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11月11日にいよいよ発売される「PLAYSTATION 3(PS3)」。“次世代”ゲーム機としての注目度はもちろんのこと、ROMメディアとしてBlu-ray Discを採用。BDビデオの再生機能を内蔵することで、「Blu-ray Disc立ち上げの起爆剤」として、消費者や家電業界の注目を集めている。 ゲーム機としての期待はもちろん、AV機器と位置づけると、業界の期待がPS3に集中するポイントは、20GB HDDモデルで49,800円という「BDプレーヤー初物」としては異例の低価格にあるのは間違いないだろう。プレイステーション 2が“DVDプレーヤー”として利用されることで、イントールベースを拡大、DVD市場を確立したという成功体験をうけ、Blu-rayの世代でも再現したいという業界の意志を一身に受けているともいえる。 そのほかにも、HDDを内蔵するほか、Gigabit Ethernetに対応し、ネットワークを介したコンテンツ配信や、メモリーカード内のビデオ再生などにも期待がかかる。しかし、このあたりはまだ詳細な仕様については明らかにされていない。今回、SCEIにてPS3のAV機能を中心にチェックしてきたので、簡単にレポートしたい。 なお、試用したPS3は、試作機で実際の発売製品とは一部仕様異なる場合がある。 ■ ゲーム機としては大きめの筐体
本体の外形寸法は20/60GBモデルともに共通で、約325×274×98mm(幅×奥行き×高さ/横置き時)。重量も約5kg。ゲーム機としてはかなり大きめとは感じるが、DVDレコーダなどと比較すると横幅自体は短いので、ラック内に収める分には苦労はなさそうだ。 筐体は縦置き、横置きのいずれにも対応。本体は一見マットなブラックに見えるが、よく見ると半透明の素材を採用している。
光学ドライブはスロットローディング型で、BD-ROMのほか、DVD/CD/SACDの再生にも対応。DVDビデオや音楽CD、SACDプレーヤーとしても利用できる。60GBモデルでは、このドライブ回りにシルバーのアクセントを施し、デザイン上の高級感を演出している。 そのほか60GBモデルのみメモリーカードスロットと無線LANを内蔵。60GBモデルでは光学ドライブの左部分が開閉式となり、メモリースティック/CF/SDメモリーカードスロットがあらわれる。
背面にはHDMI出力端子と、AVマルチ出力、光デジタル音声出力端子を装備。また、Gigabit Ethernetも備えている。HDMIは伝送帯域を拡張した最新のバージョン1.3(Deep Color対応)で、HDMI Ver.1.3搭載製品はPS3が世界初となる見込み。先日の東京ゲームショウで20GBモデルにもHDMIを搭載することを発表したため、AV機能としての60/20GBモデルの違いは小さくなった。対応出力対応解像度は480i/480p/720p/1080i/1080p
なお、PS3本体にはHDMIケーブルは付属せず、コンポジット出力のAVマルチのみが同梱される。HDMIでテレビやモニターと接続を想定している場合は、あわせてケーブルを購入する必要がある。
コントローラはBluetoothで本体と接続するワイヤレスタイプのもので、リチウムイオンバッテリを内蔵する。初期接続時にはUSBケーブルを介してPS3と接続し、認証作業を行なう必要がある。そのため、USBケーブルも付属する。また、本体にUSBを4ポート備えている。
■ シンプルなBDビデオ再生機能
基本インターフェイスはPSXやPSP、先代のBRAVIAなどで採用されていた「XMB(クロスメディアバー)」を採用。ユーザー/設定/フォト/ミュージック/ビデオ/ゲーム/ネットワーク/フレンドの各項目が用意され、それぞれのアイコンから選択できる。 本体設定で、接続するテレビの解像度を選択。なお、出力ソースにあわせて、PS3の出力解像度を自動的に切り替える機能も備えている。今回はソニーのBRAVIA最新モデル「KDL-46X2500」との組み合わせで視聴した。
まずは、Blu-ray関連機能を見てみよう。設定から、BD/DVD設定を選ぶと、DVDと同様にBDメニュー言語やBD音声言語、BD字幕言語などの項目が現れる。これらはディスクから最初に読み出す言語を設定するものだ。 また、BD音声出力フォーマットの項目もHDMIと光デジタルの各出力用に用意。HDMI/光デジタルともに音声をそのまま出力する「ビットストリーム」と、「リニアPCM」が選択できる。テレビがドルビーデジタルなどのデコードに対応していない場合は、リニアPCMを選択する。
