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LINE、スマートスピーカー「WAVE」を今秋発売、1.5万円。スマホの次のAI時代を担う
2017年6月15日 16:25
LINEは15日、クラウドAIプラットフォーム「Clova(クローバ)」と、対応のスマートスピーカー「WAVE」を初披露した。価格は15,000円で、今秋発売する。また、MUSIC機能に限定した先行版は、1万円で夏に販売し、秋の正式版の販売にあわせてアップデートする。
Clovaは、LINEが「スマートフォン以降のAI時代」を目指して展開するクラウドAIプラットフォーム。
Clovaの中核は、「Clova Interface」と「Clova Brain」の2つで構成。「Clova Interface」は人の耳と口にあたり、「Clova Voice」は、音声認識/音声合成などを行なう。目にあたる「Clova Vision」は、画像認識や顔認識などの感覚機器に相当するという。頭脳となるシステム「Clova Brain」は、NLU(自然言語理解)や、Dialog Managerなどで構成される「Clova Conversation」を中心に、自然な言語翻訳処理を行なうNMT(Neural Machine Translation)、ドキュメントやコンテンツなどを推薦するRecommendation Engineなどで構成。「使えば使うほど、ユーザーに最適化されていく」(舛田淳 取締役 CSMO)という。
このClovaによるAI機能を搭載した、スマートスピーカーやデバイスを順次発売。Clovaの第1弾となるWAVEはBluetooth/無線LANスマートスピーカーで、クラウドAIを用いて、ユーザーと対話しながら操作できる。無線LANはIEEE 802.11b/g/n対応。
2.5インチ20Wウーファと、1.5Wツィータを搭載。LINE MUSICと連携し、4,000万曲から好きな曲を再生できるという。LINE MUSICとの連携では、楽曲名やアーティストを指定できるほか、その場の雰囲気やユーザーの気分にあわせた曲を「WAVE」がオススメすることも可能。
音声での音楽操作のほか、カレンダー機能やToDoの管理、WAVEとの雑談などが楽しめる。話してコミュニケーションをとりながら、生活に必要な情報を得たり、家電のコントロールを行なえる。
WAVEには、音声認識用にコネクサントのマイクを4基内蔵。「5m離れた距離からも正確に会話を認識できる」という。赤外線通信機能を備え、2,000以上のテレビのコントロールに対応。エアコンのコントロールも今後対応するなど、スマートホーム機能を強化する。LINEニュースの読み上げや、LINEの通知やコミュニケーションにも利用できる。
プロセッサはQualcomm APQ8009 1.3GHz、RAM 1GB、内蔵ストレージは8GB。バッテリは5,000mAh。外形寸法は86.25×139.85×201.95mm(幅×奥行き×高さ)、重量は998g。
なお、AmazonのAlexa(スピーカーはEcho)、GoogleのGoogleアシスタント(Google Home)、AppleのSiri(HomePod)など、大手プラットフォーム事業者がいずれもスマートスピーカーやAIプラットフォームを強化している。
LINEでは、「とにかく重要なのは早くデータを集めること(舛田CSMO)」とし、LINEがもつメッセージやソーシャルグラフなどを活かしながら、早期にClovaを普及させる狙いを説明。また、当初は日本での展開に集中するため、LINEの圧倒的な普及率と、日本語対応を強みとし、「いま大事なのはプロダクトを広げること」と語った。
さらに、「ブラウン」など、LINEのキャラクターを使ったスマートスピーカー「CHAMP」も冬に発売予定。CHAMPは家庭内だけでなく、家の外での利用も想定しているという。加えて、ディスプレイ付きの「FACE」も開発中。さらに、ウェアラブル向けのClova展開も予定しているという。
なお、これらClovaデバイスの利用には、LINE IDのほか、Clova IDによる認証を行ない、各機器を連携させていく予定。詳細については、製品発売時に案内するとのこと。
VOCALOIDとClovaが連携。ヤマハの製品への応用も
この、Clovaを搭載したデバイスを「Clova Inside」として、パートナーと協力して増やしていく方針。第1弾としては、LGと、タカラトミー、“好きなキャラクターと一緒に暮らせる”というバーチャルホームロボット「Gatebox」のウィンクルが製品を開発している。
