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テレビ/レコーダを連動操作「AQUOSファミリンク」を試す
-レコーダ側からの新提案。VIERA Linkとの違いは?


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 デジタル放送のエリア拡大や薄型テレビの普及に伴い、DVD/HDDレコーダでもハイビジョン化が進行している。しかし、W録画や編集機能などの機能競争が一段落、さらにレコーダの普及などにより、目新しい提案は減少し、使いやすさやデザイン、価格をアピールする製品が増えてきた。

 そうした中で、今年の年末商戦モデルの特徴として注目が集まっているのがテレビとレコーダの連係機能だ。

 AVマウスを利用した赤外線連動機能などは古くからあり、パイオニアも赤外線連動を用いながら、リモコンに専用ボタンを設けて使い勝手向上を図った「レコーダホットリンク」を搭載している。

 一方、松下電器は、HDMI経由で薄型テレビ「VIERA」のリモコンから、AVアンプや新DIGAシリーズなどをコントロールする「VIERA Link」を今春モデルから展開。これにより簡単なテレビ録画やレコーダ操作を訴求している。

AQUOSファミリンクの特徴。HDMIコントロールによるファミリモコンを活用

 そして「AQUOS」のシャープも今秋モデルから30型以上の全製品でHDMIコントロールによるテレビ/レコーダ連携機能「AQUOSファミリンク」に対応した。機能的にはVIERA Linkと似ているものの、テレビ側のリモコンで操作するVIERA Linkと異なり、AQUOSファミリンクはテレビ側でなくレコーダに専用リモコンが付属。VIERAとは逆側からの提案になっている。

 AQUOSファミリンクの実現には、VIERA Linkと同様にHDMI拡張機能として機器間の制御などを規定したCEC(consumer electronics control)のコマンドを利用している。ただし、テレビのGUIを見ながらレコーダを操作するVIERA Linkとは異なり、ファミリンクではリモコンの操作やボタンなどのハードウェア操作に重点を置くなど、コンセプトは大きく異なっているようだ。

 今回は37型液晶テレビAQUOS「LC-37GX1W」と、ハイビジョンレコーダ「DV-ACW38」と組み合わせ、「AQUOSファミリンク」をテスト。HDMIコントロールの使い勝手と可能性を検証した。


LC-37GX1W DV-ACW38


■ レコーダの拡張機能としての「ファミリンク」

ファミリモコンとDV-ACW38

 まずは、HDMIケーブルで、AQUOSとAQUOSハイビジョンレコーダを接続する。HDMIケーブルは別売。なお、基本的にAQUOSファミリンクは、シャープの対応AQUOS/レコーダ間のみでの連係機能となっている。また、対応機器でもD端子やコンポジットなどHDMI以外の接続の場合は、連係機能は利用できない。

 ファミリンクは、レコーダの機能として搭載されている。そのため専用の「ファミリモコン」は、液晶テレビ「AQUOS」ではなく、レコーダ側に同梱される。つまり、レコーダには通常のリモコンに加え、ファミリモコンが同梱されるという形だ。

 HDMIで接続して出画してしまえば、特別な設定の必要もなくテレビ/レコーダ連携が可能となる。なお、レコーダの設定メニューから、設定したテレビのチャンネル情報などをレコーダ側にHDMIを介して引き継ぐ「テレビの設定取得」機能も備えており、テレビ側の設定さえ終われば、同機能を利用してレコーダのチャンネル設定などをテレビに揃えることができる。

 非常に便利な機能だが、HDMIのCECを拡張したシャープ独自の実装のため、他メーカー製のテレビとAQUOSとの接続時には利用できない。

AQUOSファミリモコン ファミリモコンとAQUOS付属のテレビリモコン(中央)、DV-ACW38の専用リモコン(右) HDMIコントロールを利用してテレビのチャンネル設定などをレコーダに同期する機能も備えている


 ファミリンクに利用する「ファミリモコン」は右上にAQUOS(テレビ)/レコーダの切替スイッチを備えている。ここで、操作対象となるテレビとレコーダを切り替える。

 ファミリモコンでは、チャンネル選択用の地上/BS/110度CSデジタル、放送切替ボタンや音量ボタンなどを装備。また、番組表や裏番組などのボタンを用意するほか、下部には再生/停止、スタートメニューなどレコーダ用のボタンも備えている。


■ 外部のAQUOSレコーダを内蔵HDD的に利用可能

ファミリモコンでは2つの発光部を備え、操作範囲拡大を図っている。

 ファミリモコンはレコーダ側に付属するが、操作自体はテレビに向けて行なう。動作範囲はレコーダの受光部からみて左右各30度、上下各15度、距離7m。上部に2つの赤外線発光部を備えている。

