プレイバック2014

復活したTechnics。'15年の展開は? by 大河原克行

 9月に独ベルリンで開催されたIFA 2014において、パナソニックが大々的に発表したのが「Technics」ブランドの復活であった。

9月のIFAでTechnicsが復活
2010年ターンテーブル「SL-1200MK6」

 2008年のパナソニックへの社名変更に伴い、Panasonicへとブランドを統一。それにあわせて、Technicsブランドも消滅することになった。2010年に製造中止となったクォーツシンセサイザー ダイレクトドライブプレーヤー「SL-1200MK6」が、Technicsブランド最後の製品だった。

 ブランド統一の際、当時の経営幹部のひとりは、「個人的にはNationalのブランドが無くなるよりも、Technicsのブランドが無くなることの方が寂しい」と語っていたのが印象的だ。

 パナソニック社内にもTechnicsファンは多い。

 実際、パナソニック社内では、日本における来年2月の発売を前に、すでに長榮周作会長が予約済み。そのほかにも、何人かの幹部社員がすでに予約済みだという。

 Technicsブランドの商品として登場したのは、最高レベルの音質を実現するリファレンスシステムの「R1シリーズ」と、音楽愛好家のためのプレミアムシステムと位置づける「C700シリーズ」の2シリーズだ。システム価格は前者が500万円に達し、後者は50万円を超える高級オーディオ製品として展開する。

復活Technicsは、R1シリーズとC700シリーズの2ライン展開

 Technicsのフィロソフィーを継承し、そこに新しいデジタル技術を入れていくのが、Technics基本姿勢。ハイレゾリューションオーディオの広がりが、Technics復活を後押ししたという。

 そして、ブランド戦略上は、同社唯一の「個別ブランド」と位置づけられ、Panasonicブランドと、Technicsブランドが併記されることはないという特別扱いの点でも、パナソニックのこだわりが感じられる。

 現在、2月の国内発売に向けて、細かいチューニングが繰り返されているという。

 音質については、パナソニック アプライアンス社オーディオ成長戦略担当の小川理子理事を中心にしたコミッティが検証。その繰り返しによって音質が高まっている。

パナソニックセンター大阪のテクニクスサロン入り口

 ある社内関係者は、「とくに、C700シリーズの音質向上には目を見張るものがある。50万円の音質と500万円の音質がこんなに近づいていいのかというぐらいに、進化している」と笑いながら語る。

 また、別の関係者は、「現在、Technicsが試聴できる環境は、東京・有明および大阪・梅田のパナソニックセンターに設置されたテクニクスサロンだけ。とくに、パナソニックセンター大阪のテクニクスサロンは、開発拠点がある門真とも近いため、すぐに開発者がやってきて、チューニングを施す。最もよい環境で試聴できるのは、実は、パナソニックセンター大阪のテクニクスサロン」とこぼれ話を明かす。

 ここには、関西在住のパナソニックOBが訪れることも多く、かつてのTechnics談義に花が咲くこともしばしばだという。

大阪での視聴がおすすめ?

 もちろん、2月に発売される「R1シリーズ」と「C700シリーズ」の完成度がどこまで高まるのかとも楽しみだが、その一方で、パナソニックでは、Technicsブランドを横展開することも明らかにしており、将来的には、カーオーディオやポータブルプレーヤーにも、Technicsブランドの商品が登場する可能性がある点も見逃せない。

 それが2015年には表面化するのか。密かな楽しみのひとつである。

大河原 克行

'65年、東京都出身。IT業界の専門紙である「週刊BCN(ビジネスコンピュータニュース)」の編集長を務め、2001年10月からフリーランスジャーナリストとして独立。BCN記者、編集長時代を通じて、20年以上に渡り、IT産業を中心に幅広く取材、執筆活動を続ける。 現在、ビジネス誌、パソコン誌、ウェブ媒体などで活躍中。PC Watchの「パソコン業界東奔西走」をはじめ、クラウドWatch、家電Watch(以上、ImpressWatch)、日経トレンディネット(日経BP社)、ASCII.jp (アスキー・メディアワークス)、ZDNet(朝日インタラクティブ)などで定期的に記事を執筆。著書に、「ソニースピリットはよみがえるか」(日経BP社)、「松下からパナソニックへ」(アスキー・メディアワークス)など