また、ソニーモバイルのハンズフリーコミュニケーションデバイス「Xperia Ear オープンスタイル」など、XperiaスマートプロダクトとClovaが連携した新たなコミュニケーション体験に向けて開発を進めている。
さらに、ヤマハの歌声合成技術VOCALOIDとClovaが連携した、AIによる新たな楽曲創作で共同開発を行なうことも発表。両社の持つ技術をあわせて、「新しい音楽体験に挑戦する」とのこと。この開発成果は、ヤマハが今後発売する製品やサービスに導入を検討しているという。
AmazonのAlexaは開発キット(SDK)も提供しており、Skillと呼ばれる機能拡張をサードパーティの開発者が行なえるようになっている。LINE/Clovaにおいては、「まずはLINEの各サービスのつなぎこみを優先しているが、当然サードパーティとの連携は考ええており、外部解放のための準備を進めている」とした。
トヨタとも連携し、コネクテッドカー。次世代ファミマもClovaを活用
そして、自動車向けの展開も決定。トヨタとClovaを用いたコネクテッドカーの開発で協力。トヨタらが推進するスマートフォン/タブレットアプリとの連携規格「SmartDevice Link(SDL)」と連携し、Clovaを連携させた製品展開を検討すべく、協業基本合意書を締結した。
発表会には、トヨタ自動車 専務役員の友山茂樹氏が登壇し、両者の協力関係をアピール。「スマートフォンを車の中で安全に利用する環境を提供するのは、自動車メーカーの使命。車とスマホをつなげて、安全快適なモビリティライフを実現することを目指す。そのソリューションとして、トヨタが採用するのがSDL。スマホと車載機器をつなぐ、標準規格に基づく連携ソフトウェアで、SDLに対応したスマホアプリは、車のインターフェイス、タッチパネルからマイク、スピーカーを安全にご利用いただける。例えば、奥様からLINEで急な連絡が入った場合、スマホを運転中に触るのは法律的にも禁止されている危険な行為。そんな時にSDLを使えば、車のマイクとスピーカーを使いながら、LINEの音楽を聴きながら、メッセージを読みあげてメッセージを返信できる。読み上げられたくないメッセージは、止めることもできる。SDLはAndroid/iOSのどちらにも利用可能です」と、LINEとの協業によるサービスのイメージを紹介した。
安全についても強調し、「SDLの最大の特徴は、車側で安全な環境を実現できること。急減速や急加速の場合は、運転に集中してもらうためにメッセージの読み上げを中止するなど、安全に考慮したサービスを実現できる。自動車メーカーとアプリ提供者の相互にとって魅力的なSDLの普及のため、トヨタはフォードと共同でコンソーシアムを立ち上げた。コンソーシアムには、マツダやダイハツ、スバル、プジョーシトロエンなどの自動車メーカー、パイオニア、パナソニックなどのカーナビ、さらにコンテンツプロバイダも加入している。SDL対応アプリは、様々なSDL対応の自動車で利用可能になる。トヨタは、アジアトップのサービスLINEと新たなサービスの実現で合意した。LINEの最先端のコミュニケーション技術と、SDLを連携させた、モビリティメッセンジャーサービスにぜひご期待いただきたい」と語った。
次世代ファミリーマートもClova
最後にファミリーマートと、Clovaを用いた新たなコンビニエンスストア展開を行なうことも発表。ClovaをはじめとしたLINEの各種サービスを連携させ、ファミリーマートの次世代店舗に導入する。
具体的には、ファミリーマートの店頭で、顧客のニーズや顧客履歴にあわせたコミュニケーション基盤を整備。Clova連携次世代店舗をコンセプトムービーでは、LINE Payによるスマホ決済や、ビーコンを使ったセール情報案内、外国人向けのポップなどの自動翻訳、欠品状況や需要予測に基づく、発注管理などの将来像を紹介している。
ファミリーマートの澤田貴司代表取締役は、次世代店舗のイメージビデオを紹介した後、「2~3カ月ぐらい前にアメリカの素晴らしい企業が発表された『なんとかGo(編集部注:Amazon Goのこと)』の動画と何が違うかわかりますか? それは加盟店の皆様が働く姿があることです。この瞬間も1.8万店舗、20万人の仲間が働いています。テクノロジは重要ですが、人々が笑顔で働いてお客様に喜んでもらえること。それが我々が理想とするコンビニエンスストア。ぜひ出澤社長と協力していきたい」とアピールした。