 通常のテレビ操作を行なう分には、AQOUS(テレビ)の付属のリモコンとファミリモコンでは変わらない。しかし、番組表を立ち上げて録画予約を行なうと、ビデオ予約/i.LINK予約のほか、HDMIコントロール予約という項目が現れる。

 ビデオ予約はテレビに接続した外部機器にビデオ出力経由で出力、i.LINKはAQUOSハイビジョンレコーダやRec-Potなどに録画を行なう機能。ファミリンクの新機能が「HDMIコントロール予約」だ。このHDMIコントロール予約を選択すると、録画/視聴の選択項目が現れ、録画予約を選択すると予約が完了する。

 つまり、テレビの番組表から3ステップでレコーダへの録画予約が可能となる。この間レコーダの存在を意識することなく、録画予約が可能となる。操作感としてはHDDレコーダ内蔵テレビの録画予約に非常に近い。


番組表 録画予約を選択 HDMIコントロール予約で、録画予約を完了

i.LINK録画機能も搭載する

 ただし、i.LINK/ビデオ入力/HDMIの3つの録画方式をその都度選択しなければならないので、こうしたAV機器に詳しくない人の使い勝手向上という意味ではもう少しシンプルにしても良かったのでは、と感じる。例えば、HDMIで接続している場合はHDMIのみで録画予約を可能にするなどの配慮が欲しい。

 なお、テレビから録画予約した際の録画モードはデジタル放送のHDモードのストリーム録画(TS)のみで、SD解像度へのダウンコンバート録画などはできない。そのため、「SD解像度のモードで録画してすぐにDVD化したい」という用途の場合はレコーダ側から操作したほうがいいだろう。

 AQUOSハイビジョンレコーダの新モデル「DV-AC34/AC32/ACV32」は「ハイブリッドダブレコ」機能を搭載。録画画面からi.LINK予約を選択すると、i.LINK経由でテレビ側のチューナを利用して録画が行なえる。

 DV-AC34/AC32/ACV32はシングルチューナモデルだが、同機能を活用することで、テレビ側のデジタルチューナを活用して、2番組の録画が行なえるというわけだ。なお、この場合も録画モードはHD(TS)のみとなる。また、今回試用した「DV-ACW38」はダブルチューナモデルのため、i.LINKを活用した同時録画は不可となっている。


 ファミリモコン下部の蓋を開けて、録画ボタンを押すと直接録画も可能。DV-ARW38を「クイック起動」にしている場合は、4秒弱でレコーダが起動し、録画を開始するが、「クイック起動」にしていない場合は、20秒以上の起動時間が必要となる。


ファミリモコン下部にレコーダ操作ボタンを装備。蓋を開けると録画ボタンなども現れる

 録画した番組の再生もファミリモコンから行なう。ファミリモコン下部の「リスト」ボタンを押すと、自動的に入力をレコーダに切り替えて録画番組のリストを表示。上部の切替スイッチでAQUOS/レコーダを切り替える必要はなく、AQUOS(テレビ)のまま録画番組選択から再生/停止、スキップ、バックなどの基本操作が可能となる。

 HDDレコーダ内蔵テレビのようなシンプルな操作感でAQUOSから「DV-ACW38」を扱える。タイムシフト用にレコーダを活用するのであれば、これだけでも機能的には十分という印象だ。

 また、機能選択ボタンを押すとテレビ画面上にUIを表示し、[AQUOSレコーダーで予約]、[録画リスト]、[AQUOSサラウンドで聞く]、[サラウンドモード切替]などの設定や選択が可能となっている。


録画リストを表示して、再生が可能 機能設定ボタンからHDMIコントロールを呼び出し


■ DV-ARW38での2番組録画時にはレコーダ側の操作が必要

AQUOS/レコーダの切替スイッチを装備

 レコーダを操作するためには、ファミリモコン上部のスイッチを「レコーダ」側にスライドすると、入力切替画面が現れ、約1秒程度でレコーダに切り替わる。なお、レコーダの電源が入っていない場合にスライドすると、まずレコーダの電源を投入、起動してから入力切替が行なわれる。

 また、機能選択ボタンからHDMIコントロール機能選択画面を立ち上げ、[AQUOSレコーダで予約]を選んだ場合も、レコーダ側からの録画予約画面に切り替わる。

 入力切替は非常にスムーズで、レコーダ側の電源が入っていれば1秒程度でテレビからレコーダ入力に切り替わる。なお、複数のAQUOSファミリンク対応レコーダを1台のリモコンに登録することはできない。ただし、同時発売のサラウンドシステム「AN-ACX1/AN-ACY1」は接続可能で、ファミリモコンを用いて、電源オン/オフやボリューム調整などが行なえる。

 また、同サラウンドシステムでは、デジタル放送のEPG番組情報からジャンルを検出。映画放送の際には、サウンドモードが「シネマ」に切り替わるなどの連携機能を備えている。


