニーズに対応できるよう、今実現できる機能を盛り込んだ」とする。

 モデルチェンジにより隙の無い高付加価値製品に進化した「AQUOS DX3」。AQUOSの中核シリーズとして、今夏商戦でも注目を集めそうだ。


(2010年 4月 23日)

[AV Watch編集部 臼田勤哉]