プレイバック2014

「理想郷に到達」。2014年4K“多画面”ライフ by 西川善司

 2014年は、連載記事の大画面☆マニアがそうであったように、プライベートでも「4K」に明け暮れた1年であった。

シャープの4Kディスプレイ「PN-K321」

 まず、年初めにはシャープの業務用31型4Kディスプレイ「PN-K321」を3カ月間ほどお借りして、実際の原稿書きマシン環境のメインディスプレイとして導入した。PN-K321は、インターフェース部の世代が古いためHDMI 2.0非対応ではあるが、DisplayPort(DP)端子接続であれば4K/60Hz接続が行なえた。PN-K321は、筆者に、初めて4Kデスクトップ環境の素晴らしさを伝えてくれたディスプレイとなった。

 PN-K321返却後、続いて8月頃に導入したのが大画面☆マニアでも紹介した東芝の40型4Kテレビ「REGZA 40J9X」だった。40J9XはHDMI 2.0入力を備えているが、8月時点ではHDMI 2.0対応のGPUが存在しなかったためにしばらく4K/30Hz状態で活用していた。

 もちろん、記事中でも紹介した「YUV=4:2:0の4K出力テクニック」を使えば4K/60Hz表示も行なえるのだが、色解像度が落ちるので図版や文字の精細表示を疎かにできないデスクトップワークには向かない。結局、40J9Xで、本格的な4K/60Hz環境を構築出来たのは、NVIDIAのGeForce GTX970/GTX980が発表されてからであった。ちなみに、2014年12月下旬現在においても、HDMI 2.0対応の民生向けGPUはGeForce GTX970/GTX980のみとなっている。

REGZA 40J9X
LG「31MU97-B」

 11月には、LGの31型4Kディスプレイ「31MU97-B」を追加導入。こちらは、3,840×2,160ピクセルではなく、4,096×2,160ピクセル解像度を採用しているのが特徴で、ハイアマチュアやプロ用途を想定した高画質モニタ製品という位置付け。一台一台製造時に輝度均一性や色調補正が行なわれているモデルで、筆者はこれを写真チェック用に活用している。ちなみに31MU97-BはHDMI 2.0未対応で4K/60Hz接続はDP接続時に限定される。

 結果、2014年12月時点の筆者の原稿書きマシンは、もともと所有していたものを組み合わせた7画面環境となった。

2014年12月時点の筆者の多画面環境。縦中央の4K化に成功
2014年12月時点の7画面環境の画面のプロパティ

 中央正面は画面の大きさを優先して40J9Xを配置。その上に31MU97-Bを設置。

 右側はデルの「3008WFP」(2,560×1,600ドット)とLGの「D2342P-PN」(1,920×1,080ドット)を縦画面配置。

 そして、左側はEIZOの「FORIS FX2431TV」(1,920×1,200ピクセル)と「FlexScan HD2452W」(1,920×1,200ピクセル)、そして三菱電機の「RDT233WX-3D」(1,920×1,080ピクセル)を3段積みの横起き設置とした。

 総ピクセル数は約3,000万で、概算でフルHDの15枚分に相当する。

 1台のPCでフルHD15枚分の画面を表示しているので「一体いくつのGPUで出力しているのか」と気になるだろうが、意外にも、PCに搭載されているGPUは2つだけ。具体的にはGPUにGeForce GTX980(Maxwellコア)とGeForce GT630(Keplerコア)の2基だ。前者は4画面出力、後者は3画面出力に対応しているので、全て使い切って7画面というわけだ。

 筆者はWindows 98時代から多画面環境を使っているが、現在の状態は作業のしやすさの観点からは「ついに理想形に到達した」という実感を持っている。

オール・ブラウン管時代の筆者の多画面環境。1台のPCから6画面を出力させていた。当時はPCにGPUを3基搭載していた

 今後は、チャンスがあれば湾曲型ディスプレイに手を出してみたいと考えているが、何時の日になることやら……。

トライゼット西川善司

大画面映像機器評論家兼テクニカルジャーナリスト。大画面マニアで映画マニア。本誌ではInternational CES他をレポート。僚誌「GAME Watch」でもPCゲーム、3Dグラフィックス、海外イベントを中心にレポートしている。映画DVDのタイトル所持数は1,000を超え、現在はBDのコレクションが増加中。ブログはこちら