スイッチをスライドさせるとテレビから、AQUOSレコーダに入力切替が行なわれる AN-ACY1などと組み合わせて利用可能

 レコーダに切り替えても基本的な操作感はほとんど変わらない。10キーなどのボタンはレコーダもテレビも同じで、単に扱っているチューナが代わっているだけ。AQUOS側とレコーダ側の画作りを揃えていることもあり、テレビとレコーダのどちらの映像を見てもさほど違和感はないだろう。

 入力が自然に切り替わり、操作系も同じなので、レコーダとテレビのどちらで視聴しているのかわからなくなってしまうことも。もっとも、デジタル家電の操作になれていない人にとっては、この「入力切替」が、機器操作の理解を阻む要因となっており、「入力切替を意識させないこと」が、ファミリンクの目標。常に入力を意識しているユーザーこそ、戸惑いやすいのかもしれない。

レコーダのスタートメニュー

 なお、赤外線受光範囲を大きく逸脱してAQUOS/レコーダ切り替え操作を行なった場合などは、うまくテレビ側に信号を伝えられず、テレビ側とリモコン側の対応がとれない状態になってしまうこともある。その場合は一度スイッチをテレビ側に元に戻すとテレビの基本操作に戻るようになっている。

 スイッチで[レコーダ]を選択している場合、番組表を立ち上げて、録画を行なうと、テレビからの録画時とは異なる予約画面が現れる。テレビからの予約時と異なり、時間変更や延長予約、録画モード選択などが行なえる。これらの機能を積極的に活用する場合は、レコーダから予約録画を行なった方がいいだろう。

 また、DV-ARW38の場合、デジタルダブルチューナを内蔵し、2番組のデジタル放送同時録画に対応する。テレビからの録画は1番組のみのため、2番組の同時録画のためにはレコーダ側で録画を行なう必要がある。「レコーダでダブルチューナを積んでいるから」と、テレビからの重複予約を行なうと、重複予約を促す表示がでるものの、そのまま進むと前の予約を消して新しい予約を登録してしまうので、このあたりは注意が必要だ。

 シングルチューナモデルの「DV-AC34/AC32/ACV32」であればi.LINK予約を活用するのも手だろう。

レコーダの予約確認画面 レコーダからの操作で2番組同時録画が可能となる


■ 使い勝手は明らかに向上。相互接続性の向上に期待

VIERA LinkからのDIGA操作画面。専用UIから操作を行なう

 「テレビとレコーダをHDMIで接続してシンプルな使い勝手を実現する」というのがAQUOSファミリンクの基本コンセプト。単純にテレビから録画予約を行なう際には、VIERA Linkとさほど大きく違わないが、GUIの項目を選んで操作するVIERA Linkより、スイッチ操作によりさらに直感的な操作感を実現している。

 操作感については、好みが分かれるだろうが、入力切替をほとんど意識させないという点では、非常に完成度は高い。ユーザー視点でも理にかなったソリューションと感じる。

 また、今回のDV-ARW38は対象外だが、新レコーダでi.LINKを利用した「ハイブリッドダブレコ」に対応したことも、ほとんどのAQUOSやレコーダにi.LINKを搭載し続けてきたシャープらしい提案。メーカーの姿勢を示すという意味でも非常に好ましい取り組みだ。

 なお、VIERA Linkをはじめとする他のHDMI CEC相互接続製については、「基本的な機能は使える可能性もあるが、動作保証はAQUOSシリーズの対応機器のみ」としている。AQUOSファミリンクの場合は、テレビからの設定情報取得や、機能設定ボタンで呼び出す[HDMIコントロール機能選択]、サウンドシステムのジャンル検出などで、CECを元にした拡張により実現しているとのことで、やはり他メーカー製の相互利用は難しそうだ。

 ともあれ、シンプルかつ使いやすい録画機能の提案という点では非常に完成度の高い「AQUOSファミリンク」。VIERA Linkとともに、今後HDMIコントロール機能がレコーダ/テレビの差別化要因として非常に大きくなっていきそうと感じさせる。

 HDMIコントロールを提案してきた2社は、レコーダだけでなく、薄型テレビで高い市場シェアを誇るメーカー。これには、「テレビの使い勝手向上」という側面とともに、テレビの高い市場シェアをベースに、レコーダとのセット販売によるバンドル率を上げることで利益を確保していきたいという狙いもあるようだ。

 テレビのシェアをベースにした「囲い込み」ともいえるが、ユーザーの利便性向上というメリットもある。今後、さらに対応メーカーが増えてくるだろうが、ある程度の相互接続性を維持する取り組みなども期待したい。

□シャープのホームページ
http://www.sharp.co.jp/
□ニュースリリース(AQUOS ファミリンク)
http://www.sharp.co.jp/corporate/news/060802-a.html
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( 2006年10月26日 )

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


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