編集部にて用意した北米版のBDビデオ「Fifth Elements」を挿入したところ、メニューの[ビデオ]にBD-ROMとして認識された。ゲームソフトの場合はディスクを入れると強制的に再生開始されるが、BDビデオの再生については、ディスクを入れた後に[ビデオ]から、再生操作を行なう必要がある。 ローディング速度は、比較的高速。試作機ではあるものの、選択後10秒とかからずに再生を開始する。東芝のHD DVDプレーヤー「HD-XA1」では再生までに1分程度の時間を要していたのと考えると、利用時のストレスはかなり少なくなると期待される。 再生開始してしまえば普通のBDプレーヤー。BDビデオの特徴でもあるポップアップメニューなどの操作も特に問題なく行なえた。また、プレイステーションのDVD機能と同様に操作メニューも用意される。コントローラの△ボタンを押すことで、メニューが呼び出せ、早送りや戻し、再生停止などの基本操作のほか、字幕や音声の切替などほぼ全ての操作が行なえる。 CEATECのソニーブースでは、ビデオカメラ用の「AVCHD」ディスク再生デモが行なわれていた。しかし、現時点でPS3ではAVCHDについては、正式サポートを謳っていない。今回HDR-UX1で撮影したディスクを挿入してみたが、残念ながらディスクを認識できなかった。製品版での正式サポートを期待したい。
□関連記事 ■ HDDのビデオ再生やジュークボックス機能も搭載
また、ビデオ機能ではHDDに収録したビデオファイルの再生も可能になるようだ。1,920×1,080ドットのMPEG-2ファイルの再生も可能となっていた。 BDビデオの再生機能を備えているので、MPEG-2/VC-1/H.264ともにビデオコーデックとしてはサポートしているのは間違いないが、どういったファイル構造のビデオが再生できるのかはまだ公開されていない。例えば、HDVカメラから取り込んだMPEG-2 TSを直接再生できるのかなど、もう少し情報を公開して欲しいところだ。
もう一点注目されるのは音楽ジュークボックス機能。「ミュージック」の項目から音楽CDのリッピングが可能となっており、設定の[音楽CDの取り込み]からMP3/AAC/ATRAC3の3つのオーディオコーデックを選択できる。ビットレートはMP3が64~192kbps、ATRACは最高352kbpsまでなど。 リッピングした楽曲データは、AMGの音楽データベースを利用して楽曲情報の取得も可能(オンライン接続時に限る)。HDD容量が20GB/60GBとそれほど大きくなく、ゲームやビデオとシェアしなければいけないので、手持ちの全てのCDを収納というわけにはいかないが、お気に入りの何枚かのCDを入れて活用するなど、活用の幅が広がりそうだ。できれば、ネットワーク上の楽曲にアクセスして再生する機能も追加して欲しいところだ。
また、フォト機能も内蔵。スライドショーのほか、BGM付きのアルバム調スライドなどを自動作成する機能も備えている。 注目されるのは「ネットワーク」。現状、リモートプレイ、インターネットブラウザ、「PLAYSTATION Store」の3項目が用意されている。 リモートプレイはPSPのアイコンで表示され、PSPをPS3のリモート端末として利用可能となる見込み。また、PS3の画像をPSPで視聴する仕組みなども予告されているが、「具体的に何ができるのか」といった点や、接続方法などの詳細については明らかにしていない。 PS3の発売にあわせてPSPのファームウェアアップデートも予定されており、リモートプレイの詳細はこのあたりで明らかになりそうだ。 「PLAYSTATION STORE」は同社のネットワークサービスの中心となる専用サイトとなる見込み。詳細については後日明らかにされる予定だ。
■ BDプレーヤー以外の進化にも期待 今回は、簡単に機能デモなどを見ただけで、画質や音質面については、きっちりと検証はできていない。製品の発売にあわせ、詳しく検証したいが、現在公開されている仕様からして、5万円程度で購入できる1080p出力対応のBlu-rayプレーヤーと考えるだけでも、期待値は非常に高い。 もう一つ期待がかかるのが、ネットワークを介したアップデート。PSPがロケーションフリーやH.264対応、ブラウザ機能を追加した例からもわかるように、こうした機能強化も前提としているようだ。 現時点ではネットワークサービスが未定で、さらにPS3発売日に全ての機能が搭載されるのかは未知数。まだまだ「可能性の固まり」といった印象も残るが、ともあれ、20GBモデルが49,980円、60GBモデルも一部予約開始した店舗では63,000円程度となっており、BDプレーヤーとして破格値。 そろそろ発売まで一カ月を切ったこともあり、ネットワークやビデオ再生などの詳細な仕様公開も期待したいところだ。なお、残念ながら11日の発売時には日本国内で10万台程度の供給しか予定されていない。かなりの争奪戦が予想されるが、そろそろPlaystation.comでの販売の予告なども望みたい。 □SCEのホームページ ( 2006年10月18日 ) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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