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総務省は20日、2004年9月から実施していた「デジタル時代のラジオ放送の将来像に関する懇談会」の報告書を公開した。従来2011年以降を予定していた本放送の開始時期を大幅に前倒し、2006年中に東京と大阪で、2008年に札幌や名古屋などの主要都市での開始を目標とすることが明らかにされた。 デジタルラジオは、現在アナログテレビが使用しているVHF帯の周波数を利用し、専用端末向けに高音質なデジタル音声放送や簡易動画放送、ネットワークと連携した次世代サービスなどを展開する。 2003年10月に実用化試験放送が開始されたが、本放送の全国展開はアナログテレビの放送が終了する2011年以降とされてきた。しかし、2004年10月からモバイル放送(モバHO!)がスタートし、地上デジタル放送の移動体向け1セグメント放送が2005年中に開始されるなど、競合メディアが登場。デジタルラジオへの参画を予定しているラジオ局は懇談会の中で、早期の本放送開始を提案してきた。 報告書では、こうした現状について「全国展開のシナリオや、実用化試験後のビジョン、具体的なサービスモデルが不透明・不明確であり、その結果受信機の普及が進まないという状態」と分析している(2005年5月現在、デジタルラジオが受信できる端末は市販されていない)。 これらを踏まえて懇親会では、今後の展開の基本的枠組みとして、本放送を2006年中に東京・大阪で、2008年には札幌、仙台、静岡(浜松)、名古屋、広島、福岡でそれぞれ開始すること。そして、2011年以前を「先行普及時期」、それ以降を「本格展開時期」と位置付けることなどが決定。
さらに、実施主体のあり方としては、VHFの7ch、もしくは8chを8個のセグメントに分割。民間免許主体に7セグメント、NHKに1セグメントを割り当て、民間免許主体にサイマル放送枠やチャンネルの多様性を確保させるなど、一定の規律を設けることなどが決められている。 さらに、2011年以降のあり方として、全国サービスで最大2つの民間事業者を、地域サービスでNHKと最大2つの民間事業者の新規参入を認める。VHF帯の4~12chの確保を目標とし、遅くても2008年までには具体的なチャンネルプランを策定することなどが明らかにされている。 なお、2011年以降の新規参入事業者には各6セグメントが割り当てられるほか、既存の放送局のセグメント数やチャンネルプランの再検討も計画されており、「高音質多チャンネル放送とデータ放送との両立を図る観点から、一事業者当たりの帯域として6セグメントを基本とすることが適当」としている。
その場合、先行して本放送を行なっていたラジオ局については、放送周波数が変更される可能性があるが、報告書では「2011年以前に本放送を開始する場合において、2011年以降の周波数帯域の継続使用は不可欠」としている。
□総務省のホームページ
(2005年5月20日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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